そして色々フラグを立ててみました。
学園長と話をつけた数日後
数分も歩けば麻帆良から出れる林の中
二つの大小大きさが違う異形が互いの姿を視界に収めていた
「なんや?そんな小さい体でワシを倒す気か?」
人型の、しかし人間とは違うその大きな異形は巨大な金棒を担いでいた
一般的に鬼と言われるそれは、本来なら御伽噺で語られている存在
「うへ~、あっちと比べると大きいな。けど、ガラハ兄ちゃんよりも弱そうかも?」
対するもう一つの小さい方の異形は目の前の存在の大きさに若干驚きつつも慌てるようなことはしない
更に言えば弱いと挑発もしていた
「おう!ワシが弱いだと!それが本当かお前の体に教え込んでやる!」
そう言うと大きい異形、鬼は持っていた金棒を小さい方の異形、マム助に振り降ろした
只の人間ならこれでミンチの仲間入りするほどの一撃
しかし、相手は諒助と共に幾つものダンジョンをクリアしてきたマム助
鬼の攻撃をくるりと体を横回転させ、その勢いのまま尻尾を金棒の側面に叩きつけることで逸らす
「おおう!?」
狙いとは違う場所に金棒を振り落した鬼、それにより僅かに出来た隙を見逃すマム助では無かった
くるりと再度回転し鬼の鳩尾に尻尾で一撃
「っ!?」
金棒を逸らす時もそうだったが、柔らかい尻尾で突かれた筈なのに何故かその一撃はとても重く、しかし鬼は自身のプライド故か僅かにうめき声をあげるのみ
「まだや!まだやられへんで!!」
金棒を叩きつけるのでは駄目だと悟った鬼は何もかもを吹き飛ばすかのように金棒で薙ぎ払う
そもそも、どうしてこんな事になっているのかと言うと、マム助が力試しをしたいと言ってきたからだ
茶々丸と模擬戦を何度かしていたが、身内というか仲間と言うか、とりあえずそんな感じで全力が出せなず
それならば夜の警備の手伝いでもしてみるか?とエヴァンジェリンに誘われ、現在に至る
ちなみにマム助の戦いを直接見ているのは諒助のみ、エヴァンジェリンは自宅にて落ち込んでいる茶々丸を励ましてたりする
何故励ましているかと言えば、全力を出して貰えない茶々丸はお前は要らないとかに捉えたのか部屋の隅で体育座りをしているからだ
「よっと」
閑話休題
金棒による薙ぎ払い対しマム助は尻尾筋トレの要領で高くジャンプ
薙ぎ払いという次の行動にすぐに移せない鬼にマム助は体を縦回転させての脳天尻尾落としを決めたのだった
* * * * *
やっぱりマム助はバグキャラだと俺は思う
確かにマムルの進化形である洞窟マムルやギタンマムルはプロの風来人でも素手での勝負では聊か分が悪い
しかし、マム助はマムルであり一般的には雑魚モンスターとして扱われる
ちなみにタベラレルーは存在自体が名前の通り食べられる為にいるので除外してある
まぁ、バナナが王様の世界もあるのでマムルが強くても問題ないな
「相棒お待たせ」
ピョンピョンと跳ねながらマム助がこちらにやって来る
久し振りにガチバトルをしたからなのか満面の笑みだ
「鬼って聞いたから、親分みたいに火とか出るんじゃないかとヒヤヒヤしたけど」
「普通の鬼は火なんか吹けないからな?」
もしあのレベルの鬼で火なんか吹かれたら麻帆良中が火事だよな
いや、魔法を秘匿するために使って無いだけとか?
…心配だからエヴァンジェリンに聞いとくか
「そういえば相棒、術者はどうしたんだ?」
「ああ、術者?それならほらあそこ」
俺の後ろにある茂みを指す
そこにはグースカと鼾をかいて寝ている男性が一人
進んで殺しを行う気は無いので、とりあえず睡眠草を飲ませた
さて、こいつはどうするか…
「そいつの身柄は私が預かろう」
ふと声がした方を向けば、俺達の上空に佇むエヴァンジェリンとエンジンを吹かして主の横に控える茶々丸ちゃん
腕輪の能力でかなり遠くから接近しているのに気づいてたから驚きは無いけど
「遠見の魔法で見ていたが、中々やるではないか」
まさかエヴァンジェリンからお褒めの言葉が出るとは
「はい、マム助さん格好良かったです」
「へへ、ありがとうな、金髪姉ちゃん、茶々丸姉ちゃん」
「おい、いつまで私はその呼称なんだ」
マム助の呼び方に文句を言うエヴァンジェリンと何故か顔が僅かに朱に染まっている茶々丸ちゃん
あれか?萌えたってか?
「私の呼び方は後で正すとしてだ、おい、茶々丸」
「…体内温度上昇中…原因不明…」
エヴァンジェリンの呼びかけに反応しない茶々丸ちゃん
なんか頭から湯気っぽいのが見えるのだが
「おい、茶々丸?」
「…これがまさかこ…はっ!?」
「茶々丸、大丈夫か?」
「は、はい、問題ありません」
いや、問題あるだろ
しかも、途中で言葉を切ったけどとんでもない事言いかけなかったか?
「そ、それでは失礼します」
「お、おいっ!待て茶々丸!」
先程の事を忘れる為か、一瞬にして術者を掻っ攫い、そのままどこかへと飛んで行った茶々丸ちゃん
それを慌ててエヴァンジェリンが追いかけて行った
「どうしたんだろうな、茶々丸姉ちゃん?」
一体何が起きたのか理解していないマム助
というか前から思っているが茶々丸ちゃんって原作でもこんなキャラだっけ?
まぁそれよりもだ
「…そんな所から覗きとはいただけないな」
「ん?相棒何か言ったか?」
「いや、何も。それより早く帰るぞ」
* * * * *
「まさか、こちらの存在に気づいていたとは」
観察対象からの距離は約1km
一般人…いや、並みの魔法使い達ならば見つからないはずなんだが…
「あの人の索敵範囲は異常に広い、この程度なら問題なく見つけられる」
隣のルームメイトからは当たり前だと言わんばかりの声
どうやら彼女は彼について何か知っているみたいだが何度尋ねても答えてはくれない
「そろそろ教えてくれると有り難い「却下だ、あの人の事を教えるつもりは無い」
…そうかい」
いつも素っ気ない彼女だが彼の事になると余計にそれを感じる
だが、なんというかそれは大事な人の事を教えたくないからだとも感じる
まぁ、椎名と比べたらほんの些細な勘だが
「先ほど連絡があった。今日の襲撃はこれで終わりだそうだ」
「そうかい、なら帰るか」
ささっと長年連れ添った相棒を片づけその場を後にする
その時にもう少し残っていれば彼の事を知ることが出来たのかもしれない
「………諒助兄様…」
ルームメイトであり、戦友でもある彼女のつぶやきが聞こえたかもしれないのだから
すごい今更なんですが、これ読んでいる人で風来のシレンを知らないって人はいるんでしょうか?
もしいたら番外編か何かで簡単にアイテムの説明でもしようかなと
…といっても全ての作品をプレイしているわけではないのですがね