ピピピピッ! ピピピピッ! っと、目覚まし時計の音と、ミクちゃんが俺を起こしにくる声が聞こえてくる。
「ん……。 もう朝か……。 昨日はなのはとフェイトがワケワカメすぎて大変だったなー……」
目をくしくしとこすりながら、ベットから出る──出ようとしたところで自分の横で寝ている人物に目がいった。
いつも結んでいる金髪もいまはおろされストレートに、小さな体躯でペットのアヒルを抱きしめている女の子、ヴィヴィオである。 アイドルにして家庭最強の女の子。
「おはようヴィヴィオ」
金髪の髪を手で梳きながら、いまだ夢の中で遊んでいるヴィヴィオに挨拶する。 と、それに反応するように、横でヴィヴィオと寝ていたアヒルのガーくんがむくりと起きてひょっとこをみていた。
「おはようガーくん」
「オハヨウオハヨウ! モウオキルノ?」
「俺は起きるよ。 ガーくんはヴィヴィオと寝とく?」
「ネトク! ヴィヴィオトイッショ!」
言うが早いが、ヴィヴィオの横で寝だすガーくん。 そんなガーくんの頭をひょっとこは一撫でし、今度こそベットからおり、背伸びしながら廊下へと続くドアを開ける。
「あっ……」
「お? おはようフェイト。 どしたのこんな朝早くから? まだ5時だよ?」
今日は朝からの仕事など入っていなかったはずだけど。 そう言いながら、ドアの前で右手を不自然に伸ばしているフェイトをみる。
その視線に気づいたのか、手をひっこめるフェイト。
「お、おはよう俊。 いやちょっと……ヴィヴィオが心配で……」
「ちょっとは俺を信用してくれよ。 流石にヴィヴィオには手を出したりしないってば。 娘に手を出すとか、どこのエロマンガやエロアニメだよ。 流石にねえわ。 と
いうか、ロリでヌくとかねえわ」
「つい先日、キミのエッチな本の中から小学3年生くらいの魔法少女ものの同人誌を発見したんだけど……」
「やっぱ小学生は最高だな!!」
「早くヴィヴィオを助けなきゃ!?」
強引に体を入れ、ヴィヴィオが寝ているベットに駆け出そうとするフェイト。
「いや冗談だから!? なんでマジな目でヴィヴィオの安全確保しようとしてるの!?」
「離して
「だから冗談だってば!?」
「だったらあのエッチな本はなんなの!」
「それたぶん、なのはとフェイトをモデルに俺が描いた同人誌だと思う。 みる?」
「みないよ!? なんで自分がモデルの同人誌を見なきゃいけないの!? というか、キミは普段私達をどういった目でみてるの!?」
「視姦してるお」
「でてけ! 家からでてけ!」
朝から怒られるひょっとこ。 ついでに首を絞められる。
「ギブギブギブギブ!? 謝るから! 謝るから! ほんとごめん! おっぱいごめん!」
「私に謝ってよ!?」
「でもお前だって悪いだろ! そんな可愛いくせに、とんでもない破壊力もったおっぱいと尻をもちやがって! むしろ耐えてる俺は褒められるべきだ! お前が謝れ!」
「おかしい! その逆ギレの仕方はおかしい!? なんか褒められてるのに素直に喜べないよ!?」
「あ、同人誌の男役は全部俺だから安心して!」
「安心できる要素が皆無なんですけど!? むしろ怖いよ! 一つ屋根の下で暮らしてる幼馴染が自分たちをモデルに同人誌描いてたこの状況はめちゃくちゃ怖いよ!?」
「でも俺がプライベートで楽しむ同人誌だし……大丈夫じゃない?」
「いや、安心できないから! どこがどう大丈夫なのか全くわかりません!」
「でもほら、男は性欲をどこかで発散しないと性犯罪を犯す可能性があるじゃん? だから、その性欲の発散場所が二次元ならまだ安全だと思うんだ。 二次元は架空の存在だからね。 まあ、俺くらいの猛者になると二次元キャラと三次元で過ごしてる境地にまでいけるんだけどね。 だからまぁ、ようするに何が言いたいのかというと、二次元での性欲発散って意外に大切なんだよ? 考えてもみてくれよ、人間の三大欲求の中に性欲は含まれているんだぜ? ようはそれだけ重要なことなんだよ。 なんせ性欲がないと、人類は滅亡するからね。 そんな性欲を無くすのは無理だ。 かといって、現実世界で性欲発散なんてしようものなら性犯罪につながりかねない。 しかしながら二次元なら話は別だよ。 二次元ならばいくら性欲を発散しようと、それが直結して現実の性犯罪にはならない。 刑務所じゃあるまいし、自慰をするだけで逮捕、なんてことにはならないよね。 まぁ……あえて被害を上げるならば、ゴミ箱を孕ませるくらいかな?」
