衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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お久しぶりです。
生きてます。


観戦 エドVS.亮

月一試験から数日、今日はプロデビュー以来10戦負けなしのカイザーと、30戦負けなしのエド・フェニックスのデュエルが行われるということで、教師公認の下、教室に集まって生徒・教師全員でデュエルを見ることに。

3学年全員が1つの教室に入るのは無理なので、各学年ごとに集まって観戦する。

十代、丸藤、剣山、明日香、ジュンコ、ももえ、雪乃、ゆま、万丈目、月一試験以後一緒にいるようになったディレ、そして俺で固まって席に着く。

俺達は横3列で座り、右からジュンコ、ももえ、雪乃、ゆまが最前列に座り、明日香、十代、ディレ、俺が中央に。

最後列に、一席開けて万丈目、剣山、丸藤が座る。

 

「お兄ちゃん、ツァンさん!どっちが勝つと思う?」

 

ゆまはこちらに振り返って俺とディレに話しかけてくる。

どちらが勝つか……。

 

「カイザーかな。エクシーズ渡したし」

「ボクも……ってエクシーズモンスターを渡した!?なんで!?なんで渡したの!?」

 

俺の意見に同調したディレが、物凄い勢いでこちらに顔を向けた。

俺の両肩を掴んで前後に揺すってくる。

ゆまが慌てて止めようとするが、ディレは止まる様子がない。

 

「カイザーになら渡してもいいと思っただけだ。他意は無い」

 

揺すられながら答える。

直後に解放され、乱れた髪を整える。

ディレは何か言おうとしていたが、丸藤と剣山、万丈目、十代を見た後、少し下を向いて、『フンッ!』と不機嫌そうに前を見て、

 

「女たらし」

 

と口にした。

この数日でわかったのだが、ディレは俺に対してちょくちょく罵倒してくる。

俺以外にもしているが、他の連中に対しては『バカ』とシンプルに罵しるのだが、何故か俺に対してだけはレパートリーが多い。

昨日はゆまがデュエル理論の授業で問題に正解し、褒めてやったら『シスコン』と言われ、その前は雪乃が腕に絡んできただけで『変態』と言われた。

傷心しながら前を見ると、ちょうど中継が始まった。

好カードということもあってか、会場は超満員で、観客は今か今かと待ちわびているようだ。

デュエルフィールドに青い火柱が上がり、床下からカイザーとエドが現れた。

2人とも女性のファンが多いのか、登場とともに黄色い声が上がる。

それを聞いた万丈目が、面白くなさそうに着席したまま体育座りした。器が小さい。

 

「バカみたい」

 

小さく呟いたディレの一言が万丈目の心をダイレクトアタックし、万丈目が真っ白になった。

 

[君がエド・フェニックスか。デュエルアカデミアでは入れ替わりになってしまったが、いつか戦いたいと思っていた]

 

カイザーはデッキをデュエルディスクにセットしながらエドに話しかける。

 

[お手柔らかに。センパイ]

 

どこかバカにしたような態度で返答するエド。カイザーはすぐに臨戦モードに意識を切り替えた。

 

[いくぞ!]

[[デュエル!]]

 

エド・フェニックス

LP4000

 

VS

 

丸藤亮

LP4000

 

[僕のターン!]

 

マスコミの情報によると、エドは今回のデュエルでは今まで温存していた自分の本来のデッキでデュエルするとのこと。

俺としては【HERO】デッキだとわかっているので、他の連中に比べると面白味に欠けるものがある。

 

[僕のモンスターは、コイツだ!]

 

自身満々といった様子でモンスターカードをディスクに置いた。

 

[カモン!【フェザーマン】!]

 

【E・HERO フェザーマン】

攻撃表示

ATK1000/DEF1000

 

会場の観客、俺達デュエルアカデミアの生徒、そしてカイザーが驚く中現れたのは紛れもなく【フェザーマン】だ。しかし、十代が使う【フェザーマン】に比べると肌が黒い。

 

「【フェザーマン】!【フェザーマン】だよお兄ちゃん!」

 

ゆまは驚くというより興奮していて、大型ディスプレイの【フェザーマン】を指差してこちらを見ている。

以前はゆまもデッキに入れていたから、プロが使ってて嬉しいのだろうか。

 

「わかってるから、ちゃんと見とけ」

 

