自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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一度復活したこの作品ももう直ぐ完結予定


三十一話

「部長、いやリアス、これを受け取ってくれ」

 

「ああ、イッセー。ついにこの時が来たのね……」

 

 この日、リアスの前で跪いた一誠は指輪を入れる例の小箱をそっと差し出す。初恋の相手でありなかなか自分を名前で呼んでくれなかった一誠からの求婚に涙したリアスは小箱を受け取ると蓋を開ける。

 

「……あれ?」

 

 中にあったのは指輪ではなくパンダの形をしたスイッチ。この時点で嫌な予感がしてはいたのだが、先程までの幸せな時間を忘れたくないと自分を騙しつつボタンを押す。

 

 すると空から大量の沢庵が降ってきた。

 

「給料三ヶ月分の沢庵だ。リアス。俺に麻婆豆腐を奢ってくれ」

 

「訳分からんわァァァァァっ!!」

 

 思わず叫ぶと同時に一誠の顔面にニーキックを叩き込むリアス。その瞬間、一誠は祐斗に変わり視界が真っ白に染まる。気付けばリアスは寝室で飛び起きていた。

 

「ゆ、夢? って、沢庵臭ぁっ!?」

 

 ただし眠っていたのはベッドの上ではなく沢庵の上。総数数百にも及ぶ沢庵を細切りにした沢庵で結んだその上に寝転んでいたリアスは全身に沢庵臭が付着し、部屋の中にも沢庵の匂いが充満している。換気のために窓を開けようとするリアス。起きたばかりでしっかりと働かない視界は白い物が降っているのを捉えた。

 

「雪? いや、まだそんな季節じゃ……」

 

 確かめようと窓に近付くと空から降り注ぐ物の正体が判明した。白焼きの竹輪とハンペンである。

 

 

「ちっくわ、ちくわ♪ ちくわのちくわ♪」

 

「はんぺーん、はんぺん。はんぺーん、はんぺん」

 

 庭を見るとリンボーダンスをしながら踊るアンノウンとその姿に対し祈りを捧げるオーフィス。この怪現象の原因を確信した瞬間であった。

 

「ちょっとアンノウン! 貴方一体何しているのっ!? 雪が降っているかと思ったら竹輪とハンペンが降っているなんてっ!」

 

「え? この時期にこの辺りで雪が降る訳無いじゃん。リーアたん、常識ないなぁ」

 

「リアス、勉強不足?」

 

「ごっふっ!」

 

 リアスが吹き出した吐血は放物線を描きながら庭へと降り注ぐ。降り積もったハンペンと竹輪が赤に染まり、見事な赤と白のコントラストが出現する。この光景を見た流浪の芸術家エヴァルド・クリスタルディはこう語る。

 

「謎のスーパー求道僧に誘われて旅に出てみたが、やはり粒餡よりも漉し餡が美味いと思う」

 

 誰も兵藤家の庭の光景について語ったとは言っていない。

 

 

 

 

 

「しかし英雄派でしたっけ? アイツ等は何がしたかったんでしょうね?」

 

 朝ごはんに竹輪の磯辺揚げと竹輪とハンペンの味噌汁を食べながら首を傾げる一誠。実際、京都で九尾の姫を攫ったゲオルク達は彼女を解放して撤退。後に残されたのは何故か褌と生姜と二十世紀梨とカレーを煮込んでいる鍋と英雄派参上と書かれたプラカード。全くもって意味不明である。

 

「リーダーがアンノウンの武器なのよ。彼もストレスでどうかなったんでしょ」

 

「ああ、そうか。ブーメランサーの奴、苦労してそうですもんね。……なんか他の名前を名乗っていた気がするけど忘れちゃいました」

 

「忘れるって事は重要じゃないって事でしょ。さぁ、早く食べて学校に行くわよ。そろそろ試験も近いんだから」

 

 もう直ぐ駒王学園は期末試験の時期であり、一誠達は同時に昇進試験を控えていた。ちなみに向かいの家の田中デスダークは婚活パーティを控え、シヴァは破産申告で忙しかった。

 

 

 

 

