ダンジョンで無双するのはおかしいだろうか   作:倉崎あるちゅ

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長らく空けてしまい申し訳ありません!
バイトでのイベントがありましてクタクタになっておりました。

そして、お気に入り登録700突破ですっ!!!この倉崎、とても感激しています!ありがとうございます!!

アル「俺からも、ありがとうございます!」

フウ「ありがとうございますっ! これからもよろしくお願いします!」

今回短いですが、どうぞ!


三話

 

『ブゥモォォオオオオッ!!』

 

「え、なんで不発!?」

 

短剣を何度も振るうが何も出やしない。出るとしても小さな黒い火花くらいだ。

最初は警戒していたミノタウロスだったが、何もしない俺に向かって大きな拳を振り上げた。

 

「 だぁーっ! クソが! 邪魔すんな牛野郎!!」

 

短剣をミノタウロスの厚い胸板に投擲して、左手に握っていた太刀を抜く。投擲した短剣は深々とミノタウロスに突き刺さった。

 

「え? 魔剣ってあんなに切れ味いいの!?」

 

近くにいたフウが目を剥いて驚く。やった本人である俺も目を瞬かせている。

 

『ブアァァアアッ!』

 

ミノタウロスは怒りの声を上げて短剣を引き抜きにかかるが、短剣は何故かびくともしない。不思議に思うも、俺は好機だと思ってミノタウロスに近付いてその頭に太刀を突き刺した。

断末魔を上げてミノタウロスは短剣と魔石を残して消え去った。

 

「………フウ……これはどういうことだ」

 

「え、えーっと……こ、こればかりはわたしも分からないかなぁ………」

 

「これ、どう考えても魔剣じゃなくてただの短剣だよな。切れ味は俺の《倶利伽羅》と同スペックだが」

 

地面に落ちた短剣を見下ろしながら、俺はフウに言う。フウはおかしいなぁ、と言って短剣を拾って俺に渡してくる。俺は右手に太刀を握り、左手に短剣を握った。

 

「これ、値段いくらだ?」

 

「買ってはいないの。【ゴブニュ・ファミリア】に寄ったら、アルに渡してくれって言われて」

 

「ふーん。《黒雷》取りに行く時に渡せばいいものを……」

 

「なんでも、すぐ渡さなかったらゴブニュさんに怒られる〜的なこと言ってたよ?」

 

へぇ、と興味なさげに俺は相槌を打つ。実際、ゴブニュに怒られようが俺には知ったことではないからだ。

それにしても、と続ける。

 

「魔剣じゃなかったか……ヴリトラに何か関係あるか気になってたんだが………」

 

残念そうに俺は呟きながら太刀を見る。太刀の刀身には俺にも解読不能な【神聖文字(ヒエログリフ)】を使って『刻印(ルーン)』が彫られていた。何度か解読しようとしたのだが、結局は解らず終いだ。今度ゴブニュかヘスティアにでも訊いてみようと思う。

俺がそう思っていると、短剣がチラリと光った。

 

「ん? なんだ?」

 

「どうしたの、アル?」

 

疑問の声を上げた俺に、フウがそう訊いてきた。

 

「いや、今短剣が光ったように見えて………」

 

言いかけたところで急に、短剣が黒い焔--夜空色の焔に包まれた。次いで太刀も『刻印』から夜空色の焔が溢れ出ていた。

 

「おい、なんだこれ……」

 

気付けば、その焔は腕に巻き付いていく。まるでそれは所有者を護る鎧のように。

 

「焔出たっ! ほらっ魔剣だったでしょ? アル?」

 

「……あ、あぁ………」

 

フウが子供みたいにはしゃぐが、俺には全くそんなこと出来るはずもなかった。何故ならあの時使ったヴリトラの力と酷似していたからだ。

『刻印』から溢れ出した、ってことはこの短剣にも似たようなものが彫られているのか……?