ゆまの意識をディスプレイに向けさせる。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP4000

モンスター

【E・HERO フェザーマン】:攻

ATK1000

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

「エドのデッキは、俺と同じ【HERO】デッキ……」

 

十代が小さく呟く。確かに【HERO】としては一緒なんだが、エドが使うデッキは【DーHERO】だから、本気ってわけじゃないんだよなぁ……

 

「あの伏せカードは【マスク・チェンジ】かな?」

「初手に【カミカゼ】か……だが【シャドー・ミスト】を使ってないから最初から【マスク・チェンジ】使ってもいいと思うけどな」

「あっ、そっか。う〜……」

 

ゆまの予想にあくまで『俺ならこうする』というニュアンスで伝えると、ゆまは頭の上に両手を置いて考えだした。

 

[俺のターン、ドロー!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このモンスターは特殊召喚できる。現れろ!【サイバー・ドラゴン】!]

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

カイザーのデッキに不可欠なモンスター、【サイバー・ドラゴン】を召喚しても、カイザーは手札のカードを手に取り、攻め手を増やす。

 

[さらに【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

[バトル!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】で【フェザーマン】を攻撃!そして、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果により、攻撃力が300ポイントアップ!]

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

ATK1500→ATK1800

 

【ツヴァイ】の熱線により【フェザーマン】が破壊され、爆風がエドのライフを削る。

 

エド・フェニックス

LP4000→3200

 

[罠発動【ヒーロー・シグナル】!デッキから【E・HERO バブルマン】を特殊召喚!]

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

[【バブルマン】のエフェクトにより、僕のフィールドに他のカードがないので2枚ドロー!]

 

エド・フェニックス

手札3枚→5枚

 

手札を補充して、【サイバー・ドラゴン】の追撃からライフを守ったか。

 

[まだ【サイバー・ドラゴン】が残っている!エヴォリューション・バースト!]

 

【サイバー・ドラゴン】の吐き出した光線によって消し飛ばされる【バブルマン】。攻撃エフェクトが変化したな。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン】:攻

ATK2100

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】:攻

ATK1500

魔・罠

伏せ1枚

手札3枚

 

[僕のターン、ドロー!魔法カード【死者蘇生】発動!蘇れ【バブルマン】!]

 

【E・HERO バブルマン】

守備表示

ATK800/DEF1200

 

[【バブルマン】のエフェクトで2枚ドロー!]

 

エド・フェニックス

手札5枚→7枚

 

[魔法カード【死者転生】を発動!手札を1枚捨て、セメタリーの【フェザーマン】を手札に戻し、魔法カード【融合】を発動!手札の【フェザーマン】と【バーストレディ】を融合!カモン!【E・HERO フェニックスガイ】!]

 

【E・HERO フェニックスガイ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

黒い肉体に炎のような赤い模様を描き、右腕には大きな爪、1対2枚の翼を持った人型モンスターが召喚される。

 

「えっ?【フェザーマン】と【バーストレディ】で融合できるのは【フレイム・ウィングマン】なんじゃ……」

 

丸藤が疑問を口にするが、【Great TORNADO】と【ノヴァマスター】も同じ素材で召喚できるぞ。

ゆまが同じことを思ったのかわざわざ振り返って丸藤に説明を始めた。

 

「私や十代さんが使う【E・HERO】は、同じ素材でも別の融合モンスターを召喚できるのが特徴なんです。【フェザーマン】と【バーストレディ】ってだけでも、十代さんの【フレイム・ウィングマン】、今エドさんが召喚した【フェニックスガイ】、私の使う【ノヴァマスター】と【Great TORNADO】を召喚できるんです!」

「えぇーっ!?そうだったのか!?」

 

ゆまの説明に十代が驚き、俺と十代以外がコケた。

 

「十代さん!?」

 

珍しくゆまが突っ込む。いつもは弄られて終わりなのにな。

万丈目も後ろから十代に迫っていたが、十代は気にした様子もないどころか万丈目に見向きもせずに『だから同じ【HERO】でも違うモンスターが入ってるのか』と目を輝かせていた。

 

「龍斗さん、貴方ならあの素材で何を召喚します?」

 

ももえが質問してきた。ゆまも気になるのかこちらに視線を向ける。あの素材でか……なら……

 

「今の場面なら【ワイアーム】だな」

 

他のモンスターの効果受けないし、カイザーのデッキに通常モンスターはいないはずだから戦闘破壊されないし。攻撃力高めだし。

 

「【HERO】じゃないよ!?」

「召喚できるんでしょうけど!普通そこは【HERO】じゃありません!?」

 

2人から突っ込まれた。召喚できるのだから問題ないだろう。まぁ、【サイバー・エンド】が出てきてたら【Great TORNADO】にするけどな。

 

[そして墓地の【ネクロダークマン】のエフェクトにより、手札の上級【HERO】をリリース無しで召喚できる!【E・HERO エッジマン】を召喚!]

