オリ主と第六駆逐艦隊   作:神域の

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0-14 噂のあの娘

[電の回想]

 

 響ちゃんはイジワルだったのです。

 

 最初にぶつかってしまったのが行けなかったのかな・・・、次の日の朝、トイレに行くのを邪魔された。

 夜遅くに起こされた。

 暁ちゃんがコーヒーを吹いたとき、雷ちゃんだけを連れて遠くで見てた。

 取っておいたデザートを食べられた。後ろから髪をグシャグシャされた。雷電(らいでん)って言われた。

 

 ・・・電は響ちゃんに嫌われてしまったのです。仲良くしようとしても何かするたびに響ちゃんに迷惑を掛けてしまうのです。

 だからなのかな?電が深海棲艦さんをやっつけた事が気に入らなかった響ちゃんは物凄い怖い顔をして電のところにやって来てそのまま突き飛ばした。・・・・・・そう思ってた。

 

 その後すぐに響ちゃんは大きな爆発に巻き込まれた。そして分かってしまった、響ちゃんは電を助けてくれた、・・・・・・自分の身を犠牲にして。

 最初に動いたのは暁ちゃんだった、暁ちゃんはぐったりと動かなくなり沈みかかった響ちゃんの手を握り締めて泣いていた。

 

「響がっ!!響が重いの!!誰か手伝って!!沈んじゃう・・・響が沈んじゃうのっ!!」

 

 電はなんで響ちゃんが助けてくれたのか分からなかった。だって響ちゃんは電のことがキライじゃないのですか?

 訳も分からずその光景を眺めていると那珂ちゃんが「早く響ちゃんを鎮守府に連れて行って!島風ちゃんお願い!」と指示を出していた。

 そしてあっという間に見えなくなった島風ちゃんと響ちゃん。

 那珂ちゃんは「大丈夫!!だって響ちゃんだよっ!入渠ドックで休めばすぐに良くなるよ!!」と言って電達に鎮守府に戻ろうと言った。

 

 

 

 

 それから十日ほど経った。あの後入渠ドックに入り、響ちゃんの怪我はすぐに治ったが目は全く覚まさなかった。

 全部、全部電のせいなのに暁ちゃんも雷ちゃんも誰も何も言わなかった。そして今日も響ちゃんが眠っている病室に足を運ぶ。

 眠っている響ちゃんは静かだった。顔色を変えず、身動き一つしない。ただ点滴の雫だけがポタン、ポタンと規則正しく落ちる。

 そんな響ちゃんに暁ちゃん達は毎日、今日はこんな事があった、あんな事があったと話していた。

 

 ・・・電は、ここに居たくなかった。目を覚まさない響ちゃんが、点滴の落ちる音が、そんな響ちゃんに話続ける暁ちゃん達全てが『全部お前のせいだ』と言っている様で――――

 

「・・・・・・のです」

 

「?電、どうしたの?」

 

「・・・電のせいなのです・・・・・・。電のせいで響ちゃんがこんな事になったのです・・・。電が、全部、・・・電なんていなければ良かったのですっ!」

 

 もう嫌だよう、辛いよう、苦しいよう、誰か助けてよう。

 

「電のせいじゃないわ!だからそんな事言わないでっ!!」

 

 雷ちゃんは電にそう言った。けど誰も助けてくれない。もう、頭がおかしくなりそうだった。

 

 

 

 さらに数日後、電達は長門秘書艦に呼び出された。

 

「暁、雷、電、お前達を呼び出したのは他でもない、響が目を覚ました」

 

「え・・・?・・・長門秘書艦!響が目を覚ましたって本当!?」

 

 その長門の言葉に最初に反応したのは暁ちゃんだった。・・・良かったと思ったけど電は響ちゃんに合いたくなかった、合ったらきっと酷いことを言われると思うから。

 

「・・・あぁ、本当だ。だが響は――――」

 

「教えてくれてありがとうございます長門秘書艦!!皆、早く響のところに行くわよ!」

 

 そう言って暁ちゃんは走って行ってしまった。そして「あっ、私も行く!待って暁!」と言って雷ちゃんも出て行った。

 ・・・電も行かなきゃいけないのです、響ちゃんに謝らないといけないのです・・・・・・。

 

「二人共行ってしまったか・・・。電、あの二人に伝えてほしいことがあるんだが――――」

 

 

__________________________________________

 

 俺はこれからの事を考えて頭を抱えていた。というのも長門に会う前に女の子に沈めとか解体とか言われたからだ。艦これでこの二つの単語は死ねと言われたも当然、・・・響ちゃん何したら真正面からあんな事言われるようになるの?

 

「うぁぁ・・・、この調子じゃあ他にも恨み買ってる娘が絶対いるぅ・・・・・・」

 

 俺のこれからの艦娘ライフを楽しむためには、この障害を何とかしなければならない・・・ならないがめんどくさかった。最悪ここから逃げてサバイバル生活も悪くないかもと思ってたりする。

 楽しそうだよね!未知の海をさすらってその一日一日を生き抜くって。艦これの世界なら野良艦娘とかいそうだし、そんな娘集めて帝国を築き上げるとかね!!

