深海感染   作:リュウ@立月己田

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 雷の様子は問題ない。
そう……提督は思っていた。
しかし、提督の元に2人の艦娘がやってくる。

 姉妹の絆が今、試される。


第三章 その3

 

 雷達が鎮守府近海に出撃してから数日が経ち、艦娘達が就寝し始める時間。

 

 その間の雷の様子を逐一調べた報告書を、執務室に居た提督は椅子に座って読んでいる。

 

「ふむ……今のところ、問題は無いようだ」

 

「はい。雷と同室である暁、響、電から毎日報告をさせていますが、変わった様子は無いようです」

 

「どうやら取り越し苦労だった……と、言うには、まだ早計かもしれないが……」

 

 椅子にもたれかかった提督は、小さくため息を吐きながら天井を見上げる。部長がやってきて新型近代化改修を受け入れた日から、なんとも言えない後悔のような気持がずっと胸の奥で引っかかっているのだ。

 

 結果的に見れば大本営からの補給は通常数値に戻り、ギリギリまで資材の消費を切り詰めたり、分刻みによる遠征を行わなくて済んだことには感謝をしているのではあるが、それはあくまで雷のおかげであり、提督自身は何もしていないと感じている。

 

 秘書艦や雷は今までの恩を返すためだと言ってはいたが、それは提督にとっても同じなのだ。自分一人では何もできない。部下である艦娘達が居るからこそ、この鎮守府を運営することができているのだ。

 

 しかしその一方で、もう二度と部下を危険な目に会わせたくないという気持ちが強く働き、大本営の命令を無視続けていたのである。言わば、提督の勝手な行動でどんどんと追い詰められていったのに、その代償を雷に背負わせてしまったという負い目が、提督の心をじわじわと締めつけていた。

 

「提督……あまり深く考えないで下さい。ただでさえ心労が溜まっておられるのですから、少しくらいお休みになって頂いた方が……」

 

「いや、僕の身体は僕が一番知っている。できることがあるのなら、できる限り早急にしてしまわないと、みんなに合わせる顔が無い……」

 

「で、ですが……」

 

 提督は秘書艦の言葉に耳を傾けようとせず、天井に向けていた視線を机に下ろし、大きなため息を吐いてから積まれていた書類に目を通していく。新たな演習や効率の良い遠征任務を考えながら、1枚1枚書類の中身をしっかりと理解し、許可のサインを書いていった。

 

 無理矢理でも休ませたいが、提督は受け入れないだろう。かくなる上は気絶させてでも……と、考えた秘書艦だが、さすがにその行動はやり過ぎだと思い止まった。

 

 そんな息苦しい空気が漂う執務室に、ドアをノックする音が鳴り響く。

 

「開いているよ」

 

 提督は書類に視線を向けたまま返事をする。

 

 一拍間を置いて「失礼します」と言う声と共に、執務室の中に2人の艦娘――暁と響が入って来た。

 

「あら、2人ともどうしたのですか? 今日の任務である遠征は終わった筈ですし、報告も聞きましたけど……」

 

「ええ、秘書艦の言う通り今日の予定は何も無いわ。でも、少し提督に話したいことがあるの」

 

「ですが……提督は今、忙しいので……」

 

 暁の言葉にそう答えた秘書艦だが、提督は手に持っていた書類を机に置いて、ニッコリと笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「いや、構わないよ」

 

 そう言って、両肘を机の上に置きながら両手を組み合わせた。

 

「すまないね、司令官。だけど、耳に入れておいた方が良いと思うんだ」

 

「それは……いったい何なのかな?」

 

 提督の問いに暁と響はお互いの顔を見て頷き合い、再び口を開く。

 

「実は今日の遠征任務の際、雷の様子がいつもと違ったように見えたんだ」

 

「いつもと……違うだって?」

 

「そうなの。海上での動き自体は何の問題も無かったんだけど、話をしている最中に、急に怒り出すようなことがあったの」

 

「ふむ……」

 

