東方渡世抄 〜現実と幻想の境界〜 【更新停止】 作:小鳥戦士
溜めに溜めた今回、かなりベタになっております。
とりあえずどうぞ!
あの後霊夢に連れ出された俺は、とりあえず縁側にいた。
ほとぼりが収まるまでとりあえずお茶でもどうぞと言われた。どうも八雲紫は歳を言われるとスキマで消されるらしい。
うん、知ってた。だからわざと二十歳なんて言ったんだよ。何度も動画とか二次創作で見たからな。
「で?何について聞きたいのかしら?まあ大方幻想郷についてだと思うけど。大丈夫よ。全部教えるから。」
「おっ、そうなのか。それはありがたい。」
だが、その原作知ってます的な事を彼女らに言ってはならない。別に言ったらあちら側の存在が消えるとかは無いと思う。だがかなり混乱を呼ぶし、さっき魔理沙がそうしたようにかなり疑われる。
関係を悪化させずに穏便に幻想郷ライフを過ごすならそうするしか無い。
〜少女説明中〜
「まあ、大方そんな感じよ。」
幻想郷の設定については調べてくれ。語りきれん。
「サンクス。助かったぜ。」
ズバンッ‼︎
「うぉっ⁈」
な、なんだ?
「......戸は静かに開けなさい。魔理沙。」
「ハァ.....ハァ.....わ.....悪い、余裕なかったぜ。」
なんだ、魔理沙か。服がボロボロなのと、汗をかいているの見ると八雲紫と弾幕ごっこになって......
「負けたんだな。」
「.......いま絶対内心笑ったよな?今から私と戦うか?」
イヤー?笑ってませんヨー?(棒読み)
魔理沙は勝負に負ける事が嫌いなようだった。
******************
結局あの後強引に魔理沙に弾幕ごっこを仕掛けられそうになり、途中スキマから出てきた八雲紫が出現、魔理沙を俺の事情を聞いてからといい止めてくれた。
でも勝負は止めないゆかりんスタイル。さすがです。
でもって俺は、何が起きたかだけをみんなに説明した。
「.......俄かには信じられないわね、その現象。幻想郷でもそんな事は起きないし。」
「紫、あんたがスキマで攫ったんじゃないの?」
「あら霊夢。そんな疑心暗鬼にならないで頂戴。今回に関しては私は関わっておりません。」
「.......いつもは攫ってるんだな。」
「あら、口が滑りましたわ。」
「おい3人共、話がズレてるぜ。」
まあ、反応は淡白だよな。八雲紫に関しては少し驚いて原作設定では珍しく口が滑ってるが。
ただやはりこの現象に関しては有力な情報がなかった。まあ分かっていたことだ。原作に、いやこの世界に『転生』なんてものは無いのだから。
とりあえずここからは去りますかね。
「みんなありがとう。ここからは自分でなんとかする。みんなに迷惑掛ける訳にはいかないからな。じゃあな。」
「待ちなさい。あんたどこでこの後寝るの?」
「そうだな、野宿の心得はあるから心配いらん。」
なんどか経験あるしな。
「いやダメだろ⁉︎外には妖怪がいるんだぜ?お前みたいなやつはチンチクリンだからあいつらにとっては大好物だぜ?」
「.......ゑ?なにそれ、え?妖怪ってロリコンなの⁇」
「ろり?いやなにかは知らんが子供の肉の方が美味いそうだ。だから子供はおとなしく家に帰れって話だぜ。」
酷い話である。いきなりショタ化してしまった為に妖怪が好きです食べさせてください(物理的な意味で)状態に陥りやすいらしい。やっぱ新鮮なのかねぇ。
「はぁ......やっぱりこうなるのね。いいわ、博麗神社に残りなさい。しばらく泊めてあげるわ。」
「およ?いいのか?」
「えぇ......その代わり雑用やってもらうから。」
霊夢はいやそうな顔をしながらも了承してくれた。
いやはや助かった。もし追い出されたら大変だった。
とりあえず、幻想郷でのあれこれは安泰らしい。でも、元々はここの住民では無い。しばらくはここで過ごすとして、元の現実世界に帰らなければならない。何故転生したのかも謎のままだ。二次創作でよくある神様との遭遇とかなかったし.....どゆこと?
