ダンジョンで無双するのはおかしいだろうか   作:倉崎あるちゅ

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早く投稿出来ました!(そこまで早くないですね……)

それではどうぞ!


五話

 

 

 

朝早く、俺はダンジョンに潜っていた。今日は怪物祭(モンスターフィリア)があるため、今日はほとんど潜れないから朝早くから潜っているのだ。

 

「はぁああっ!」

 

目の前にいる岩のようなゴツゴツした肌を持つ人間大の猿型モンスター、『ロックウータン』の比較的硬度が薄い喉元を俺は《倶利伽羅》で切り裂いた。

ロックウータンは断末魔を上げることもなく、魔石を残して霧散した。俺は魔石を拾い、腰のバックパックに押し込んだ。

 

「はぁ………今、何時だ……?」

 

手首につけた腕時計を見て、俺は現在時刻を確認した。時刻は九時ちょっと過ぎ。そろそろ帰るかと思い、俺は上層へと続く階段を上がった。

 

 

長い階段を上がり終えて、俺は周りを見渡した。そこには人数は少ないが、高レベルの冒険者達がジャラジャラと高価な装飾品やマジックアイテムをつけて歩いていた。

 

「ハッ、ジャラジャラつけてて邪魔にならないのかよ。しかも、武器も装飾だらけ……」

 

一応言っておくが、これは嫉妬ということではない。実際、武器に装飾をつけていると見栄えは良くなるが、その分脆くなる。対人戦闘にでもなればそこを狙われて壊れる。そこで勝負は終わり、そして殺される。

まぁ、対人戦闘は例外か。なんにせよ、武器に装飾をつけるのは俺は嫌だな。

そう思いながら俺はそのまま怪物祭会場に向かって歩き出した。

 

 

♠︎❤︎♣︎♦︎

 

 

「はい、これ」

 

「おおぉ………!?」

 

「ほ〜っ!」

 

昨日の夜、宴が終わり、ヘスティアはヘファイストスに頼み込んだ。ベルの武器を作って欲しい、と。勿論彼女はそれを突っ撥ねた。だが、ヘスティアは何度も頼み続けた。その時一緒にいたインドラも、作ってあげたら? とヘスティアの援護に回り込まれ、最終的にはヘスティアが土下座をしてヘファイストスは了承した。

そして、本当なら一日くらいかかる武器制作を約半日で仕上げることが出来た。役割分担をして効率良く制作に取り掛かったのだ。

 

「ご要望には応えられたかしら?」

 

「うんうんっ、十分十分っ! 文句なんてあるわけがないよ!」

 

ヘスティアはそう言って、ヘファイストスから手渡された小型ケースの蓋を開けて中身を覗き込む。インドラも興味があり、ヘスティアと一緒に覗き込んだ。

 

「黒一色ね。なんだかアルが好きそう」

 

「あー、確かにそうだね」

 

覗き込んだインドラが笑って言い、ヘスティアも納得してしまった。アルスはほとんど黒一色の姿をしているからだ。

だが、この黒一色の短刀はベルに贈られる物だ。

 

「あ、ヘファイストス。この武器の名前ってなんなの?」

 

インドラが、壁にハンマーを立てかけている途中のヘファイストスに問いかけた。彼女は振り向いて、ヘスティアを見た。

 

「……そうね、それは(ヘスティア)の武器としか形容できないから………『神の(ヘスティア)ナイフ』ってところかしら?」

 

「そうだね、いい名前じゃん!」

 

インドラが賛成する。ヘスティアはいやー照れるなぁ、とご満悦のようで顔がにやけていた。

 

「言っておくけど、借金、踏み倒すんじゃないわよ」

 

ジト目でヘファイストスが釘を刺す。

 

「わかってるっわかってる!」

 

「どうだか………」

 

笑顔で頷くだけのヘスティアにヘファイストスは溜息をついた。インドラも今のヘスティアを見て何を言ってもダメそうだと思った。

 

「いいんじゃない? ヘスティアは早くベル君のところに行きたいんでしょ?」

 

「うんっ。それじゃあ、ボクは失礼するよ! ありがとうね二人共っ!」

 

帰る準備を手早く済ませたヘスティアは扉のノブに手をかけた。

 

「ヘスティア! あんた少しは休みなさいよー!」

 

ヘファイストスが出ていくヘスティアの背中に声をかけた。それに振り向かずにヘスティアはパタパタと手を振って小部屋から出て行った。

声をかけたヘファイストスに、インドラは意地悪な笑みを浮かべた。

 

「やっぱり、なんだかんだ言って、ヘファイストスはヘスティアに甘いよねぇ」

 

「そ、そりゃ、友達だから……」

 

「それをなんて言うんだっけ?」

 

