自由大熊猫UNKNOWN ただしキグルミ 本編完結   作:ケツアゴ

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アニメ一話見ました 原作では唐突に現れたトラウマとか葛藤とかドラゴンとかがちゃんと伏線張られてましたね。


所でサーゼクスは前魔王の十倍の魔力のテクニック リアスは若手上級悪魔レベルで優秀な部類のパワー……うん、仕方ないさ


第一話

 その日は珍しくグレイフィアとサーゼクスの休日が同じ日であり、二人は息子のミリキャスと共に部屋で寛いでいた。ラジオからはクラッシクが流れ三人はゆっくりとした余暇を過ごす。だが、突如騒がしい音楽と共に別の番組が始まった。

 

『DJアンノウンの~、とことん喋りマッスル!! さぁ、本日より始まりましたこの番組! 司会進行はこのDJアンノウンが務めさせて頂きマッスル!』

 

「……サーゼクス、今すぐラジオを壊すわよ」

 

「いや、落ち着こうかっ!? 番組を切り替えれば良いだけじゃないか」

 

『な~お、この番組放送中は切明もラジオの破壊も何処か一軒のお宅に限り不可能となっているよ~! そして今回の当選者は……グレモリー公爵家の皆さんだぁっ!! それでは人気コーナー”聞かせてポエム”!』

 

初放送で人気コーナーとはこれいかに……。

 

「二人共! 今すぐ部屋から出ていきますよ!!」

 

 グレイフィアは顔を青ざめながらドアを開けようとするも何故か開かない。その様子にミリキャスは首を捻り、サーゼクスは何かを思い出して笑いを堪えているのをグレイフィアに見つかって耳を引っ張られた。

 

『え~、最初のおハガキはペンネーム”厨二総督ディスり隊”です。なになに、初めましてDJアンノウンさん。私はとある計画をしていますが、準備を終えるまでやる気を抑えられそうにありません。だから先の大戦中に聞いて、やる気を非常に無くさせたポエムをお願いします、だってさ! それではグレイフィア・ルキフグス作の『恋はメロリンパフェ』行っくよ~!!』

 

 

 

 三すくみの大戦中、グレイフィアが思春期に書いたポエムがばら蒔かれるという事件が起きた。毎日毎日一個ずつポエムをばら蒔き、その内容は各勢力の戦意を大幅に削ぐ内容だったのだ……。

 

 

 

 

 

「……殺す。絶対に殺す」

 

 ラジオ終了後、グレイフィアはパンダのヌイグルミを殴打しながら静かに呟く。その姿をミリキャスは怯えながら見詰めていた。

 

 

「何時もの母様じゃない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は! は! は! はい! ズンタカタタ! ズンタカタ! リンボーリンボー、リンボーダンス!」

 

「ずんたかた、ずんたかた」

 

 此処はアンノウンが所属するテロ組織『禍の団(カオス・ブリゲート)』のアジトの一室。特に陣営に属していない者が利用する粗末な建物だ。そこでアンノウンは激しく足踏みをしながら背中を反らしてバーの下を潜る。その横では組織のボスであるオーフィスが駄菓子を食べながら太鼓をペチペチと叩いていた。

 

「……なぁにやってるのにゃ?」

 

「リンボーダンス」

 

「見たら分かるわっ! なんでリンボーダンスなんかやってるのかって訊いてるのよっ!」

 

「そりゃ、リンボーダンスの準備をしたらリンボーダンスをするしかないじゃない。ね~!」

 

「ね~」

 

 アンノウンとオーフィスは顔を見合わせる。オーフィスは無表情、アンノウンはキグルミなので何を考えているかは分からないが……非常に腹が立った黒歌であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、まさか喚びだした相手に借金を申し込まれるとは思わなかったわ。しかもキグルミには逃げられるし」

 

「あの、部長。ちゃんと胸元の名札に『ほんもののパンダ』って書いていたじゃないですか。あれは本物のパンダっすよ」

 

