自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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二十七話

 その日のリアスはテレビを前にした時に嫌な気がして居た。またアンノウンが何かしでかしたのかと周囲を観察し、床や天井に隠れるところはないかと念入りにチェックする。そして漸く安心した所で原作が好きな推理物にチャンネルを合わせる。開始まで後数分となっていた。

 

「謎のパンダのアンノウンと!」

 

「無限の龍神オーフィスの……。またデブとNOUMIN。売却……」

 

「作って遊んでー!!」

 

 軽快な音楽と共に始まったのは子供用番組と思われるセットを背景にした頭痛の原因(アンノウン)とスナック菓子をボロボロこぼしながら食べつつスマホでゲームをしているオーフィス。早速目眩がしてきた。

 

「なお、テレビを消したらサーゼクス提供の『リーアたん成長記録五歳』の七巻を街中のテレビをジャックして放送するからね」

 

「見てるっ!? 何処かで私を見てる!?」

 

「あはははは! これ生放送じゃないから無理だって。リーアたんは馬鹿だなぁ」

 

「会話が成立してるじゃない!」

 

「じゃあ、テレビに向かって叫ぶリーアたんは無視して今日の工作は何だろね」

 

「我、わくわく。石、購入」

 

 とても楽しんでいるようには思えないオーフィスのアップの後、机の上には光り輝く槍が置かれていた。其の神聖さはテレビ越しでもハッキリ伝わり、溢れ出す光にリアスは眼を細める。

 

「今日作って遊ぶのは『黄昏の聖槍』だよ! 制作時間はなんと三分! じゃあ、オーフィス。材料の紹介おねがいね~」

 

「所有者の髪の毛……毛根付き。賢者の石。閃光と暗黒の龍絶剣の黒歴史ノート」

 

「わぁ! 誰の家にもある物ばかりだね! じゃあ、ここでVTR!」

 

 映し出されたのは深夜の誰かの部屋。ベットには少年が寝ており、風呂敷で顔を隠したアンノウンとフェンリルとグレートレッドがこっそり忍び寄ると含み笑いをしながら『永久脱毛剤』と書かれた瓶を頭に振り掛け、カツラの内側に噛んだガムをくっつけるとツルツルの頭に被せ、財布から万札を抜くとそのまま髪の毛を回収して出て行った。

 

「まずは髪の毛を……必要ないから捨てます。そしてオーフィスが閃光と暗黒の龍絶剣の黒歴史ノートを朗読している間に賢者の石と長ネギを中華鍋に入れて大蒜と生姜、豆板醤と蜂蜜を入れて混ぜて最後にパスタを加えます。後は三日三晩冷蔵庫で冷やしたら完成だよ~!」

 

『この番組は以下のスポンサーの提供で放送しました。ミルたん。乳神。英雄王ギルガメッシュ。後は適当な奴ら』

 

スポンサーの紹介が終わるとやっと待っていた推理ドラマ、その番組前の宣伝が始まる。

 

『ひなびた温泉街で起きた謎の連続殺大熊猫事件。被害者のアンノウンと若き天才刑事アンノウンの関係は。そしてアンノウンが語る二年前の事故で死んだアンノウンの壮絶な過去とは!? そしてパソコンの技術と脅迫と買収を使ってアリバイを作り出した犯人である国王の目的は温泉饅頭を買い占めるため! 土曜ミステリー 冥界航空殺大熊猫事件 ~豪華客船に送られし窃盗予告〜 この後直ぐ!』

 

「どこから突っ込めば良いのよっ!?」

 

『だからさ、TVに向かって怒鳴っても無駄なんだって。本当に君は馬鹿だなぁ』

 

「我、笑う。あはははは」

 

 アンノウンは鼻で笑いオーフィスは指差しながら口を動かさずに笑っていた。

 

 

 

 

 

 それから数日後、朱乃が上手くやって一誠とのデートにこぎ着けたり、其れをリアス達が尾行したり、二人がホテル街に向かう所やホテルに入ろうとする所を邪魔が入るまで撮影した者が出版社やテレビ局に持ち込まれたりして騒がれるが、問題は途中で邪魔してきた朱乃の父親のバラキエルや来日したオーディンと寿退社したロスヴァイセの代わりに世話役兼護衛に付いたヴァルキリー(結婚適齢期超過)だった。

 

「貴様が女の胸を喰らうっと言う事は知って居るぞ! 変なパンダ五円玉をぶら下げた紐を揺らしながら教えてくれた!」

 

