ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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※注意!前回とは√の違う世界線です!
IFの6と7を読んだ後にお読みください


『IFルート【その9】』

 

 船のタラップを降りると、想像していなかった風景に圧倒される。

 船着き場は海辺であるし、遠くのほうに見える街並みは近未来的な風景も魔法世界的な風景も欠片も見せちゃいない。何処かの外国の田舎に辿り着いただけのような、そんな異国情緒を感じさせるだけに留められた異界の街並みは、此処が『魔法世界である』とはまったくもって感じさせない風景であった。

 それより何より、此処に辿り着く経緯にも物申したい。

 

 

 

「……軌道エレベーターじゃないんだ……」

 

「当たり前だろ。そんな無駄なもん作るんだったら他に必要なものを用意するさ」

 

「……無駄?」

 

「無駄だろ。公転周期が違う惑星同士を繋ぐのに目に見える形で繋いだところで高が知れてる。距離を稼いで途中から魔法で転移する形だとしても、それならもっと効率のいい術式を用意すればことが足りるだろうしな。ついでに言うと、そんなもん作ったところで維持費もバカにならないから、使用者に莫大な料金を要求することになる。製作者側やスポンサーから搾り取るにも限度がある。そうなると使用できる奴は限られてくるから格差が生じる。元々それほど渡界にかからなかった無駄手間が生まれる。結果として要らん箱物のシンボルが出来上がるわけだ。他にもあるぞ例えば、」

 

「もういいよ! もうそれだけでおなかいっぱいだから少年の夢を壊さないでっ!?」

 

「お前がくだらないこと言い出すからだろ。ガ●ダムは夢であるうちが華なんだよ、実現すれば人類に限りなく『現実』ってやつを叩きつける『絵に書いた餅』さ

 つーか、何処から沸いて出たんだ?そんな荒唐無稽な発想?」

 

 

 

 公式の二次だよ。

 言わせんな恥ずかしい。

 ちょっと知っている原作との違いを発見しただけなのに、ちうたんにぼろくそに扱き下ろされたでゴザル。スマヌ、スマヌ……。

 

 ドーモ、読者=サン。近衛刀太デス。

 あ、いや正確にはその身体に憑依した転生者?みたいなカテゴリなのかも知れんけれど。今更ご本人様に主導権渡しても困惑されるだろうから、もうこのままでもいいよな。

 勝手な話に聞こえる?そんなこと言うんだったら返してもいいけど?返したところで人格が形成されてない可能性が高いから、最早時既に時間切れって感じだろうけど。

 もういいだろ。原作なんて欠片も生き残ってない状況で今更、右も左もわからない少年にお前が主人公だ、って丸投げするほど鬼畜じゃねーですのことですよ。

 俺が、俺こそが主人公だ……っ!

 

 ――いや、この公式二次で主人公にされても、だからなんなのよ、としか言えないわけですけども。

 

 何の話かとわからない方はログを遡って読んでみてくれ。

 読者くらいいるよな?神様転生したんだし、そういう用途での二次なんだろ?これもさ?お前だよお前、この文章を読んでいる画面の前のお前。お前らの妄想にされるがままになって動いている俺たちの人生なんて、どうせニセモqあswfjk

 

 

 

 

   『UQっていつ終わるの?(おいヤメロ』

 

 

 

 

 バイオグラフが振り乱した気がしたけどそんなことなかったぜ!

 

 馬呑吐に嵌められて『半死人』になったらしい俺を放っておけなかった、というか放置するのはまずいと感じたのだろう。俺の住んでいた田舎を丸ごと焼き払った張本人であるちうたんは、その首根っこを引っ掴んだまま火星へと渡る、と仰られた。

 つうか、あのデブのおっさん吸血鬼(吸精鬼?)は死体使い≪ネクロマンサー≫でもあるらしく、奴の住んでいた地域は基本的に住人全員が生きた死体≪リビングデッド≫とされるために焼き払うのが正解だとかついでのように言われた。ネギまの世界ってそこまで怖かったっけ。

 

 俺の思い出そのものがフェイクであったことに若干の寂寥を感じつつも、火星に行くということには少なからずwktkしていた俺。連れ出される理由はともかく、あのまま焦土の村跡に残されても途方にくれるしかなかったので、特に抵抗もせずに連れ出してもらった。

 軌道エレベーターなんて少年心を擽る代物すら幻想であったことはさておいて、最寄りの駅にてやってきたのは電車ではなく何処か古代に造船されたかのような雰囲気を持つ『箱舟』。銀河鉄道的にふよふよと浮上して俺たちを拾い、一瞬のうちに大気圏を突破する謎の飛行技術に驚愕する間も無く、次の瞬間には海上に出て着水した。

 そうして到着した水の惑星こそが開拓された火星である、と教えられて更にびっくりな俺です。つーか『AQUA』じゃねーかっ!

