八月のバイトがキツキツでして。バイトの新人が入って、私は楽できるなーと思っていたら、その人無断欠勤しましてね………。まぁ、もう過去なのでいいですけど。
そして、お気に入り登録数がなんと1500突破っ! ありがとうございます! UAも14万行きました。
皆様には誠に感謝致します。
それでは、どうぞ!
アルスとアイズの二人が
ベルとリリルカはダンジョンから出て来て、ギルドで換金を済ませて今回の報酬を確かめていた。
「「に、二六〇〇〇ヴァリス!?」」
Lv.1冒険者一人、サポーター一人のパーティで、これだけの金を稼いだ。
Lv.1の冒険者五人のパーティが一日かけて稼ぐ金額をたった二人で叩き出したのだ。普段アルスがいてこれ以上の稼ぎがある【ヘスティア・ファミリア】だが、アルスが【ファミリア】に入れるお金は一日一回というわけではない。二日に一回だったり四日に一回だったりする。何故なら、アルスは時々ダンジョンに篭って帰ってこないからである。
「凄い、凄いですよベル様! ベル様お一人で二五〇〇〇ヴァリス以上稼いでしまいました!!」
「いやぁ、ほら、兎もおだてりゃ木に登るって言うじゃない!それだよ、それ!」
「何を言いたいのかリリには全く分かりませんが、とりあえず便乗しときます! ベル様凄い!」
「褒め過ぎだよぉリリぃ!」
興奮の度合いが酷いことになっているベル。もしここにアルスがいれば抑制されるかもっと酷くなっているはずだろう。それ程に酷い状態だ。
ギャーギャー騒ぎ、笑う二人。二人がいるのはバベルの簡易食堂。そこには二人以外いない。他の者は皆、それぞれ気に入っている酒場にでも足を運んでいるはずだ。
「……ではベル様、そろそろ分け前を………」
「うん、はい!」
どさっ、とベルは、二つある亜麻色の袋を一つ一一三〇〇〇ヴァリス入っている一一取ってリリルカの方に渡した。
「へ?」
「あぁ、これなら神様にもっと美味しいものを食べさせてあげられるかも……!」
ベルはヘスティアに恩返し出来ると思い、握り拳を作って想像に耽った。
隣にいるリリルカは、これだけの金額を何故独り占めしないのか、そう不思議に思い、目を点にしている。
「ベル様、これは……?」
「ん? 分け前だよ、決まってるじゃん! あ、そうだ。リリ、良かったらこれから一緒に酒場に行かない? 僕、美味しいお店知ってるんだ!」
つい先日にそのお店に行きたくないと告げられたにも関わず、ベルはその店、『豊饒の女主人』に行こうと言う。しかしベルは、"まぁ、いいよね! "と思っていた。
「じゃあ、行こうリリ!」
「ベル様!」
善は急げと言わんばかりに荷物をまとめるベルに、リリルカが呼び止め、もごもごとその小さな唇を動かす。
「ひ、独り占めしようとか……ベル様は思わないんですか?」
「え、どうして? 僕一人じゃこんなに稼げなかったよ。前まではアルさんがいたからもっと凄かったけど、僕とリリだけでこんなにも稼げたんだ。リリがいてくれたからだよ」
言って、ベルは笑顔を見せて、すぐに口を開く。
「だから、ありがとう。これからもよろしくね!」
ベルがそう言うが、リリルカは黙って俯く。そんなリリルカに、ベルは笑って手を伸ばした。
「リリ、ほら、行こう?」
ぼぉーっとベルを見上げるリリルカは、差し出された手をじっと見て、おずおずと彼女はその手を取った。
「………変なの」
その小さな呟きを、興奮するベルは見事に聞き逃した。
♠︎❤︎♣︎♦︎
夜、俺はアイズをホームに届けるために、彼女と一緒に夜の道を歩いていた。
………しかも彼女と手を握った状態で。
「…………」
「? どうしたの、アル?」
「いや、なんでも……」
アイズは首を傾げて俺の顔を覗き込む。俺は彼女と手を繋いでいる状態が恥ずかしいのか、少し赤くなっているであろう頬を見せないために顔を背ける。
「………むぅ……」
「な、なんだよ、アイズ」
「アルが顔を背けるから」
「別にいいだろ……」
小さく頬を膨らませるアイズを見て、俺は少し呆れたように呟く。
そういえば、まだ手を繋いでいるのか説明していなかったと思う。何故手を繋いでいるのかと言うと、今朝の件で巻き込んだ罰として、ということらしい。
アイズが満足しているのならそれでいいのだが、これは俺にとっては生殺しもいいところである。
ふと、俺とアイズの耳に、誰かの特大の号泣が聞こえてきた。
「なんだ? どこかで聞いたような声だけど」
「泣いてる、のかな?」
「だろうな」
コテン、とアイズはその金色の髪を揺らして首を傾げる。俺はどこで聞いたっけな、と思いながら目を瞬く。