「いや、其れってアンノウンですよねっ!? っていうか催眠術じゃないッスか!?」

 

「何を言うか! 渡された名刺には『催眠術とか使えないアンノウンでもない普通のパンダ』と書かれていたぞ!」

 

「・・・・・・このギャグもマンネリだし、そろそろ辞めようかな? あっ! 特上寿司三十人前お願いします。一個・だけシャリの代わりにワサビでお願いね。代金はワサビのを食べる一誠君が払うから!」

 

「いや、そんなにお金ないからっ!?」

 

「闇金で借りてきたから大丈夫! 余ったお金は課金に使うね」

 

「そろそろ話を進めて良いかの?」

 

 オーフィスはフェンリルの背に乗り、アンノウンはフェンリルの子供のスコルとハティの引く犬橇で何処かに消えていった。

 

 

 日本の神と会談をする為に来日したオーディン。一誠達の仕事はその間の護衛だ。途中、黒いスーツを着たキグルミの集団がクリームパイを片手にし、影で隠れてる一体が『ドッキリ大成功』を書かれた看板を持った状態で『外交担当のセラフォルーの使いです』、と言ってきたが『いや、ドッキリじゃろ?』、と指摘されたので泣きながら去っていった。

 

 その後、オーディンは堕天使総督である閃光と暗黒の龍絶剣の案内の下でキグルミだけのおっぱいパブや入った途端に十皿食べるまで出る事が出来ないワサビ寿司専門店(店長はハシビロコウ)や遊園地で遊び間違った日本を満喫した。本人が満足しているのだから恐らく大丈夫なのだろう

 

 そして、此処までギャグで進んできた世界だが、護衛任務中にシリアスな出来事が発生した。

 

 悪神ロキの襲撃である。他の神話との同盟が気に入らない彼は主神が乗っていると分かっていて空飛ぶ馬車に襲撃を掛けたのだ。直様飛び出すリアス達。護衛のヴァルキリーは一冊のノートを取り出した。

 

 

「……良いのですか? ロキ様。この封印を解いても」

 

「貴様っ! それを何処で手に入れたっ!?」

 

「抵抗なさるようですね。では、此方も慈悲は掛けません。……三月三日 今日もフレイに肥溜めに落とされた。その後でテュールにカツアゲされた。だが、俺はこの疼く左手の封印を解きはしない。俺の手に封印されている暗黒漆黒超絶無敵最強暗黒最大最強残忍残酷破壊神ダーク・ネオ・ブラックが復活すればきっと皆死んでしまうから……あの、一つ教えてください。どうして暗黒が二つも入っているのですか?」

 

「お前は鬼かっ!?」

 

「いえ、半神です。私の知識にはこの暗黒漆黒超絶無敵最強暗黒最大最強残忍残酷破壊神ダーク・ネオ・ブラックなどという神の知識はありませんが、どのような神話のどのような来歴を持つ神様なのでしょうか?」

 

「終いには泣くぞっ!?」

 

 既にプルプル震えながら涙ぐんでいるロキに攻撃出来る者は居らず、誰しも暖かい視線を送るばかり。

 

「あの、イッセーさん。暗黒漆黒超絶無敵最強暗黒最大最強残忍残酷破壊神ダーク・ネオ・ブラック様って凄い神様なのですか?」

 

 ただ一人、純粋無垢なアーシアを除いて……。無邪気が良いものとは限らない、その例だ。

 

「……ねぇ、ロキ泣いてない?」

 

「嘘だろっ!? おい、誰か慰めろよ」

 

「あ〜、も~! なんだよこの空気はっ!?」

 

「そんな事よりお饂飩食べたい」

 

「……じゃあ、私は狐饂飩特盛で」

 

「儂はたぬき饂飩」

 

「俺は蕎麦の方が好きだな」

 

「我、カレーライス」

 

「あっ、ああいう所のカレーって和風で美味しいよね。じゃあ、ミックスピザで」

 

「じゃあ、僕はロキの日記をネットで拡散した後で”和牛百パーセントハンバーグ トリュフのブルゴーニュ風ソース掛け”で」

 

 アンノウンはオーフィスとボンバーボーイの対戦をしながらリアスの期間限定プリン(昨日まで販売)をパクパクと食べる。

 

「キサマら、いい加減にしろっ!! こうなれば皆殺しだっ!」

 

 ついに限界を迎えたロキは血管が切れる勢いで叫ぶと腕を振るう。

 

「来い! フェンリル!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クゥ~ン」

 

 そしてチワワが現れた。




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オーバーロードの二次始めっちゃったぜww

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