 

【E・HERO エッジマン】

攻撃表示

ATK2600/DEF1800

 

「【死者転生】で【ネクロダークマン】を墓地に送って、融合素材を回収して上級モンスターを2体並べた……凄いわね」

 

ジュンコが食い入るようにデュエルを見ながら呟く。その隣にいるももえも同意していた。

 

[バトル!【エッジマン】で【サイバー・ドラゴン】を攻撃!]

[永続罠【サイバー・ネットワーク】!俺のフィールドに【サイバー・ドラゴン】が存在する場合、1ターンに1度、デッキから機械族・光属性モンスターをゲームから除外できる!【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外!]

[だが、それでは僕の攻撃は止まらない]

[【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードがゲームから除外された場合、俺のフィールドの【サイバー・ドラゴン】1体は、このターン戦闘・効果では破壊されない!]

[それでも、バトルによるダメージは免れない!]

 

【エッジマン】が【サイバー・ドラゴン】に突撃するが、【サイバー・ドラゴン】を破壊することができず、衝撃をカイザーに与えるだけに終わった。

 

丸藤亮

LP4000→3500

 

[【フェニックスガイ】で【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を攻撃!]

 

【フェニックスガイ】が右腕の爪で【ツヴァイ】を切り裂く。

 

丸藤亮

LP3500→2900

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP3200

モンスター

【E・HERO バブルマン】:守

DEF1200

【E・HERO フェニックスガイ】:攻

ATK2100

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

[俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む。このカードは、発動して3ターン目の俺のスタンバイフェイズに破壊される]

 

【サイバー・ネットワーク】の上に青白い『1』の数字が浮かぶ。

 

[そしてメインフェイズに、【サイバー・ネットワーク】の効果でデッキから【プロト・サイバー・ドラゴン】を除外]

 

デッキ圧縮して引きたいカードを引きやすくしたか。

 

[魔法カード【サイバー・リペア・プラント】を発動!このカードは、俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】がいる場合のみ発動可能なカード。墓地にいる【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】は墓地にいる場合、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱うので発動可能となる。2つの効果のうち1つを発動する。俺はデッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える。【サイバー・ドラゴン・ドライ】を手札に加え、召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

[【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードの召喚に成功したとき、フィールドの【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!【サイバー・ドラゴン・ドライ】は、フィールドと墓地ではカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。よって、【サイバー・ドラゴン・ドライ】自身のレベルも上がる!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

[俺はレベル5となった【サイバー・ドラゴン・ドライ】と【サイバー・ドラゴン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、再びこの地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

[出たーっ!エクシーズ召喚!最近I2社、KCから発表された新召喚の1つ!カイザー亮の切り札の1枚がここで現れた!]

 

さっきまで無言だった実況が急に喋りだした。

雑誌やネットでの情報では、カイザーは【インフィニティ】は使わず、エクシーズモンスターは【ノヴァ】だけを使っているらしい。俺や十代相手には躊躇なく使ってたクセに……

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!ORUを1つ使い、墓地の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚する!ORUとして墓地に送られた【サイバー・ドラゴン・ドライ】を特殊召喚!]

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

[バトル!【サイバー・ドラゴン・ドライ】で【バブルマン】を攻撃!]

 

【ドライ】の熱線が【バブルマン】を爆散させた。

 

[続いて【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!1ターンに1度、手札・フィールドの【サイバー・ドラゴン】を除外し、攻撃力を2100ポイントアップさせる!]

 

【ドライ】の全身が青く燃え、【ノヴァ】と一つになった。

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

ATK2100→ATK4200

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】で【フェニックスガイ】を攻撃!]

[罠発動【ドレインシールド】!]

 

【ノヴァ】の光線が、エドのフィールド全体を覆うドーム状の光に行く手を阻まれる。

 

[相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを得る!]

