自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

27 / 49
ドラえもん 小宇宙戦争

 スモールライトがなくなった!

つ ビックライト

つ タイムふろしき

つ なんか小さくなれるトンネルをビックライトで


番外編 ダンまち編

 広大な迷宮通称『ダンジョン』が存在する迷宮都市オラリオ。sダンジョンに出没するモンスターの体から取れる魔石は生活するうえで必要な道具に欠かせない物となっており、それを求めてダンジョンに潜る者達は冒険者と呼ばれていた。

 

 そしてその冒険者達が所属するのが『ファミリア』と呼ばれる組織。下界に降りた神がリーダーとなり所属する者達に神の恩恵(ファルナ)を与えているのだ。

 

「ねぇねぇ、僕もファミリアを作りたいんだけど申し込みは此処で良いんだよね?」

 

「え~と、神様ですよね?」

 

 ファミリアを管理する組織であるギルドの受付は申請にやってきた相手の姿を見て戸惑う。どう見てもパンダだったからだ。胸には『喋ってもおかしくないパンダ』と書かれているのでそれほど驚かないがどう見ても神には見えない。彼女が戸惑っているとパンダは少し腕組みをしながら考え出した。

 

「う~ん、本編で名前出しちゃったし、別に良いかな~? まあ、神じゃなくって神の敵対者だけど良いんじゃない?」

 

 そう言いながら何気なく差し出されたのは有力な神数名からの血判状。流石に都市の財政に大きく関わっている神だけでなく他の国の有力な神の名前もあるのでギルド側も断れず、この日より新しいファミリアが誕生する事となった。

 

 

 

「よ~し! トライヘキサ・ファミリアの誕生だ! ……あっ、番外編だけどアンノウンって名乗っとこ」

 

 パンダことアンノウンは寝そべったパンダの形をした建物の前で張り切る。周囲の住民は五分前まで存在していなかった建物を遠巻きにしつつアンノウンの姿を観察していた。

 

「……パンダ?」

 

「パンダ、だよな?」

 

「いや、キグルミだろ?」

 

「何言ってるの? 喋るだけのパンダじゃない。でも、ファミリアを持つってことは神様なのか?」

 

 ただ一人だけガラの悪い狼人の青年だけはキグルミと見抜いていたが周囲の人からは正気を疑う様な目を向けられて少し落ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、僕をこのファミリアに……」

 

「帰れ帰れ! 雑魚はお断りだ!」

 

 一人のアルビノの少年が冒険者を目指してファミリアに入ろうとするも何度も断られていた彼の名はベル・クラネル。死んだ祖父の言葉から出会いを求めてこの都市にやって来たのだが弱そうな見た目から何度も断られている。

 

「……はぁ」

 

 弱いからファミリアに入れて貰えず、ファミリアには入れないから強くなれない。悪循環に絶望しながらトボトボ歩く彼の視界に奇妙な建物が入ってきた。グテッと寝そべったパンダの形をしており口が入り口で舌がカーペットになっている。瞳は窓となっており、ガウンを着てワイングラスを持ったパンダのキグルミの姿が見えた。

 

「……ここもファミリアみたいだけど。よしっ! ……最後に選ぼう」

 

 本能で胃への危機を感じ取ったベルはそそくさと立ち去ろうとする。だが突如扉が開きカーペットが彼の体に巻きつくと建物の中に引き摺り込んだ。

 

 

「ようこそ! アンノウンのトライヘキサ・ファミリアへ! それじゃあ此処にサインしてね」

 

「……その前に解いてください」

 

 なんかこの神様には苦労させられそうだ。主人公の勘で直ぐに察し、早くも胃がキリキリ痛み出したベルであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、女の子と出会いたくっ此処にやって来たんだ。僕は遊び半分で分身を送っ……とある崇高な目標があって地上にやって来たのさ! ちなみに君以外のメンバーはいない。何でだろう?」

 

 それは貴方がパンダだからです。そう言いたいが言えないベルは仕方なくこのファミリアに所属することにした。

 

 

 

 

「それとこのファミリアなんだけど、僕って万能の霊薬(エリクサー)とかマンドレイクとか魔剣とか魔道書とかしか作れないから頑張ってダンジョンで稼いで来てね!」

 

「それだけ出来れば十分ですよねっ!?」

 

 とツッコミを入れてみたもののダンジョンに潜りにやって来たのでダンジョンに行く事に文句はないベルであったが此処で一つ問題が。

 

「あの、武具や防具て有りますか?」

 

「じゃあ、”般若の面”、”諸刃の刃”、”嘆きの盾”、”地獄の鎧”。どれも強力だよ。……錯乱したり与えたダメージの一部を受けたり周囲の人が受けたダメージの一部を受けたり、いきなり動けなくなったりするけど」

 

「全然ダメじゃないですかっ!?」

 

「じゃあ”レイトウマグロ”、”アイルーフェイス”……」

 

「またマトモじゃないっ!?」

 

 この時点で胃が痛みだしたベル。ちなみに原作ヒロインだが、

 

 

「あっ! 新しいファミリアで住み込みの家政婦募集してるや。僕もそろそろ手持ちが無くなってきたし……面接は一週間後か」

 

 なんだかんだでベルと出会う事になっていた。

 

 

 

 

 

 

「やっぱりさ、あまり良い武器とかに頼るのはどうかと思うんだよね。取り敢えずさっき収穫した命の木の実と不思議な木の実と力の種と守りの種と素早さの種とラックの種の出来が良いから99個ずつ食べていく? 楽に強くなれるよ!」

 

「え~と、それって食べて大丈夫なんですか?」

 

「死なないとは思うよ? まあ、無理矢理成長させたから何か有るとは思うけど」

 

「……普通に頑張ります」

 

 取り敢えず無難な装備が欲しいと言って渡されたメラルーツールと黒子シリーズを受け取ってダンジョンに向かったベル。ちなみに武器にツッコミを入れなかったのは先に出てきたのがあまりにもアレ過ぎて感覚がマヒしたからだ。

 

「じゃあ、今から歓迎会だね! 神殺しの狼とか世界最強のドラゴンとかこの世全ての悪とか呼ぶけど良いよね?」

 

「あっ、はい。……考え込まないのが一番ですよね」

 

 そしてこの短時間ですっかり染まった少年であった。こうして宴は連日行われ彼のデビューは遅くなった。

 

 

 

 

 

 

「え~と、あのファミリアの所属ですか。……類は友を呼ぶのですね」

 

「え? 最後何か言いました?」

 

「いえ、何でもありません」

 

 担当になったギルド職員のエレナはベルの姿を見て聞こえない様に呟く。猫の前足を模した片手剣に怪しい服装の新人冒険者。周囲の冒険者が注目するもベルは自分が弱そうだから見られていると思いつつダンジョンに侵入するベル。この時点で彼は変人認定されていた……。

 

 

 

 

「それにしてもこの木の実美味しいなぁ」

 

 表ったよりも楽勝だった事で調子に乗ったベルは一日目から五階層まで降りて来ていた。休憩としてアンノウンから渡された木の実を食べながら思い出すのは歓迎会の事。

 

「あの神様?は妙な木の実を食べさせようとしてたけど食べない方が良いよね。そういえばパーティの時に出された変なピーナッツは美味しかったなぁ」

 

 ちなみにそれらが食べさせられそうになった木の実達で有る……。

 

 




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。