ダンジョンで無双するのはおかしいだろうか   作:倉崎あるちゅ

21 / 27
すっごく遅れて申し訳ありませんでしたっ!!
二巻を無くすという失態をしてしまいました…………本当に申し訳ありませんでした!!

そして、しばらく見ないあいだに、お気に入り登録数が800通り越して950以上に………!!!
すごく嬉しいです!なんと、もう少しでお気に入り登録数が1000になるんですよね。
自分の作品が950以上の人達に読んでもらえるなんて感激です。
これからもよろしくお願いします!

それでは本編! どうぞ!


四話

 

それは、今の俺は誰にも負ける気がしないということだ。

 

「アルーっ、連れてきたよー!」

 

フウが猛ダッシュして数えるのが厳しいくらいのモンスター共を連れてくる。普通はトレイン--モンスターを連れ回して他人に擦り付ける行為--は御法度なのだが、相手が俺なので問題ない。

 

「もうちょっと数を多くしてもいいくらいかな……」

 

呟いて、太刀を水平に構えた。途端に『刻印』から微量の夜空色の光が灯る。

フウが俺の横を通り過ぎたのを確認して、俺は一気にモンスターの群れの中に突っ込んだ。

いきなり俺が来てモンスター達は驚くが、それも一瞬のことだった。何故なら俺が回転して広範囲で斬ったことにより、俺を中心にしてモンスターの群れが灰に還ったからだ。

 

「うっわ、えげつない」

 

後ろからフウがそういう感想を言う。彼女の言葉があまりにもストレート過ぎて若干傷つく。

 

「まだまだ余裕だな。51階層行っちゃおうかな……」

 

調子に乗って俺がそう呟くと、頭にビシィィッ、と衝撃が来た。篭手を装着した左手で頭を押さえながら振り向くと、片手剣を肩に担いでジト目をしているフウだった。

というより、この場には俺とフウしかいないため分かってはいたが。

 

「何しやがる……」

 

「51階層なんてダメに決まってるでしょう!? あそこにはカドモスだっているのに!」

 

「ふん、カドモスなんぞ余裕だ。前だって一人遠征した時に狩ってるし」

 

「やっぱりアホだわ、アルは」

失礼な、俺はアホじゃないぞ。一応、第一級冒険者の中でも、非常に珍しく頭脳と腕力の両方に長けてるんだ。この両方に長けている奴なんて『剣姫』であるアイズか、【フレイヤ・ファミリア】のオッタルくらいだ。

俺は太刀を一振りして鞘に納める。

 

「じゃあ、もうちょい下に潜ろうぜ。それで終わりだ」

 

「なんでアルが仕切ってるのさ。………だったら! 全部アルが倒してね〜。わたしは傍観してる」

 

「なら帰ってろよ………」

 

「いやだーついてくー」

 

何故か駄々を捏ねるフウを横目に、俺は下層へと降りていった。

 

 

♠︎❤︎♣︎♦︎

 

 

結果だけ言えば、かなりの無双状態だった。

沸いて出るモンスターに向けて太刀を振るうと、夜空色の斬撃が飛び、モンスターは真っ二つになってしまったのだ。

それと篭手に関してもそう。モンスターによる攻撃を篭手で防ぐ時に生まれる衝撃も軽く、汚れも一切付かず、欠けることすら無かった。

結局、51階層まで降りた俺とフウは強竜(カドモス)と交戦して約二十分という短い戦闘でカドモスを屠った。これも、あの魔剣のおかげだ。

魔剣は光となって《倶利伽羅》の『刻印』に入り込んだが、その効果は《倶利伽羅》の中にいても発揮され、最早《倶利伽羅》自体が魔剣と化したも同然だ。しかも《倶利伽羅》は《不壊属性(デュランダル)》付き。ということは絶対に壊れない魔剣ということだ。もうチートだろう。

そして、ダンジョンから出た俺達二人はギルドに寄って換金をして、解散することになった。

 

