ネギまとかちょっと真面目に妄想してみた   作:おーり

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『じつはもうちょっとだけ続くんじゃよ』

 

 拝啓、顔も名をも知らぬ母上様。草葉の陰かお空の上か、はたまた擦れた都会の片隅か、俺の与り知らぬ何処彼処かでお元気でやっておるのでしょうかふぁっきゅん。

 俺は現在お空の上を高速飛行中です。敬具

 

 と、誰とも知れぬ人物に手紙を脳内で送るくらいには混乱中の現状。脳内手紙に書き入れたように、ワタクシ烏丸そらは雪広の所有するジェット機によってイギリスへと旅客の真っ最中であったりもする。

 こうなった起因はネギ少年の家出。そしてそれを迎えに行けと、無茶振りを果たした学園長の命令が発端となる。

 

 期末テストが終わって、何故か悠々と久方振りに学園へと現れた好々爺の福禄寿様はそれまでどこで何をしていたのやら。ネギ君が麻帆良を出立して既にいないことを学校にやってきて初めて知ったという話。

 彼の遺していった文書によれば『魔法学校の最終課題をこなせなかったので一から出直ししたく、このまま教師を続けるには自信も無くなった』とかなんとか、なんだか餓鬼が生意気言ってんじゃねーよと言いたくなるような遺言もとい手紙。一通り意訳で読んでから学園長に手渡すと今回のこれに繋がったというのが事の次第であった。

 

 当然ながら何故俺が、と言っては見たものの、英雄の息子に直接関わっていた魔法関係者では、高畑先生が出張でいない今顔を知るのは俺程度。それ以外をおいそれと麻帆良の外へと出張に行かせるには理由を作り難く、外聞としても無茶すぎる。

 というか、恐らくは魔法使いの『本国』辺りに合わせる顔が無いというのが本音なのだろうなー。

 預かった英雄の息子が家出で実家へ帰るところを見逃したって言うのは、確実に学園長の監督不届きってなところだろうし。

 

 まあ、俺としてもネギ君にはまだ用事もあったことだし、迎えにいく程度なら問題ないだろうけどね。旅費とかは学園長のポケットマネーで賄ってもらっているし。急遽の休みとなったバイトや単位問題なんかも色々手を出してくれるのならば、さすがに断りづらいところがあるというものである。

 ……ちょっっっと、がめつ過ぎたかもしれない。プチ反省。

 

 

   × × × × ×

 

 

「え、いない?」

 

 

 件の魔法学校へとやってきた我らを出迎えてくれたのはネギ君のお姉さんだというネカネさん。なんだか髪を下ろした明日菜をおしとやかにしたような外見の人である。似すぎててワロタ。作者の画力不足だろーか。

 

 

「そうなのよ、ごめんなさいね

 ネギってば帰ってきたその日に旅に出ると言い出しちゃって

 当然反対したのだけれど、なにをどういう風に考えているのやら……」

 

 

 なんだかご近所の友達の少し若い母親のような台詞で答えてくれるネカネさん。ネギ君は変わらずイクエ不明だというにもかかわらず、どこか暢気な言い分にも聞こえないことも無い。

 ネギ君はというと、修行のつもりなのだろうか。魔法学校に引き篭もるのではなく、見聞を広めることを目的としているようにも思える。

 

 

「今学校のほうでも探してもらっているから、行き先がわかったら迎えに行ってもらえないかしら?」

 

 

 RPGのような展開になってきた。いや、確かにこちとらソレが目的だったから、特に気にする気もないですけれどもね?

 

 

「ところでそちらの娘たちはあなたのガールフレンド?」

 

「いえ、ネギ君の受け持っていたクラスの生徒と、内二人がルームメイトです」

 

「あら~、そうなの………………?

 えっ?」

 

 

   × × × × ×

 

 

 ちなみに、わざわざイギリスまでやってきたのは俺だけではなく。

 ついてきたのはいいんちょである雪広を筆頭に、ルームメイトの明日菜にこのか、図書館探検部でかつネギ君のことを気にしているという宮崎についてきた綾瀬と早乙女。そして何故かいるのが茶々丸だったりする。

 なんで?