「本物のパンダは『ほんもののパンダ』なんて名札を付けないわよっ!?」

 

 あの後、夕麻はリアスの姿を見るなり逃げだしアンノウンは黒子を指笛で呼ぶと人力車でその場から素早く退散していった。その際、リアスの財布から六百円を抜き取って焼き芋を渡してだ。ちょうど小腹が減っていたリアスは自分が出したのだからと一口齧り、この時になってサツマイモではなくジャガイモだと気付く。口の中がサツマイモの受け入れ態勢に入っていたので非常に辛かった。

 

 

 それとリアスは一誠に説明するついでに堕天使に狙われる程なので興味を持ち、原作での説明をして勧誘。一誠は欲望に負けて悪魔に転生した。

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、疲れたわね」

 

 一誠への説明と転生を終えたリアスは疲労感に襲われながら自宅へと帰っていく。一誠を転生するのに駒を全て使ったのは良い拾い物をしたと思いつつも、捨て設定ながら一応男には興味がないという設定だったので死に掛けている時に呼び出した時と違ってそれほど興味は湧かないでいた。グッと背伸びをしながらマンションのドアを開く。

 

 

 

「へい、らっしゃい!」

 

 リアスの部屋が回転寿司屋になっていた。調理場にはアンノウンの姿が有り、名札には『いちりゅうの寿司職人』と書かれていた。既にテーブル席は埋まっており、カウンター席に座った鶏のキグルミは涙を流しながらタマゴばかり食べている。

 

「……間違えました」

 

 リアスは一度外に出て目薬を差す。表札を見ると確かにリアスの部屋だ。そして深呼吸をするともう一度ドアを開け、

 

「イラッシャーイ!」

 

 今度はカレー屋になっていた……。

 

 

 

 

 

 

「それではサラダバー」

 

「……はっ!」

 

 リアスが我に返る前に窓を割って外に飛び出したアンノウンは風船を膨らませ空高く舞い上がっていく。リアスが慌てて外を見るとアンノウンは鴉に風船をつつかれて落下していった。落ちた所はゴミ捨て場。ちょうど収集車が来ており、そのまま他のゴミと共に積み込まれて運ばれていった。

 

「……一体、何だったの?」

 

 ドッと疲れたリアスはそのままベットに潜り込み、宿題を忘れた事に気付いたのは次の日のHRの事だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー楽し」

 

 アンノウンはゴミ収集車を運転していたマグロのキグルミと運転を交代するとアジトへと戻っていく。中に入るとソファーに座り込み、やがてスヤスヤと寝息をたてだした。その数分後、奥に隠れていた黒歌や美猴、アーサーとルフェイが気配を殺しながら現れる。

 

 

「眠ったかにゃ?」

 

「そのようだぜぃ」

 

「流石ルフェイです。彼を眠らせれるとは」

 

「……近付かないで下さい。妹萌えの魔女っ娘フェチさん」

 

「まだ前話のギャグシーン引きずっているんですかっ!?」

 

 四人は小声で話しながらアンノウンに近付いて行く。そして黒歌の手がキグルミの頭部をしっかりと掴んだ。

 

「スッピン拝見させて貰うにゃん。えい!」

 

 パンダの頭部を除けると其処にあったのはパンダの頭部。

 

「……えい!」

 

 又してもパンダの頭部。

 

「えい! えい! え~い!」

 

 またしても、その次も、そのまた次もパンダの頭部が出てくる。除けた頭部は部屋の中に積み重ねられて行き、その総数百七十五個。そして百七十六個目を取った時、其処には目も口もなかった。

 

「マネキンっ!? ……あれ? 何か聞こえるにゃ……」

 

 黒歌の耳に聞こえてきたのはカチカチという時計の秒針の音。振り返ると三人の背中が遥か遠くに見え、マネキンは大爆発を起こした。

 

「にゃぁああああああああっ!?」

 

 爆煙が晴れた時、其処にはアフロになって黒い煙を吐き出す黒歌の姿。そして今度はシャッター音が聞こえてきた……。

 

 




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