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それではどうぞ!
げっそりした感じで俺は廃墟と化した教会に帰ってきた。地下への扉を開けて、俺は真っ直ぐにソファーに倒れ込んだ。
「あー、疲れたもうヤダ。なんであいつと会っちまったんだ………」
倒れ込んで早々に俺はフウに対して愚痴を零した。それと同時に、奥の方から物音が聞こえて、振り向くと木製のコップを二つ持って微苦笑しているベルが立っていた。
「おかえりなさい、アルさん」
「ただいま、ベル。水ありがとな」
ベルから水の入ったコップを受け取り、それを煽った。疲れた体によく染みる。
コップをテーブルに置いて、俺はソファーにもたれた。
「あー………もう動きたくない……」
「あはは……お疲れ様です」
隣に座るベルが苦笑いをする。
少しの間そうしていたが、ベルがふと思い出したように俺に言ってきた。
「そういえば……アルさん、
「ん? 怪物祭?」
はい、とベルが頷く。
怪物祭については、俺はあまり詳しくない。大雑把な説明でもいいのだろうか。少し悩んだが、結局俺は大雑把でも説明することにした。
「大雑把に説明するとだな、ギルド主催の毎年行われる大々的なモンスターの調教だ。それを見世物にして、祭りを行う。………普段狩っているモンスターだけど、少し同情するかな」
本当にモンスター達には同情する。何が悲しくて人間や
俺はそう思って眉を寄せた。ベルは少し顔を青くさせている。
「ってことは、街にモンスターがいるってことですよね!?」
「あぁ、そうなる。ただ、モンスターが逃げる確率は極僅かだけどな。【ガネーシャ・ファミリア】の連中が警備するし」
俺がそう言うとベルは、ふぅ、と安堵した。まぁ、気持ちは分からなくもない。事実、俺も初めて怪物祭を見に行く時はモンスターが逃げないかハラハラしたものだ。
「あ、今日、ミアハ様に会いましたよ。アルさんがポーション類を大量購入してくれたこと、嬉しそうに話してくれました」
「ん、そっか。多分次の一人遠征は二週間後だから……その間にポーション類は減るから、近いうちにまた大量購入だな」
流石に小太刀がない状態で二、三日ダンジョンに籠るなんて難しい。出来れば万全の状態で臨みたい。あと、ベルがLv.2になってくれれば、二人で遠征に行きたい。ベルのLv.を考慮してたが、ベルの【ステイタス】の伸び具合から察するに、十分下層にいるモンスターと渡り合えるはずだ。
「神様、パーティ楽しんでるかなぁ」
「さぁな。多分、ロキと喧嘩してると思うけど……」
仲裁役になるかもしれないヘファイストスやインドラは可哀想だな、と俺は思った。
♠︎❤︎♣︎♦︎
「何しに来たんだよ、君は……!」
「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか? 『今宵は宴じゃー!』っていうノリやろ? むしろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はぁ、マジで空気読めてへんよ、このドチビ」
「………!……!!」
『神の宴』真っ最中のヘスティアは、
あれこれ話していると、次に来たのエセ関西弁を喋るロキだった。そして今、ヘスティアとロキの『ロリ巨乳VSロリ無乳』の喧嘩が始まっていた。アルスの言ったことが当たってしまったということだ。
「す、凄い顔になってるよ? ヘスティア?」
苦笑いを浮かべて、インドラが言う。自分より頭二つ背が高いロキに馬鹿にされて、ヘスティアはインドラに言われるように言い表せないような引き攣った顔をしていた。
「本当に久しぶりね、ロキ。ヘスティアやフレイヤ、インドラにも会えたし、今日は珍しいこと続きだわ」
ヘファイストスが心からそう言った。神様達は下界に大勢来ているが、あまり会わないのだ。
特に、インドラに至ってはライバルであり良き友だったヴリトラの死により、数ヶ月間引き篭っていたせいもある。
「あー、確かに久しぶりやなぁ。……ま、久しくない顔もここにはおるんやけど」
糸目の瞳を薄く開いて、ロキは銀髪でグラマーな体型をしている美の女神フレイヤにニヤニヤと視線を送った。
