自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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所でタイトルの元ネタわかる人いるのかな?

そしてアンノウンの正体が分かってもスルーでお願いします まあ、分からんとは思うけど


第八話

堕天使の総督であるアザゼルは執務室で頭を抱えていた。事の発端はヴァーリが最近出来たという友人から貰ってきたお菓子を食べた後の事。何時も通りに仕事を持ってきた副総督のシェムハザの言葉に彼は固まった。

 

「今度はサボるなよ、『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)』総督」

 

「おい、コラ。それは口にするなって言っただろうが」

 

「何を言っているんだ? 『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)』総督」

 

 それはアザゼルの厨二病時代に妄想した神器の名前。大戦時はミカエルにその時のレポートをばらまかれて恥ずかしい思いをさせられたのだ。だからもう口にするなと言い含めておいたのだがシェムハザは平然と言い放つ。少し切れたアザゼルが立ち上がると騒ぎを聞きつけた部下が入ってきた。

 

「どうかされましたか!? 『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)』総督!」

 

「皆!『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)』総督とシェムハザ副総督が喧嘩だっ!」

 

「『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)』総督、落ち着いてください!」

 

 この時になりアザゼルは妙だと気付く。流石に平然とし過ぎなのだ。昔馬鹿にされたときは皆笑いながら言っていたのに、今回は本当に普通に『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)総督』とアザゼルを呼んでいる。

 

 

 後日、食べたお菓子に仕込まれた術式で堕天使が自分の名前を呼ぶときは『閃光と暗黒(ブレイザー・シャイニング)の龍絶剣(オア・ダークネス・ブレード)総督』と聞こえる様になっていると知った。

 

 

「その友人? パンダのキグルミを着た奴だが?」

 

「……やっぱりか。こんな事しやがるのはアンノウンしか居やしねぇ」

 

 

 

 

 バギーは新校舎に向かって走り、その運転からは安全運転という言葉など抜け落ちている。いたる所で障害物にぶつかり、段差を飛び越えていく。一誠は振り落とされないようにしがみつくのが精一杯だった。

 

「……っ! あの、オーフィスさんは免許は……持っていませんよね。それにこのバギー、一体何処から?」

 

 何とか話す余裕のある小猫はそう尋ねるがオーフィスは振り返りもしないで抑揚のない声を出した。

 

「我、ドラゴン。人間の法律、関係ない」

 

 人間の法が裁くのは人間のみ。故にオーフィスが無免許運転で捕まる事などありえない。

 

「ちなみにこのバギーは君達が準備している間、ゲームの合間に羊羹とポテトチップスで造ったんだ」

 

「……そんな材料で造れるはずないじゃないですか」

 

「はっはっはっ! 甘いぜ、甘い、甘納豆! 僕の知り合いにはカレーでスクーターを造ったり、昨日の残り物で強力なコンピューターウイルスを作れる熊が居るんだぜ」

 

「……なる程。なら納得です」

 

 この時、小猫は重要な事を問い質していなかった。運転してイイのは分かったが、運転技術は大丈夫なのか?、と……。

 

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』三名リタイア』

 

 丁度別行動している祐斗が別の敵を撃破したらしくアナウンスが流れる。そしてバーギーは進み、新校舎が見えて来た所で建物の影から祐斗が飛び出してきた。

 

「皆、少し止まって」

 

「オーフィス、ブレーキ」

 

「ブレーキ……これ?」

 

「……へ?」

 

 オーフィスはそのままアクセルを強く踏み、バギーに跳ね飛ばされた祐斗は錐揉みしながら宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられて血の海に沈んだ。

 

『リアス・グレモリー様の『騎士』一名リタイア』

 

「我、テヘペロ」

 

 オーフィスは無表情のままウインクしながら舌を出して自分の頭を小突く。これでこの件に関する話は終わり、そのままバギーは新校舎近くの倉庫にぶつかって漸く止まる。そしてアンノウン達は倉庫の影から新校舎の様子を伺いだした。

