自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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今回 刀語要素があります そういうの嫌いな方はご注意です


二十八話

「いやぁ、あの時は大変だったね、イッセー君」

 

「そうだよな、ロキにまさかあんな切り札が有るなんてよ。まさか悪神があんな技を使うなんて思わなかったよ! お前のアレがなけりゃヤバかったぜ」

 

「いやいや、アーシアさんがあんな時にああいう行動に出なかったら僕も間に合わなかったよ」

 

「そうだよな。でもよ、朱乃さんがロキの技の意外な弱点を見つけて、まさかの奇策を使わなけりゃ、部長は今頃運送会社でバイトしてただろうな」

 

「僕なんてクソゲー百時間マラソンしていたよ。いやぁ、長年愛された作品の新作だからと本体と一緒に買ってみればバグは多いわ、ストーリーは糞だわ。まさにゼノヴィアが言っていたあの漫画のあのキャラの例の台詞が現実になった気分だね。でも、バラキエルさんが買ったクーポン誌のおかげで親子の仲が戻って良かったよ」

 

「そうだよな」

 

「全くね」

 

「「あははははははははっ!」」

 

 ロキの襲来をアレやコレやで何とか解決したグレモリー眷属。その影でアンノウンの暗躍があった事も知らず彼らは日常を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「部長、胃薬です」

 

「有難う、小猫。……何か欲しいものある?」

 

「実は最近金欠で。お給料がもっと上がれば嬉しいです」

 

 後日、小猫の口座に振込まれる金額が増え、増えた分はアンノウンが勝手に下ろして栗饅頭に変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来週は修学旅行だね! 僕、京都は千三百五十一回しか行った事ないんだっ!」

 

 来週、一誠達は修学旅行で京都に向かう。その分触れ合おうとリアス達が一誠にベタベタと引っ付く中、フェンリルに乗ってロデオをしながらアンノウン言うとアーシアが同情したような表情を浮かべた。たった千三百五十一回しか京都に行った事がない事に哀れみを感じたのだ。

 

「あの、イッセーさん。何とかアンノウンちゃんも連れていけませんか? 置いてきぼりなんて可哀相ですよ」

 

「だよな。でも、ペットって連れて行って良かったっけ?」

 

 普通は良くないが、一応修学旅行のしおりを眺める一誠。すると最後にマジックで何か書き足されていた。

 

「おっ! 新幹線の代わりに背中に覗きの常習犯か無限の龍神が乗るのなら、黙し……あれ、なんか消されてる? えっと、パンダと神殺しの狼は連れてきて良いってよっ! 良かったな、アンノウン!」

 

 

「わーい! 最後に行ったのは池に正体映って居場所がバレた馬鹿狐が居た頃だから平安時代だから楽しみー!」

 

「アナタ、何年前から生きてるの?」

 

「アーちゃーん! リーアたんが苛めるー! 女の子とパンダに歳を聞くのは厳禁なのに、こんな大勢の前で訊いてきたー! うわーん!」

 

「あの、部長。動物虐待は良くないと思いますよ?」

 

 アーシアは泣きついてきたアンノウンを撫でながらリアスを非難する。リアスは慣れた手つきで吐血を拭うと胃薬を一気に飲み干した。

 

「……今日も胃薬が美味しいわね」

 

「リーアたん、胃薬なんて飲んでるんだ。何かストレスでもあるのかなぁ」

 

「誰のせいだと思っているのよっ!!」

 

「僕!」

 

 ロキが襲撃の罰として、意外な責め苦を味わっている中アンノウンは予想外なポーズを取りながら元気に手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃の京都では、狐耳の幼女が嬉しそうに新聞を持って母親の元に駆け出していった。

 

「母上ー! もう直ぐパンダが京都に来るそうです! ほら、この新聞記事! ……母上?」

 

 娘から新聞を受けっとた母親はプルプル震えながら新聞記事を眺める。

 

『超絶スクープ! 修学旅行生と共に京都にパンダがやって来る! 観光協会は総出で歓迎の予定!』

 

『パンダと共に新星アイドルもやって来る。話題沸騰の番組『魔法少女レヴィアたん 三人の絆』の主題歌『メロリンパッフェ ロックバージョン』を歌うオーフィスを一目見ようとファンが押し寄せます』

 

「……九重。ご先祖様から伝わる話がある。パンダは敵で見敵必殺。パンダ=サーチアンドデストロイ。絶対ぶっ殺ろですよ! だそうじゃ。……総員戦闘配備! パンダを生きて京都から帰すでないっ!」

 

「サー! イエッサー!!」

 

 直様、対大熊猫用に大量の饅頭が用意される。饅頭が怖いと言い残したと記されているからだ。ただ、一番怖いと言い残した栗饅頭だけは材料すら全て売り切れて手に入らなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

「ってな訳で、元浜君と松田君とイッセー君は頑張ってねー!」

 

「頑張って下さーい!」

 

 修学旅行出発日、車掌に胡麻団子を渡した事で無事に新幹線乗る事が出来たアンノウンは一誠の席に座りながら栗饅頭を食べる。アーシアもその隣でアンノウンがフラッと出掛けた異世界土産のシュールストレミング(臭気三倍)を興味深そうに眺めている。ついでに渡されたお洒落なガスマスクを被りながら開け方を探っているが開け方は中々見付からない。そんな事をしている間に出発時間やってが来たので、慌てて窓の外を見るアーシア。

 

 外ではフェンリルと息子二匹の背中に縛り付けられた『覗き常習犯』三人と、リアスの個人的なお金で勝手に申し込んだ送迎の為のハーレーの中で、ジュースを飲みながらサングラスを上げるオーフィスの姿があった。

 

「我、少しお昼寝する。着いたら起こして」

 

「アンノウンちゃんが京都に行く為とはいえ……別に元浜さんと松田さんだけで良かったのに」

 

 少し黒くなったアーシアに発言は誰も気にせず、そのままトランプやUNOや限界ギリギリの宇宙丸ごと大決戦を行って時間を潰す。途中、松田と元浜が風圧とGの影響を受けたのだが、一度落とされた以外は特に命に影響もなく、行き過ぎてたどり着いた島根の病院に無事運ばれたのでアーシアは安心していた。

 

 

 

 

 

 

「あ〜、死ぬかと思った。死んだ婆ちゃんが、こっち来たらアカンでー、って言ってくれなかったらヤバかったぜ」

 

「いや、それって死に掛けてたわよね。アーシア、どうかしたの?」

 

「あの、忘れ物をしちゃって。……蓋開閉の時限スイッチ押しちゃいましたし、傷んだら食べられませんよね」

 

 三人の中で唯一無事にたどり着いた一誠は途中で買い求めた北海道銘菓とサーターアンダギーをフェンリルに脅し取られながら額の汗を拭う。中身が臭い缶詰を新幹線の中に忘れたアーシアは市民に胴上げされるアンノウンを見ながら慌てていた。

 

 

 

「そういやアザゼル先生は?」

 

「あっ! 奇跡的に他のお客が一人も居なくなって、遊び的企画で従業員全てがガスマスクを被った車内に残っていますっ! ……お昼寝なんかしてるから」

 

 

 

 

 

 その頃の車内。寝過ごした事に気付いて慌てたアザゼルの足元に缶詰が転がってきた。

 

「酒のツマミに最適な缶詰? どうやって開けるんだ?」

 

 缶ビール片手に缶詰を眺めるアザゼルは顔の間近に近付ける。その時、時間が来て内容液と共に臭気が吹き出した。

 

 

 

 

 アザゼル。享年 永遠の14歳 死因 臭過ぎ死




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