落とし穴、落ちた所で、生神に   作:美坂 遙

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結局商隊の人達が譲らないので

金額はそのままになった

 

「明後日の朝ミズーリに向けて出発するから

準備はしておいてくれ

食事はこちらが用意してるから

自分が食べたい物だけ持ってきたらいいよ」

 

「分かりました。アリア達と相談して

明日準備はしておきます」

 

そう言って広場を後にした

 

 

俺はミハイルさん達と別れ教会へ帰ってきたが

入口に入ろうとするとシエルが

カイルさんに引きずられて出てきた

 

「夏希君、シエルが勝手に依頼を受けたみたいだけど

護衛依頼は受けるのか?」

 

「受けましたけど、シエルはどうしたんです?」

 

俺がシエルを見ながらそう言うと

カイルさんは苦笑いしながら

 

「ハンターの仕事でさぼるならまだしも

アリアの所に居るだけなのに

食堂の仕事さぼったからね

父さんの説教受けさせるために連行中だよ」

 

「大変ですね・・・」

 

「まぁね、明日は準備があるだろ?

朝迎えに行くから部屋に居てくれ」

 

そう言うとカイルさんはシエルを連れて帰って行った

 

 

中に入るとアリアが居た

 

「お帰りなさい、依頼受けたんですね

シエルも護衛依頼に参加するそうなので

道中は賑やかになりそうですね」

 

「シエル様は戦力として素晴らしい方なので

ありがたいですね」

 

俺に威嚇を続ける姿が見えるようだ・・・

 

「アリア、明日は準備をするから頼むよ」

 

「はい、カイルさんに食堂で待つように言われました

食料や消耗品を買いに行くんですよね

それではまた明日」

 

 

アリアと別れ部屋に帰ってきた俺は

頭からクロを下ろしベットに乗せると

クリエに奴隷の事を聞くことにした

 

「さっきのリリさん奴隷一種って言ってたけど

そんなに色々あるのか?」

 

「奴隷にはまず違法奴隷と契約奴隷があります

違法奴隷は国や集会所に許可を得ていない奴隷の事です」

 

「この前獣人の差別の話で出てきたやつだな

集会所ってのは何でだ?」

 

「主に集会所で契約するのは魔物で 

役所で契約するのが人族です

半獣人の中には役所に入れない種も居るので

集会所でも可能です」

 

魔物も奴隷にするのか?

 

「弱らせたり、服従姿勢をとった魔物に

特殊な玉を触れさせると簡易契約が出来ます

その玉を集会所に持って行き

登録すれば契約が出来ます」

 

なるほど、よくある手段だな

 

「ただこの玉を改造して量産した組織があり

本来人間族や獣人族には効かないのですが

改造された玉は意識さえ失っていれば効いてしまうのです

幸い組織は国の力で潰すことは出来ましたが

製造された玉は至る所に残っています

それを悪用して獣人族などを奴隷にしている

商人が未だに居ます」

 

「取り締まりはしてるんだろ?」

 

「あからさまな者は捕まりますが

なかなかうまくは行かないようですね」

 

どの世界にも狡賢い奴等はいるようだ

  

 

 

 

「次に契約奴隷の種類について説明します

契約奴隷には通常契約と刑罰の二つがあります

通常契約は契約者と報酬や条件を決めた上で

同意の元に奴隷となった者の事です」

 

「相手を操るなりして強制的に

奴隷に出来るんじゃないのか?」

 

「そんな事をしたらカードに印が出て

すぐに契約奴隷ではなく犯罪奴隷とバレます」

 

なるほど、無理やり契約してもすぐに

ばれる仕組みなのか、良くできてる

 

「契約奴隷には階級があり

読み書きや経理などの技能が高い者は一種

戦闘などの技能が高い者は二種となります

共に高い者は働きたい方を表示させます

共に一定に満たない者は三種となります」

 

リリさんは一種だから経理ってことか

日本の契約社員に近いところもあるみたいだな

 

「刑罰で奴隷となった者は罪の重さによって

手の甲に数字が表示され、カードの機能が制限されます

数字は働いた内容により変動します

数字が0になれば数字は消えカードの制限も解除されます

その状態になれば役所で奴隷契約を解除出来ます」

 

「通常契約はいつでも解除出来るのか?」

 

「違約金を払えるなら、同意が無くても

役所でお互いに解除出来ますし

お互いの同意があればいつでも解除は出来ます」

 

契約したら解除出来ない訳じゃないなら

制度として成り立つのか

 

「刑罰奴隷の中でも何度も犯罪を繰り返す者や

重度の罪を犯した者は仕事の制限が解除され

娼館や過酷な環境の仕事に着くことにもなります」

 

「再犯とか見たら分かるのか?」

 

「一度目は数字だけですが再犯の度に

数字の周りに模様が付きます。

この模様は数字が消えても残りますから

見た目にも分かります」

 

なるほどね、1度目は罪を償えば見た目には分からないけど

再犯したら消せない印が残るのか

 

「僅かですが、娼館や過酷な環境を選ぶ人も居ますから

すべて刑罰奴隷と言うわけではありませんよ

初犯の刑罰奴隷も過酷な環境を選ぶことも出来ますしね」

 

「なんで厳しい所に行くんだ?

犯罪を償うには大変な所にいくというのは

良い手なのかもしれないけど

通常契約なのに行くのは理由があるのか?」

 

「主な理由としては、厳しい所の仕事の方が

契約達成時の報酬が良い事が言えます

単純に物好きな場合も在りますけど」

 

なるほどね、

 

「ハイリスクでも契約奴隷なら

カード表示により人権は保証されますから

無理な労働を強いられることはありません

ただし、違法奴隷は無理な労働や玩具として

扱われることが多く発覚して所有者が逮捕されても

死亡して見つかるケースが良くあります」

 

色々な奴隷の仕組みを説明して貰ったあと

夜遅くなったので、クリエを帰還させ

寝ることにしたが

 

クロは枕の横ですでに寝ていた


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