 

「どうする? 土管から地下通路に入って向かうルートと旅の扉を使うルートとアマラ経絡を使うルートがオススメだけど」

 

「なんで学校にそんなファンタジーな物がっ!? ……いや、今更か」

 

「普通のルートでいきましょう」

 

 一誠達は悪魔でオーフィスはドラゴン。ファンタジー其のものである。小猫の提案で生徒会質から丸見えな工程からの潜入は避け、予想されているであろう裏からの侵入を決めた時、校庭の中央から声が響いてきた。

 

「其処に隠れているのは分かっているぞ! 私はライザー様の『騎士』カーラマイン! いざ誇りをかけて尋常に勝負しろ!」

 

 本来ならこのような申し出など受ける必要はない。あくまでこれはリアスとライザーのゲーム、それをオーフィスとアンノウンの活躍だけで終わらせる訳にはいかないし、それなら人数が少ない一誠達は無闇な行動は控えるべきだ。

 

 

「……気に入らないね」

 

 だが、カーラマインの挑発を聞いたアンノウンは物陰から出る。その手には無数の武器が携えられていた。

 

「ほう。パンダが最初に出てくるとはな。良い度胸……」

 

「尋常に勝負? まるで戦いが素晴らしいものみたいじゃないか。お前みたいのが居るから、お前みたいのが居るからこの世界から戦いが無くならないんだっ!」

 

「えっ!? ちょっ……」

 

 そして、アンノウンは武器の数を見て固まるカーラマインに向かって全ての武器を放つ。拳銃が、バルカン砲が、衛星兵器が、戦車砲が、ガトリング砲が、ミサイルが、ロケット弾が、ガンランスが、大弓が、十字手裏剣が、ロケットパンチが、ブーメランサーが、ダイナマイトが、対戦車バズーカが、匕首が、七支刀が、メリケンサックが、バスタードソードが、トライデントが、トンファービームが、ハルバートが、バスタードソードが、44マグナムが、ライフルが、ウォータジェットが、そしてビームガンが放たれ投擲されカーラマインに集中する。

 

「この世から武器と争いなんて無くなれば良いんだっ! ノーウォー!」

 

 そして、最後にドラム缶いっぱいの手榴弾が投げ込まれ大爆発を起こした。

 

『ライザー・フェニックス様の『騎士』一名リタイア』

 

「僕は…戦いが嫌いなんだ……」

 

「嘘つけっ!!」

 

 ”リアス達の意地? 何其れ美味しいの?”、そう言わんばかりの活躍ぶりでカーラマインを撃破した時、拍手が聞こえてきた。音のした方を見れば旧校舎でアンノウンと言葉を交わした金髪ロールの少女、レイヴェルがユーベルーナ以外の眷属を連れて来ていた。

 

 

 

「相変わらずですわね、アンノウン」

 

「君もね、レイヴェル」

 

 二人は再会を喜ぶかのように笑みを交わし、周囲の眷属達は状況が飲み込めずに固まっている。

 

「お知り合いの様ですが、一体何処で?」

 

「ええ、あれは忘れもしない……何時だったかしら?」

 

 一誠達が見せたのは大阪の有名な喜劇劇団の如く見事な足ズッコケ。オーフィスとアンノウンだけは普通に立っていた。

 

 

「ほらほら、三年前だよ。偶々異世界に召喚された時に会ったじゃない」

 

「そうでしたわね。いやはや、あの時は驚きましたわ。ちょっとお買いものに行こうとしたら異世界ですもの。あの年中バニースーツを着ている痴女にノーネームを救ってくれと頼まれた時には驚いて家に電話するのを忘れてましたわ」

 

「そうそう。ミルたんや……ほら、彼って何って名前だったっけ? 頭にカップ焼きそば乗せたヒーローっぽい人」

 

「……思い出せませんわね。まあ、私達四人で世界を救ったあと現地解散して、私は観光せずに帰りましたが……実家に戻ったら門限を過ぎていてお小遣いを減らされましたの」

 