「其れでは僕ことアンノウンと」

 

「我、オーフィスの」

 

「「これで安心昇級試験講座〜!!」」

 

 この日の放課後、部室に入るなりリアス達の視界に飛び込んできたのは広さが十倍以上に広がった部室と白衣に眼鏡を装着し教鞭を持ったアンノウンとオーフィスの姿だった。既に部室内にはグレートレッドが次元の狭間から頭だけだし、フェンリルが寝転んで寛いでいる。室内は異様にカレー臭く、放課後の空きっ腹を刺激した。

 

「……えっと、何をしているのかしら?」

 

「これで安心昇級試験講座……」

 

「駄目人間に言って聞かせるような顔しないでっ!」

 

「いや、リーアたんは悪魔だから駄目人間じゃなくって駄目悪魔だよ?」

 

 この日のリアスの吐血量は最高記録を更新。その頃丁度サマエルはゲームセンターでアザゼルの出した最高記録を更新していた。

 

 

 

 

 

「ほらっ! アーちゃん足が止まってる!」

 

「は、はい!」

 

 突如始まったアンノウンによるダンス教室。無論試験とは関係無いので一誠達は教室の隅でオーフィスによる過去問題を対象にした講義を受けていた。

 

 

「我、無限の龍神。世界トップレベル。えっへん。ドライグとアルビオン、我よりずっと弱い。ださい」

 

「えっと、ドライグはダサいっと」

 

『ちょっと待てっ! そんな回答の問題があってたまるか……って有るしっ!?』

 

 三回前の試験にて最も配点が多かった問題こそ『ドライグとアルビオンは○○い。この○○に適切な文字を入れて文章を完成させよ、という物。なお、文章内の○○に書かなければ採点対象外という引っ掛け問題で約六割五分三厘が正解を分かっていながら得点を逃した。

 

「もしくはくさいやよわいでもオッケー。この問題、我が頑張って考えた」

 

『貴様の仕業かぁぁぁっ!! ガッフッ!?』

 

 ドライグもストレスで胃潰瘍を発症した。

 

 

 

「そう言えばギャスパーは? 最近見かけないけど……」

 

「ギャー君ならエジプトに行っています。今度のゲームの為にピラミッドパワーを完成させるとか」

 

 

 

 その頃、ピラミットの頂上で座禅を組んだギャスパーは頭上で手を使って三角系を作り出し、空に向かって吠える。

 

「ピィィィィィラァァァァァァァミィィィィィィィッドォォォォォォォォパゥゥワァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 突如空から降り注いだ光の柱がギャスパーを包み込み、彼は宇宙の心理を理解した。その体は魔力を使わずして宙に浮き、大気圏を突破しても其の体に異常はない。いや、そもそもこの状態が異常なのだが。

 

 

「……遂に手に入れた。僕は遂に手に入れたんだ。究極のピラミッドパワー……アルティメットスペースピラミッドパワーをっ!」

 

 その叫びは宇宙全体に木霊し、数年後には宣戦布告と判断した異星人により地球に攻撃が行われる。この時、まさか麻婆茄子とチキングラタンが人類最後の希望になるとは誰も予想していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……所でアンノウン。この部室の改築費用、まさか私のカードを使ったんじゃ?」

 

「違うよ。リーアたんのカードは既に限度額使い切ったから使えないもん。ちゃんと禍の団の資金から出したって」

 

「そう。なら別にって……いや、なんでテロ組織の運営資金に手を出せるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

「だって僕は副首領だし、オーフィスは首領だもん」

 

「我、偉い。えっへん! 所でアンノウン。話して良かった?」

 

「……あ」

 

 無い胸を張って自慢するオーフィスの疑問に対しアンノウンは口をアングリ開け、次の瞬間には煙玉を床に叩きつける。

 

 

 

 

 そして煙が晴れるとアンノウン達の姿は何処にもなく、リアス名義の身に覚えのない請求書だけが残されていた。




所でFATEGOのコラボイベントだが原作設定からして妙な部分が少し。少なくてもカリヤーンは虫が居なかったら。桜の心臓に居るのは何時からか分からないからセーフだけど


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