号泣の源に足を運ぶ俺達は、その場所に着いた途端にピシリと固まってしまった。
「君が笑っていてくれればボクは下水道に住み着いたっていいぜ!? それくらい君のことが好きなんだ! ぶっちゃけ同じベッドで寝たいんだギュウギュウしたいんだ君の胸にぐりぐり顔を押し付けたいんだー!! 一日中君にくっついていたいんだー! 君が微笑んでくれればボクはパン三個はいけるんだー!」
来なければ良かったと、俺は後悔した。まさか、ここまで駄神様だったとは思わなかった。
俺とアイズが着いた場所は大通りから少し離れた路地に建つ酒場。そこには俺の主神、神ヘスティアと【ミアハ・ファミリア】の主神、群青色の髪をした美青年の容姿を持つ神ミアハがいた。しかもうちの駄神様は泥酔状態。
「ミアハ、大丈夫か?」
「あ、あぁ……アルスか。頼む、なんとかしてくれ」
ミアハでもお手上げで、ドン引きまでもしている。隣のアイズをチラッと見ると、金色の眼をぱちぱち瞬かせると、少し考えていた。
「愛してるよベルくーんっっ!! ………えへへぇ、一度でいいからベル君への想いをぶちまけてみたかったんだー。ふふぅ、すっきりー」
「当人がいなくて良かったな」
「全くだ。あ、ミアハ、勘定なら俺が払うよ。この駄神様のお詫びとして」
「む、すまないなアルス」
「いいって」
すまなさそうに眉を下げるミアハに、俺は笑って店主に勘定を済ませる。
にしても、この駄神様、まだ俺がいることに気付いてないな。ここまで酔うか、普通? 酒を飲んでも呑まれるなってこと知らないのかよ。
俺ははぁ、と溜息をつく。ヘスティアをミアハに任せておき、俺は未まだに考え事をしているアイズの手を引いて歩いていく。
「少し……分かる、かな……」
小さく、アイズはそう呟いた。
「何がだ?」
「神ヘスティアの、言ってたこと」
………聞かなかったことにしよう。うん、そうしよう。
俺は冷や汗を流しながら歩く。何故冷や汗を流すか。それは、
「私も……アルと一緒に、いたいし………」
この発言があるからだ。
アイズの呟きを聞いても、俺は黙って足を動かす。
しばらくお互い無言になり、聞こえる音は地面を蹴る二つの足音だけ。
「……アイズ……もうちょっと、待っててくれ」
もう【ロキ・ファミリア】のホームまで目と鼻の先のところで、俺はアイズの方へ振り返って言った。
「……うん、待ってる………」
アイズは感情の変化に乏しいながらも、微笑んで頷いてくれた。
俺も微笑んで、帰ろうとして背を向けた。しかし、後ろからアイズに声をかけられる。
「明日、六時に晩御飯、一緒に食べよう?」
「……………了解」
さっきの会話はなんだったんだろうと、この時俺はそれで頭がいっぱいだった。
♠︎❤︎♣︎♦︎
「ぬあぁぁぁぁぁっ………!?」
目を覚ましたのであろう、うちの駄神様が苦悶の呻き声を上げる。それを聞いた俺は哀れに思い、同時に当然だろうなとも思った。
「大丈夫ですか、神様?」
ベッドのすぐ側で、ベルが水の入ったグラスを片手に持って心配そうにヘスティアを見つめる。
「す、すまないベル君。こんな見苦しいところを……。アル君、君はなんでそんな哀れな
「べっつに〜?」
普段とは打って変わった弱々しいヘスティアを見て、俺は笑い転げたい気持ちを抑えて、手に持ったアイズから貰った指輪を磨く。
その後、ベルにダンジョンに行かなくていいのかとヘスティアが訊いたり、林檎をすり下ろしたものをベルがヘスティアに食べさせたりしていた。
「う……うぅー、頭がー」
「か、神様?」
「………うわ、棒読みとか」
酷い棒読みをして、彼女はぐらりと体を傾けてベルの胸の中に頭を乗せた。ちょうど、ベルに抱きとめられる格好である。
ヘスティアは頬を紅潮させて、さらに顔をうずめた。終いには調子に乗り、すがりついている。
「か、神様っ?」
慌て始めるベルの声を聞きながら、俺は誰にも聞かれない音量で呟いた。
「……神様(失笑)…………」
そう呟いた俺は間違いではないと思う。
しばらく、ベルとヘスティアの離す離さずの攻防戦は続いた。
少し、オリジナルが足りないと思いますけど、そこはご了承くださいっ。
あと、ヘスティアを駄神呼ばわりしてますけどアンチではないので、ヘスティアファンの方はご安心ください。
アニメで見た時はこのヘスティアめっちゃ可愛いなぁ、と思ったくらいなのでアンチはないです。
アイズとアル君早くくっつけたい。もうくっつけていいですかね。ダメかな………。まぁ、いいですね。
それでは、失礼致しましたっ!