 提督は組んでいた手を解き、右手を口元に当てながら考えた。普段の雷は元気一杯で人当たりも良く、暁が言うように怒ったりすることはあまり無い。しかし、雷も1人の艦娘であるのだから、気に入らないことがあったり、機嫌が悪い日だってあったりするだろう。

 

 だがその一方で、新型近代化改修を受けてからまだ1週間が経っておらず、どのような変化が起こるかは分からない。もしかすると悪い影響が出てきたのではないかという心配が、提督の頭に過ぎっていた。

 

「それは2人の思い過ごしではないのでしょうか?」

 

 提督が2人に聞くよりも早く、秘書艦が問いかける。

 

「そ、それを言われると……正直難しいんだけど……」

 

「話の内容に雷を傷つけるようなことが含まれていたのなら、怒りだすのも考えられるのですが」

 

「それについては否定できないかもしれないね。けれど、違和感みたいなモノを覚えたのも事実なんだ」

 

「それ自体が思い過ごしだとは思いませんでしたか?」

 

「うっ……、そ、それは……その……」

 

 秘書艦の威圧にも似た言葉にひるんだ暁は、たじろきながら言葉を詰まらせる。これ以上提督に心労をかけさせてはならないと言われているみたいで、2人は何も返せないでいた。

 

「まぁ、そんなにきつく言わないでやってくれ。2人とも雷のことが心配で報告しにきてくれたんだ」

 

「で、ですが提督は……」

 

「僕のことは大丈夫だと言っただろう?」

 

 そう言って、提督は秘書艦に笑みを見せた。しかし、目の下にはうっすらと隈がかっており、明らかに体調は優れないはず。なのに、提督は自らの身体に鞭を打ってでも、2人の話を真剣に受け止めようとしているのだ。

 

 たとえそれが思い過ごしであっても、2人の心配が取り除ければそれで良い。

 

 そしてそれは、提督の思い過ごしであって欲しいという思いも含まれていたのかもしれない。

 

 秘書艦は色々な思いを胸に秘めながら小さくため息を吐き、半ば諦めるような表情を浮かべてから提督に頷いた。

 

「よし、それじゃあ2人とも、雷をここに連れて来てくれないだろうか?」

 

「あ、ありがと、司令官。お礼は……ちゃんと言えるしっ」

 

「Спасибо……」

 

 深くお辞儀をした2人を見た提督は、首を左右に振ってから口を開く。

 

「いや、僕の方こそありがとう。雷の変化を見過ごさない為にも、できるだけ早くにお願いするよ」

 

「ええ、今すぐに連れてくるわ」

 

「それじゃあ司令官、少しだけ失礼するね」

 

 響の言葉に提督が頷くのを見て、2人はもう一度頭を下げてから執務室から出て行った。

 

 そして再び沈黙に包まれた執務室に、大きなため息が響き渡る。

 

「……怒っている……のか?」

 

「いえ、怒っているのではなく、呆れているのです」

 

 秘書艦の言葉によって背中にびっしょりと冷や汗が吹き出してしまった提督は、気まずい思いから目を合わさないように書類を手に取った。

 

「ですが……提督らしいです」

 

「む……」

 

 その言葉に一瞬戸惑い、頬が赤くなってしまうような感じに、更に顔を合わせ辛くなってしまう。

 

「雷の様子を見た後は、少し休んで下さいね?」

 

「そう……だな」

 

 有無を言わさない言葉に仕方無く頷いた提督は、秘書艦に聞こえないようにため息を吐く。

 

 提督は書類に書かれた文字を読むふりをしながら、雷が執務室にやってくるまでの間に、秘書艦の機嫌を直す方法を頭の中で考えようとしていた。

 

 

 

 

 

「お待たせしたわ、司令官」

 

 それから10分ほど経った後、暁に続いて響の手に引かれた雷が不思議そうな表情を浮かべながら執務室に入ってきた。

 

「暁や響に言われてついてきたけど、いったいなんなのかしら?」

 

「いや……ちょっとした確認なんだが、雷の様子はどうかと思ってね」

 

「それってもしかして、司令官が雷を心配してくれているってことなの?」

 

