オリ主と第六駆逐艦隊   作:神域の

13 / 65
0-13 オリ主と痴女と

――――気づいたら暗い、くらーい世界にいた。体は自由に動かない、目を開けることもできない。何もすることもできない暗くて静かな世界。

 

 真っ暗な世界では俺は何もできないのでただソコでじっとしていた。いったいどれほどの時間を潰したのだろう、そんな疑問すらわかなくなった頃、遠くから声が聞こえた。

 

 

 

 ――――のせいで――――ちゃんが――――。――――が・・・・・・――――なんていなければ良かったの・・・・・・。

 

 

 誰だろうね?

 

 声にはノイズが混じって名前のところが聞こえなかった。

 そんな事を考えていると不意に眠気が訪れる。

 

 ここの所、寝てばっかなのが悪いのか寝ても寝足りなかった。誰の声かは気になるが、何もできないので諦めて寝ることにする、お休み。

 

 

 

 

___________________________________________________

 

 

 

 

 

 ・・・少しずつ、意識が目覚めていく・・・・・・。ここはどこだろう?鼻から感じる匂いには病院のような独特の匂いを感じた。布団もいつもと違うな・・・、肌触りが慣れてないせいでなんかゴワゴワする。

 よし、目を開けよう。(パチッ)・・・マジでどこだ此処・・・・・・。とりあえず言わなければならない事があるな・・・・・・。

 

「しらない天井だ・・・・・・」

 

 まさか人生でこのセリフを言うとは思わなかったので少し感動した。言うことも言ったし起きて此処がどこか調べるかな。

 むくりと起き上がった時、視界にキラキラした白い何かが写りこんだ・・・・・・。

 

「落ち着け、落ち着け、すていすて~い・・・・・・」

 

 鏡だ・・・。鏡は何処だ?俺の予想が正しければ今、物凄い事になってるはずだ・・・・・・。キョロキョロと辺りを見回しても鏡はなかったが腕に点滴が打たれてることに気づいた。

 なるほど、これはやれって事ですね?

 点滴の針の部分を掴みゆっくりと外す・・・、そして外れたのを確認したら思いっきり外した動作をする!!

 

「俺はどうしても行かなくちゃいけないんだッ!!」

 

 鏡を探しに。・・・・・・というか、普通ヤクザ映画とかにある、点滴思い切り引っこ抜くやつやったら腕の血管が傷ついて腕がブワァって黒くなるから。

 そんなことより現状把握だよ。

 ここがどこで何がなんだか分からない今、一番必要なのは情報。とりあえず『ここの場所』『自分の身の確認』『どうして此処に来たか』、この三つがわかればどうすればいいか方針が決まる。現金があるとなお良し。

 

 早速情報を集めるため、この部屋にひとつだけある扉から出ようと立ち上がると、足に力が入らず転んでしまった。

 

「体に力が入らんッ!!・・・もういいや、四つん這いで行こう。」

 

 はいはいして、扉の近くに来たとき、ひとつの可能性を思いついた。

 もしかしたら俺は拉致されたのかもしれない。そうなると、扉の先には誰か見張りがいるかもしれない。

 

 俺は扉に近づくと内側から扉を叩いた。・・・もし誰かいたら、これで反応があるはず・・・・・・。

 けれど外側からは物音ひとつしなかった。どうやら誰もいないみたいだ・・・・・・。扉を出ると誰も居ない長い廊下がそこにあった。

 

「・・・ん。体にだいぶ力が入るようになったな。これなら立てるか?」

 

 ヨッという掛け声で足に力を入れて立ち上がる。・・・まだ足がガクガクするが壁にもたれながらなら歩いていけそうだな。

 

「――――ふう、きつい・・・・・・。ていうか廊下長すぎだろ、設計考えろよ・・・・・・」

 

 かなりの時間を歩いたのにもかかわらず廊下の終わりは遠かった。・・・まあ、全然動けないっていう理由のが強いけど。

 すると廊下の中間に外に出れる引き戸を発見。しかもガラスが良い位置に付いている!というか、ここの廊下にも窓はあるんだけど高くて覗けないのです。

 

 そして俺はガラスを鏡替わりにして自分の姿を見る・・・。ガラスなのではっきりとは映らないが入院服をきた白髪幼女が写っていた。それも二次元の女の子が三次元にきたらこうだ!というような美幼女――――――――

 

 

「ほほぉぉおおお!!キタ━(゚∀゚)━!勝った!もう楽勝ですよ!!フーーッ!!」

 

 どうやら俺は幼女になったらしい!ちなみになぜひと目で分かったかというと目だ。やる気の無い瞳、半開きになっているまぶた。俺はこの目つきが原因で、お前って表情で喧嘩売ってるよな、と言われたことが多々ある。知ったこっちゃない。

 

 自分を眺めるのをやめて外に出ると近くに原っぱがあった。・・・決めた、俺はあそこで寝る。ちょっと動いただけで疲れたんだよ。どれだけ体力ないんだこの体・・・・・・。

 

 のそりのそりと原っぱに向かい、付いたとたんバタリと倒れる。そして大きく深呼吸。・・・鼻に草と土の匂いが突き抜ける、太陽がポカポカでとてもいい気持ちだ・・・・・・。

 そして眠気がピークを迎えようとした時、俺がきた方向とは逆から二人組の女の子が歩いてきた。俺は最初に考えていた拉致されたということは無いと思ったのでそのまま寝転がることにする。

 

