自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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三十話

 破壊神シヴァ。オーフィス等の極一部を除いて頂点に君臨する強者である。そんな彼は朝の散歩を終え、自らの宮殿に戻ってきた。

 

「パンダはパンダであるが故にパンダであり、パンダこそパンダなり!」

 

「我、ご馳走が欲しい」

 

「……起きた事を有りの侭語ろう。散歩から帰ったら宮殿が無限龍と黙示録の獣に占領されてショートケーキになっていた。意味が分からないと思うが事実だ。幻覚とか催眠とか、そんなチャチなものじゃない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった」

 

 しかもケーキになった宮殿には大量の蟻が群がり、中から宝物や調度品を運んで何処かに持っていく。肝心の使用人達は二人に青汁とタヌキ饂飩を運んでいるばかりで役に立たない。そのままシヴァが立ち尽くすこと数分。ミックスピザをラー油で流し込んだアンノウンが漸く彼に気付いた。

 

「あっ! シー君だっ! 久しぶり! 会いたかったよ!!」

 

「……僕は会いたくなかったな。アザゼルがリゼヴィムが君を使って異世界に行くのを止めてくれって頼みに来たけど、今無性に引き受けたくなったよ」

 

「だったら今すぐ僕と戦う? ……勿論、エ○ガイツでねっ! 僕、クラウドね。マリカーは全部やり込んだから自信有るんだ」

 

「アンノウン、ここ、電気通ってない。シヴァ、貧乏だから。我のお小遣い、分ける?」

 

 オーフィスは小首を傾げながらリアスの財布をシヴァの足元に投げる。中にはリアスとアザゼルの全財産と土地の権利書が入っていた。

 

「金持ちだからっ! 今蟻に全て持って行かれたけど、財宝たくさん持っていたからっ!」

 

「じゃあ、カバディで勝負。まずは僕とオーフィスで」

 

「ホットドックとラフレシアは我が用意した。アーチェリーと図書カードはアンノウン。後はシヴァが三角定規と波動砲を用意するだけ」

 

 そのまま互いに向かい合った二人は祈祷を行い、近所の鈴木夏乃定と田中デスダークの通信対戦を眺めた後でフラダンスを行う。タッチの差で勝利したのはオーフィス。手に持ったリコーダーがリーチの差を生み、意味不明な勝負は幕を閉じた。

 

「……うん。君達に波動砲を打ち込みたくなったよ。……絶対に効かないけど」

 

「効くよ? 少し痒くなる。シー君なら跡形もなく吹き飛ぶけど」

 

「我、肌が少し赤くなる。シヴァなら死ぬ」

 

 この日、破産申告をしたシヴァは自棄酒をしに行った先でグレイフィアと出会い、一夜の過ちを犯さなかった。魔王の妻は真面目である。ただ、バーではメロリンクィーン作曲でオーフィスが歌うOPソングが流れていたので酒は進んだ。

 

 

 

 

 

 

 その頃、アンノウンが居ない事で心に平穏が訪れた一誠達だがアーシア以外の財布が子供銀行券が入った百円ショップの安物に摩り替えられていた。唯一の救いはお詫びのつもりなのか数枚だけ入っていた宝くじ。当選発表日時は来週だ。ちなみに全部ハズレである。

 

「……うん。彼奴が居ないからって平和に終わるとは思ってなかったけど」

 

 迷惑を掛けたからと観光案内をかって出た京都妖怪に連れられて向かった先で霧に包まれ、禍の団・英雄派を名乗る者達と出会う。そのリーダー格に一誠達は見覚えがあった。

 

「ブーメランサーっ!? お前、アンノウンの武器だったんじゃっ!?」

 

「違うっ!」

 

 彼の名は曹操。妻も子供も沢山居る曹操の子孫であり、アルバイトでアンノウンの武器をしていたプチ人外だ。ちなみにロリコンである。

 

「……そうか。彼奴の扱いが悪くてストライキを起こしたんだな」

 

「ア、アンノウンちゃんは良い子……ですから。ちゃんとお話すれば……きっと」

 

「むぅ。私から言ってやろう。……無駄だがな」

 

「まあ、災害にあったと思って」

 

「……ガンバっ!」

 

 人の優しさが心に染みたその日、曹操は涙を流すのであった。ちなみにこの後は原作と変わらないので割愛。テロリストはテロリスト。アンノウンからの被害で胃痛持ちが増えた為に八坂を誘拐出来なかったが、代わりに大根と九州男児の褌のカレーを使って儀式を行いグレートレッドを呼び出す気だ。彼らの目的は裏で手を組んだハーデスから借りたサマエルの実験。

 

 

 

 

 

『……そろそろ飽きてきたな』

 

 急に誘われた肉まん大食い対決に参加したサマエルは十五個目で手を止め、グレートレッドは眠くなったらしく次元の狭間に戻っていく。この勝負、勝者は中身を抜いて色々と味を変えたオーフィスとアンノウンの勝利で幕を閉じた。

 

『所でカオス・ブリゲードは良いのか?』

 

「かおす・ぶりげーど?」

 

「そんなお菓子あったっけ? 何処のメーカー? 美味しいの?」

 

『……まあ、別に良いだろう』

 

 一応二人の肩書きは禍の団(カオス・ブリゲード)の首領と副首領である。だが、二人はその様な事などすっかり忘れていた。彼らが求めるオーフィスの蛇はアンノウンが金平糖とワライタケと隕鉄で作った『オーフィスの蛇 納豆クサヤブルーチーズ風味キムチチャーハン味』で賄っており、既に大量に渡してあるので接触がない。ちなみに隠し味はオーフィスの唾液である。味はお察し。

 

 サマエルは呆れた様に溜息を吐き、空を眺める。彼女がいた氷の中には電池が切れて動かなくなった腰振るパンダ人形が入っており、ハーデス達は其れがサマエルだと思い込んでいるが『さまちゃん』と抱えれた付箋が貼っているのだから仕方がないだろう。

 

『いや、どうして騙される? 私が封印されている間に馬鹿ばかりになったのか?』

 

「僕がやったからっ! そ〜んな事よりも焼肉屋に行っくよ-! リーアたんの奢りだから沢山食べてねっ!」

 

『……っこまんぞ。突っ込まんぞっ!!』

 

「!?」

 

 この日、リアスのカード破産が決定し、一誠達は英雄派の挑戦を受けて夜の二条城へ向かう道で異空間位に誘い込まれて分断される。彼らを待つ英雄派の幹部達はグレートレッドを誘い出すためにカレー鍋で褌を煮込んでいた。

 

「うわっ!? 酷い臭い……」

 

「我慢しろ。ジャンヌ。これで実験が上手く行けばグレートレッドを呼び出せ、オーフィスにサマエルが有効か確かめられるんだ」

 

 そのサマエルはアンノウンと一緒に焼肉屋に向かっており、食べ放題でグレートレッドの出禁が先程決まっていた。

 

「……いや、しかし」

 

「どうかしたかい? ゲオルク」

 

 メガネをかけた男は褌を入れたカレー鍋に生姜とニンニクと各種スパイスとカレー粉を入れ、最後に二十世紀梨と手巻き寿司を入れた所で手を止めて考え込みだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「曹操、どうやったらこんなのでグレートレッドが呼べるんだ?」

 

『!?』

 

 曹操達は正気に戻った。こんなことになった理由だが、大体アンノウンが悪い。

 

 

 

 




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