 そう言いながら、雷はまんざらでもないような表情を浮かべていた。

 

 どうやらパッと見た限りは問題が無さそうに思えるが、暁や響の言葉を考えると外見だけでは分からないのかもしれないと、提督は考えた。

 

「雷、最近の調子はどうだろうか」

 

「うーん……別に差し当たって調子が悪いとかそういうのは無いわ。改修によって強くなった力も問題無く使えているし、遠征任務の時も気になるようなことは無かったわ」

 

「それでは、精神的な方はどうだろう? 疲れやすいとか、イライラし易くなったとか、ちょっとした変化でも構わないから、気になることがあれば教えて欲しいんだが……」

 

「なんだか尋問みたいに聞こえるんだけど……別になんにも無いかな」

 

「ふむ。それなら良いんだが……」

 

 雷の言葉を信じるのなら、暁や響が言ったことは思い過ごしなのだろう。しかし、雷が提督のことを心配させないようにと、嘘を言っている可能性も考えられる。

 

 表情だけでは詳しく読み取ることができず、かと言って話をしている限り不審な点は見当たらない。これ以上踏み込んだ質問をするべきかどうかを迷っていると、秘書艦がふいに雷へと声をかけた。

 

「今日の遠征任務の時ですが、何か気になるようなことはありませんでしたか?」

 

「べ……別に何も無かったけど……?」

 

 そう答えた雷であったが、明らかに歯切れが悪く、秘書艦から視線を少し逸らしたのが見て取れた。

 

「暁や響の報告では、少し体調が優れないように見受けられたということなのですが」

 

「そ、そんなことは無いわ。い、雷は、全然平気なんだからっ!」

 

「少し焦っているように見えますけど、本当に大丈夫なんですね?」

 

「も、もちろんよっ!」

 

「分かりました。それでは結構です」

 

「そ、そう……それじゃあ雷は、そろそろお休みしたいから……」

 

 焦ったような表情を浮かべた雷が繋いでいた響の手を振り払い、きびすを返して執務室から逃げ去るように去って行った。

 

「あっ、い、雷……っ!」

 

 驚きの声を上げた暁がその後を追おうと、咄嗟にお辞儀をしてから執務室を出る。

 

「し、司令官……ゴメン……ッ」

 

「ああ、構わない。すぐに雷の後を追ってくれ」

 

 申し訳なさそうに頭を下げた響も、同じように外へと出て行った。

 

「………………」

 

 取り残された提督と秘書艦は、再び重い空気が漂う執務室の中でため息を吐く。

 

「どうして……あんな言い方をしたんだ?」

 

「単刀直入の方が早いと判断しました。それに、原因の方も予想がつきましたので」

 

「……そうなのか?」

 

「ええ、どうやら雷は提督と同じだと見受けられます」

 

「僕と同じだって?」

 

 先程雷を見た限り、自身と同じような感じには見えなかったのだが……と、提督は思い返す。

 

 いや、少しばかりは気づいているのだが、それを言ってしまうと追い詰められるのは目に見えている。

 

 つまり、自分自身を押し黙らせているのだと提督は考えたのだが……

 

「ただ単に、寝不足のようですね」

 

「……え?」

 

「提督は気づかなかったのですか? 雷の目の下に、うっすらと隈ができていたじゃありませんか」

 

「そ、そうだった……かな?」

 

 雷の顔を思い返してみるが、どうにもはっきり思い出せなかった提督が秘書艦の方へと顔を向けた。すると、目の前に突きつけられるように小さな鏡が向けられており、自身の顔がハッキリと見えた。

 

「む……むぅぅ……」

 

 鏡に映る顔。その眼の下はうっすらと黒く、明らかに寝不足であることが見て取れる。自身の体調は良く分かっているつもりなのだが、秘書艦に無言で鏡を突きつけられたことによって、逃げ場は完全に塞がれてしまっていた。

 

「そういうことですから、お休みになって頂けますでしょうか……提督?」

 

「はぁ……仕方無い……か」

 

 観念したように肩を落とした提督は、デスクワークで固まった身体を解すように両腕を上げて背伸びをし、ポキパキと鳴る筋肉の音を聞きながら大きなあくびをした。

 

