自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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今回はご許可を取ってプチコラボです!


第三十四話

「サイラオーグ様。勝って来まし…ゲェップゥ!! 申し訳、オエップっ!」

 

「……無理するな、クイーシャ」

 

 サイイラオーグは第一試合を勝利で飾ったにも関わらず何か勝った気がしなかった。小猫が間食のし過ぎで自爆して十個しか食べる事が出来なかった肉まん(冷えててベチャベチャ)を彼女は十一個食べたのだが、其処までの流れが酷かった。

 

「あと三個! あと三個!」

 

 まるで大食い大会を思わせる空気の中、アンノウンはボールの上で皿回しをしながらラーメンを啜る。其の横ではアザゼルのカードで限度額まで課金したオーフィスが大爆死して憤慨している。地面を叩くたびにフィールド全体が揺れ、サマエルに殴られて落ち着いた。

 

 なお、サマエルの龍殺しの力だが、サチミタダシで買ってきたディスポイズンを飲んだら落ち着いた。

 

「我、無限。減らないから、無限。何故、減ると思う?」

 

 精々が腹痛になる程度らしい。

 

 

 

 

 

 

「パンダパンダのルーレット! パパンダパンダダルーレット!」

 

『パンダパンダのルーレット! パパンダパンダダルーレット!』

 

 アンノウンがカジノに在るルーレット板の巨大バージョンの中を転がりながら歌い、観客は手拍子と共に続く。オーフィスは短い指でギターを掻き鳴らそうとするが出来ずに拗ねてギターを放り投げる、大気圏を突破したギターは空の星を砕き、アザゼルの私室に隕石が飛来した。

 

 

 

「「……」」

 

 フィールドで繰り広げられる茶番劇を馬鹿にしたように見つめるフェンリルとグレートレッド。首からは『一時間五千円』と書かれたプレートを下げて歩いているが、フェンリルばかり子供が乗っかっていてグレートレッドにはミルたんしか乗っていなかった。

 

「ファイトだニョ」

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、もう帰らない? いえ、忘れてちょうだい」

 

 リアスは切実な願いを口にしながらも無駄だと直ぐに理解して取り消す。もはや眷属はアンノウンに汚染されきっており、負けて落ち込んだらお腹が減ったと言って残った肉まん全てを怒涛の勢いで食べている小猫を見ながら滅びの魔力を放ちたい気持ちを必死に押さえる。

 

「駄目だよ、リーアたん。諦めたら其処で試合終了なんだからさ〜」

 

「今直ぐ終了にして欲しいわ、アンノウン」

 

 どうして此処に居るとかツッコミを入れる事すら億劫で、入れてもどうせ受け流されるだけ。外を見ればフィールドではアンノウンが漸く次の試合を決めた所であり、アーシアはアンノウンとトランプをしていた。

 

「あの、アンノウンちゃんはフィ-ルドにいますよね? どうして此処にも居るのですか」

 

「流石アーちゃん、リーアたんより遥かに鋭いね。知っているかい? 日本には『男が一歩外に出ると七匹のパンダが居る』って言葉があるのさ」

 

「成る程。そうだったんですね」

 

 どうだったんだろうか、それは誰にもわからない。

 

 

 

 

 

「はいはーい! 次の出場者はイッセー君対サイラオーグ君で……綱引きだよ〜!」

 

 二試合目にして注目の好カードにリアス以外の全員が盛り上がる。直ぐにフィールドに転移する二人。着々と綱引きの準備がなされる中、何故か綱が無かった。

 

 

「おい、繋がないけどどうしたんだ?」

 

「忘れちゃった、テヘペロリン✩」

 

「……そうか」

 

 サイラオーグには分からない。目の前のパンダにどうやって反応すれば良いか、真面目な彼には分からなかった。助けを求めて一誠に視線を送るが、慣れきってる彼は”仕方ねぇな”っと呆れているだけ。

 

 

「ってな訳で、綱引き改め……グレートレッド引きー!!」

 

「おぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

 目の前に現れたのは世界最強の存在である夢幻龍。首にかけた料金箱はオーフィスに奪われて少し不機嫌なのか唸り声を上げ、妖しく輝く目でサイラオーグを睨んでいた。

 

