オリ主と第六駆逐艦隊   作:神域の

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0-11 初めてのお使い

 あの演習から一週間たった・・・・・・。実はあの四回目、凄まじいタイムを叩き出したらしく、たくさんのギャラリーもいた事もあって俺の噂はさらに凄い物になった・・・。曰く、鎮守府内の練度を測るために猫をかぶっていたとか、夜な夜な獲物を求めて鎮守府をさまよっているとか、対深海棲艦のための決戦兵器とか――――

 

「フーーッ!!フーーッ!!」

 

「・・・・・・ハラショー」

 

 ――――鎮守府のマスコットの座を奪いにきたとか(By多摩)

 

「え~、多摩?なぜ私がマスコットなん?ていうか威嚇するの一回やめない?」

 

「・・・響は鎮守府で『白虎』って呼ばれてるニャ、これは多摩に対する宣戦布告ニャ!!」

 

 それって周りが呼んでるだけで俺関係無くない?と多摩にはそう何度も説明しても一向に分かってくれない・・・。どないせいっちゅうねん。

 

「あのね多摩さん、響はこんなだからマスコットは無理だと思うの。それに多摩さんには多摩さんの良さがたくさんあるから心配しなくて大丈夫よ!!」

 

 うん、雷の言うとおりです。俺はマスコットなんて興味ないです。だから会うたびに威嚇するのやめません?

 

 

『ピンポンパーン  内部連絡、暁、響、雷、電ハ提督室に来ラレタシ。繰リ返ス、暁、響、雷、電ハ提督室に来ラレタシ、以上。』

 

「あの、今のは長門さんの声だったのです」

 

「・・・響、また何かやったの?」

 

「まだやってないよ、暁さん。しかし長門秘書艦に呼ばれては行かざるおえませんなぁ。それじゃ、多摩吉アディオス!!」

 

「あっ!待つニャ!それと多摩に吉はいらないニャ!」

 

 いや~、ナイスなタイミングで呼ばれたもんだ。でもなんで呼ばれたのか分からんな・・・まぁ、行けばわかるか!!

__________________________________________

 

 提督室のドアの前には長門が立っていて、俺達に気づくと中に入るように言われた。・・・まさかね、ねぇ?

 

「それでは本題に入りたい所だが、もう一人呼んでいてな・・・少し待ってくれ」

 

 長門がそう言うとドアがノックされる。そしてノックした人物が中に入ってくる・・・・・・。

 

「はーい!!『艦隊のアイドル』那珂ちゃんだよ~!よっろしくぅ!☆彡」

 

「・・・・・・長門秘書艦、まさかと思ってましたが覚悟はしてました・・・ゴメン皆、今日まで楽しかったよ・・・。私がいなくても元気でね・・・?」

 

「・・・響、勘違いをしてないか?私はお前を追い出す為に呼んだ訳じゃないぞ」

 

「・・・っえ?解体されるんじゃないの?  那珂ちゃんと一緒に」

 

「なんで私が響ちゃんと一緒に解体されなきゃならないの~!!」

 

 それはほら『解体のアイドル』だし、ねぇ?そう言ったら那珂ちゃん激怒で「艦隊!!艦隊だから!!解体じゃないから!!」と叫んでいた。ごめんね那珂ちゃん、ここから那珂ちゃんのファンやめるまでがネタだから。

 

「こほんっ・・・それではお前達を呼んだ理由を話そう。つい昨日、この近海を燃料輸送船が通過すると通達が入った。日時は明日、この輸送船が無事に近海を渡航できるように護衛を付けて欲しいとの事だ。そこで今ここにいる『軽巡洋艦 那珂』を含めた五隻に護衛を依頼したい、質問はあるか?」

 

 タンカー護衛任務か・・・問題は失敗した時だな・・・。長門はまっすぐこちらを見ている。おそらく最初で最後のチャンスってやつだろう・・・。すると長門は俺の考えがわかったのか言葉をさらに続ける。

 

「ここ最近、深海棲艦の動きが活発でないのは皆も知っているだろう。大丈夫だ、何事もなく終わるさ」

 

 バカッ!!ながもん、それはフラグってやつだよ!!大丈夫じゃねえよ!!その言い方は何か起こるってマジで!!すると横でひそひそ話始める暁達。

 

「ドキドキしてきたのです」「皆で頑張れば大丈夫よ、多分・・・」「これでレディに前進ね・・・」

 

 ・・・・・・さっきから不安になる言葉しか聞こえない。なんで?