左手に握る短剣をまじまじと凝視して、鍔の部分に何かミミズみたいな字が書いてあるのに気付いた。

 

「やっぱり……」

 

その『刻印』から泉のように湧き出す夜空色の光は眩しく発光し、次第に俺の全身を覆うようになっていく。

 

「ちょ、アル!? 大丈夫なのっ!?」

 

「あぁ、大丈夫だ。まぁ、何が起こるか分からないがな」

遂には顔まで覆われてしまい、俺はただじっとしたまま両手に太刀と短剣を握って立っていた。

目を閉じて光が収まるのを待つ。だが、待っても収まることを知らない。いっそ短剣を投げてしまうかと思ったが、辞めておいた。もしかしたら、ヴリトラと関係があるかもしれないからだ。

 

「フウ、モンスター来たら頼めるか?」

 

「わたしがアルの頼みを断ると思う? 任せなさいっ!」

 

「ありがとな」

 

「っ! ………う、うんっ」

 

一応目が見えなくても戦えはするが、結構面倒臭い。それにパーティを組んでいれば仲間に迷惑になるから頼むことにした。

俺がお礼を言うと、少し上擦った返事が聞こえたが、気にしなくても大丈夫だろう。

 

(うわぁぁあ! アルのお礼を言う口調が優し過ぎるぅぅ! 照れる、これは照れるよぉぉ!!)

 

ん、なんだかフウがバタバタしてるな。モンスターが近いのか? でもそんな気配ないし……全く、落ち着きがないな。

苦笑いを浮かべながら、俺はそう思っていた。

それから、何十分経っただろうか。モンスターの襲撃が数回あった程度で、他は何も変わったところがなかった。俺は仕方ない、と思って地面に座る。

太刀と短剣を握ったまま胡座をかいて瞑想に入った。

 

『なぁ、アル? お前、何欲しいの?』

 

去年の俺の誕生日。ヴリトラがどストレート過ぎる言葉を俺にぶつけてきた。俺はその問いに無理なことを言った。

 

『そうだなぁ……んー、絶対に壊れない篭手に大切な人達を護れる太刀、かな?』

 

『おいおい、そりゃ出来なくもないが………俺が死ぬぞ』

 

その時に俺とヴリトラは愉快そうに笑ったのを俺は覚えている。俺と彼の関係は、親友、親子、兄弟、そんな関係だった。もちろんヴリトラは【ファミリア】の皆には分け隔てもなく接してくれる。そんな神様が良くて、他の連中もそれを羨ましがっていた。

…………そうだ。そんな神様を殺したのは俺だ。

絶対に壊れない篭手……これは弱い自分を護りたいから。大切な人達を護れる太刀……ヴリトラを殺してしまった俺が唯一出来る贖罪が大切な人達を護ること。

 

「俺は…………強くならないと……大切な人達を護れる力をつけないと……」

 

だから、左手に握る短剣、いや魔剣はそのための踏み台。俺が強くなるために必要なもの。だから………。

 

 

力を貸せ、魔剣。

 

 

俺が心の中で強くそう想い、目を一気に開く。瞬間に光が飛び散り、両腕に付けてある手甲を覆うようにその光は収束した。

それは重さが感じないが、決して壊れることがないと確信が持てるような夜空色の篭手に成った。

そして魔剣は夜空色の光になってしまい、その光は《倶利伽羅》の『刻印』に染み渡った。

不思議に沸き上がる少しの高揚感。それは新しい力が手に入った時の喜びなのか、それとも別の何かなのか、それは本人である俺にも分からなかった。だが、ひとつだけ言えることがある。それは、

 

「フウ、何体かモンスター連れてきてくれ」

 

すくっと立ち上がってフウにそう指示する。彼女は片眉を持ち上げて首を傾げるが、分かったー、と言って片手剣を手にして走っていった。

 




魔剣が光になって太刀の刻印の中に…………ということは? 察しのいい方々はわかると思います!では次回をお楽しみにしていてくださいねっ!

そして、ここで報告を。
新しくソードアート・オンラインを投稿致しましたーー!!
メインはオリジナルヒロイン。サブには数名です。と言っても二人程度。それと、ユウキは生存です。これは確定。


6/7追記

ダンまちの二巻をなくしてしまいました………申し訳ありません! 探していますが、どうも見つからず……急いで見つけ出しますのでお待ちください。

それでは失礼します!

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