やっと主人公の名前が発覚です
現在俺はエヴァンジェリンに連れられてこの麻帆良の最高責任者である学園長がいる女子中等部の学園長室に居る
マム助は茶々丸ちゃんとお留守番をしている
…もちろん今は深夜だよ?
さすがに教師でもないのに真昼間に来ようものなら確実に警察のお世話になるからね
ってそんなことはどうでも良くはないけど今は脇に置いといてだ
俺は今凄いものを見ている
「麻帆良学園にようこそ。歓迎するぞい。」
なにやら友好的な対応をしてくるUMA、もといぬらりひょん
「ワシ、一応人間じゃよ?」
「なんとこの妖怪は心も読めるのか!?」
「人間じゃと言っておるじゃろ!?」
さて、茶番はここまでにしてだ
…エヴァンジェリン声を殺して笑っているのは良いけど、肩が震えてるぞ
「…ゴホン、それで詳しい説明をお願いしたいのじゃが?エヴァンジェリンからは来客を連れてくるとしか聞いておらんからのぅ」
「そうですか、それでは自己紹介でも。俺の名前は|柊諒助(ひいらぎりょうすけ)。地脈の研究をしていて、つい最近麻帆良で起きた地震の影響で地脈になにかしらの変化があるのか調査しに来た」
事前にエヴァンジェリンと打ち合わせた通りの説明を述べる
もちろんこの説明は嘘っぱちだけど…調査に来たのは本当か
「ふむ、調査とな?それなら先日こちらで調査を行い、何も無かったと報告があったがの?」
よっぽど俺に麻帆良を調べられるのが嫌なのか遠まわしに帰れと言われてしまった
そこではいそうですかと帰れない(実際に帰る場所などこちらには無いのだが)ので何枚かカードを切ることにする
「学園長、どうやらその調査は不完全だったみたいだな」
「…どういうことかの?」
ピクリと眉を動かし、怪訝そうにこちらを見てくる学園長
「学園長はマクダウェル家の裏手に一部隆起している地面があるのを知っているか?」
「おお、それなら報告書にも書いてあったのぉ。地面が盛り上がっているだけじゃろ?」
ふむ、どうやら学園長は知らないみたいだな
「そう、それが間違いなんだよ。これを見てくれ」
懐から一枚の写真を取りだし学園長へと渡す
「ん?これは…」
「先ほどから話している隆起していた地面の写真だ。分かると思うが隆起している地面の一部に穴が開いている。おそらくは何かの拍子で崩落して穴が開いたんだろうな」
「なるほど、穴が開いておったとは、これでは子供が落ちてしまう可能性があるのぉ。しかし、この穴がどうしたのじゃ?」
確かにこの写真だけでは危険な場所があると述べているだけだ
だがこれを出せば話は変わる
「その穴の付近を調べていたらこんなモノがあった」
ポイっと投げ渡すのは見た目ただの石ころ
しかし見る人が見れば…
「この石には魔力が篭っておるのぉ。しかも、魔力以外の何かも篭められているような…」
「学園長、その石を俺に向かって投げてみてくれ。ちゃんと狙ってな」
「こうかの?…おお、これは!?」
学園長が投げた石は一直線に俺に向かってくる
それを俺は一歩体をずらして避ける
本当ならそのまま床に落ちるはずの石は軌道を変える
たったそれだけのことだが、これがただの石では無いことが分かったと思うので痛い思いをする前にキャッチする
「とまぁこんな感じでこの石ころは追尾性能がある。しっかりとは調べていないからまだあるかもな」
当然これは嘘なわけで、俺が手にしているのは前にエヴァンジェリンに説明したデブータの石だ
さすがにこれが道端に転がっているとか怖いからな
子供は近くの石とか枝とか投げて遊んだりするから、万が一これを投げようものなら怪我は確定だ
「むむ、これは厄介じゃのう」
「以前にも似たような物を見つけたことがあってな、その時は矢が同じように追尾性能があって死んだ奴もいたな」
そんなものは俺しか持っていないからあるわけないのだが、この場所が危険であると伝える事が大切だ
「で?こんな危険なモノがある場所の調査をしたいんだけど?」
「どうするんだ爺?何も知らない奴が調べたら死ぬかもな。聞きたいんだが他にも厄介なものが出る可能性はあるのか?」
「さぁ?出るかもしれないし出ないかもしれない。一つ言える事は死人が出た場所と比べるとこっちの方が断然地脈の力が大きいぜ」
「うぬぬ…」
エヴァンジェリンのフォローで更に危険性を高める
「爺が悩むのも分かるがな。余所者が麻帆良に居るのはリスクがあるからな、しかし未知の場所を軟弱な魔法使い達が調べて無事に帰ってこれるかな?」
「…そうじゃの、確かに魔法使い達を死ぬかもしれない場所に行かせるわけにはいかんの。よかろうお主に調査を頼むとしようかの」
「賢明な判断で良かったぜ。しかし、調査は俺流でやるから邪魔をされたくないんだ、途中で魔法使い達が横槍を入れてきたら困るから契約書を用意してくれ」
「確かに一部の魔法使い達が邪魔をしてくる可能性があるかもしれん。分かった、用意しよう」
「なら諒助、|強制誓約書(ギアススクロール)使え。あれなら爺でも契約は破れないからな」
確かにそんな魔法アイテムとかあったね
「少々待っておれ、確かここに…おお、あった」
机の引き出しの中を暫くガサゴソしていた学園長は目的のモノを見つけたようで、それを机の上に置く
見た感じただの白紙の紙に見える
「さて、契約内容だがどうするかの?」
そうだな、とりあえず俺とマム助の安全は確保したい
後は衣食住をどうにかしてもらうのと金か?