 

 そんな事を考え始めた頃、廊下が騒がしくなった気がした。そういえば結構時間も経ったし迎えが来る頃か・・・・・・。俺が響なら多分迎えは暁型三人かな?大体の場合暁型は四人で1セットと相場が決まっているからだ。

 そして病室の扉が開く。そこには息を切らした暁が立っていた。

 

「・・・・・・響?ホントに・・・・・・?」

 

 そう言って座っている俺を見て暁は目を丸くしてフラフラと近づいて来る。そして抱きつかれた。

 

「・・・良かった。・・・ぐす・・・よかったよぅ・・・」

 

 俺にしがみついて泣き出す暁。

 あぁ、俺も良かった!!まさか幼女にしょっぱな抱きつかれるとはっ!!艦これバンザーイ!!もう逃げるとか考えられなかった、俺はこの楽園で死ぬ覚悟があった。暁はとってもいい匂いがした。

 そんな事を考えてるとも知らず、暁は未だに俺に抱きついている。自分自身、顔がにやけるのが分かってしまった。

 ・・・・・・もう、何も言えなかった。そこには希望があった、未来があった、夢があった。

 ・・・さっきまで・・・・・・。

 

「・・・響。何してるの・・・・・・?」

 

「(ビクッ)・・・え、え~と・・・・・・」

 

 ・・・言い訳が思いつかなかった。雷が俺を見ていた、いつから居たのか分からなかった、俺の輝かしい艦娘ライフは終わってしまった。

 

「もうっ、響は相変わらずなんだからっ!心配して損しちゃったわ」

 

「えぇ!?・・・うん、心配かけてごめんね」

 

 と思ったら、納得されたぜ!・・・どうなってやがる相変わらずって・・・。響ちゃん、まさかと思うが普段からこんな感じなのか!?

 というか、服が湿ってきて凄い気持ち悪い!着替えてぇ!

 

「・・・ごめんね暁、もう大丈夫だから離れてくれる?さすがに恥ずかしいな・・・」

 

「・・・・・・うん。・・・もう心配かけさせないでよね」

 

「うん、気を付けるよ。ところで着替えはどこにあるか知ってる?流石にこの格好のままじゃ戻れないし」

 

 そう言うと雷が「響の着替えはここにぃ・・・」と言いながら引き出しをガサゴソと開け始めた・・・・・・。

 

「ん~と・・・・・・あった!ジャーン!!はい、響の着替えよっ!・・・響は一人で着替えられる?大変なら私が手伝ってあげるわ!!」

 

 流石ロリお艦、世話を焼くのが大好きな様だ。だけどロリっ子に着替えさせてもらったら羞恥でちんでしまう!!なので俺は「大丈夫だよ一人でも、二人は外で待っててくれる?」と言って一人で着替えることにした。

 

 入院服の下には下半身にしか下着がついてなく服を脱いですぐ着替えられる状態だった。

 そして着替えようとした時、自分自身に違和感を感じた・・・。男から女になった違和感ではない、もっと別の・・・大事なものを無くした喪失感と言えようか、なんとも言えない気分になった。そしてそれは自分の体をまじまじと見ていると確かな物に変わっていった。

 

 ドキドキしない。幼女の、響のちっぱいをガン見してもドキドキしないッ!!俺はぁッ!幼女に憑依した時に心のおにんにんまで無くしてしまったのか!!

 泣いた、心の中で号泣した。俺は生粋のロリコンだと思ってたのに・・・。

 

 そして意気消沈しながらズボンも脱ぎ始めると、ズボンの下はなんも言えねえ状態だった。

 

「・・・わーい。最近のオムツって薄いんだねー。僕ビックリ。・・・・・・なんで神は俺にここまでの非道を行なうんだ・・・・・・」

 

 下はオムツを履いていた。いくら長いあいだ寝ていたと言ったってこれはひどすぎるよ。

 俺は男を否定されたあげく、20を過ぎた歳だというのにオムツを履いていた。泣いた。死にたくなった。

 

「・・・響?なんか変な音が聞こえるんだけど・・・ってどうしたの!?だから言ったじゃない!しょうがないから私が着替えるのを手伝ってあげるわ!!」

 

 過酷な現実に愕然として泣いていると扉から雷が入って来た。今の俺の状況はオムツ一張でベットの上で泣いている状態だった。そんな状態で一人で着替えると言っても、もちろん聞いてもらえず着替えを手伝ってもらうことになった。

 ・・・オムツを一人で脱ぐことも許されなかった。俺はガチ泣きした。

 

 

 

 

「お待たせ、暁。ところでこれからどこに行くの?」

 

「・・・というか雷、電はどこ?」

 