 

「あのさ?暁達は遠征任務とかやったことあるんだよね?」

 

「もちろんあるわよ!!・・・・・・輸送任務を2回」

 

「電は1回なのです・・・・・・」

 

「・・・もう一個聞いていい?雷、実戦ってどう?」

 

「まだやった事ないけど・・・、きっと大丈夫よ!心配しないで!!」

 

 駄目だ・・・『輸送』と『護衛』じゃ内容が違いすぎる・・・。輸送は逃げれるけど、護衛は逃げられない。この差は実戦経験が無い俺達にはかなり辛いはず。最悪の場合、混乱が起こって誤射とかでるんじゃないか?

 

「響は不安か?心配するな、ここ数日の演習を見ていたが、今の響なら並の敵駆逐艦位なら相手にもならないだろう」

 

 ながもん毎日来てたもんね・・・。でもそれって駆逐艦以外が来たらアウトですよね?・・・はぁ、この場合は進むも地獄、留まるのも地獄だな・・・。

 俺は拳を握り覚悟を決める。どっちみちやらなければ、いくら演習の結果がよくても意味がないのだ。鎮守府に残るには、この護衛任務をこなすしかない・・・!

 

「・・・やってやるさ!!皆はどうする?・・・長門秘書艦、この任務は強制ではないですよね?」

 

「ああ、そうだ。別に断った所で他の艦娘に依頼するだけだ」

 

「そんなの決まってるわ!響がやるのに私達がやらない訳ないじゃない!ねぇ、皆?」

 

「もちろんなのです!!」

 

「妹の面倒を見るのもお姉さんの仕事だしっ!」

 

 これはこみ上げてくるものが有るな・・・。すると雷達が一箇所に集まっていた、何してるんだ?

 

「ちょっと響!早くこっち来て!!」

 

「あ~、うん。雷、何するの?」

 

「何って、円陣組むに決まってるじゃない!・・・それじゃあ、第六駆逐隊!ファイヤー!!」

 

「「「「ファイヤー!!」」」」「ふぁいやー。・・・うん?」

 

「えへへ、那珂ちゃんを仲間外れにしたらダメなんだよ~?」

 

 違う・・・。俺の違和感はそこじゃねえんだ、後ろからも声が聞こえたんだ。でもって後ろにいるのは長門・・・。気のせいだな!!・・・多分、きっと、なんとなく。

 

「・・・それでは話が決まったので作戦日時を発表する。作戦は明日の午前8時から4時間を想定している。各自は明日の任務に備え、必要なものを準備するように!以上!!」

 

皆が敬礼をしているので、そのポーズを真似する。うむ上出来。そして提督室から退室――――

 

 

 

「あの那珂ちゃん、準備って何を用意すればいいんだ?」

 

「え~!響ちゃんそんな事も知らないの!?それじゃあ私についてきて!しゅっぱ~つ!!」

 

 しかしよぉ、那珂ちゃんテンション高ぇよ、ついていけねぇよ。

_________________________________________

 

「みんな~!オヤツは300円までだからねっ!!」

 

 着いた先は駄菓子屋、三人は我先にと中に入っていった・・・。おい、ふざけるなよ・・・・・・!!

