オリ主と第六駆逐艦隊   作:神域の

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0-2 オリ主、艦娘的恐怖に遭遇する

 グットモーニング!響だよ。昨日は色々あって大変だったけど、せっかくの艦娘ライフ楽しまなきゃ損だよね!え?・・・風呂?あぁ・・・嫌な、事件だったね・・・あの後お風呂どころじゃなくてね、目が腫れ上がって大変だったよ。目薬さしたら治ったけど。

 所で何してるかって?フフフ・・・・・・神様はね・・・どうやら俺のことが嫌いらしい、まだ朝早くだというのに・・・いや朝だからか今、目の前に過酷な試練が待ち構えている・・・この試練を乗り越えなければ俺に幸せは無いだろう・・・・・・

 

「響ちゃん!ブツブツ言ってないで早く出てきてぇ!もう限界なのです~!!」

 

「落ち着け、電。俺も限界なんだ・・・だけど!!この試練を乗り越えなければ俺に未来はないんだ!!」

 

「響ちゃんがトイレからでないと電の未来も無いのです!!だから早く変わってぇ!!」

 

 電も限界なようでやたらめったらにトイレのドアをガンガン叩いてくる。まあ風呂の時と同じで見なけりゃいいさとパンツを下ろした所でふと思う。

 

「ねえ、電ぁ?スカートって小便する時、下ろすの?たくし上げるの?」

 

「どっちでもいいのですぅ!!はぁやぁくぅぅぅ!!」

 

「も一個聞きたいことがあるんだけど、小便したらさぁ・・・拭くじゃん?拭く時の力って強弱どっちがいいかな?」

 

「拭かなくていいのですっ!!はにゃぁぁああ!!」

 

 ピタッとドアを叩く音が消える、代わりに「ヴヴヴヴ」という唸り声が聞こえてくるようになった。しかし拭かなくていいとは・・・目からウロコだぜ。まあ男だった俺が女の子のトイレの仕方に詳しかったら変態だもんな・・・

 もう限界だと便器に腰を下ろして用を足す。するとある違和感が股に襲いかかる。なるほど、拭くっていうのはこのせいか・・・電よ、これは拭かないとパンツ汚れるよ?試練を越えパンツを上げようとした時、手に湿った感触が伝わってきた・・・・・・

 

「マジかよ・・・スカートたくし上げれば股が見えなくなるからいいと思ったんだが、引っ掛てやがる・・・和式は分かんないが洋式はおろした方がいいな」

 

 どうやら座った時に後ろのスカート生地が便器の方に入り込んでたらしい。どうやってみんなにバレずに着替えようか悩みながらドアを開けると、ガシッと腕を捕まれドアの外に投げ出された。解せぬ。

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 さていい感じに小腹が空いてきたので朝ごはんはどうしてるのか聞いた所、宿舎の先に食堂があるらしい。今の時間帯は艦娘達が朝ごはんを食べ終え、鎮守府で決まったスケジュールに従い移動を始めているらしく、急いで食堂に行かないと食べれなくなるらしい・・・マジスカ!?

 

「おいおい、それじゃあ今すぐにでも行かないとまずいんじゃないか?朝、食べないと辛いよ?」

 

「あのね?響がトイレに一時間以上いたのが原因なんだからね?ちゃんと反省してる?」

 

 もちろん反省してますよ、雷さん。この反省を響らしくロシア語で・・・あっロシアわかんねぇ・・・まぁ響には魔法の言葉があるから問題ないな・・・

 俺は雷の前に立ち「ハラショー」と言って頭を下げる、すると雷は――――

 

「ホントに?全くもう・・・今回だけなんだから。今度は置いてっちゃうからね?」

 

――――許してくれる。この結果は知ってた、なんたって『ロリお艦』なんて呼ばれてる位だからね。感謝の意味を込めて今度は「ハラッショ」と言うと「もう気にしてないわ、それより早くごはん食べに行きましょ?」と言ってくれた、まぢハラッショ。

 

 早く食堂に行くため部屋を出た俺達はというと・・・

 

「雷!電!廊下は走っちゃダメよ!一人前のレディはどんな時でも優雅にエレファントでなきゃ!・・・ところで響はそこで何してるの?」

 

「・・・クラウチングスタートを切ろうとしてたんだ。ねえ暁、お願いがあるんだけど・・・合図を、スタートの合図を頼めないかな?一人前のレディである暁にしか頼めないんだ・・・」

 