ーーョット
ん?なんだ?
「ちょっと、あんた聞いてる?」
「あ.......悪い、ちょっと考え事してた。んでなんだった?」
いかんいかん、考え過ぎると周りが見えなくなる癖治ってないな
「スペルカードよ。」
「へ?」
「だから幻想郷に住むなら弾幕ごっこ用のスペルカードの一枚か二枚はあった方がいいって話よ。」
スペルカード。それは幻想郷における決闘、弾幕ごっこの切り札となる必殺技。通称スペカ。
スペカにもバリエーションがあり、拡散的に広がるやつだったり、ビームだったり武器だったり。
スペカは人それぞれの考えや想い、想像で作られるため、無限に近い種類がある。
「えっ?くれんの?」
それに蒼刃が食いつかないはずが無い。今彼の心理状態を説明するならば.......
(やばやばやばやばやばやばやばぁぁぁぁぁぁ!!!え?え?作れんの?作れんの⁈俺だけのスペカが作れんの⁈ヒャッッッハァァァァァァ!!!どうしようなに作ろうマスパみたいなやつかな後は夢想封印かなでもでもオリジナルなやつとかつくりたいしでもああどうしよう‼︎)
お祭り状態であった。
「え、えぇ......」
その表情はなにか欲しい物をキラキラした目で見る子供のようで、実年齢を知っている霊夢にとっては
(うわぁ.....私より歳上でこれはちょっと......いや、現代には弾幕やスペカ、能力がないらしいから.....だれでもかしら?)
ちょっとだけ引いて現代に対して少しだけ興味を持った。
(だけど.....一応歳上なのに子供ぽいって.....心はまだ幼いのかしら。)
そして少しだけ蒼刃を理解した気がした霊夢であった。
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さて......とりあえず霊夢にスペルカードの元となる白紙の紙を貰った俺は、魔理沙に勝負を挑まれた。彼女曰く
「幻想郷に住むなら弾幕ごっこは必須だぜ。だから私がレクチャーしてるぜ!」
とのこと。まあ一度練習したかったし丁度良いかと思いその勝負を受けた。ただし大事な事を俺たちは忘れていた。
「そういやあんたって飛べんの?」
「へっ?......あ。」
そう、俺は飛べないのである。まあ飛べないのは普通でしょ。だって人が飛ぶなんてねぇ?空想上の技術だしそもそも二次創作にしかあり得ない。いくら俺が二次創作の世界、なおかつ空を飛ぶのが日常茶飯事の東方の世界に来たとしてもだ。つーかどうやって飛んでんの?
「まぁ仕方ないしなぁ.....俺は地上で。魔理沙は空中からでよろしく。ちなみに高さは博麗神社の屋根くらいの高さで。」
「......いいのか?それお前に凄く不利に働くぜ?」
「いやレクチャーしてもらうんだ。それくらいがちょうどいいだろ?それに.....」
そして彼はニヤリと口元を綻ばせてこう言った。
「戦うならヒリヒリしたやつじゃないとなぁ......!」
まるで、心から戦う事が好きなように。
「ッ‼︎......へへへ。いいぜ、なら手加減無しでやってやるぜ‼︎」
弾幕ごっこの達人と呼ばれる魔理沙にも、この殺気にも似た気配を感じたらしく、身震いをするが好奇心と負けず嫌いが功を制し、逆に楽しみになった。
「.......」
霊夢は敏感に感じた。蒼刃の表情に一瞬だけ影が刺さったことを
「早くやろうぜ魔理沙!」
蒼刃はとにかく始めての弾幕ごっこで興奮気味だった。
「望む所だぜ!」
魔理沙はイレギュラーの蒼刃の実力に心を躍らす。
「いくぜ魔理沙!」
「よっしゃ!こい‼︎」
それぞれの考えや思いが交錯し、ここに戦いの火蓋が切られた。