第二章プロローグ~闇烏~
【Friday,April 5 2096
Person:operator4 】
四月五日、東京。
この街に俺が知る限りでは、常に大小問わず誰かしらが暗躍している。そして、恐らくはこれからも。
何よりもまず、"我々"がいる。
"創造主様が作った世界を維持する"為に。
そして、"彼"がいる。
それだけでも、"我々"が動く価値がある程に。
とは言え、状況は一年前と比べると随分と変わっていった。
俺は、高校生では無くなった。
彼は、"消すべき目標"では無くなった。
魔法師は、未知の者では無くなった。
魔法師が、"我々"を認識し始めた。
物事に変わらぬ事は無いと言うが、恐らくは近年、特にこの数年間はあの大戦など優しいと言える程に変わってしまったのだろう。
無機質な程何も無く、変わらない部屋の中で情報に目を通しながら煙草に火を付ける。
「それで、四葉は"人間主義者"に対して敵対して行くと言う方針で行くのか」
そう"通信先の相手"に呼び掛ける。
この相手でさえ、本来は敵に近い人間であった筈なのだが。
『えぇ。その方が"貴方達"にとっても都合が良いでしょう?』
そう、四葉真夜が笑った。
一ヶ月前に真実を聞いて尚、彼女の事を信頼する事など出来てはいなかった。
「あんな者達は昔の反捕鯨団体と大して変わらん。あまり派手に動くと此方もお前達を"切り捨てる"事を検討しなけりゃいけなくなる」
『しかし他の十師族に先を越され、その功績を元に彼らの発言力が強化されるよりは良いでしょう?今"四葉だけが"、貴方達の傘下にいるのだから』
この言葉に反論出来ず、思わず溜息を吐いてしまう。
理屈は理解出来る。お互いに、利用し利用される関係である。同時に、今は"我々"が優位にある。そう言う風に"彼女"が動いたのだから。あれから一月程経つが、今だに四葉は我々の手駒であろうとしている。それ自体は悪い事とは言えないのだ。
しかし、今だに思わずにはいられない。
これは果たして、最善だったのだろうか。
我々は、もっと薄暗く、誰も気付けない影で在った方が良かったのでは無いか。
もしくはいっそのこと、あの時十師族全てを灰にしてしまえば良かったのでは無いか。
しかし、全ては過ぎた事だ。そして現状も、経験則からも、今は手を組み続けるべきだと言う事を現在の情勢が示しているのだから。
賽は投げられている。十月の、最後の日に。
全てを"無"にしようとしない限り、魔法師には魔法師が最適解だろう。それだけの意味を、彼らは世界に刻み付けた。そして、その魔法師の中では"最凶"とさえ言える四葉が傘下にいるのなら、それに越した事はない。
そして、何よりもまず注視すべき問題がある。
"九島家"が、何かを行おうとしているのだ。
大まかな目的としては、四葉の相対的優位を削ぐ事なのは間違いないだろう。
しかし、その方法の一つに危惧するべき全てがある。
確証は無い。しかし、状況は一つの可能性を示唆している。
"九島"は、あのパラサイトを手に入れている。
そして、"九島烈"は我々を、そして"白烏"を知っている。
そこから導き出される答えは、一つしかない。
もし、
それにまともに対抗し得る勢力を弱体化させるのは愚策で、彼らを勢い付かせる事だけはあってはならない。
「・・・まぁいい。"我々"は状況を見守るつもりだ。お前達が得をしても損をしても此方は構わんからな。だが、去年の様な事は起こさないでくれよ」
そう言って通話を切る。
欲を言えば、共倒れが最も望ましいのだが。
そして、舞台は回り出すのだろう。
恐らくは、再び
はい、恥ずかしくも戻ってきました。しかもこっちに。
理由は多々有りますが、一番は魔法科二作目が完全に詰んだことです。
はい、詰め込み過ぎました。収拾がつかないのであれは一旦展開を練り直す為に御蔵入りです。具体的には沖縄編をそのまま消します。日付が変わる頃に非公開にします。多分修正した末にはこんな事があったんだ的な話で一話に纏めると思う。
それと同時に、まだ此方の方が物語を構成しやすいと言う理由を元に書きたくなり、描かせて頂こうとは思います。こっちのオリ主にはまだ九島と言う敵が残っていたのが唯一の救い。
かなり期間が空き、作風も変わってしまうかもしれませんし物語の濃さも第一部と比べると些か物足りない物になるやもしれません。
しかしそれでも私は書かせて頂きたいと思います。
私が消えていた間も誤字修正報告、及び感想を書いてくださった方や読み直してくださった皆様方に改めて感謝を申し上げます。
期待してくれていた読者様を裏切ってしまった私が再びキーボードとスマホでハーメルンに書かせていただく事になりますが、それでも宜しければ是非お願い致します。
なお不定期更新です。第二部の鬼門であったダブルセブンを繋ぎ回にする事にはしました。恐らくはパラサイドールを中心とした四葉九島間冷戦が舞台になります。
しかし、流石に一日一話を投稿出来るほど物語が練れていません。此方も懲りず見切り発車ですしね・・・。第一部はそれなりに順調に進んだ上に最初から最後まで濃い展開を用意していましたから。でも近いうちに二章一話を投稿したいと思っています。もしくは繋ぎ回と言う事で九島をlog方式で書いてみるかも知れない。
それでは、お見苦しく無ければ是非お楽しみいただけると幸いです。