 目をつぶっていると顔に影が掛かった違和感で目が覚めた。・・・さっきの二人組の片割れだ。逆光で顔が見えないが中学生くらいだろうか、腰にまで掛かる茶髪ロングの女の子が俺を見下ろしている。

 

「・・・アンタ、沈まなかったのね。チッ・・・運のいい奴・・・・・・」

 

「?」

 

「――――お~い、早くしないと置いてっちゃうよ~」

 

「はーい♪今行きますぅ」そしてこちらを向きボソリと「アンタなんか解体されればよかったのに」

 

 ・・・あまりに一瞬で意味不明なので反応を返せなかった。沈むとか解体とか訳分かんねえ。まぁ、この陽気だ、頭が変な奴とかも出てくるだろ・・・。

 

 今度こそ寝る。絶対寝る。間違いなく寝れる。そう思ってたのに今度は俺が来た方の廊下が凄い騒がしかった。そして引き戸がバコムッ!!と開かれる。

 

 ・・・・・・あれは痴女だ・・・、ながもんのコスプレをした痴女がいる・・・。痴女は辺りを見回し俺に気づくと――――

 

「響!!そこで何をしてるっ!!」

 

「何もしてねえよ・・・。」

 

 痴女はうるさかった。カンベンしてくれ、俺は疲れたんだ・・・。髪が白いからってお前の艦これごっこに混ぜないでくれ、服がちげぇよ服が。

 俺は痴女にあっちに行けとジェスチャーをする。するとなんということでしょう!!痴女が近づいてくるじゃありませんか!!・・・天邪鬼か、こいつ・・・・・・。

 

「というか、やめろ!!抱き上げようとするんじゃない!いくら美人でも痴女に興味はないんだよっ!!」

 

「なっ・・・ち、痴女・・・?」

 

「そうさ!そんな平面から見ても歩くたびに下着が見えるスカート履きやがって、変態が」

 

「ちがう!これは決められた服装であってだな――――」

 

「なに?それ制服なの?・・・あぁ、その職場ヤバイね。きっと上司に毎日視姦されてるよ、きっと」

 

「そんなわけ無いだろうっ!!提督はやましい事をする人じゃない!!」

 

「うわぁ・・・・・・上司も艦これごっこかよ・・・。終わってるな・・・・・・。」

 

「艦これごっこ?・・・響、なんの事を言っているんだ?」

 

 ちょっと待て、なんか変だぞ・・・。この痴女はコスプレをしてるくせに何故、艦これを知らないフリをするんだ?・・・・・・落ち着け、いま分かることを上げるんだ。

 

『白髪幼女に憑依』『入院する時に着る様な服』『艦これを知らない長門(仮)』『提督』『響』

 ・・・・・・まさか艦これなのか?響ちゃんなのか俺はッ!!

 

 ・・・・・・推測をすると、なにかの事故に遭い入院してた響が死んでしまった、そこに俺が入り込んだってカタチになるのか?それなら今、入院服を着ている辻褄もあうな。今、長門が困惑した表情になっているのは『響』と『俺』のギャップが違いすぎるからだろう・・・・・・。しょうがない、少し響ちゃんぽくしてみよう。

 

「・・・長門さん、私は少し寝ぼけてたみたいだ・・・。失礼して部屋に戻りますね」

 

 なかなかよく響ちゃんできたと思う。けれど長門の表情は変わらなかった、いや・・・さっきより表情が曇っているように感じる。

 

「・・・響、もしかして何も覚えて無いのか?」

 

 あ~いいね、その設定。それなら俺が何も知らなくても変じゃないな。あとはボロが出ないように響ちゃん演じるだけだなっ!!

 

 俺は目を伏せて遠慮がちにコクりと頷く。

 

「ごめんなさい、長門さん。人の名前は出てくるんですけど鎮守府の出来事は何も覚えてなくて・・・・・・」

 

「そうか、・・・あれだけの怪我を追えば何があっても不思議じゃない・・・・・・か」

 

「(計画通り)あの、長門さん・・・、私に何かあったんですか?」

 

「ああ。護衛任務の帰りに深海棲艦と戦闘になってな・・・。その時にチ級の雷撃を受けて轟沈寸前までいったんだ。・・・島風がいなければとてもじゃないが間に合わなかったよ」

 

 長門の話を聞くと、響ちゃんは二週間近く眠ってたらしい。そりゃあ体に力が入んない訳ですわ。

 さらに話を聞くと響ちゃん、かなりアグレッシブだったらしく、鎮守府の移動が検討されていた様だ。ただこの件、任務自体態度に問題は無いとの事で取り消しになったらしいが・・・・・・。アグレッシブな響ちゃんって何さ・・・?

 

「ところで響、体の調子はどうだ?」

 

「・・・ん、大分動けるようになったみたいです。まだ本調子じゃなさそうですが」

 

「それなら寮に戻っても大丈夫そうだな。後で迎えを行かせるから病屋に戻って待っていてくれ。・・・・・・くれぐれも、くれぐれも誰もすぐに迎えに来ないからといって、部屋から出て疾走しないように、いいな?」

 

「あっ、はい」

 

 しねぇよ、そんな事。・・・・・・まさかやったのか?響ちゃん迎えに来た人放ったらかして疾走していなくなったのか!?すげぇ、アグレッシブなんてレベルじゃねえよ、暴走だよそれは・・・・・・。

 

 俺は最初の部屋に戻りながら頭の中に浮かんでくることは非日常が楽しみとかではなく、響のキャラって大人しい系だったはずだよな?って事だった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。