東方渡世抄 〜現実と幻想の境界〜 【更新停止】 作:小鳥戦士
少女は自分の部屋の机に突っ伏していた。
知ってしまった事実。
認めたくない事実。
それを知った時からずっと、自分がどうかなってしまいそうで怖かった。ただただ泣く事しか出来ない自分が情けなかった。
もはや自分に出来る事はない。
探す為の手掛かりも無い。
二次元の世界なんて行けっこ無い。
..................いや、最後の手段がある。
「私が死ねば........蒼刃くんの所に行けるかな.......?」
“転生”
それは死んだ人間を新たな命として生き返らせる手段。
彼女はなんどもなんども調べた。その結果、膨大な知識を手に入れた。転生とは何かから始まり、転生が題材の二次創作をなんども読んだ。
だから彼女は死ぬ事に希望を見出している。いや、それしか希望は残っていないのだから、それに縋るしかないのだろう。
「転生.......蒼刃くんの所に転生.......」
その希望は、少女の心を折るには十分だった。
彼女は何かに取り憑かれたようにブツブツ言い始める。
そして壊れ、壊れ......壊れ......
ピーンポン......パーンポーン!
その時、少女の崩壊を遮る様にインターホンが鳴る。
今は夏休みだ。生徒達は各々の生活をしているだろうからまず来ないだろう。恐らく親の仕事先の人とかだろうか。
「........誰?」
この家には今は澪しかいない。しかし、彼女にはチャイムに応対出来る程の気力は無い。むしろ鬱陶しい位だ。
「あれ〜?いないのかな.......?澪〜⁇」
その時、外から彼女を呼ぶ声が聞こえてくる。
その声は、彼女がよく知る親友の女の子の声だった。
「あっ.........ッ‼︎」
私は玄関に向かって走り出した。
正直もう限界だった。蒼刃くんが死んでしまった事を知ってしまった時からずっと。
もし。もし彼女が覚えてなかったら私は壊れてしまう。
バタン!とドアを乱暴に開け、息を整えながら相手を見据える。
「おぉう⁈ど、どうしたの澪?見事に泣いてんなぁ......」
「沙羅ちゃん......ねぇ、覚えてるよね.......?口の悪くて.......いつも私をいじめて、いつもぶれない私の幼馴染の事.......沙羅ちゃんは忘れてないよね?」
「⁈........そいつの名前は?」
沙羅ちゃんは少しおどろいたような素振りを見せ、訝しむように詳細を求めてくる。
私は素直に答えた。覚えてくれてる事を信じて。
「うん.......望月蒼刃。私の幼馴染だよ?」
「.......そっか。うん、覚えてるよ?いっつも澪の事いじめてたもんね。」
覚えていた。私以外に覚えていた。その事実は壊れかけていた少女にはこれ以上ない良薬だった。
安心したのか、澪はまた泣き出してしまい、沙羅ちゃんに抱きついた。
*******************
〜澪side〜
「でも、なんで覚えてるの?みんな蒼刃くんのことを忘れてるのに......」
「ごめん、それはわからないんだよね......実際手がかりは無かったんでしょ?」
「うん......」
あの後私達はとりあえず外は暑いという事で私の部屋に避難することになった。
なんで沙羅ちゃんが来たのかは置いておいておく。夏の攻撃から身を守るのが最優先だ。
そして、何故二人して蒼刃くんを覚えているのかの話し合いが始まった。
最初は何故蒼刃くんがいなくなったかの話になり、最終的にわからず終いとなった。
そして、沙羅ちゃん。正直私もなんで覚えてるかわからないけど、あまり蒼刃くんと接点が無かった沙羅ちゃんが何故?
「私は......なんて言うか......うん、わかんないや。」
無理も無いと思う。だってなんの前触れもなく、なにも手掛かりもなく消えたのだから。
「でもさ澪。変なこと言うかもしれないけどさ。」
と、沙羅ちゃんは何かわかったのか、私に話しかけてくる。今の状況でなにか言ってくれるのはありがたい。
だけど、沙羅ちゃんが言った事は、常識を覆す発言だった。
「なんかこの現象......アニメとかでよくある敵の陰謀〜!ってやつ見たいじゃない?まず望月だけ消えるとかあり得ないし......『消された』とか?」
「ッ‼︎」
消さ......れた?いや、なんで?
「どうして?どうして消されたの⁈蒼刃くんは......蒼刃くんはなにも悪いことしてないじゃ無い‼︎なのにどうして......ッ‼︎」
「おおお、落ち着けって澪!そんな事あり得ないだろ⁈まさかの話だよ!」
「......ッ!うぅ......‼︎」
(思った以上に病んでんな......負の感情が痛い位突き刺さる......)
「あっ、そうだ!なな澪?お前達って○○市にすんでんだよな?」
「うん......私と蒼刃くんは寮に住ませてもらってるから......」
私達の住む地域は、現在通っている碧高からかなり遠い。その為学校が提携している寮に住んでいる。ちなみに隣の部屋は蒼刃くんの部屋だ。なんでも男子寮と女子寮に分ける事が出来なかったらしく、一つの建物に詰め込まれている。偶々男女の寮の境界線に住んでいるだけだ。
「だったらさ、探しに行こうぜ?望月の手掛かりを......お前達の故郷に!」
この数日の間、確かに故郷には行ってない。なら探しに行くのはいいかもしれない。それに、今は夏休みだ。ちょうど2週間後に帰る予定だったのだからなおちょうど良い。
かくして始まる私達の捜索活動。
私の故郷には一体何が待っているのか。
それでも止めれない。絶対見つかるって、信じてるから。
はい、部活終わりの電車待ちの中からこんにちは。小鳥戦士です。あっ、電車来た。
いや〜久しぶりに投稿した気がします。実際久しぶりですが。とりあえず今回で現実の章第一は終わりです。
あまりにも早すぎる気もしますが今更気づいたこの現実。これ以上進めると幻想の章にかなり負担と矛盾が生じることに。一応幻想がメインですし、ある程度話も流れも握りたいんですよね。
さて、次回からはお察しの通り幻想の章第二......と行きたい所なんですが......タイミングが悪くもテスト期間なんですよ。実際今もテスト期間真っ最中なんですがね。
なのでまた編集する時間が無い‼︎
下手したら次は来年.......なんてことも。出来るだけ編集時間を増やすので次回もよろしくお願いします。
では皆さんさよなら。
そして一応言っときます。
メリークリスマス&良いお年を!