自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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第二話

 『アンノウンに関するレポート』

 

 種族性別年齢素顔全て不明。ただ、数千年前から各神話体系の前に現れては”お気に入り”を中心に誂うなどの行為を繰り返している。先の三すくみの大戦の少し前から姿を消しており、一時期は恨みを買った誰かに殺されたかと思われていたが、大戦の途中にお気に入りの一人であるグレイフィア・ルキフグスの黒歴史をバラまくなど復活を果たす。

 

 なお、オーフィスが禍の団よりも先に助力を求めた存在であり、戦闘時のデータは無いので実力は未知数だが、情報収集能力と相まって計画実行の際は注意すべき存在だと思われる。

 

 

 

「……ふ~ん、やはり正体は分からないままか」

 

 禍の団の派閥の一つである”英雄派”のリーダー・曹操は部下から受け取った報告書を繁繁と眺める。その時、窓から封筒を咥えた鴉が入って来て机の上に封筒を置くと羽を撒き散らかしながら飛び去っていった。曹操は不機嫌そうにしながらも封筒を開ける。すると小さな封筒に納まるはずがないほど大量の写真が部屋中にばらまかれた。

 

「なっ!? み、見るな!」

 

 曹操は慌てて写真を掻き集める。其処に映っていたのはオネショ布団の前で泣きベソをかいている幼少時の曹操の姿だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンノウンの~! 三分クッキング~!! 司会進行はこのアンノウンが行います!」

 

「助手は我」

 

「ま~た、変な事を始めたにゃん……」

 

 黒歌が呆れ顔で見つめる先には調理番組のセットのような物とエプロンを着たアンノウンとオーフィス。美猴とルフェイは照明と音響係をやらされていた。

 

「アンノウン。今日、何作る?」

 

「旧魔王派が”蛇”を欲しがっていたから、『オーフィスの蛇 ジャイアンシチュー風味』を作るよ。用意する物は大きめの鍋に貯めたお湯。そして以下の材料です!」

 

 

 何かの肉 三kg

 

 妙な粉 二kg

 

 成分不明の水 三ℓ

 

 正体不明の調味料 二kg

 

「全部何か分からないっ!?」

 

「オーフィス、君はこの煮えたぎったお湯の中に入って」

 

「分かった」

 

 オーフィスは服を脱ぎ捨てると煮え滾るお湯の中に飛び込む。そのまま頭の先まで浸かっている間、アンノウンは粉と水を混ぜ合わせる。

 

「それではオーフォス、この肉をみじん切りにして」

 

「我、刻む」

 

 鍋から飛び出したオーフィスは包丁で肉を切り刻み、アンノウンは其れを先ほど混ぜ合わせた粉に投入する。そのまま調味料を混ぜ合わせると不気味な色に変色した。

 

「其れでは仕上げです。先ほどオーフィスが浸かったお湯を八百ml入れまして、上から布を被せて呪文を唱えます。オーフィスお願いね」

 

「分かった。……アラビンドビン、ハゲチャビン」

 

 布の下で混ぜ合わせた物体が光り輝き、布を除けるとウネウネと蠢く小型の蛇が大量に存在していた。

 

 

「完成! なお、詳しい作り方は今週発売のテキストをお読みください」

 

「そんなテキスト何処に売ってるのにゃんっ!?」

 

「……何処だろう」

 

「困るなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、助けて……」

 

「いやいや、駄目に決まってるっしょ。君は悪魔に加担する大悪人なんっすからさっ!」

 

 少年神父フリード・セルゼンは悪魔召喚の常連である男を惨殺すると額に薄ら滲んだ汗を拭う。まるでスポーツでもやった後のような爽やかな笑顔だが、この部屋の住人であり被害者の男性は逆さ貼り付けになっていた。

 

「にしても、悪魔君が来るまで待っていようにも何にもねぇな」

 

 最近教会にやって来たシスター・アーシア・アルジェントは部屋の外で結界を張らせているのでこの部屋にはおらず、召喚されてくるはずの悪魔は未だやって来ない。暇潰しをしようと思って部屋の中を見渡すフリードだが部屋の中にあるのは男性を殺す時に壊してしまったテレビにフリードの興味の範囲外の雑誌や小説。ダンボールと画用紙で作った木の枝を持ったアンノウンにCDコンポ。CDもアニメ系ばかりで興味がわかない。

