オリ主と第六駆逐艦隊   作:神域の

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予定では半分切りました。この二次小説もいよいよ後半戦です。


5-1 さらば第六駆逐隊

 ちょっとした家出騒動から数日、それこそ初めは形だけの仲直りでギクシャクしてた暁との仲も一晩経てば元通り。

 そしてまだ吹雪と話すのには苦手意識が残っているが、まぁこれが失敗の味だと思う事にし、心機一転・・・俺も第一線で活躍する赤城に負けない位、この艦隊で戦っていくと決めた。

 

 

 

「――ということで長門秘書艦、この間言った事を忘れてください!」

 

「・・・」長門は腕を組んで少し考えた後「それは提督の指示があるまで前線に出ず待機する、ということでいいか?」

 

「・・・いや、そうじゃなくって・・・ほら?なんか俺言ったじゃないですか?・・・その・・・犠牲がどうのって・・・・・・」

 

「ああ言ったな」

 

「ですからね・・・?俺が言いたいのは、やっぱり犠牲なんてゼロで戦い抜きましょうって事で・・・長門秘書艦?」

 

「・・・・・・ふふふ」

 

「・・・・・・チクショウ」

 

 そんな訳で前回、長門に情けない事を言ってしまったので宣言撤回の為に長門のところにやってきて意気込みを話したのだが・・・・・・どうやらからかわれているらしい。

 おそらく、赤城が長門に話したんだろう・・・赤城も長門から、俺が思い詰めてるって聞いてたらしいし。

 さっきまで気恥ずかしさを堪えて弁解してたのが空しくなってきた。・・・・・・結構真面目に話してたのに。

 

「・・・赤城さんから聞いてましたね・・・・・・?」

 

 案の定、聞こえる様に呟いたら長門だけじゃなく、その場にいた陸奥と大淀までもが噴き出した。

 

「・・・・・・チクショウ」

 

「まあ拗ねるな。で、そう思ったのには理由があるんだろう?どうしてそう思ったんだ?」

 

 そう言った長門の顔は微笑ましい物を見る様な表情だ。

 そんな顔されると、からかわれた悔しさも失せるから不思議だ。

 決して消えたりはしないが。

 なので、ぶっきらぼうに怒ってるんですよアピールを含めて、

 

「ダサいからです。他の人が頑張ってるって知って、自分が泣きごと言ってたのが嫌になったから。それに、どうせ戦うならかっこいい方がいいでしょう?」

 

「・・・・・・」

 

 言った。最後の方にドヤァという表情もしてみた。

 なのに長門の反応は薄い。うんともすんとも言わない。

 そのまま時間だけが流れていく。

 

 流石に無反応なのに違和感を感じ、これ修理に出した方がいいかな?なんて思っていると長門が急に笑い出した。

 長門は駄目になった。仕事しすぎたんや・・・・・・あ。

 

「・・・長門さん、入居ドックいきましょう。精密検査を受けましょう。ね?俺、前から思ってたんですよ、長門さん仕事しすぎだって・・・・・・今日はもう提督に言ってお休みしましょう」

 

「私も長門は真面目過ぎると思ってたのよね・・・・・・でもまさか急に笑い出すくらい気を病んでしまうなんてっ!」

 

「ちっ違う!陸奥、私はそういう意味で笑ったんじゃなくて!」

 

「フフフ・・・・・・」

 

「・・・あぁッ!!響お前!!」

 

 俺が聞こえる様にほくそ笑むと、長門はしてやられたっ!という様な表情でこちらを向いた。

 気付きましたか長門秘書艦。

 そうです。ああ言えば面白い物好きの陸奥さんは必ず悪乗りしてくれると信じてたんですよ。

 第一、俺がからかわれっぱなしな訳ないでしょう?

 

 この場にいる誰もが俺に目線を向けてるのを確認してから、帽子を深く被り足を開き内股に腰を落とす、右手を横に伸ばし左手は体の前にスッと下ろす。

 

「ハラショー!!」

 

 完璧に決まった。これぞハラショーの構えっ!!