 

 

 

「ほ、本当にここが火星? 魔法世界なのか?」

 

「火星ではあるけど魔法世界じゃねーな。ムンドゥクスマギクスは大体100年位前に滅んだし」

 

 

 

 ちょっ!?

 なんか今すげぇ衝撃の事実をさらりと語りましたよ!?こちらの幼女さま!

 

 

 

「ほ、滅んだって、再生計画とかそういうのはなかったのかよ!?」

 

「だから、一回滅ぼしてから火星そのもののテラフォーミングが発布されたんだよ。邪魔な世界を剥がしてから下地を作り直す。普通だろ?」

 

「えー……。……魔法世界の住人は?」

 

「無論、一回『完全なる世界』へ回収してから選別したさ。元老院の老害とかは再生させられないまま魔力として世界樹に回収させてある、って聞いたな」

 

 

 

 り、リライトって現実世界人にも効きましたっけ?

 思った以上に原作の崩壊が進んでいてもう笑うしかない気がしてくる。先ずは原作との差異を把握したかったので質問することから始めたのだけれど、更に困惑する結果が待っていてもう本格的に帰りたいでござる。前世へ。

 それにしても思いっきりの良すぎる決断を下したものだ。ネギスプリングフィールドがやるにしてはシビアすぎる結末で俺の知る原作の子供先生とは色々違うようだけど、その結末なら原作でやったみたいに明日菜を見殺しにはしなかったのだろうから、少なくとも好感は持てた。

 

 クローくんに会えないのは少し残念だが、状況はとんとん拍子に進んでいるらしい。

 遠くの方へと見えていた街並みに辿り着くための交通手段はゴンドラであるみたいで、その辺まで天野こずえワールドを再現しなくてもいいんじゃないかってくらいにレトロで風情のあるネオヴェネツィアの街並みへと入り込んでゆく。

 そうしてしばらく水路を入り組んで進んでいった後に、途中の船着き場から陸に上がり、石畳の路地をすたすたと進んでゆくちうたんを慌てて追いかけた。道順を完全に覚えているらしき彼女とは違って、俺としては何もかもが物珍しい風景ばかりで、ちょっとばかり目移りしてしまう。お陰で付いていっているだけのはずなのに迷ってしまいそうになる。

 というか、すれ違う人の中に亜人っぽいケモミミとか褐色肌の子供とか角付きの幼女とか、なんか色々と十人十色すぎる人種がすれ違っていったのが目に映った。あれか、先ほどちうたんの言うてた『選別』とやらの結果が、この風景なのか。

 

 

 

「……随分と様々な人種がいるな」

 

「そりゃあそうなるために作った街だからな。人類の新天地じゃなくて、心の余裕を持つための世界が今のこの星だ。ただの人間が数を蔓延らせるためだけの土地なんて用意されてねーんだよ」

 

「あーそーかい……。つうか、ふと思ったんだけど今の総人口ってどうなってるんだ? 医療技術とか延命技術とかも発展してるんだろうし、亜人を含めるととんでもない数になりそうなんだけど……?」

 

 

 

 現状が幼女の姿だからか、彼女の言い分はかなりシビアで。むしろ一般人を若干排斥している節も伺えたのだが、まあそこは触れないつもりで話を続ける。

 ついでに気になったことを振ってみることにした。

 話題づくり、という意図しかなかったのだけど、ちうたんは歩を緩めることこそしないものの、少しこちらを警戒するような視線で見上げてくる。

 

 

 

「……お前と話しているとなんか変な感じだな。まるで100年前の誰かがタイムスリップしてきたみたいに現代の常識が欠如してるんだな、お前」

 

 

 

 ぐ、鋭い……。

 でも疑われるのも仕方がないか。

 

 

 

「こちとらあのデブのお陰で色々情報不足でね」

 

「あー、まあいっか。今の総人口は地球が32億、月が18億、火星が7億、金星は不明、ってところかな。亜人も含めて」

 

 

 

 ………………あれ? 100年前の総人口って70億くらいじゃなかったっけ?

 亜人含めても合計で57億……。減ってる!?