「おいっ!? どうして俺は睨まれているんだっ!? 俺、何かしたか?」

 

「君が半年前から始めたトレーニングのせいでグレートレッドが何気なく関わってるっぽいって噂のお店が七年前から客足がサッパリ、って噂」

 

「あやふやだし計算が合わないっ!? ってか、関係無いだろうっ!?」

 

「サイラオーグさん。早く始めましょう」

 

 一誠は構う事なくグレートレッドの尻尾を掴む。サイラオーグも恐る恐る顎を掴んだ。

 

「それでは開始っ!!」

 

「「行くぞ! はぁあああああああっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って言ったら初めてね」

 

 フライングで二人共失格。第二試合はドローで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「第三試合!」

 

『……真面目にやれよ? 第三試合くらい真面目にやれよ?』

 

 アザゼルの言葉は熱湯風呂の押すな、絶対に押すな程度の意味しかなく、次の対戦カードが組まれる。

 

 

「次は小猫ちゃん&ギャー君対リーバン君&ガンドマ君。テーマは……料理対決!! これで勝ったチームが勝ちだ〜! バラエティーでよくある最終問題だけ得点十倍って奴ね」

 

 

 

 

 

「さっ、皆帰るわよ。撤収撤収」

 

「お疲れ様でした〜」

 

 負けが決定したので帰ろうとするリアスだが、何故かドアが開かず、裾を引っ張られたので下を見るとオーフィスが顔を見上げていた。

 

 

 

「逃げたら二人の料理が晩ご飯」

 

「さっ! 正々堂々戦って来なさい。……審査員はお気の毒ね」

 

 リアスが見詰める審査員席。其処ではアンノウンが審査員召喚の儀式を行っていた。

 

 

 

 

 

「僕は神の敵対者〜。自由で無敵な黙示録〜! 七つの頭の獣だよ〜ん。みったせみたせ、満たすほどに五度、黄金の力守りし勇者よ、今こそ甦り、我が 前に現れ出でよ! そして願いを叶えたまえ〜!」

 

 色々暴露とか運命とか黄金勇者が混じっているが、其の背後で行われているオーフィスのブレイクダンスの方がインパクトがあるので誰も気にせず、三人の審査員が出現した。

 

 

 

 

「……おや、出張依頼と思ったら貴方ですか。……帰って良いですかねぇ?」

 

「あ〜ん、帰っちゃダメだよ。ジャっくーん!」

 

 一人はスーツ姿の物静かな男。どうやらアンノウンの知り合いらしく、姿を見るなり露骨に帰りたがった。

 

「……おい、テメェ。其の気配、もしかして……」

 

「あっ、それは並行世界の僕で、全く関係ないから苦情は受け付けないよ、ロったん」

 

 二人目は褐色肌の大男。本気のサーゼクスでさえ霞むほどの圧倒的なオーラをアンノウンに向けているが、本人はのらりくらりと躱すだけ。其の姿に男は戸惑いさえ見せていた。

 

 

 

「……おい。俺は今から娘たちとお風呂に……」

 

 最後はヴァーリ。腰にバスタオルを巻いただけの状態の住所不定無職の子持ち(未婚)だ。

 

「俺の説明が酷すぎるっ!?」

 

「説明とか何言っているの? これだから早○は困るよね。黒歌もヴァーリは○漏で困るって言ってたで候。あっ、料理は麺料理。材料は僕が多分食べられるんじゃないかなぁって物を集めたからガンバっ!」

 

 

 

「……姉さま、ソー○ーと子供を作ったんですね」

 

「それならピラミッドパワーです! ピラミッドパワーなら……ひでぶぅっ!?」

 

 煩いと思ったのか小猫はギャスパー(の股間)を蹴り上げる。

 

「あべしっ!?」

 

 浮いた体に今度は跳び廻し蹴りを(股間目掛け)叩き込み、

 

「アブダラバァ!?」

 

 最後に飛び踵落としを(股間に)叩き込んだ。

 

 

 

「さて、料理料理」

 

 メシマズ要員が一人減り、リアスチームの勝率が0から0.00000000000000000000001%に上がった。

 

