ダンジョンで無双するのはおかしいだろうか   作:倉崎あるちゅ

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だいぶ空いてしまって申し訳ありません!
やっと出来るようになったバイトで疲れていまして。それと問題児を書いていたものですから……

そして!!! なんと、お気に入り登録数が600突破っ! 見た時は発狂しましたよ! この作品をお気に入り登録していただいている方々、誠に感謝致します!!

まぁ、なんやかんやありましたが、今回からリリルカ編になります! この話はリリは出ていませんが。

それではどうぞ!


魔剣/サポーター
一話


 

 

【ロキ・ファミリア】のホームで保護してもらってから数日が経ち、俺はベルとダンジョンの7階層に来ていた。

 

「それにしても、何度も言いますけど、心配しましたよアルさん」

 

「本当にごめんな、ベル」

 

一応、あの後は二日程【ロキ・ファミリア】のホームで療養をして、教会に戻った。

その時に地下室に戻った俺を見て、ベルは泣いて出迎えてくれた。エイナさんから事情を聞いていたらしく、とても心配したそうだ。勿論、ヘスティアも俺のことを心配してくていたようだ。正直嬉しい。

 

「あ、ベル、後ろ」

 

「え? うわぁ!?」

 

ベルの後ろにはいつの間にか、全身赤一色の蟻型モンスター、『キラーアント』が肉薄していた。それに驚いたベルは少し飛び跳ねて、距離をとって漆黒の短刀--《神様の(ヘスティア)ナイフ》を構える。

怪物祭の時、ベルとその彼と一緒にいたヘスティアのところにシルバーバックというモンスターがいたそうだ。必死に逃げていたが、立ち向かうしか方法がなく、ヘスティアが持っていた風呂敷からその短刀を渡されたということみたいだ。

渡された短刀、《神様のナイフ》と向い打つ際に更新された【ステイタス】のおかげでベルはシルバーバックを一撃で屠ることが出来たらしい。らしい、というのは俺はその時、魔神と戦っていたから見られなかったからだ。情報源はアイズとベルから。

 

「ベル、短刀式でやってみてくれ」

 

「まだ一ノ型しか出来ないんですけど……いいですか?」

 

気まずそうに確認してくるベルに、俺は微笑んで頷いた。それを見たベルは、よーしっ! と言って助走をつけて踏み込んだ。

続けて聞こえてくるのは、ザザッと地面と靴が擦れる音とグショッと言う音。音がした方へ目を向けると、キラーアントの頭が綺麗に切り飛ばされていた。

俺はパチパチと拍手して讃えた。

 

「だいぶ速くなったな。この調子で速くなれば俺より速くなるぞ」

 

「そ、そうですか?いやぁ〜」

 

照れ笑いを浮かべてベルはその白髪の頭を掻いた。

 

「それに、このナイフのおかげですよ。神様には本当に感謝してますよ!」

 

嬉しそうに短刀を見て言うベルの顔には笑みが零れていた。

ベルの嬉しさも俺も分かる。《倶利伽羅》はヴリトラがゴブニュに頼んで協力して作った業物だからだ。刀身に刻まれた『刻印(ルーン)』の意味は分からないが、贈られた時は嬉しさのあまりヴリトラに抱き着いた。男同士は趣味じゃねぇ! と言われたが、それ程俺は嬉しかった。

だから、俺はベルにこう言う。

 

「大切にしろよ。それはヘスティアとお前の絆の証だからな」

 

「神様との、絆の証…………はいっ! 大切にします!」

 

元気良く返事をして、ベルはまた向かったて来る別のキラーアントに向かっていった。俺は《倶利伽羅》を鞘から抜いて、ベルの後ろに潜むキラーアントの首を撥ねた。

 

 

♠︎❤︎♣︎♦︎

 

 

「ななぁかぁいそぉ〜?」

 

「は、はひっ!?」

 

「ふぁ〜………」

 

怒気をプンプンと感じさせる口調でベルに対して言う。ベルに至っては悲鳴を上げている。俺はそれを見ながら欠伸をしている。

ダンジョンから戻ってギルドで換金し終わり、俺とベルはベルのアドバイザーのエイナさんもとへ顔を出すがてら、近況報告&俺の体調報告をとベルは意気揚々と、俺は最近酷い睡魔と戦いながら足を運んだ。運んだのだが、ベルの到達階層を7に増やしたことを彼女に話すと、目に見えてベルの絶頂期が右肩下がりになった。

 

「キィミィはっ! 私の言ったこと全っ然っ分かってないじゃない!」

 

エイナさんがベルに言ったこと、というのはエイナさんがいつも口酸っぱく言う『冒険者は冒険しちゃダメ』のことだ。俺も何度となく言われたが、黙って深く潜っていた。まぁ、危うく死にそうになったがなんとかなった。

 

「ごごごごめんなさいぃっ!」

 

ダンっ! とエイナさんは机に両手を叩きつけた。次に、ベルに向けらていた緑玉色(エメラルド)の瞳は俺に向けられた。

 

「アル君も、君がいながらどうしてベル君を7階層なんかにっ!」

 

「え、俺がいるから大丈夫じゃないですか? それに、俺もベルみたいな頃は普通に7階層行きましたし」

 