「こいつ……いきなり饒舌になりやがって……!」
「フェイトフェイト。 怒りのあまりキャラが壊れてるよ」
プルプルと拳を握りしめながら、ひょっとこを睨むフェイトに、ひょっとこは“どうだ”と言わんばかりにフェイトの顔をみる。 うざいドヤ顔である。
「でもでも、だからって私達がモデルのエッチな本を描くのはダメだと思うんだ」
「そんなこといったってしょうがないじゃないか」
「文字じゃ伝わりにくい物真似はやめようね? ──……それに、私は……べつに……いいよ?」
「……え?」
フェイトのいきなりの告白染みたセリフについつい遊ぶことを忘れるひょっとこ。
「それってどういう……」
いきなりのことで狼狽えながら聞くひょっとこに、フェイトはか細い声で答えた。
「だから……俊の性欲発散……私でよかったら……いいよ?」
「──ッ!?」
朱がさした頬。 ちょっとだけモジモジしだす体。 指同士をチョンチョンと触れ合わせながら、ひょっとこを上目づかいでみる。
「……ほんとに……いいの?」
「……うん」
最終確認をするひょっとこの言葉に、フェイトはコクリと頷く。
一歩、フェイトが俊に詰め寄る。
互いに無言で見つめ合う。
動かないひょっとこの顎に手をおいて、そのままゆっくりと指を這わせ──唇に触れる。
クスリと蠱惑的に微笑むフェイト。
指を動かし、口の中に指をいれ、俊の唾液を絡め取り自分の口にもっていく。 ペロリ──と、小さな舌でなめとり、そのまま手を俊の下腹部にもっていく。
「俊って……こういうの弱いよね……」
太ももから撫でまわしながら、徐々に上へと登っていき──
「……興奮……してくれてるんだ……?」
膨れ上がっているところを触る。 円を描くように、ゆっくりと、ゆっくりと──じらしていく。
「ふふっ……かわいい……」
そういって、フェイトが俊のモノをズボン越しに掴もうとしたそのとき──
「パ~パ……? フェイトマ~マ……?」
眠り眼でありながらも、しっかりと二人を呼ぶ娘の声が聞こえてきた。
「「──ッ!?」」
離れる二人。
そんな二人を、ヴィヴィオは不思議そうに見ている。
「お、おはようヴィヴィオ! まだ、起きるには早い時間だぞ!?」
「そ、そうだよヴィヴィオ! ど、どうしたの!?」
「う~ん……フェイトママのこえがきこえてたから……おきてきたの……」
くしくしと目をこすりながら言うヴィヴィオに、フェイトはなんとも『しまった……』とでも言いたげな表情をみせる。
二人の内、先に動いたのはひょっとこである。 ヴィヴィオに近づき、ヴィヴィオをだっこしながらゆりかごのように揺らす。
「えへへ……パパあったか~い……」
「また起こしてあげるから、ゆっくり寝ような~」
そのひょっとこの言葉にコクンと頷き、再びスヤスヤと寝息をたてはじめたヴィヴィオ。
そんなヴィヴィオをみて、ひょっとこは改めてフェイトをみた。
「えっと……」
「そ……その……! さ、さっきのは……えっと……! えっと……! そ、そんなつもりはなくて……と、とにかく! ち、違うのーー!」
赤くなった顔を手で覆いながら、一目散に駆けていくフェイト。 朝の家にフェイトの叫び声が木霊した瞬間だった。
ひょっとこは茫然としながらも、そもそもフェイトがこんな朝早くに訪ねてきた状況を作ったヴィヴィオをみる。
「……とりあえず……ヌこう……」
ひょっとこがトイレでヌいている間に、昨日の出来事でも思い出そう。