 

エド・フェニックス

LP3200→6400

 

「【インフィニティ】を使わないからそうなるんだ……」

「【インフィニティ】?」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の進化形のことよ」

 

俺の呟きにディレが質問し、俺の代わりに雪乃が答えた。攻撃力アップの永続効果、攻撃表示モンスターをORUに変換する起動効果、効果の発動を無効にする誘発即時効果についても補足しておいてくれた。

 

「そ、そんな強力カードをどうして使わないの?」

「今の環境だと、アレ使ったら十中八九勝てるからな。もう少しカードが販売されたら別だろうけど」

[カードを1枚伏せ、ターンエンド。ターン終了とともに、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の攻撃力は元に戻る]

 

丸藤亮

LP2900

モンスター

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】:攻

ATK2100

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

伏せ1枚

手札2枚

 

[僕のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!手札の【スパークマン】とフィールドの【フェニックスガイ】を融合!カモン!【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】!]

 

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

手脚と頭に銀色の装甲を着け、機械的な翼を背に持つ、身体が緑色のモンスターが現れる。

 

[【シャイニング・フェニックスガイ】のエフェクト!セメタリーの【E・HERO】の数だけ、攻撃力が300ポイントアップ!]

 

今エドの墓地には【バブルマン】

【フェザーマン】

【バーストレディ】

【スパークマン】

【ネクロダークマン】

【フェニックスガイ】の6枚がある。

 

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】

ATK2500→ATK4300

 

「攻撃力が【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の2倍になったドン!」

「私の【HERO】じゃ、あんなに高い攻撃力のモンスターを出せないよ!」

 

剣山とゆまが興奮しながら言う。

ゆまの【HERO】は効果による除去か、相手の攻撃力を下げて倒すのが基本だからな。【ガイア】なら攻撃力4000オーバーもいけるが、相手依存だしな。

 

[バトル!【シャイニング・フェニックスガイ】で【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を攻撃!]

 

【シャイニング・フェニックスガイ】が翼から青白い電気を発生させ、全身に纏う。

 

[シャイニング・フィニッシュ!]

 

エドの言い放った攻撃名とともに、雄叫びをあげて【ノヴァ】に突進する【シャイニング・フェニックスガイ】。

 

[【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果は相手ターンでも発動できる!手札の【サイバー・ドラゴン】を除外し、攻撃力が2100ポイントアップ!]

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100→ATK4200

 

[だが、それでも【シャイニング・フェニックスガイ】の攻撃力が上だ!]

 

【ノヴァ】が攻撃力を上昇させたが僅かに届かず、そのまま【シャイニング・フェニックスガイ】によって破壊されてしまった。

 

丸藤亮

LP2900→2800

 

[【エッジマン】でダイレクトアタック!]

 

【エッジマン】が腕の刃を展開し、カイザーを殴りつける。

 

[ぐっ!!]

 

丸藤亮

LP2800→200

 

[僕はこれで、ターンエンド]

 

エド・フェニックス

LP6400

モンスター

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】:攻

ATK4300

魔・罠

手札0枚

 

[カイザー亮、絶対絶命のピンチ!ここから巻き返しなるか!?]

 

実況のセリフをかき消すように、デュエルアカデミアの生徒・教師は『カイザーが勝つ』と言うようなことを繰り返し言っている。

丸藤も俺の後ろで『お兄さんは負けない』と言っている。

 

[俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む!]

 

【サイバー・ネットワーク】の上の数字が『2』に変化する。次のターンには、除外した【サイバー・ドラゴン】達が出てくる。

 

[……【サイバー・ヴァリー】を召喚!]

 

【サイバー・ヴァリー】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

【サイバー・ヴァリー】か。なら戦闘ダメージでやられることは少なそうだな。

 

[カードを1枚伏せ、ターンエンド]

 

丸藤亮

LP200

モンスター

【サイバー・ヴァリー】:攻

ATK0

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

伏せ2枚

手札0枚

 

[カイザー亮逆転の一手ならず!ピンチのままエド・フェニックスにターンが渡ります!]

[僕のターン、ドロー!このままバトルだ!【エッジマン】で【サイバー・ヴァリー】を攻撃!]

[【サイバー・ヴァリー】の効果発動!このモンスターが攻撃対象にされたとき、このモンスターを除外しカードを1枚ドロー!そしてバトルフェイズを終了させる!]