 一人前のレディに反応してか、暁はニヤニヤしながら「そこまで言うなら仕方がないわ」と了承してくれた、ククク・・・ちょろいな・・・横でポカンとしてる二人に位置に付いてといいゴールは食堂だと伝える。クククク・・・ちょろすぎる・・・そして準備が出来たので暁に目配せで合図を送る。

 

「・・・位置に付いて、よーい(ダッ)ドン!!」

 

 俺はフライングして後ろを振り返らず言い放つ「早くしないと朝食無くなっちゃうよ」と。この作戦は後ろから駆けてくる足音が聞こえるので大成功だろう。

 

 少し走ると中から人が出てくる建物を発見した。一瞬迷うかもと思ったがそんな事はなかったぜ。憑依してから異様な程にフラグ回収率が上がったからなぁ・・・・・・おい、あれ五航戦じゃね?ここの提督はなかなかやりこんでるらしいな、そういえば秘書艦も長門だったし・・・

 

「しかし、聞いてはいたけど中に入る人は居ないな。まぁいいやレッツゴー」

 

 中に入り少し歩くと前に券売機を見つけた。なるほど食券か・・・しかもタダとか、スゲーな・・・ん?『赤城盛り改』?これ・・・ボタンに[発行注意!]って書いてあるぞ・・・居るのか?この鎮守府にボーキサイトの女王が・・・

 食券を見て驚愕しているとパタパタと音がしてくる。

 

「やっと来たね。遅いから道を間違えたと思ったよ」

 

「来たねじゃないわよ!響、よくも騙したわねっ絶対、ぜーったい許さないんだから!!」

 

「ていうか、暁だけじゃなくて私達も騙したでしょ、ひどーい!!」

 

「・・・あとその、響ちゃんが通ったとこは道じゃ無いのです」

 

「いやだって一人前のレディが廊下で競争の合図を出すとは思わなかったし、どうせやるならどんな手を使っても勝ちたいと思うし、そんなに高くないなら階段より窓から跳んだ方が早いじゃん、それより朝食を取ろう」

 

 俺の言い訳を聞いて目を見開いて固まる電達三人を見て少しほっとした。というのもトイレから出てきた電が目に見えてかなり落ち込んでいたからだ・・・原因が俺にあるのでどうするわけにもいかず、こんな事した訳だが上手くいってよかった・・・食券を手に取り横を見ると雷がニコニコしながらこちらを見ていた。まさか俺の作戦を見破ったというのか!・・・流石はお艦、隠し事はできないというわけか・・・

 ちなみに騙した代価として俺の鯖味噌煮込み定食のおかずは取られ一瞬でねこまんまになった・・・

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「ここは駆逐艦の艦娘が勉強するための教室で、私達は深海棲艦との戦いに備えて常日頃から頑張っているのよ!」

 

 えっへんと胸を張る暁。教室で勉強って小学生じゃないんだからと、中を見るとそこにいるのは『睦月』『如月』『夕立』『島風』・・・・・・これってアニメ艦これじゃないですかーやだー

 

 ・・・・・・真面目な話をするとブラウザゲームの艦これには轟沈システムという物が有り簡単に言うと大破した艦娘が居る状態で進撃するとその大破してる艦娘に轟沈の可能性が出るという物、まぁ敵艦の攻撃が当たらなかったり当たったとしても耐久値が残れば大丈夫なんだが、そんなことは滅多になくセオリーは「『大破が出たら撤退』」これに尽きる。

 

 ちなみにアニメの方は轟沈システムがない。三話で無傷の如月が敵艦載機の爆撃一発で沈んでいたので間違いがない。つまり耐久値が乏しい駆逐艦に憑依した俺は海に出るたびDEAD OR ALIVEをさまようということ・・・

 

「あぁなんかやる気がゴリゴリと・・・クトゥルフなら死の恐怖とかでSAN値チェックが来るな・・・」

 

「えーっと、なんか目が死んでるっぽいけど大丈夫っぽい?」

 

「フッ・・・大丈夫じゃない、問題だ。女神をガン積みで頼む」

 

 いや、「ぽい?」と首を傾げられても困る。ネタだから、分かんなかったらスルーしていいから。所で俺の席は何処だろうとキョロキョロすると暁がバシバシと隣の机を叩いていた。暁といい電といい、物を叩くのが流行っているのだろうか?あと叩かれていた机の上に響と書いてあるネームプレートを発見。おとなしく席に座ることに、しかしなんというか拍子抜けしまった。てっきり周りにロリっ子が集まると思ったのに、誰ひとり喋りもしない。

 

「あれ、どったの暁?挙動不審じゃん。トイレなら早く行ったほうがいいよ?」

 