「それではこちらに布団を敷いておきますので、ゆっくりとお休みになって下さい。その間、書類の方はやっておきますので」

 

「い、いや……そこまで頼るのは……」

 

「いいえ、この際ゆっくりと寝て頂かなければ困ります。提督が倒れてしまったら、この鎮守府は運営できなくなってしまうのですよ?」

 

「ふぅ……やっぱり君には敵わないな……」

 

 苦笑を浮かべた提督に微笑んだ秘書艦は無言のまま布団を敷き、机の上にあった書類の束を持って執務室から出た。

 

 これでもう、提督は暫くなにもすることができない。いや、眠ることはできるのではあるが。

 

 折角秘書艦が作ってくれた時間なのだからと、提督はもう一度大きくあくびをしてから布団に潜り込む。

 

 ホッと一息ついて目を閉じると、どれくらいぶりなのか定かではない布団の感触を味わう間も無いまま、提督の意識は闇の底へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 その頃、執務室から逃げ去るように出た雷が、そう遠く無い通路を早足で歩いていた。

 

 その後を追いかけるように暁と響が駆け足で近づき、慌てて声をかけた。

 

「ま、待ってよ雷。そんなに急がなくても良いじゃないっ!」

 

 呼び止めた暁に全く気づかない風に歩き続ける雷は、不機嫌な表情のまま更に速度を上げて通路の角を曲がる。

 

 無視された怒りよりも悲しみが勝ってしまった暁が、ほんの少し走る速度を落としてしまう。見兼ねた響は暁を追い越して角を曲がり、無理矢理にでも雷を引き留めようと手を伸ばして肩に触れた。

 

「……っ!」

 

 その瞬間、まるで親の仇を睨みつけるような形相で振り返った雷に、響は身体を硬直させ押し黙ってしまう。

 

「離して……」

 

「だ、だけど……」

 

「離してって言っているじゃないっ!」

 

 雷の叫び声が夜の通路に響き渡り、追いついてきた暁は焦りながら周囲を様子を窺った。幸い文句を言いにきたり、不審な目を向ける艦娘は現れなかったが、どう考えても雷の様子は普通であるとは思えなかった。

 

「い、雷……。どうしてそんなに怒っているのかな?」

 

 しかし、響は雷の肩に触れた手の力だけは緩めずに声をかけた。

 

「……たくせに」

 

「……え?」

 

「司令官に、告げ口したくせにって言っているのよっ!」

 

 雷は肩に触れていた響の手を振り払い、再び大きな声を上げる。

 

「ひ、響はそんなこと……」

 

「だってそうじゃないっ! 暁と響が無理矢理引っぱって司令官の前に立たせられて、秘書艦からあんなことを言われたら、どう考えてもそれしかあり得ないじゃないっ!」

 

「ち、違うのよ雷っ! 暁と響は、雷のことを心配して……」

 

「雷の何が心配だって言うのっ!? 遠征任務だってちゃんとこなしているし、この間の深海棲艦だって完璧に倒したじゃないっ!」

 

「うん、それは雷の言う通りだ……。だけど……」

 

「ならそれで良いじゃないっ! 誰にも迷惑なんかかけていないし、褒められることしかしていないわっ!」

 

 大袈裟に腕を振り払い、自分が正しいのだとアピールするように雷は2人に向かって言い放った。

 

「それともアレかしら。雷に司令官が取られてしまいそうで、2人は妬んでいるって言うのっ!?」

 

「べ、別に妬んでなんか……」

 

「暁の嘘つきっ! 自分より練度が低い雷が旗艦になったから、妬んでいるんでしょ? 司令官に報告しに行くこともできなかったから、頭を撫でて貰えなかったから、怒っているんでしょっ!?」

 

「そ、そんなこと無いわっ! 暁は頭をなでなでされて喜ぶような子供じゃないんだからっ!」

 

「それに響だってそうじゃないっ! 告げ口したのだって、司令官に会いに行く口実だったんでしょっ!?」

 