 

丸藤亮

手札0枚→1枚

 

[僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド]

[まだ終わらせない!速攻魔法【サイクロン】!フィールドの魔法・罠を破壊する!俺は、俺のフィールドの【サイバー・ネットワーク】を破壊!]

 

突如出現した竜巻によって、カイザーの【サイバー・ネットワーク】が破壊された。

 

[カイザー亮、自分のカードを自ら破壊!これは明らかなプレイングミス!]

 

実況が好きなことを言っているが、カイザーがそれを否定するために口を開く。

 

[【サイバー・ネットワーク】の効果!このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、除外されている俺の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、俺のフィールドの魔法・罠を全て破壊する!現れろ!【サイバー・ドラゴン】達!]

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】×2

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK1100/DEF600

 

【サイバー・ヴァリー】

守備表示

ATK0/DEF0

 

[この効果で特殊召喚されたモンスターは効果を発動できず、このターン、俺はバトルフェイズを行えない]

 

だが今はエドのターン。実質デメリットは効果の発動を封じられただけ。そしてエンド宣言したことで、自動的にカイザーにターンが回る。そしてさりげなく破壊される【ダメージ・ポラリライザー】。

 

エド・フェニックス

LP6400

モンスター

【E・HERO エッジマン】:攻

ATK2600

【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】:攻

ATK4300

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

[カイザー亮、一瞬でモンスターを5体召喚!しかし攻撃力ではエド・フェニックスのモンスターには及ばない!]

[俺のターン、ドロー!魔法カード【パワー・ボンド】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ドライ】、【プロト・サイバー・ドラゴン】を融合!現れろ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!!]

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

[【パワー・ボンド】の効果により、【サイバー・エンド】の攻撃力は倍になる!]

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

ATK4000→ATK8000

 

[カイザー亮、ここで【サイバー・エンド・ドラゴン】を召喚!しかし、これでもエド・フェニックスのライフを削りきれない!]

 

残る手札は1枚。【リミ解】か【一時休戦】か……

 

[バトル!【サイバー・エンド】で【シャイニング・フェニックスガイ】を攻撃!速攻魔法ーーー]

[カウンター罠【攻撃の無力化】。攻撃を無効にし、バトルを終了させる]

 

【リミ解】を発動しようとしたであろうカイザーの言葉を遮って発動した【攻撃の無力化】。

【サイバー・エンド】の三つの首が、それぞれの口内に溜めたエネルギーを放出することなく、動きを止めた。

 

[そしてカイザー亮。君のターンは終了し、【パワー・ボンド】のエフェクトにより【サイバー・エンド・ドラゴン】の元々の攻撃力分のダメージを受ける]

 

丸藤亮

LP200→-3800

 

[決まったーーッ!!ラストはまさかの【パワー・ボンド】のデメリットでの決着!カイザー亮、連勝記録を10で止めました!]

 

このあと、実況により今回のハイライトに切り替えられ、ハイライトが終わると勝者のエド・フェニックスへのインタビューになった。

インタビュアーからは当然のように、『何故この時期に本来のデッキである【HERO】デッキを使ったのか』という質問が出てくる。

それに対してエドは『入学したデュエルアカデミアに自分と同じ【HERO】デッキ使いがいる』と十代と思われるデュエリストのことを話し、『自分の方が早く作ったのだが、そのデュエリストがマニアの中で有名になってしまった』と言い出す。

 

「…………ここだけ聞くと、単に目立ちたがり屋なだけに聞こえるな」

 

使うデッキが被らないなんてことはまずありえないのにな。多くのカードは市販されているのだから被って当然だ。

 

[先日、そのデュエリストがカイザーと引き分けたと聞きました。ならば、そのカイザーに勝つことで、僕の方が強いということを証明したわけです]

 

…………【インフィニティ】っていう奥の手使わなかった、極端な言い方すると手抜き、舐めプしたのにカッコつけてもな。俺がそう思っている間に、エドはインタビューを使って十代に宣戦布告をした。

 

「よかったなゆま。プロに狙われなくて」

「ふぇ?」

 

十代への宣戦布告に呟くと、ゆまがよくわかってなさそうに振り返った。

 

「お前も【HERO】使いだろ」

「あっ、そっか!」

『…………』

 

ゆまのボケに周囲の全員が閉口した。




2人目の【HERO】使い、エドに知られず。
次回はゆまが不機嫌になる話です。また観戦モードです。

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