「・・・違うわよ・・・いい?響、一回しか言わないわ。今廊下でこっちを見てる人は重巡洋艦の足柄さんと羽黒さん。羽黒さんは優しいけど足柄さんは怒ると怖いから絶対に怒らせないでね」

 

「・・・あれは見てるっていうか、メンチだよメンチ切ってるよ、それか何日も食べていない肉食獣の・・・まさに飢えた狼のようなってまさに足柄じゃん」

 

 そう言うと教室に小さな笑いが起こるが足柄が中に入ると声は止み重い空気が流れ始める。彼女は教卓に立つとこちらにニコリと微笑みかけてくる。オーノー・・・どうやら俺の声が聞こえたらしく、その証拠に目が笑ってない。

 

「・・・へぇ?元気そうな駆逐艦が配属されたわね・・・せっかくだから皆に自己紹介しましょうか・・・?」

 

「サー!ワタクシ本日付で正式に配属されました、響であります!未熟者で足柄さんには迷惑を掛けると思いますが何卒っ何卒よろしくお願い申し上げます!!」

 

「・・・・・・響っていうのね?・・・ふぅん、けどね響・・・私だけじゃなくて皆にも自己紹介しなきゃダメじゃない?・・・・・・ところで響に聞きたいことがあるんだけど――――」

 

 時が止まった・・・これは物の例えだがこの表現がしっくりとくる・・・この瞬間誰もが皆、瞬きどころか息をすることを忘れたのだ・・・一秒が何分にも何時間にも引き伸ばされるような奇妙な感覚がこの空間にいる全ての人に襲いかかる・・・・・・

 そんな中、一人だけこの空間を自由に動ける人物がいた・・・彼女は当たり前のように軽くウェーブのかかった髪を靡かせ俺の前で立ち止まる・・・ゆっくりと近づいてくる唇・・・彼女の唇は口紅を塗っているのか非常に鮮やかな紅でとても潤いがある・・・・・・まるで口元に血を滴らせたかのよう・・・・・・

 気がつくと空間には音が生まれていた・・・・・・恐怖を掻き立てるようなガチガチという連続した音・・・ガチガチガチガチとうるさい位に鳴り響くこの音はどうやら俺のすぐそばで鳴っているようだ・・・そしていつの間にか目の前にある紅い唇がゆっくりと言葉を紡ぎ出す・・・・・・

 

 「 ど  う  し  て  ふ  る  え  て  い  る  の  ? 」

 

 ガチガチという音に嗚呼が混じる・・・・・・その声は恐怖や絶望を深く深く込められていて俺が艦娘になってから一番多く聞いた声だった・・・・・・まだ全くと言っていい程、慣れていない自分自身の――――

 

 叫ぶ、大きく大きく叫ぶ、この恐怖に身を囚われない様に。体は勝手に動いていて何も無い空間に身を投げ出していた、だが何も無い空間の終わりも近い・・・『生きたい』、艦娘なる前は絶対に考えなかった様な感情を守るため着地と同時に体を丸め地面を転がる。そして近くにいたツインテールの女性に助けを求める、生きるために・・・・・・

 

「助けて!!足柄に、足柄に殺される!!「なんだと!?お主、上で何があった!!「響ィ!!黙っていれば言いたいこと言いやがって!!絶対に逃がさないわ!!!」

 

 ――――上を見上げると窓から身を投げる足柄の姿が・・・足柄はズダンッと着地するとギロリとこちらを見つめる。・・・・・・終わった、もう逃げる気力も沸かない・・・そして足柄はそんな事お構いなしにこちらに向かって、向かって――――――――こない?さっきから着地した場所でうずくまっている・・・しばらく呆然と見ていると羽黒が出てきて足柄に駆け寄る、そして――――

 

「誰かぁ!タンカっタンカ持ってきてぇ!姉さんが、姉さんがぁ!!」

 

 羽黒が「姉さん、姉さん」と言っている後景を見ていると大分落ち着いてきた。やべぇ、やっちまった・・・これは多分きっと俺のせいだろう、なので――――

 

「・・・えっと、足柄さん?あの、その、ごめんなさい」

 

「くっ!・・・響、覚えてなさいよ!!この借り・・・必ず返すから」

 

 ・・・足柄さん、忘れたくても忘れられません・・・・・・タンカで運ばれる足柄さんを見て深くそう思った。最初の授業が自習になったのは言うまでもない・・・・・・

 

 

損害報告

 

 響  スカート小破

 電  パンツ小破

 足柄 両足骨折


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