 

「仕方ねぇ。この外道ちゃんの血で何か書くとしましょうかね」

 

 フリードは男性の血を使い、要約すると”悪い子にはお仕置きよ”、という事を書いた。

 

 

 

「すいませーん。グレモリー眷属の者ですがー」

 

 数十分後、ノコノコやって来たのは兵藤一誠。魔力が子供以下で転移魔法陣が使えないので自転車で移動している彼は呼び出した依頼主の部屋へと入り、其処で死体を発見した。壁の血文字に呆然とする一誠の背後から声が掛けられる。

 

「『悪い事する人はお仕置きよー』って聖なる神の言葉を借りたのさ!んーんー。これは、これは悪魔くんではないですかー」

 

 この時、一誠の脳裏に浮かんだのは『悪魔祓い』。悪魔の仇敵である。そして彼らの使う武器に宿る光力は悪魔にとって猛毒だ。

 

「俺っちの名前はフリード・セルゼン。あ、君は名乗んないでね。耳が腐るから。じゃ、早速だけど死んでくれや!」

 

 フリードはヘラヘラ笑いながら光の剣を振るう。何とか避けた一誠だったが、右足に激痛が走る。見るとフリードの持つ拳銃から煙が上がっていた。銃声がしなかった事に困惑している一誠の左足が再び撃ち抜かれ、一誠はあまりの痛みにのたうちまわった

 

「どうだ! 光の弾を放つ祓魔弾は! 銃声なんざ、しゃしません! じゃ、そろそろ死んでくれない?」

 

 フリードが切れた笑いを浮かべながらトドメを刺そうとした時、突如声が響いた

 

「やめてください!……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 突如入ってきたのは先日一誠出会った少女、アーシア・アルジェントだった。彼女は死体に気づき、悲鳴を上げる

 

「あらら~、どうしたの、アーシアちゃん。あ、此奴? 大丈夫だって。こいつは悪魔と契約を結ぶ常習犯だからお仕置きしてやっただけだよ」

 

「そ、そんな! ……一誠さん?」

 

 フリードの言葉にショックを受けたアーシアは一誠に気づき、目を見開いて驚いた。数日前、道に迷っていたアーシアを案内した人物こそが一誠なのだ。

 

「なんでアーシアが此処にっ!?」

 

「あん? 君達知り合い? ……ああ、何処かの親切な奴に案内して貰ったって言ってたっけ?」

 

 フリードは空いた手で耳の穴をほじくりながら一誠に拳銃を向ける。しかし引き金を引こうとしたその時、アーシアが横から飛びついてきた為に機動が逸れた。外れた光の弾はアンノウンへと向かい、『ただの観葉植物』と書かれ得た名札に命中して名札が床に落ちる。

 

「なっ!? 観葉植物じゃなかったのかよっ!?」

 

「お、お前はあの時のパンダっ!?」

 

「ど~も! 喋れるパンダです!」

 

「可愛い! 私、パンダさんを初めて見ました!」

 

 アーシアは目を輝かしながらアンノウンに近寄ろうとするが、アンノウンはそれを手で制した。

 

「あっ、気を付けてね。パンダってクマの仲間だから気性が荒いんだよ? それと握手は三百円。ハグは五百円。記念写真撮影は千円ね」

 

「「てか、なんでパンダが喋れるんだよ!?」」

 

「喋れるパンダだから」

 

 見事にハモったフリードと一誠はアンノウンの返答に納得したのかポンッと手を叩く。その時部屋に魔法陣が出現してリアス達が現れた。

 

「……パンダです」

 

「あらあら、動物園から逃げ出したのかしら?」

 

「パンダか。僕、パンダは大好きなんだよ」

 

「どう見てもキグルミでしょうっ!?」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

 この時、リアスとアンノウンを除く全員が”何言ってるんだ? 此奴”っといった風な顔をした……。

 




この小説はノリで書いているので感想や評価が重要です。感想と評価待っています。


できれば低評価の時は ~を直した方が良い などのアドバイスが欲しいです。文章能力はすぐ直せないけど…

意見 感想 活動報告の募集 誤字指摘お待ちしています  

何故アーシアが死体そっちのけなのか? ふふふ

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