「あっれー?ホントだ・・・いない。どこ行ったのかしら?」

 

 やっぱりというか、この鎮守府でも四人で1セットなのね。そして迷子なのか電は・・・。

 そんな事を考えていると向こうからトボトボと電が歩いてくるのが見えた。

 

「あっ・・・響ちゃん・・・。えっと、調子は大丈夫なのです?」

 

 この時、俺は電が泣いているように見えた。ほんの少し、一瞬だけ。なので気のせいかと思った。

 

「うん、もう大丈夫。でも電は遅かったね、なにかあったの?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 そう聞くと電はうつむいてしまった。そして少しすると電がポツリポツリと話し始めた。

 

「・・・長門秘書艦から聞いたのです。・・・響ちゃん、電達との思い出がなくなっちゃったのですよね・・・?」

 

「そっか、聞いたんだ。・・・でもきっと思い出せるよ、だから心配しなくても大丈夫だよ」

 

 そう、思い出せる・・・俺が本当に記憶喪失ならだが・・・・・・。

 俺を見て泣きそうになっている三人を見ていると憑依して喜んでいたことに後悔した。

 

 どうやってこの場を響ちゃんっぽく和ませようかと考えていると不意にお腹がグ~と鳴った。・・・凄い恥ずかしい、今日はこんな事ばっかりだ。すると暁が――――

 

「そうよね、響はずっと寝てて何も食べてないもんね?ねぇ、皆で間宮さんの所に行かない?・・・響もいろんな所に行けばきっと記憶を取り戻せるわよ!」

 

 そう言ってドヤ顔した。確かに記憶を取り戻すという単語はかっこいいけど指差して決めポーズまで取らなくてもええやん。ただ、間宮さんの所に行くのは賛成だった。

 

 俺達は廊下を出て、原っぱの横を通り、海へと続く道のそばに『甘味処 間宮』はあった。

 

「間宮さんこんにちはー!今は席空いてますか?」

 

「あら、雷ちゃん達久しぶりね。席は一番向こうの席でお願いね」

 

 間宮さんにそう言われると三人は「ハーイ」と言って駆け足で中に入っていった。

 ・・・ふっ、子供だなぁ。そう思いながら中に入ろうとすると間宮さんと目があった。

 

「こんにちは響ちゃん。体はもう良くなったの?」

 

「知ってたんですね、おかげでもう元気ですよ」

 

「それは良かったわ。・・・そうだ、響ちゃん今日の注文は『いつもの』でいいの?」

 

「(いつもの?・・・分からん)あっ、それでお願いします」

 

「じゃあ少し席で待っててね?」そう言って間宮さんは中に入っていった。

 しかしだ・・・、俺が中に入ってから店にいる艦娘が俺を見て何か喋っている――――。

 

 

「ねぇ、あれって」「うそ、生きてたんだ」「幽霊なんじゃない?」「白いもんね」

「う~私の立場が」「落ちつくクマ」「きっと蘇ったのよ」「ゾンビみたいな?」

「クローンかもしれないわ」「きっとロボで修理したクマ」「・・・リビングデット」「白の亡霊」「量産型艦娘」「単価18万艦娘」「白虎型ロボット」「あれは猫じゃないニャ!!」「自作自演ネクロマンサー」「スリラー」

 

 ・・・・・・なんか凄い言われてるぞ。どうなってんだオイ。

 奥に進むと暁達は既に席についていた。席を見ると暁の隣が空いていたのでそこに座ることにした。そして座ると同時に間宮さん登場。

 

「皆同じで良かったかしら?間宮名物特盛餡蜜です、はいどうぞ」

 

 これはアニメで見たことがあった、だけどお腹が減っているのです何か暖かいご飯が食べたいのです。そう言うと暁が「響は間宮さんでお昼食べるときはいつも特盛餡蜜じゃない」と言っていた。

 どんだけスイーツ好きなんだよ、響ちゃん。

 

 

 この時、俺は覚えていなかったから分からなかったが最初に食べたのが特盛餡蜜なだけであって、それがズルズル続くなんてあの時は思ってなかったんだ!




称号一覧

オリ主・前世ロリコン提督・鎮守府始まって以来の問題児・選ばれしロリコン・馬鹿者・フリーダム響・変わった娘・マッドネス・クレイジーガール・死にたがりの狂人・ミス・ボマー・単細胞艦娘・秘密にしていたかった艦娘兵器・爆走少女・ボーンブレイカー・艦娘シモヘイヘ・殺戮女王・フライングGO・元グリーンベレー・叫びをあげる者・わがまま殺戮者・ドラキュラ・銀の腐敗者・ネクロマンサー・狂気の人形遊び・快楽殺人鬼・死の美食家・白虎・リビングデット(new!)・白の亡霊(new!)・量産型艦娘(new!)単価18万艦娘(new!)・白虎型ロボット(new!)・自作自演ネクロマンサー(new!)・スリラー(new!)   計35個

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