 その証拠に誰一人動くことができない。

 自分の中で湧き上がるやり切った感に思わず笑みがこぼれる。

 

「・・・っぷ、あははは!!響ちゃんやっぱ面白いわ!!」

 

 その空気の中、最初に動いたのは陸奥だった。

 陸奥はもう駄目だと言わんばかりに机にへたれこんで、ヒイヒイ言いながら机を叩いている。

 

 大淀はこちらには見向きもしないで「響さんはもう少しその頭を違う事に使えば作戦の相談とかもできるんですけど」と淡々と呟く。

 ボケが軽くスルーされたのにはへこんだ。せめてポーズを見て、と思ったのは間違ってないと思う。

 

 そして長門はそんな俺を見て、眉間に手を当てて小さくうなっていた。

 ただ、それもつかの間。

 長門は眉間から手を離すと、ふっと微笑んで近づいて来る。

 やべえ、調子に乗ってしまったかもしれん・・・・・・ながもん激おこかもしれん・・・・・・。

 これはポーズが悪かったのか、Bepのポーズじゃなくて響のポーズがよかったのか。

 けどねながもん・・・響のポーズは無理っすよ・・・・・・重心おかしいもん。後ろ斜めに傾いて、踵で立つ事になるもん。キング オブ ホップでも無・・・駄目だ、出来ないビジョンが浮かばねぇ・・・・・・。

 そんな事を考えていると、長門がもう目の前に居て俺の頭の真上に手を上げていたところだった。

 そして俺の目にはその手がゆっくりと頭に降りてくる様子が映る。

 刹那の時間に起こった出来事に、俺はポーズを止める事を忘れていた!!

 

「・・・・・・で、なんで俺は撫でられてるんです?」

 

「さあな」

 

 長門は笑いながら楽しそうに答えると、それ以上何も言わず黙って頭を撫でる。

 なんだろう・・・この気持ち悪さは・・・・・・。

 俺は別に撫でられる事をした覚えがない。

 嫌ではなかったが、すっきりしない気分になってその理由をひたすら探る。

 そして気づいた!

 長門の服装を見てピーンと来てしまった!

 この気持ちは知り合いが「実は僕ホモだったんです」って打ち明けられた時の気分だ!

 

「・・・長門さんはそういう艦娘だったんですね・・・・・・まさか弄られたり、からかわれるのに快感を覚える露出狂だったなんて」

 

「まてまてまて!!なんで頭を撫でただけでそうなる!!」

 

「え?もしかしてまともな理由とかあったんです?」

 

「当たり前だ!・・・私はただ、響が初めてここに来た時より強くなった・・・・・・と思ってだな」

 

「それは・・・・・・その・・・なんかすいませんでした」

 

 いい話だった。

 長門は俺の事について純粋に喜んでくれてた様だ。なのに俺は長門をアブナイ趣味の方かとばかりっ・・・・・・。

 この微妙になった空気の中、陸奥だけがお腹を押さえてゲホゲホとせき込み、バタバタと床の上に転がって「しぬっwwwしぬっwww」とのたうっていた。

 

「・・・・・・そうだ、ところで話は変わるが、響は鎮守府内の艦隊全艦再編成の話は聞いているか?」

 

「いや、聞いてないですね」

 

「そうか。実はいくつかの艦隊には言ってあるんだが、響も知っている通り今現在、鎮守府内の作戦漏洩は深刻だ。だから今回、作戦漏洩を逆手にとって全艦再編成することで敵艦隊を撹乱させる事にした」

 

「えーと、つまり敵さんが俺達がここに出撃してくるって知ってやってきたら聞いた話と違うじゃねぇか!!って事にしたいんです?」

 

「そんなところだ」

 

 無理だろ、と思った。そんな単純じゃないだろ!と思った。

 でも言えなかった。

 だって長門があの微妙な空気を何とかする為に頑張って変えてくれた話題だもの。できねえよ、否定なんて。

 できることは話に乗って、なあなあでこの場を去る事だけ。

 

「ホントニオモイキリマシタネー。・・・で、理由もみんなに言ってあるんですか?」

 

「いや、そこは今まで通り秘密で頼む。編成は近い内に全艦に通達する予定だったが、早く知った方が寮を出る時の荷物まとめが楽だと思ってな」

 

「ん?・・・・・・じゃあ編成の件、暁達に言ってもいいって事ですね?」

 

「ああ、そういう事だ」

 

「分かりました。それじゃあ・・・長門秘書艦、お忙しい中時間を割いてくれてありがとうございます。そろそろ失礼しますね」

 

 そう言って一礼して部屋から出る。

 

 