「それは大変だったね」

 

「……ええ、全くですわ」

 

 二人は昔を懐かしむように何気ない会話を続ける。その間、気不味そうに顔を見合わせていたライザー眷属と一誠・小猫ペアの闘いが始まっており、オーフィスもラオシャオロン撃退の為に大砲の弾を運んでいた。

 

「イーオス、邪魔」

 

 オーフィスの眉が僅かながら不快そうに歪む。これが一誠達と出会ってから始めてみせる感情であった。

 

「よし! 洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!!」

 

 一誠は女性の服を吹き飛ばすという変態技で、小猫は鍛えられた技でライザー眷属達を撃破していく。そして一誠の一撃が『戦車』を吹き飛ばし、小猫が『騎士』の顎にアッパーを喰らわせ、オーフィスが天鱗を入手したその時、アナウンスが流れた。

 

 

『リアス・グレモリー様の『女王』一名リタイア』

 

 そのアナウンスと同時にオーフィスを爆炎が包み込み、新校舎からライザーが出てきた。

 

「……さっきから見てりゃ巫山戯やがって。おい、パンダ! 俺が消し炭にしてやるよ!」

 

「では、私は残りのを」

 

 朱乃を倒したばかりのユーベルーナは原作同様に何時の間にか新校舎まで到着しており、今度は小猫に狙いを定める。その体にはオーフィスがしがみついていた。

 

「……今ので壊れた」

 

「なっ!? 離せっ!」

 

 ユーベルーナが振り落とそうとするがオーフィスは離れず、徐々に光り輝いていく。

 

 

 

 

「サヨナラ、アンノウン。どうか死なないで……」

 

 そして、二人がいた場所は眩い光と共に爆煙に包まれ、爆煙が晴れると無傷のオーフィスが汗を拭う仕草をしていた。

 

「我、驚かされた」

 

『ライザー・フェニックス様の『女王』一名リタイア』

 

(……きっとアンノウンの仕込みですね)

 

(多分アンノウンが仕込んだんだろうな)

 

 

 そして風を感じ風の吹く方を見た時、アンノウンが腕を組んで堂々とした態度で立っていた。

 

「じゃあ、僕の取って置きの技を見せてあげよう。ミルたんでさえ”ピンチだによ”と弱音を吐く大技をね! 集え! 無双のケダモノ達よ!」

 

 その瞬間、眩い光が放たれ、光が晴れると何ともメルヘンな空間が姿を現していた。青い空に白い雲。まるで絵本に出てくるような草花。そしてアンノウンが座る玉座を担ぐ黒子達と其の周囲を固めるキグルミ達。その数は数十万を超えていた。

 

「パンダとは! 動物園の来客者を集め、入場料を集める存在である!」

 

『然り! 然り! 然り!』

 

「故にパンダこそ動物園の頂点! パンダ目的の客数は動物園の客数と同じであるから故に!」

 

『然り! 然り! 然り!』

 

「これこそが僕が誇る最大奥義! 『大熊猫の軍勢(パンダニオン・ヘタイロイ)』なりぃぃぃぃぃっ!!」

 

 数え切れない程のキグルミ達はアンノウンの言葉に武器を掲げ叫美、ライザーはその迫力に圧されてしまう。なお、この短い期間で少し学習した小猫と一誠はスルーしていた。

 

 

 

「アンノウン、次はマリパで勝負」

 

「良いよ~」

 

 そしてゲームに戻るなり世界は元に戻った。

 

「戦わねぇのかよっ!?」

 

「え? なんで? ちゃんと見せたじゃん」

 

 アンノウンは首を傾げるとゲームに集中しだす。この後、リアス達が合流し、精神的に疲れきったライザー達は僅かに慣れ始めてしまった一誠達に負けてゲームは終了した。

 

 

 

 

 

「カードゲット! オーフィス、何が食べたい?」

 

「牛丼・特盛。汁だくで」




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