「じゃあ、魔剣ありがとうな、フウ」

 

俺がフウに向けて感謝の意を告げると、彼女はゆっくりと首を振って笑みを浮かべた。

 

「ううん。わたしも、アルと一緒にダンジョンに行けたからいいよ」

 

「そうか? なら、いいんだが……」

 

頭を掻いて俺は呟いた。何かお礼をしたいな、と思った俺はあることを彼女に提案する。

 

「じゃあさ、今度『豊饒の女主人』っていう酒場に行こうぜ。奢るから」

 

「えっ!? いいの!?」

 

俺の提案に、フウは目を輝かせてそう訊いてくる。俺はその反応に若干引きつつも、頷いた。

 

「あ、あぁ。今度な」

 

「うん! 約束だよアル! 忘れないように!」

 

念押ししてくるフウに、俺ははいはい、と答えた。

その後、フウはまた今度〜と言って腕が千切れるほど振って帰っていった。

俺は小さく息をつき、自分のホームへと足を運んだ。

 

 

歩みを進めていると、誰かの怒鳴り声が聞こえた。そちらの方へ顔を向けて目を細める。

聞こえてきたのは"追いついたぞ、この糞パルゥムがっ!!"という怒声。物騒だな、と思いつつ俺は怒声が聞こえる方へ走って行く。

どうやら場所は近くだったらしく、すぐにその場に到着した。

 

「邪魔だ、ガキ。そこをどきやがれ」

 

道の角に隠れて見てみると、当事者の男の冒険者と小人族(パルゥム)の少女、白髪の少年--ベルがいた。

何やってんだベルのやつ。頬が引き攣ってるぞ。

 

「あ、あの……今からこの子に、何をするんですか……?」

 

おそるおそるベルがそう言う。だが、男の冒険者は苛つきながら答えた。

 

「うるせぇぞガキッ!! 今すぐ消えうせねぇと、後ろのそいつごと叩っ斬るぞ!」

 

こいつ、あの子に何かする気だ。

俺は呆れながらその冒険者を見ていた。ベルも俺と同じことを思ったのか、覚悟したように顔を強ばらせてパルゥムの少女の前に立つ。

 

「ガキ……! マジで殺されてぇのか……!?」

 

ベルが前に立つことで、瞠目していた冒険者はすぐにカァッと赤くなった。

それを見たベルは、冒険者を宥めるように当たり障りのないことを言う。

 

「そ、その……一回落ち着いた方がっ」

 

「黙れっ、何なんだよテメェは!? そのチビの仲間なのかっ!」

 

「しょ、初対面です!」

 

「じゃあなんでそいつを庇う!?」

 

「……お、女の子だから?」

 

「なに言ってんだよテメェッ……!」

 

なに言ってんだベル………。

俺は少しベルに、呆れを通り越して感心する。もしかしたら初の対人戦--になるかもしれない--でこんなことを言えるのはベルだけかもしれない。

そう思っていると、冒険者が手を後ろにやって剣を抜いた。

 

「いい、まずはテメェからぶっ殺す……!」

 

俺からしたら放ったかどうか怪しい殺気に当てられて、ベルは反射的に《神様のナイフ》を構えた。

その時にリン、と音が鳴り、切れ味が増したような感じが俺には分かった。

だが、対人戦初めてのベルは足を震わせている。しかし、彼はありったけの力を振り絞って瞳を吊り上げた。

 

--いい眼だ。

 

俺はそう思って、飛びかかる冒険者に向けて鞘が付いた太刀を振るった。次の瞬間には、その軌道に乗るかのように夜空色の斬撃が飛んで冒険者の剣に直撃していた。

 

「あぐっ!?」

 

弾かれた痛みによって、冒険者は呻き声を上げた。冒険者は後ろにいる俺に顔を向けると、忌々しく俺を見た。

 

「クソがぁ……次から次へと……」

 

