落とし穴、落ちた所で、生神に   作:美坂 遙

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朝、息苦しいと思い顔に手を乗せるとクロが乗っていた

どうやら起こそうとしていたようだ

つまみ上げてベッドに下ろすと毛繕いを始めた。

 

「クロ、おはよう

ただ、次からは顔に乗らないでくれよ?」

 

クロは一声鳴くとまた毛繕いを再開した

 

「時間は7時前か、朝食食べに行くか」

 

俺はクリエを呼び出しクロを見ると

足をよじ登っていた

 

「護衛のつもりなのかもしれないが

また頭に乗るのか・・・」

 

俺は頭によじ登ったクロを乗せて

食堂へ歩き出した

 

 

中に入るとシーマさんが昨日は居なかった

冒険者っぽい格好の人達に食事を配っていた

 

「おはようございます。シーマさん」

 

「おお、おはよう夏希

空いてる席に座っといてくれ

あとで食事をもってくよ

二人分とミルクでいいね?」

 

「シーマ様、私はガーディアンですので

食べ物は要りません」

 

「そうなのかい?

分かったよ一人分とミルクだね」

 

小声でクリエに聞いてみると

機械生命体の使い魔はガーディアンと言うらしい

 

空いてる丸いテーブル席に座って待っていると

カイルさんが奥から出てきた

 

「おはよう夏希君、

多分妹が迷惑かけると思うけど

アリアの事となると止められないからね」

 

そう申し訳なさそうにしながら前の席に座った

 

「ところで夏希君の横に座っている子は誰なんだい?」

 

「カイル様、私は夏希様のガーディアンのクリエと言います」

 

「ああ、君がクリエか

神父様からキメラを二人で倒したことを聞いてるよ

妹が迷惑かけると思うけどよろしくたのむ」

 

三人で話しているとシーマさんが二人分のパンとサラダを持ってきた

 

「カイル、今日は仕事は無いのかい?」

 

「今日は換金所に行った後はのんびりするよ」

 

そう言ってパンを食べ始めた

 

「カイルさんも行くんですね

俺も後で行きます、買い物代が必要ですから」

 

「夏希君はキメラの素材があるから

買い物代は問題ないだろうね」

 

そんな話をしているとアリアが店に入ってきた

 

「夏希さん、カイルさん、おはようございます」

 

俺とカイルさんもおはようと返した

 

「クリエもおはよう、食事が済んだら

服を扱ってる雑貨店にいこうね」

 

アリアもパンをシーマさんから受け取り食べ始めた

 

「アリア、シエルが買い物に付いてくと言ってるから

騒がしくなると思う、すまないな」

 

「大丈夫ですよ、賑やかなのは嫌いじゃありませんし

友人との買い物は楽しいですから」

 

 

 

朝食を食べ終えた俺達は裏に在る換金所へ歩き出した

 

「何で食堂の裏が換金所なんですか?」

 

「料理の素材にもなるから

普通なら隣か近所に建てるんだけど

ここは人が少ないから規模を大きくしても効率が悪いし

色々節約しないとうまく回らないんだよね」

 

なるほど小さい集落は大変なんだな

 

 

 

 

換金所に着くとカイルさんは

指輪をカウンターにある水晶玉にかざした

様子を見てみると一秒位で水晶玉が点滅した

クリエに小声で聞いてみると

カイルさんはカードを指輪に入れているらしく

水晶玉にかざしたのは本人かの確認らしい

 

「夏希君はキメラの素材を換金するんだよね?

持ってないところを見るとカードの箱に入れてるんだね

そこに素材鑑定台があるからそこに出してくれ」

 

カイルさんはなぜかカウンターの中に入り指示を出した

 

「まさかカイルさんが店番なんですか?」

 

「そうだよ、店番は星を持ってるなら

カードを認識させれば誰でも出来るよ

鑑定は自動で出来るからね

不正をしたらカードに印が出るから安心してよ」

 

「ここでも節約なんですね・・・」

 

そう言うとカイルさんとアリアは笑っていた

そういえばと思いクリエに箱と倉庫の違いを聞いてみると

七柱の鍵に付いている倉庫には限界はなく

カードに付いている箱には限界が在るらしく

およそ軽トラの荷台位の容量があるらしい

 

クリエからキメラの皮は持っておいた方が良いと

聞いていたので残し

シャドーキャットの素材と

キメラの素材の一部を鑑定台に乗せると

鑑定台に付いていた小さめの水晶玉が点滅し始めた

 

「この量なら後五分位で終わるよ

キメラの証明部位以外にもまだもってるかい?

持ってるならこっちに出してくれ」

 

そう言うと紙の束を持ちカウンターを指差した

俺は言われた通り

シャドーキャットとピュアスライムの証明部位も出した

 

「指定依頼は出てないから安いけど

シャドーキャットが銅貨10ピュアスライムが銅貨7にはなるよ

キメラに関してはみんなと話して、

特別措置で銀貨10出すことになったよ」

 

「そんなに良いんですか?」

 

クリエに銅貨一枚がおよそ100円と聞いていたので

十万円位になるはずだ。

 

「夏希君が居なければここは

全滅してたかもしれないからね

討伐依頼のないキメラは通常銀貨1枚なんだけど

この枚数は妥当だと思うよ

それと素材鑑定も終わったみたいだね」

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

クリエに小声でカードを水晶玉にかざすと

報酬が受け取れることを教えられ

スマホを近づけると鑑定台の水晶玉から

お金の入った袋が出てきた

中には銅貨が53枚入っていた

 

カイルさんから受け取った袋と

水晶玉から出てきた袋を倉庫へ放り込みアリアと

この後のことを話していると扉からシエルが入ってきた

 

「アリアおはよう、男と二人で買い物とか危ないから

私も買い物にはついて行くからね」

 

「シエルおはよう、夏希さんと買い物と言っても

クリエも居るから二人じゃないんだけど?」

 

「クリエってそこにいる子のこと?」

 

「シエル様、おはようございます。

私は夏希様のガーディアンのクリエと言います

よろしくお願いします。」

 

「ガーディアンは主人からの命令に従ってるんだから

よけいに危ないんじゃない!

二人掛かりで襲われたらどうするの!?」

 

そこまで言ったところで

カイルさんが背後に近づき拳骨を落とした

 

「恩人達に何を言っている。

あんまりしつこいと、鎖で縛って父さんからの

説教になるがいいのか?」

 

シエルは頭を押さえてうずくまりながら

分かったと言っている

 

 

俺達が出ていこうとするとカイルさんが近づいてきて

シエルに聞こえないように小声で

 

「アリア、こいつが失礼な事をしないか見ていてくれ

もし、何かしでかしたら後で説教だからな。」

 

俺がその言いように不思議がっていると

 

「事情は神父様から聞いてるよ

シエルは知らないけどね」

 

 

神父さん、あまり話さないで欲しい・・・


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