「……っ」

 

 事実無根であると反論したい響だったが、激昂している雷には何を言っても火に油であると察知し、静かに押し黙った。

 

 しかし、このまま放っておけば、雷は更に大声を上げ続けてしまうかもしれない。今はまだ苦情を言いにくる人や艦娘はいないけれど、騒ぎが大きくなればなる程、その危険は増してしまうだろう。

 

 響はどうすれば良いのかと内心焦りながら雷を見つめた。顔を真っ赤にして怒る雷のあまりにも豹変したその姿に、心が壊れてしまうのではないかと思った時――

 

「そ、それは違うのですっ!」

 

「「「……っ!?」」」

 

 怒り狂う雷の後ろから聞こえた声に、3人はそちらの方へと視線を向けた。そこには息を切らせながら今にも泣きそうな表情で雷を見つめる、電の姿があった。

 

「い、雷ちゃんの様子はやっぱりおかしいのですっ。こんなに怒りっぽい雷ちゃんは、今まで無かったのです……」

 

 電は言葉を言い終えた途端に、ぽろぽろと大粒の涙を瞳から溢れ出し、通路に敷かれた絨毯に染みを作っていった。

 

「い、電……?」

 

「お、お願い……なのです……。元の優しい雷ちゃんに……戻って下さい……なのです」

 

「………………」

 

 泣いて懇願する電の姿を目の辺りにし、興奮していた雷の呼吸が少しずつ弱まっていくように見える。

 

 雷も、暁も、響も、涙を流しながら訴える電を見て、言葉を発することができずに立ち尽くす。

 

 どうして電は泣いているのかと、冷静さを取り戻した雷は考え始めた。

 

 暁と響がなぜ司令官に会いに行き、自分を執務室に連れて行ったのか。

 

 電が目の前で泣いているのはなぜなのか。

 

 自分がしてきたことを思い返し、明らかに非があると感づいた時――雷は大きく肩を落として俯き、ゆっくりと口を開いた。

 

「ご……ごめんなさい……」

 

「い、雷……ちゃん……?」

 

「雷が悪かったわ……。暁も響も、雷のことを心配してくれたからこそ、司令官に頼んでくれたの言うのに……」

 

「雷……」

 

 響の呟く声に振り返った雷は、2人に向かって大きく頭を下げた。

 

「暁と響も、ごめんなさい。2人の気持ちを無下にしてしまって……本当に雷ってダメダメよね……」

 

「ううん、響も少し早計だった。先に雷と話し合っていれば、こんなことにはならなかったのに……」

 

「暁もごめんなさい。でも、分かってくれて嬉しいわ」

 

「うん……本当にごめんね……」

 

 もう一度頭を下げた雷の姿を見て、暁と響、そして電はほっと胸を撫で下ろした。

 

「電ちゃんは慣れない任務や改修で少し疲れていたのです。ゆっくり休んで、元通りになるのです」

 

「そうだね。そうしよう……」

 

「それじゃあ夜も遅いし、4人で仲良く一緒に寝ましょう」

 

「あれれ、暁ちゃんはレディなんだから、一人で寝るんじゃないのですか?」

 

「べ、別に、今日は特別ってことで良いじゃないっ!」

 

 顔を真っ赤にしながら慌てふためく暁を見て、3人は笑い声を上げる。

 

 雷は、ほんの少し疲れていただけ。

 

 しっかり休めば、また元通りの生活ができる。優しく元気で、いつもの明るい雷に戻る筈。

 

 そう――3人は思い、願っていた。

 

 

 

 しかしその思いとは裏腹に、小さな舌打ちする音は3人の耳に入ることが無く、夜の闇へと消えてしまう。

 

 同時に、2つの音が鳴ったことすらも分からぬままに……

 

 





次回予告

 雷が新型近代化改修を受けてから1週間が経った。
報告書を読んだ提督は、雷に変化がないことを憂いながらため息を吐く。

 そんなとき、一人の艦娘が執務室にやってきた。


 深海感染 -ZERO- 第四章 その1

 全ては一つの線で……繋がっている。


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