 

「・・・あれ?響ちゃんは明日のオヤツいらないの?」

 

「オヤツ?300円?準備ってこれのことか・・・?俺はなぁ・・・、俺は・・・・・・

 

 

 

 

 無一文なんだよ!!うわぁぁん!!」

 

 お金持ってないです。畜生、羨ましくなんか・・・クッソ羨ましい!!俺もお菓子欲しい!!・・・那珂ちゃんに聞いた所、月一で鎮守府からおこずかいが出るらしい。ちなみに俺は入ってから10日も経ってないのでおこずかいは無し・・・・・・。

 するとそれを見かねた暁達が俺にお恵みをくれた、那珂ちゃんを含めた全員で計103円。もうね、嬉しさやら虚しさで泣きそう。

 

「まぁ、いいや。私も買ってくるから少し待っていてくれたまえ」

 

        ――約10分後――

 

「なんで!?どうして響はポテチとかそんないっぱい買えたの?まさか盗んだの!?ダメよ!!早く返してきて!!」

 

 ちげぇよ暁さん、ほら駄菓子屋って当たりのあるお菓子とかあるじゃん。買ったら鬼引き。だって、一回目で420円引いたんだぜ?二回目は780円。お店の人、まぁ明石さんだったんだがもう当たり付き買うのやめてって言ってきたから。

 

「響ちゃんは運がすごくいいのです!!」

 

「フフフ・・・、だろう?自分でもビックリさ・・・・・・。だけどこんなに持っていけないからね、後で皆で食べようぜ!!」

 

「わぁ!!さすが暁型二番艦、太っ腹ねっ!!」

 

「ちょっと雷!私は?私は!?」

 

「アイドルにも休息は必要だよね!!とゆうことでっ!その打ち上げ那珂ちゃんも参加しま~す!!」

 

「こんなにいっぱいあると何にしようか迷っちゃうのです・・・!」

 

 お菓子パーティーを初めて数分後、俺のお菓子は全て無くなった・・・・・・。いいもんねっ、皆に抱き着かれたからいいもんねっ!!

__________________________________________

 

 護衛任務当日の朝、早い時間にもかかわらず色んな人達が俺達の見送りをしに来てくれた。これを成功させれば此処に居る皆とこの鎮守府でやっていける、そんな思いを胸に兵装を展開させる。今日の装備は秋月砲、五連装酸素魚雷、13号対空電探改。

 

 これは後から気づいたことだが兵装を出す前に出したい兵装を思い浮かべることでその兵装を出せる。兵装を変えるとき時は一度兵装を戻さなければならない。これにはメリットとデメリットがあって、状況に応じて装備を変えられる、兵装を変えるには一度無防備な状態をさらさなければならないの二つ。

 

 ちなみに足柄さんの話では、兵装を展開してない状態で近くに砲弾や爆撃があるとタダじゃ済まないらしい・・・。正直デメリットが強すぎて海上じゃ使えないのが現状である・・・。

 

「それじゃあ、そろそろいくよ~!那珂ちゃん、現場はいりまーす!」

 

「暁の出番ね、見てなさい!」

 

「雷、出撃しちゃうねっ!」

 

「電の本気を見るのです!」

 

 え?俺も何か言うの!?なんか格好良いのは・・・

 

「え~と・・・『覚悟』とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開くことだッ!」

 

 ・・・・・・滑った。誰も何も言わないもの。そんなグダグダな感じで初めての護衛任務が始まった・・・。

 

 

 

 

 ・・・・・・そして終わった。早いって?だって何もなかったんだもの!護衛任務中は那珂ちゃんと索敵とかしてたよ、でも何も起こんなかったんだよ!俺がやった事ってタンカーに付いて行く事と索敵と暁達がお菓子食べてるの眺めることだけだったよ!!

 あ~、戦うかもって覚悟してたんだけどなぁ。無い方が良いっちゃあ良いんだけど・・・・・・後は鎮守府に戻るだけか、拍子抜けだなぁ。

 

 ・・・・・・昔、学校で習った事がある。『家に帰るまでが遠足』だと、まだ任務は終わってなかったんだ・・・・・・。


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