 

 

「マスターより、そらさんがそのまま麻帆良からいなくならないように見張っていろ、とのことです」

 

「えー

 そんなつもりはなかったけど、エヴァ姉のキャラのぶれ方のほうが惨事じゃね?

 そんな直接的なことを言うお人ではないでしょ」

 

「なんだか色々と言い訳めいたことを口にしつつも私を同行させることは確定事項だったご様子でしたので、本意を意訳して濃縮還元いたしました」

 

 

 いい性格してるわ、このロボ。

 

 

「お姉さんってけっこう常識人なのねー

 同じ部屋になったことを謝られちゃったわ」

 

 

 ネカネさんに平謝りされていた明日菜とこのかが戻ってきた。

 それはお前らもネギ君も直接は関与してない問題だと思うんだけどな。悪いのは多分学園長。

 男女七つにして云々、の貞操観念を抱えた常識的なお姉さまであったようである。悪いのは多分学園長。

 

 

「で、お姉さまは、あー雪広となにやら話してるな

 もうちょっと掛かりそうかね?」

 

「多分ね

 しっかし、ネギも何でいきなり家出とかするのかしらねー」

 

「色々あるんだよ、男の子にはさ」

 

 

 雪広を筆頭にした2-Aガールズがついてきた理由は偏にネギ君を連れ戻しにきたことになるわけだが、このメンバーは今のところネギ君が原因で魔法バレをしていることも無い、一般的には常識人の範疇の六人。

 最初に雪広に迎えに行く云々がばれたのが拙かった。

 気がつけば2-A中に広がる薬味少年捕獲指令。春休み中の都合とかが合わなかったらもっと大人数になっていたやも知れない。

 その癖表舞台に立たせたいメンバーとは都合がつかない現実。和泉とか。

 もっとがんばれよ! そんなんだからお前原作でも影が薄いんだぞ! サッカー部のマネージャーとかやってる場合かよ!

 

 ……ところで、この状態で魔法バレすることになっても俺がどうこう言われる義理は無い気もする。そもそも俺は魔法生徒と違うし。魔法使いの国にはなんの義理もないし。立派な魔法使いとかしらねーし。

 もっと細かく掘り起こせば、エヴァ姉と同じカテゴリに属するんじゃないのかね、俺って。

 

 

「ところで、この学校は一体どういう大学なのでしょうか……? めるでぃあな、という名の学校など聞いたことも無いのです」

 

 

 おおっと、いきなり地雷を踏む気かい、デコ助探偵。

 

 

   × × × × ×

 

 

 そういえば外国に来て、というより、麻帆良を出立して気づいたことが一つある。

 麻帆良を出てからこっち、俺の障壁が顕在化していないのだ。

 

 憶測だけど、麻帆良は学園結界を常時張っていたからそれに反応して俺の障壁がバリ三だったのではないかと思う。

 麻帆良を出て、成田に来てから茶々丸に言われて初めて気づいた事実。

 というよりそれ以上に茶々丸の外見が目を引きすぎていたが。個人所有のジェット機でなかったら、絶っっっ対に国を出れなかったと思う。パスポートの年齢とかも、茶々が一番アウトだったしね。

 

 話を戻すが。

 麻帆良はそれだけ無茶苦茶な学園結界と認識阻害を重ねがけしていたというのが事実なわけで、こっちのメルディアナ魔法学校は意外とそうでもない、というのが本日のいちビックリ。

 え、なに。麻帆良ってそうまでして日本になくちゃならない学校なの?

 今更ながら、麻帆良の『無理を通して道理を押し込める』感が強すぎて、逆に引く。

 世界樹とかが問題になるなら、いっそ引き抜いちゃえばいいんじゃないかなー、とも思うのだけど。絶園の樹ってわけでもないんでしょ? あれって。

 

 

「で、なんでしたっけ?」

 

「えーと、ですね……

 どうも……、ネギ君は本国に密入国した疑いがありまして……」

 

 

 はい、現実逃避しゅーりょー。

 

 なにやってんの、あの子……。

 

 色々調べてくれたお姉さんに愚痴るつもりも無いけれど、ちょっとため息が出るのは仕方がない。

 ……俺、本国にまで行かなくちゃ駄目……?