 この時、俺は長門の言葉を軽く聞き流していた。

 変な言い回しがあったが、前言われたみたいに情報漏洩を誰にも言わなければいい、そう思った。

 そんな事より「強くなった」そう言われて、本当に皆に認められてきたという実感の方が強かったし、疑問においては長門の言葉よりもっと気になる事があった。

 

 廊下を歩きながら何処に行こうか考えていると、頭の片隅にある気になったことが強くなる。

 

「・・・・・・提督、久しぶりに見たけどやっぱり何も喋んなかったな・・・・・」

 

 時間はお昼時。

 長門は夜でも仕事をしてる時がある。昼も当然仕事をしているに決まっている。

 そして長門は秘書艦だ。

 秘書艦は提督室で働いているのが当たり前。

 提督室には提督が居るのも当たり前。

 でも提督、全然存在感無いんだよなー。

 

 提督、いる意味あるのかな?なんて思いながら、これから暁達誘って間宮さんの所に行こうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから更に数日。

 長門の言った通り、授業前に足柄から編成の件を伝えられ、その日は授業中止になり提督室前に集まる事になった。

 第六駆逐隊は、俺だけを省いて3人が部屋に入りその次に俺というよく分からない順番だった。

 中で長門から紙を貰い部屋を出ると、楽しそうに話していた3人がパタパタとやってきて楽しそうに話しかけてくる。

 

「ねぇ響、どうだった?」

 

「どうって?」

 

「配属よ!は い ぞ くっ!私達は同じ艦隊になったのっ!」

 

「第一遠征部隊なのです!」

 

「へーいいなぁ。俺はまだ見てな」

 

「よくないわよっ!!」

 

 雷に配属を聞かれ、紙を見ようとすると暁が急に怒り出した。

 

「・・・どったの、暁」

 

「だって、遠征よ!?あっちこっち行ってエッチラオッチラ輸送したりするのよ!?そんなのレディの仕事じゃないわ!!」

 

 あー、そういう事かー。

 でも暁、レディの仕事ってなんだって話になるよね。

 暁にレディの話をしたら面倒くさくなるから言わないけど。

 

「でもさ、遠征って色んな所に行けるじゃん」

 

「・・・・・・響は分かってない」

 

「はっはっはっ」

 

「暁、そんな事より響の配属が先よっ!!で、どこっ!?」

 

「は や くっ!は や くっ!」

 

「はいはい」

 

 話していると、雷電に早く教えろとせがまれた。

 この二人、俺よりどこの配属になったかを楽しみにしてるな・・・・・・。

 とはいえ、俺もどこになったか気になるものは気になる。

 おそらく俺一人で提督室に入ったのは、皆と艦隊が違うからだと思う。

 その事に寂しさを感じつつ紙を見

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「          」

 

 

 

 

 

 

「響はどこだったの!?早く教えて!」

 

「早くなのです!!」

 

「むぅ・・・こうなったら勝手に見ちゃうんだから!!なになに・・・『駆逐艦 響、第五遊撃部隊ニ配属ヲ命ズル』?」

 

「???第五遊撃部隊ってどこなのです?」

 

「確か、新しくできた部隊だったと思うけど・・・響?どうしたのさっきから黙って。ひびきー、ひぃびぃきぃー」ゆっさゆっさ。

 

「どいて雷!こうゆう時は右斜め45度の角度で叩けばいいのよ!!・・・ちぇいさー!!」ぼこすっ!!

 

「・・・・・・駄目なのです。こうなったら電の本気を見るのです!!」

 

「待って!電走っちゃ駄目――あ」

 

「あ」

 

「はにゃあ!!」

 

 辺りがうるさく、俺は我に返った。

 どうやら放心してたらしく、なんでそうなったかよく覚えていない。

 ただ分かる事は、気が付いたら電が、俺に向かって勢いよく頭を突き出していたって事だ。

 

「おぐぅ!????」

 

「「ひびきっ!?」」

 

 急だったので耐えることもできず吹っ飛ばされる。そして思い出した。

 俺の配属場所・・・・・・。

 

「ごめんなさいなのです!!電またやっちゃったのです!!」

 

 その後の事はよく覚えていない。

 ただ思った事は、なんで第五遊撃部隊なんだって事とどうして電に頭突きされているんだって事だった・・・・・・。

 本当にどうして――――

 

「どうして・・・こうなった・・・・・・」ガクッ

 

「お姉ちゃん・・・・・・?響お姉ちゃーん!!」


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