 

 

 

「それではそれでは、審査員の紹介だぁ〜! まずは執筆使いさんの作品『悪魔の店』から店主ことジャッ君!」

 

「メタ過ぎやしませんかねぇ」

 

「次は地蔵菩薩さんの作品『三大怪物~俺の名前はロタン・ベルフォルマー~ 』よりロタン・ベルフォルマーことロッたん。……あと、早漏(ヴァーリ)

 

「何て書いたっ!? 何て書いてヴァーリって読んだっ!? あと、どうして其処まで俺の扱いが雑なんだ!」

 

「気分っ! ……(黙ってろニート)」  

 

 

 

 

 

「……まぁ、確かに俺が知ってるのとは違うようだな.なら別に良いぜ。美味いもん食わせろよ」

 

「無理。この小説のオチは読者が予想しているであろう展開だから」

 

 そんなこんなしている内に料理が完成する。先行はサイラオーグ眷属のラーメンだ。

 

 

 

 

 

「麺も具も茹で過ぎ、ですね。クタクタな上にスープが煮詰まっています」

 

「……出汁もロクに取れてねぇな。醤油とか入れ過ぎだ。調味料の味しかしねぇ」

 

「……黒歌の料理よりはマシだな」

 

 ヴァーリ以外の審査員は微妙な顔つきで評価が宜しくない。この瞬間、サイラオーグ眷属の勝利はなくなった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、次はオチね」

 

 運ばれて来たのは饂飩……っという名の何かだった。

 

 

 

「……これはこの世全ての悪に汚染された聖杯の泥ですか?」

 

 濁った泥のようなスープという名のゲル状の物質は蠢き、時折手を伸ばしては沈んでいく。店主が覗き込むと視線が重なった。

 

「いや、これ食えと? 食わなきゃ帰れない上に毎食これだけ? ……マジかよ」

 

 ロタンは目を白黒させた後でこの世の終わりのような顔をする。それ程までに目の前の料理は酷かった。

 

 

 

 

 

 

「……ふん。この程度、俺は毎食食べている」

 

 ヴァーリは少しも臆さずスライム状の麺を啜る。ゲル状のスープとタールのような異臭を放つ粘液状の具が絡み合い口の中を蹂躙する。この日、ヴァーリは少しの間心肺停止した。

 

 

 

 

 

「……ははははは。なんだよ、お前ら。俺を迎えに来たのか? ああ、良いぜ。俺も今直ぐそっちに……」

 

「……ぐふっ!?」

 

 ロタンは白目を向いて見えてはいけない者達を見ながら嬉しそうに笑い、店主は机に突っ伏して血を吐いている。

 

 

 

 

 

 

 

「……審査不能だから引き分けっ!」

 

「めろりんめろりんめろめろメロメロリン。私は私はお姫様〜。メロンの国のパフェプリンセス〜」

 

 アンノウンは何を思ったか空気入れを咥え、オーフィスがメロリンパッフェの八十三番を歌いながら空気を入れる。どんどん空気が送られアンノウンが膨らむ中、ロタンと店主が立ち上がる。その手には食べ残した劇物を掲げながらフラつく足でアンノウンへと近付いて来た。

 

 

 

「テメエも……食え」

 

「数兆年に一度くらいは痛い目を見るべきかと思いますよ」

 

 だが、二人が射程距離に入った瞬間、ボールの様に丸くなったアンノウンの上に飛び乗ったアンノウンは玉乗りをしながら高速で逃げる。二人の前にどこでもドアを残して……。

 

 

「……帰るか」

 

「……そうですね」

 

 

 

 

 

 

 そのまま二人が帰り今回のコラボが終了したその時、ゲームフィールドに異変が起きる。空が歪み、其処から笑い声を上げながら侵入者が現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うひゃひゃひゃっ! トライヘキサ連れて僕ちゃん登場! 皆、オジちゃんと遊ぼうぜ〜!」

 

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!』

 

 リゼヴィムは自分を見上げる全員を見下ろしながら笑う。その背後には封印が解けたというか、そもそも封印出来ていなかったアンノウンの正体(黙示録の獣)が咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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