 

 

   × × × × ×

 

 

 魔法使いの国、通称本国。

 魔法使いではない人間、ちょっと専門用語的な言い方をすればマグルとかいう人らが治めている世界を旧世界と別視し、そちらとの時間のずれが多少ある、ということでこの世界での活動限界時間はもう少し余裕をもてそうである。

 なので、こんな事態でも慌てず。騒がず。

 

 

「……いつの間についてきた、お前ら」

 

『てへぺろ』

 

「おねーさーん、こいつら今すぐ強制送還で」

 

『ちょ、待って!』

 

 

 くそっ、めんどくさいことを増やしやがるぜ。

 こちとら魔法世界に初めてやってきた記念に「本国よ! 私は帰ってきたーっ!」とか無意味に絶叫してみたかったって言うのに!

 ネタを封殺するとか人間のすることと思えない。

 

 まあ愚痴っていても仕方がないので、せっかくなので魔法について真実について、茶々丸の補助も相俟って簡単に説明する。

 

 実はネギ君は魔法使いで、その世界においては英雄と称えられる者の息子で、将来を有望視されて麻帆良にて修行にやってきていたのだよ!

 

 Ω ΩΩ≦ナ、ナーンダッテー!!!?

 

 ノリのいい奴らである。

 

 

「って、どうしたこのか

 なんか面白いものでもあった?」

 

 

 一人入国管理室備え付けの映像媒体を見上げていたお嬢様にハナシを振ってみれば、

 

 

「……ネギ君?」

「はい?」

 

 

 思いもよらぬ名前が出てきて目を向ける。

 

 

『さぁ! 英雄と一字違いの新人拳闘士ネギ=スプリングフィールド選手! 本日も快勝だー!

 お次はどんな戦いを披露してくれるのでしょう! 実に楽しみです!』

 

 

 ………………、えー……。

 年齢詐称をやっているように見えるけれど、確かに薬味少年。十六歳、くらいか?

 

 ………………本当になにやってるの、あの子……。

 

 




~拝啓・敬具
 そらの出自が初めて明るみに! やったねそらくん! ツッコミが増えるよ!

~久方ぶりに現れた好々爺の福禄寿
 学園長ゴーレムは遠隔操作で操っていた、という解釈をする人らがいる中で、あえてアレは着ぐるみだったという説を推してみる。
 放置プレイ余裕でした。

~ツッコミどころ満載のネカネさんの外見
 おいやめろ。

~魔法生徒はついてきませんでした
 結果お嬢様が本国へ旅立つ始末。
 せっちゃんェ・・・。

~悪いのは多分学園長
 大事なことなので二回言いました。

~亜子をメインヒロインにしたい計画
 もっと熱くなれよ!

~出国管理
 ちゃちゃまる・にさい。

~世界樹批評
 そもそもどういうものかをしっかりと見極めていたようには到底思えない魔法使いたちの世界樹の扱い。最終巻でも明かされなかった謎が多々あるネギまで、今更どうこう言われても特に痛くないのですけれど、真面目にやるならもっと平和的に考えようよ……と、そらには言いたくもあるのが現実。
 実はこれまで二・三作品くらいネギまを元に二次創作を構成していたのだけれど、そのどれもが結果的に世界樹を消滅させたというそれどこのカタストロフィとツッコミを入れたくなる内容。書かなくてよかったのか悪かったのかは俺も知りません。

~マグルとか
 それハリポ(ry。


十九話でした。元は三話ぐらいのハナシでした。詰め込みすぎました……。早く魔法世界に行きたかったんだ。『僕は悪くない』

最終話とか言うノリがどこまで通用してたのか、この先の展開が想定つかない現状です
有名マンガだってもうちょっと続くとか言いながらZまでいったじゃないですかー
これからが本番ですよーやだー(泣

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