あっけらかんとした態度で言うと、エイナさんは持っていた書類で俺の頭を何度か叩いた。

 

「いくら君が強くても、ベル君はまだLv.1なんだよ!? 冒険者として先輩なんだからしっかりする! というかそれ初耳だよっ!?」

 

ペシペシ書類で俺の頭を叩きながら怒る。

この人、こんな心配性だったっけか? ………あぁ、なるほど。年上キラーのベルに墜されたか。

 

「え、エイナさん! 大丈夫ですって! 僕、結構【ステイタス】が上がったんですよ!」

 

あまりにもボコスカ叩かれる俺を見て、ベルが慌ててエイナさんを制する。制されたエイナさんの矛先はまたもやベルに向く。

 

「へぇ? アビリティ評価Hがやっとの君がそんな大口叩けるのかなぁ……!?」

 

キレかけているエイナさんをどうどう、と俺が押さえているが、正直無理だ。押し退けられる。というより最近こういうの多いと思う。Lv.6で力が900行ってるのに押し退けられるパターン。

 

「ほ、本当ですよ! アビリティがいくつかEまで上がったんです!」

 

「………E?」

 

ぴたり、とエイナさんは片眉を上げて胡乱げな視線をベルに向ける。

しばらくの間、本当か嘘かの言い合いがベルとエイナさんの間で起こっていたが、結果的にベルの【ステイタス】を見ることに落ち着いた。

基本【ステイタス】は他者に見せるものではない。主神か、信頼している人でなければ見せるのははばかれる。だが、ベルはそれを見せることにした。相手がエイナさんだからだろう。

エイナさんは学区に通い、総合神学を専攻していた秀才なのだ。なので、彼女は簡単な【神聖文字(ヒエログリフ)】なら読めるし書けもする。

 

「えっと、じゃあ………脱ぎますよ?」

 

「顔を赤くするくらいなら一々確認しないっ! 私の方も恥ずかしくなっちゃうよ!」

 

互いに顔を赤くする。それを見て俺はぷっ、と小さく吹き出した。二人共初心で面白いと思ってしまった。そう思ってる俺もアイズと一緒にいたら死んでしまうけども。

上半身裸になったベルの背中を見たエイナさんは、ほっそり尖った耳を赤くしながら【神聖文字】の解読に入っていた。俺もさっ、と解読して見る。

 

 

ベル・クラネル

Lv.1

力:E 403 耐久:H 199 器用:E 412 敏捷:D 521 魔力:I 0

 

 

(嘘……)

 

おーおー、驚いてる驚いてる。まぁ分からなくもない。なにせ、ベルは半月前に冒険者になったばかりだからな。

ベルが何故こうも【ステイタス】の上がりが異常なのか、それは、

 

 

《スキル》

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

・懸想の丈により効果向上。

 

 

懸想の丈により効果向上。これがベルの【ステイタス】向上に拍車をかけているからだ。

エイナさんもスキルのスロットを見ようとしたみたいだが、ヘスティアがプロテクトをかけているため、エイナさんは読めない。俺はなんとか読めてるぐらいだけども。

 

「………」

 

「……え、エイナさん?」

 

しばらく悩んだふうにしているエイナさんを見て、ベルが服を着直して訊く。

ジロジロとベルの体--というよりその貧相な防具か--を見て、エイナさんは口を開いた。

 

「ベル君」

 

「は、はい」

 

「明日、予定空いてるかな?」

 

「……へっ?」

 

突然の質問により、ベルは情けない返事をした。それにしても突然過ぎやしないか。まず主語を言おうぜエイナさん。

 

「エイナさん、まず主語入れて話した方がいいですよ」

 

エイナさんの耳元で俺は小さく言う。彼女はえ? と少し反応を見せた。

 

「……ぁ、えっとねベル君。君に7階層に行くことを許可するけど、その防具じゃ心許ないんだ」

 

「な、なるほど。それで明日買いに行こう、ということですね」

 

ベルもこれで納得した、みたいな表情を見せる。エイナさんも頷く。

帰るかと思い、ギルドから出ようとしたところでベルが話しかけてきた。

 

「明日、アルさんもどうですか?」

 

見送りに来てくれたエイナさんが耳をピクつかせる。それを見て俺はニタァ、悪い笑みを浮かべた。

 

「いや、明日は俺も用事があってな。お前はエイナさんと二人で行ってこいよ」

 

二人で、の所を強調させて、エイナさんを見る。思った通り、エイナさんの頬がほんの少し赤くなっていた。ベルも少し赤くしている。

 

「それじゃあ、エイナさん。明日、ベルのことよろしくお願いしますね」

 

「エイナさん、それじゃあ明日お願いします」

 

「え? あ、う、うん」

 

悪い笑みを貼り付かせて、エイナさんにプレッシャーをかける。

さて、明日のベルとエイナさんの買物が楽しみだ。バレないように尾行しよう。そうしよう。あ、アイズやティオナ達も誘おうか? 忙しそうにしてたら一人で行こうっと。

俺はそんなことを考えながらホームへと帰っていったのだった。




最後の方がちょっとおかしな感じになっていますが、申し訳ありません。

それと、報告。
新・問題児の二次創作を投稿致しました! 前作をお気に入り登録していただいた方々、どうぞお読み下さい。

それでは失礼致します!

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