「なに、貴女達どこかで会ってたの?」
「先日にちょっと会ったのよ。といっても、会話らしい会話はしていないのだけど」
「よく言うわ、話しかけんなっちゅうオーラ、全開で出しとったくせに」
ジト〜、とフレイヤを見るロキ。
ヘスティアといえば、つんとした態度で会話を聞いていた。不機嫌な彼女の機嫌を治そうと、インドラは必死にヘスティアの口に食べ物を詰め込んでいたりもする。
ふと、ヘスティアはアルスのことを思い出した。
「ねぇ、ロキ。君の【ファミリア】所属しているヴァレン何某について聞きたいんだけど」
「あっ、『剣姫』ね。私もちょっと話を聞きたいわ」
「あたしも聞きたいかな」
ヘスティアに便乗してヘファイストスとインドラが訊く。
「うぅん? ドチビがうちに願い事なんて、明日は溶岩か隕石の雨でも降るんとちゃうか? ハルマゲドーン! ラグナロクー! みたいな感じで」
噛み付くぞこの野郎、とヘスティアは思った。ヘファイストスとインドラに至っては、なんでそんな喧嘩腰に言うの、と二人共思っていた。フレイヤは優雅にグラスを傾けているだけだ。
「……聞くよ。その噂の『剣姫』は、付き合ってるような男や伴侶はいるのかい?」
「んや、いないなぁ。ただ、好きな男はいるみたいやけどな。まぁ、渋々ながらうちも了承してるけど。それ以外は八つ裂きや」
「それって、アル君かい?」
どストレートにヘスティアは訊いた。アル、と聞いてインドラの肩がピクリと震えたが他の四人には見えなかったようだ。
ロキは薄く目を開いてヘスティアを見た。
「なんや、ドチビ知ってるんか。………ん? もしかしてドチビの【ファミリア】なん!?」
ロキが驚いたようにヘスティアの肩を掴んで訊いた。ヘスティアはロキの般若の如き形相を見てコクコクと頷いた。それを見たロキは、なんでうちが誘ったのにドチビのとこ行ったんや………とブツブツ呟いた。
「ちょっとロキ、そのアルって子って……」
「………クソ、あんの女男めぇ………。ん、なんやフェイたん」
「その子って、アルス・レイカー?」
「そうや、【
神ならゾッとするような単語を平気に口に出して言うロキに、ヘファイストスは少し呆れたが、噂の『剣姫』が、神の中ではある意味有名なアルスのことを好きだということの方が驚きだった。
「そ、そう。ヘスティア、大丈夫なの? 彼のこと」
「大丈夫さ! アル君はそんな罰当たりなことしない、って言ったからね」
笑顔でヘスティアは言う。彼女の隣でインドラは手に料理を乗せて、懐かしむように言った。
「うん。アルは大丈夫だよ。神を殺すなんて、もう二度としたくないと思ってるはずだし」
ここにいないアルスの気持ちを代弁するかのようにインドラが言う。
確かに彼女のライバルのヴリトラを殺したのはアルスだ。しかし、あの時、ヴリトラを殺すしか方法がなかった。だから彼を憎むことはインドラに出来なかった。だから、彼女は一番悔やんでいるであろうアルスを庇った。
「そう、インドラが言うならそうなのね」
ヘファイストスもインドラの言ったことに納得したようだった。
ふと今気付いたように、インドラはロキに尋ねた。
「今更だけどさ、ロキがドレスなんて珍しいね? いつも男物なのに」
「フヒヒ、それはアレや、インドラ。どっかのドチビが慌ただしくパーティに行く準備をしてるって小耳に挟んだんやぁ……」
チラリとヘスティアを見て、腰を折って背の低い彼女の顔にぐっと自分のドレスを寄せる。
「ドレスも着られない貧乏神をぉ、笑おうと思ったんやぁ」
(うぜぇえええええええてえええ!!)
(なんでロキってこんなことしか言えないんだろ……)
ロキの発言にヘスティアは大爆発しそうになり、インドラは溜息をついてヘスティアを宥めるのだった。ここにヴリトラがいれば上手く丸く収まるのに、とインドラとヘファイストスは内心涙した。
この作品では神の宴のつぎの日に怪物祭があることにしてください。ベル君のナイフは半日で出来上がることになります。なんか、すみません。
そして、前話に引き続き、オリキャラが出てきました。今回はインドラです。
金髪ロングはアイズと被るのでショートにしました。
それでは失礼しました。