自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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戻ってきた大熊猫編
二十五話


「ベルっち、ベルっち。怪物祭(モンスター・フィリア)って祭りがあるからオーフィス連れて行って。はい、お小遣い」

 

「我、楽しみ」

 

 オーフィスは返事も聞かずにベルに飛び乗り、肩車の状態になる。オーフィスの太ももがベルの頭を挟み、ロリコンのベルは直様了承した。

 

「あっ、僕も行くぜ、ベル君。今日は休みなんだ」

 

「じゃあ、僕も……」

 

「なに言ってるんだい? アポロン。君は休みじゃないだろう、ずっと、永遠に」

 

「天界に帰りたい……」

 

 時給のジャガ丸くん(納豆レバー味)をモソモソと食べながら涙を流すアポロンであった。

 

 

 

 

 

「……おい、アイツってまさか」

 

「しっ! 関わり合いになるなっ!」

 

 オーフィスを肩車しながら町中を歩くベルを見た人は彼を指さしながらヒソヒソと話す。その原因はアポロン・ファミリアとの戦いで彼が行った一騎打ちの内容にあった。

 

 

 ヒュアキントスが突き出した短剣をワザと腕に突き刺したベルは金属製の膝当てで金的を放ち悶絶した彼の足を払うと腹に足を振り下ろす。そのまま彼の上に飛び乗ったベルは自分の腕に突き刺さった短剣と自らの短剣をヒュアキントスの腕に突き刺して床に貼り付け、血が流れ出るのも気にせずに顔面を殴打し続けた。鼻が曲がり歯が折れるヒュアキントス。

 

「降参します?」

 

「誰がするかっ!」

 

 しかしまだ彼の心は折れない。するとベルは彼の顔の真横に手を向け呟いた。

 

「ファイヤボルト」

 

 床を破壊しヒュアキントスの耳を焦がす雷炎。そしてベルはヒュアキントスの右目を右手で覆った。

 

「10、9、8、7、6、5、4、3、2、い……」

 

 感情を込めず淡々とカウントダウンを進めるベルとその様子を囲んで眺める数万の軍勢。もはや心を折るには十分だった。

 

「降参だっ! 私達の負けだっ!!」

 

 かくして見事勝利を得たベル。この勝負の内容はオラリオ中に放映され、一般人どころか神々や一級冒険者さえもドン引きしていた……。

 

 

 そしてこの戦いでレベルアップしたベルには新たな二つ名が与えられる。『血塗れの狂戦士(ブラッティ・ベルセルク)』という二つ名が……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「完成っ!」

 

 一方その頃アンノウンは元アポロン・ファミリアのホームにまで来ていた。この建物を手にしてからはや数日。建物はもはや原型もないまでに変貌していた。

 

「……あの、なんで鯛焼きなんですか?」

 

 呆れと困惑が入り混じった顔で建物を見上げるのはリリルカ。ツッコミが冴えているという理由で脱退金を肩代わりし店員として目の前の鯛焼きの姿をした魔道書と魔剣とナチョスの店で働く事になった小人族(パルゥム)の少女だ。

 

「僕だからさっ!」

 

「答えになってませんよねっ!?」

 

 高い給料に釣られて話を受けたことを後悔し始めたリリルカであった……。

 

「あっ、そうそう。僕少し異世界に行ってくるから何かあったらハシビロコウに聞いてね。それではそれでは、パンダのパ~は、ジャイアントスイングのパ~!」

 

 足を抱えて空中で回転するアンノウンは空に空いた穴に吸い込まれるように消えていった。

 

「パは何処にっ!? 何処に有るんですかっ!?」

 

 

 

 

 

「実に平和だ。いや本当に……」

 

 アンノウンがフェンリルと共に姿を消して早数週間。サーゼクス達はリゼヴィムの野望など気にならない程の平穏を享受していた。今はレーティング・ゲームの真最中で凶暴化した匙が一誠を武器に小猫と激闘を繰り広げているが気にならない。アンノウンが居ないと言うだけ一部の者を除いて平和を感じていた。

 

「偽りのま……」

 

「たっだいま~!」

 

 故に襲撃を掛けてきた旧魔王の何とか・アスモデウスが戻ってきたアンノウンの下敷きになって気絶してもそのこと自体オハ気にならない。

 

『ア、アンノウンが帰ってきたっ!?』

 

「皆お待たせっ! 君達のアイドル、アンノウンが異世界からご帰還だよ~! あっ、御飯食べてくるね~!」

 

 そのまま足下の何とか・何とかに気付かずに食事に行くアンノウン。後には呆然とするサーゼクス達が残された。

 

「取り敢えず其所の彼を捕まえておこう」

 

 

 

 

 

 なお、ゲームは祐斗ガ途中でゲロ吐いて気絶し、一誠はブーメランのように放り投げられ気絶。匙もその際に建物を激しく破壊したので反則としてリタイア。ギャスパーはニンニク責めに合うも何処かの邪神のお告げで復活。ニンニク如きねじ伏せてくれるわ~!、と叫びながら用意されたニンニクを一気食いして喉に詰まらせてリタイアした。

 

 最終的にソーナの策が成功してリアスが負けた。だが彼女の眷属も色々とおかしくなっていたのでゲーム後の健康診断でリアス共々胃潰瘍が発覚。退院したのは夏休みが終わった一週間後の事だった。

 

 

 

 

「ねぇねぇ、次は聖女フェチのディオドラ君だけどさ、どういう策に出るの? まっさか又しても”イッセーが強いからどうにかして強い奴にぶつけよう”な~んて脳筋な作戦に出ないよね?」

 

「……脳筋で悪かったわね。どーせ私たちは全員脳みそ筋肉よ」

 

(……一緒にしないで欲しいです。まぁ愛されマスコットキャラの私はそのよう様な事、口が裂けても言えませんが)

 

 すっかり腹黒キャラが身についてきた小猫。その横では朱乃も同じようなことを考えていた。

 

(私は頭脳派ですのに……)

 

 

 

「ところでディドドラが聖女フェチってどういう事?」

 

「えっとね、彼の眷属って一人除いて全部女の子なんだけど、屋敷で囲ってる子も含めて教会関係者なんだ。……男はなんで入ってるんだろう?」

 

「……まさか、ホモ?」

 

 囲ってるとか眷属が聖女ぞろいとか色々あったが、周りが変態ぞろいな為に他の所も変態だと思う事で心の平穏を保とうとするリアス。

 

「こんにちわ。アーシアに会いに来ました」

 

『あっ、ホモが来た』

 

 やって来たディオドラを見たその場の全員が一斉にそう言った。勿論、アーシアも……。




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