「ふっ。………あまり、俺の仲間を虐めないでもらいたいな。……退いてくれる?」

 

笑顔を見せて、ほんの少し殺気を飛ばす。おそらく今の笑顔は黒い笑みになっているだろう。

 

「どいつもこいつも、訳の分からねぇことを……! ぶっ殺されてぇのかぁっ、ああ!?」

 

だが、冒険者は俺の殺気が分からなかったのか、大声を上げる。

 

 

「喚くな」

 

 

スゥゥ、と瞳の色が碧眼から黄金色に変わるのを感じる。続けて俺の体の全体から殺気が漏れ出す。目に見えてその冒険者は狼狽した。

 

「……っ、……!?」

 

「斬っていいのは、斬られる覚悟があるやつだけだ。お前にはその覚悟があるか……? それと、俺は"退いてくれ"と言ったんだ。………退け」

 

俺の殺気と黄金色の瞳に射竦められて、冒険者の男は口をパクパクと動かし、顔面蒼白にした。

 

「く、くそがぁぁあ!」

 

体を震わせて、男は素早く退散していった。

 

「…………」

 

「大丈夫かー、ベル?」

 

ぼー、とするベルに俺は太刀を担いで訊く。ベルは顎の下に溜まっていた汗を拭って口を開いた。

 

「あ、ありがとうございます、アルさん……」

 

「おう。ま、俺が手を出さなくてもベルならなんとかしただろうし………それに、リューもいるしな。な、リュー?」

 

「え?」

 

俺は首をメインストリートへ続く階段に向けて言う。ベルはキョトンとした顔をして、俺と同じところに向けた。

はぁ、と溜息が聞こえてくる。現れたのは、先程俺が話しかけたリュー・リオンという『豊饒の女主人』のエルフの店員だ。

 

「気付いていたんですね、レイカーさん」

 

「当たり前だ。もうちょい気配を紛らわせるようにしないとな」

 

「精進します。……クラネルさんは、お怪我などはありませんか?」

 

「え、あ、はい」

 

俺との会話を終了させて、次にベルと会話するリュー。ベルはどもりながらもリューに返事をする。

 

「あっ、そうだ、あの子……あれ?」

 

いきなり周囲を見渡すベル。俺はそういえば、と思い、ベルと同じく周囲を見渡す。だが、パルゥムの少女はどこにもいなかった。

 

「誰か、いたのですか?」

 

「はい、パルゥムの女の子が」

 

リューの問いにベルが応える。それにしても、と俺は思った。

俺って、気配とか分かるのに人探しには向かないんだな……。

自分の融通の利かなさにげんなりしつつ、俺とベルはリューと別れることにした。

ホームに帰る途中に、俺はベルから質問を受けた。

 

「そういえば、あの時の斬撃ってなんなんですか? アルさんって転移以外に魔法使えましたっけ?」

 

「んー? あぁ、アレか。アレは前の主神からの贈り物だよ」

 

正直に話すのが面倒なのと、どうやって説明したらいいか分からなかったので、ベルからの質問の答えは適当にはぐらかすことにした。

だが、いずれベルにはちゃんと話そうと思う。俺とヴリトラとの絆の話を、な。

 




今回、コードギアスのネタぶっこんでみました。元ネタは銃でしてけどねww

さて、ここでアル君の太刀のお話を。

フウによって渡された魔剣は光となって《倶利伽羅》の『刻印』の中に入り込みました。そして、効果は発揮する。それと、《倶利伽羅》は不壊属性が付いています。あと魔剣の効果はアル君の魔力や精神を喰って発揮します。
ということは! 不壊属性が付いた魔剣。しかも切れ味がなんとも恐ろしい業物ということになりました。
あ、それと斬撃に関してはBLEACHの月牙を想像しました。

それにしても、本当に長らく投稿を空けて申し訳ありませんでした。以後は気をつけます。

それでは失礼しました!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。