 

 

 

「お、俺の知る総人口より随分少ないんだな……」

 

「妥当だろ。まあ仮にお前の常識が100年前のものだと仮定するけど、その100年の間にも色々とあったからな。事件とか事故とか。大量虐殺をする馬呑吐みたいな奴だっているし、これだけ生き残っているだけでも充分だろうよ」

 

 

 

 最早開いた口が塞がらない……。

 確かにあのデブは大量虐殺の常習犯に見えたけれども、それにしたってあれ一人で13億もの人口を減らせるわけはないだろうから、やっぱり俺の知る以外の理由もあるのだろう。魔法世界人が全部で12億だったはずなのに、それが加わって減るとか何が起こったのかと問いただしたいところでもあるけれど。

 

 

 

「ネギ=スプリングフィールドは何をしていたんだよ……」

 

「あ?」

 

 

 

 思わず呟くと、今度こそ変な目で見られた。

 何を馬鹿なことを口にしているのか、という視線だ。前世でもよく向けられたからわかるわー。

 でも、理由が思いつかない。

 

 

 

「……? 俺、なんか変なこと言ったか?」

 

「……なんでそこでその名前が出てくるんだ? あ、いや、近衛の苗字だとすると近親者の可能性もあるから、可笑しくはないのか……?」

 

 

 

 ……そうだ、そこも聞きたかった。

 近衛家が断絶しているってどういうことですか?

 

 胡乱な目を向けられたまま、後は何も口にせずに突き進むちうたんを追いかけて。

 たどり着いたのはなんでもないような、街並みの風景にすんなり収まっているようにも感じられる、そんな一軒の家だった。

 

 

 

「さて、ここまでくればもういいだろ。アタシは帰るから、あとは任せた」

 

「は!?」

 

 

 

 リンゴーン、とベルを鳴らして出てきたそんな言葉に思わず、言葉だけ放ってそのまま立ち去ってゆく幼女様の肩を慌てて掴んだ。

 つうか返事も待たずに帰りますか普通!?

 

 

 

「離せよ」

 

「待って待って待ってちうたん! 知らない人相手に俺に何をしろと!? というか此処まで来たのでしたらご紹介くらいしていただけませんかねっ!?」

 

「めんどくせぇ。却下」

 

「おおぅい!?」

 

 

 

 置いた手を払い除けられて、そのまま進むちうたんに追い縋る。ちょっ、本気で帰る気だよこの人!

 

 

 

「お前をより詳しくスキャンしてくれる奴がそこに住んでるんだよ。正直、僵尸でも生者でも死者でもないお前の扱いなんて誰にも決め兼ねるのが現状だからな、どういう類なのかを己で知るのにもいい機会だろ? つかそれが目的で此処まで来たんだけどな」

 

「だからそれに為るのはいいとしましても! せめて紹介を! 俺が一人で此処にいたりしたら普通に不審者じゃないか!?」

 

「あー」

 

「そこは否定して!?」

 

 

 

 納得した表情で頷く、そんなちうたんにはちょっと賛同できないしたくない。

 それよりもなによりも、せめて一人は間に挟まってほしいなと、前世では人見知りでした俺が必死で焦っております。マジで。

 

 

 

「まあ、大丈夫だろ。一応はメールしておいたし、何よりお前の会いたがっていた奴がそこにいるからな」

 

「……会いたがってた、やつ?」

 

 

 

 気になる言葉と共に開いた玄関の扉から顔を出したのは――、

 

 

 

「――ふん、そいつが例の小僧か」

 

 

 

 ――真祖の吸血鬼。しかも幼女Verであった。

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 ある程度想定はしていたけど、エヴァって火星に住んでたんだな。まぁ亜人とか普通に受け入れている社会が出来上がっているみたいだし、地球じゃ吸血鬼筆頭兼極悪犯罪者が大量虐殺してるし、住むところが限定されるのはある意味仕方がないことなのかも。“雪姫”というのはどうやら俺と原作者さんの幻想でしかなかったようだ。

 というかいきなり対面させられて大丈夫か俺! 相手は曲がりなりにも『悪の魔法使い』だぞ!

 いや、今もそのままとはあんまり思えない雰囲気だから、まだこっちも平然を装えているけれども。そんなことよりも原作知識を勝手に読み取られませんように、とさっきから必死で祈っている俺がいる。タスケテ。

 

 

 

「まあ、楽にしていろ。今家族は出かけていてな、帰ってきたら用事も済むさ」

 

「は、はい、了解しました……」

 

 

 

 家族ってどなた? 茶々丸とか? でも原作じゃ今の時期なんか茶々丸とも別れている、見たいな描写があった気がする。

 い、いや、忘れろ俺。あれは二次。公式の二次。今目の前にいるものに対応するには余分すぎる情報なんだっ!