「先に確認したいんだが、契約後に追記は出来るか?」
「双方の了解があれば可能じゃ」
「分かった、契約内容は第一に俺と俺の仲間の安全、次に衣食住の提供、最後に働き口の提供だ。後は追々決める」
「了解じゃ、ワシから魔法先生、魔法生徒の皆に厳命しておく、衣食住の提供だがこれもなんとかしよ「待て、それは私が提供しようではないか」ひょ?」
ここでまさかのエヴァンジェリン乱入
そして衣食住の提供発言
「どうしたのじゃエヴァンジェリン?いつものお主ならそのような事言わないはずじゃが?」
「なに、こいつとはここに来るまでに色々あってな。その決着をつけたいからな、それなら私の家に住まわすのが手っ取り早いんだ」
決着ってまさかまだ俺と勝負したいのこの子?
「それにだ、お前らが別のとこに住むと茶々丸が不機嫌になるからな」
本音はこっちか、確かに今の状態で別のところに住み始めると茶々丸ちゃんの機嫌が悪くなるな
もしかしたら通い妻になってエヴァンジェリン放置とか、まさかそんなことは無いだろうけど…大丈夫だよね?
「そうかのこちらとしては有り難いので構わないが、それで良いかの?」
「提供者の違いだけで何も問題ない」
「ならば次に働き口じゃが、お主先生になってみんか?」
「「は?」」
どうやらエヴァンジェリンもこれには驚いたようで俺と同じく口をあんぐりしている
「いやの、最近数学の先生が寿退職しての、代わりの先生を探しておったんじゃ」
まさかの就職先が先生とかどういうこと!?
そもそも俺は教員免許持ってないし
「おい爺、こいつは教員免許は持ってないだろ」
「そこはワシが何とかしよう」
おいおい、こんな所で権力使うなよ
必死に教員になろうとしている人涙目だろ
「最初は補佐になるだろうが問題ないじゃろ?」
「問題大ありだ!俺はよそ者で、ついさっきまであんたも疑っていただろが!こんな奴を調査の為とはいえここに置いていいものかと!」
「最初はそう思っておったが、エヴァンジェリンが衣食住の提供をしたじゃろ?理由はあったがそこまで信頼があるなら信じてみようと思っての」
隣で信頼とかそんなんじゃないとか言って照れてるエヴァンジェリンは置いといて
「信じようとしてくれるのは有り難いが、教員はお断りだ。俺としては神聖な教員と言う仕事を穢したくない。金銭面は商売をして稼ぐから、どこか良い物件を紹介してくれるだけで良い」
なんというか俺の勘が囁くのだ
ダンジョン入ってすぐ未識別の草に対して悪い効果の草では無いだろうと思いつつ毒草飲んだりとか、識別だろうと思って読んだら実は強化系の巻物だったとか、役に立ってない勘だけど、今回はいつも以上の厄介事に巻き込まれると警報を鳴らしている
「そうかの、教員になりたかったらいつでも言うんじゃよ?」
「一生なりたいとは思わないから気にするな」
「それでは契約内容も決まったことじゃしここに署名をしてくれんかの」
いつの間に書き上げたのか先ほどまで白紙だった紙は話し合って決めた契約内容が書かれてあった
その契約内容の下の署名欄には既に学園長、近衛近右衛門の署名があった
「ここか、えっと柊諒助と…」
署名をし捺印が終わった所で何やら不思議な感覚に襲われる
これが契約の魔法なんだろう
「よし、用事は済んだな。さっさと帰るぞ諒助」
とっとと帰る為に外の廊下へと続く扉の取っ手に手をかけているエヴァンジェリン
「せっかちだな、そんなに急がなくてもいいだろ?」
「嫌な予感がしてな」
嫌な予感?
あれか、マム助に茶々丸ちゃんが寝取られるみたいな?
「いいから早く帰るぞ!邪魔したな爺」
待ちきれずに学園長室を後にしたエヴァンジェリン
「物件が決まったら連絡してくれ」
「ほっほっほ、分かっておるわい」
髭を擦りながら笑う学園長がうざかったが今はエヴァンジェリンを追わないとな
あの後エヴァンジェリンの家に戻った俺はとっておきのおやつをマム助に食われて落ち込んでいるエヴァンジェリンを見つけるのだが、それまた別の話と言うことで
勢いで書いたから辻褄合わせにひと苦労
その結果がこの投稿の遅さ
ある程度の流れは決まっているんだけど、どうしても矛盾が生じてしまう私は駄目過ぎだと思う
そして次はまさかのマム助戦闘回の予定です
さて、誰を餌食にしようか…