「ぐっ……………」

 

意地悪な笑みを浮かべるインドラをヘファイストスは恨みがましい目で見た。少し間が空き、はぁ、と溜息をついて素直に言う。

 

「……し、親友……」

 

「ふふ、素直でよろしいね〜!」

 

「っ……この、インドラぁああ!」

 

「わーいっ」

 

小さな部屋の中で、ヘファイストスをからかったインドラは走って逃げた。すかさずヘファイストスはインドラを追いかけた。

 

 

♠︎❤︎♣︎♦︎

 

 

これからどうしようか、とアルスは思った。

怪物祭会場に到着したアルスは多く建ち並ぶ屋台を見て少し迷っていた。そもそも、アルスはこういう人が多いところに一人で来ない。いつも誰かしらがいるからだ。ところが今は一人。

 

「どうしたものか………」

 

適当な店で何か買うか? とアルスは頭を掻きながら歩いた。

しばらく店を見ながら歩いていたアルスだったが、ある店を視界に収めてそこに一直線に向かっていった。お金を握りしめて向かって行くあたり、さながらお使いを任された子供のようだ。

 

「すみません。ジャガ丸くんの小豆クリーム味、三つください」

 

「おう! ちょっと待ってな兄ちゃん」

 

ジャガ丸くんとは潰した芋に衣をつけ、油で揚げた食品だ。アルスが頼んだものは更にクリームも混ぜて揚げられたもの。

彼が前に所属していた【ヴリトラ・ファミリア】のメンバーの極一部ではこれが愛食されていた。その中にヴリトラやフウも入っていた。

 

「はい、お待ち! にしても兄ちゃん、それをよく食うな!」

 

「ありがとうございます。はむ………美味しいんですよ?」

 

モグモグと受け取るなり食べ始めるアルスに店員のおじさんは苦笑いを浮かべた。

アルスは店を後にしようとしたところで後ろに気配がした。振り向いてみると、

 

「はむ……」

 

手に持った小豆クリーム味のジャガ丸くんを可愛らしい口が捕らえた。その正体は、【ロキ・ファミリア】所属のアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

「あ、アイズ……? なんでここに……ってか、それ食いかけ……」

 

「? 別にアルのだから、気にしない」

 

アイズは、こてんと小首を傾げる。気にしないと言いつつも彼女の頬は少し赤くなっていた。それを見たアイズの隣にいたロキが鬼のような形相でアルスを睨んで叫んだ。

 

「アぁぁルぅぅスぅぅう!? 何しとんじゃおのれはぁぁ!?」

 

「いや、なんで俺にキレるんだよ!? 意味わからないぞ!?」

 

「じゃかあしぃわっ!」

 

そう言ってロキはアルスの頭を叩き、バシンッといい音が周囲に響き渡った。

 

「いっつ!? てめぇロキ!? 斬り捨てられたいか!?」

 

「ほぉう? やってみるか小僧ぉ?」

 

あぁん? とアルスとロキが額を合わせるほど近くで啀み合う。アイズはそれを他所に置いて、アルスの食べかけのジャガ丸くん小豆クリーム味をモグモグ食べてながら、また何個か買っていた。

 

「ったく……やっぱりお前といると疲れるわ」

 

「うちだって同じやっ!」

 

言いながらまた睨み合う。アイズは溜息をついて、二人の間に割って入った。というより、アルスの口の中にジャガ丸くん小豆クリーム味を押し込んだ。反対側のロキの口の中には普通味のジャガ丸くんを押し込む。

 

「「んぐっ!?」」

 

「うるさいです、二人共」

 

予想外の襲撃にアルスとロキは喉を押さえて飲み物を売っている屋台に突撃し、飲み物を喉に流し込んだ。

 

「アイズ! 危うく死ぬところだったぞ!?」

 

「アイズたんヒドイで………」

 

「うるさかったからです。それに、アルは死なないから、大丈夫」

 

「なにその信頼!? 全然嬉しくねぇ!」

 

アイズの意味が分からない信頼に、アルスは叫んだ。

次はロキがアイズに、あーん、をして欲しいと言っていたがそれはアルスに取られてしまった。それをしていた二人は顔が真っ赤になっていた。

結果的に、アルスは一人で怪物祭を回ることにならずにアイズとロキと回すことになったのだった。……半ばアイズによる強制だったが。




最後らへんではアル君とアイズのイチャイチャ? になってしまった。後悔はしていません!
そして、ベル君の武器はヘスティアとヘファイストス、インドラの三人で制作に当たりました! 三人だから半日になってもいいですよね……?

それと、全然話が進みませんね。申し訳ないです。アル君の本格的な戦闘書きたい………

それでは失礼しましたっ

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