 

 

 

「え、えーと、ちうさんからは、なんて説明受けてます?」

 

 

 

 アドバンテージがまったくない上に、無言でいるのも苦痛なので話しかけて話題を広げてみようと試みる。

 

 

 

「なんでも記憶喪失気味の半死者か僵尸もどきだ、とか? 馬呑吐に唆されて私のニセモノと一年ほど共同生活をしていた、とも聞いたな」

 

 

 

 うっおぅ……!

 ちうたん!? ちょっと暴露情報が偏りすぎてませんかねぇ!?

 

 あんまりいいイメージがもたらせられていないことを認識し、

 

 

 

「で? 本物と比べて、どうだ?」

 

 

 

 地雷級の質問を投げかけられましたっ!!!

 

 やだぁああああ! この人マジでどSだぁああああ!?

 自分とそのニセモノとの比較を目の前で検証させるとか! 下手な答えをしたら今後どうなるかわかったもんじゃないYO!

 なんで帰っちゃったのちうたん! そんなに俺といるのが苦痛でしたか!? だったらゴメン! 謝るからすぐに戻ってきてぇえええええ!?

 

 応えられずに顔を背けるのも限界になってきていた頃、玄関のドアが普通に開いた。

 

 

 

「ただいまー。あ、お客さんか? おいエヴァ、あんまり子供を苛めんなよ?」

 

「苛めていないさ、からかっていただけだ」

 

 

 

 そんな会話をしながら、普通に家中へ上がってきたのは、他ならぬちうたんで。

 つうか、普通にメガネの、大人Verの。

 

 ………………………………………………え?

 

 

 

     ×   ×   ×   ×   ×

 

 

 

 あの後、雪崩れ込むように明日菜とかこのかとかせっちゃんとかアキラとか亜子とかゆーなとかのネギまキャラが“帰って”きて、目を白黒している間に知らない男子、というかアーチャーみたいなどう見ても転生者だろお前、な奴も帰ってきて。ちうたん(大人)の原作とは若干違うアーティファクトで俺の身体をスキャニングして調査されたわけだけど。

 ……なんかもう許容量オーバー過ぎて自分のことなんかどうでもよくなってきたな!

 魔法が使えない原因とか、俺がネギとせっちゃんの子孫だったとか、何故かこのかさんに殺されかけたりとか! 色んなことが起こりすぎてリアクションしきれねぇや!

 もうどうにでもなーれっ☆

 

 




~近衛刀太(疑問)
 膂力にブーストを掛ける身体強化術式が組み込まれた人工アーティファクト『天狗の大団扇』を核として埋め込まれた少年。発動は彼自身の魔力循環によって自動的に発動し、発動している限り他の魔法は扱えず、また彼を生かしている。なので、取り外すと死亡
 色々思うことはあるだろうけど、強く生きろ

~ちうたん
 ロリVerは電子精霊状態。大人Verは顕現英霊状態。それぞれが別個に存在しているのだが、敢えて己自身に遭遇しないようにお互いに無意識下での棲み分けを指向している模様
 アーティファクトは学祭時に烏丸と契約した世界線のもので、『力の王錫』とは別物。スキャニングに特化した代物らしい。あ、英霊状態での年齢はIFの7で登場時の年齢です

~神楽坂ご夫婦
 そらはランサー、明日菜はセイバー。なんだこの近接戦闘特化型最強夫婦
 そらが槍兵で召喚されたのは学祭時に帝釈回天装備したからでわかるとしても、明日菜が剣士なのが関係者各位未だに謎。多分別世界線の明日菜に準拠しちゃったんじゃないかね
 ちなみに二人とも学祭時、つまりは中学生時の姿で顕現中

~近衛ご夫婦…夫婦?
 このかの騎乗宝具として別個に召喚されたのがせっちゃん。乗り回すんだ(ベルレ…)! 生前では風乗配達人として火星を飛び回っていたとかなんとか
 こちらは火星に来てからの姿なので普通に大人。しかして、その姿でそらに度々迫る姿が目撃されるせっちゃんにはショタコン疑惑がご近所から浮上中

~アキラ・亜子・裕奈
 三人とも火星開拓時代現役時の年齢で顕現中。大体20代前半の若い身体
 アキラは元水先案内人の最長寿見習いとして今も現役。会社は『おれんじぷらねっと』で某オール捌きの天才の下に就いて修行中
 亜子と裕奈は何故かアイドルとしてユニットを組み活動中。三人組なのだけど、あと一人のウサミン星人と名乗る少女の実年齢は未だに謎
 
~ネギ
 彼が40くらいの頃にセクハラで退職したとかry
 別にこの世界線においては英雄でもなんでもなry



今更ですけど、続編投稿してます

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