衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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やっと73話がまとまってきました。
ペンデュラム無しでは戦えないデッキの正体はいかに?な72話をどうぞ。


ペンデュラム VS.ーーー

ホッと内心息を吐く。

明日香と海馬さんのデュエルは両者ともにシンクロ召喚を使ったから妥協できたが、ペガサス会長はメインデッキに入れた【トゥーン】モンスターだけでデュエルしていた。これで藤原が負けたら『エクシーズは弱い』なんて印象を持たれかねない。この点においては、藤原が勝ってくれたことに感謝だ。藤原が明日香の横にきたところで俺の出番だ。

 

「それでは最後、ペンデュラム召喚の実演です!解説はシンクロ、エクシーズを見せてくれた天上院明日香さん、藤原雪乃さんにお願いしましょう」

 

それだけ言って前に出る。

さて、俺の相手は誰だろう?

ペガサス会長も海馬さんもデュエルしたから、また出てくるなんてことはないと思う。この世界では知ってて当然といえるデュエリスト2人が出てきて、最後は誰も知らないスタッフなんてこともないと思う。となるとI2社にもKCにも所属していない、且つ有名なデュエリストか?

 

「ペンデュラム召喚の実演を行う龍斗ボーイの相手。それは……」

「我がKCとI2社の合同会議にて選出したデュエリスト。バトルシティベスト4…………城之内克也!」

「っ!」

 

俺が出てきた場所とは反対の場所からスモークが上がり、金髪の男性がやってきた。

 

「城之内ボーイは今回のイベントの日程に合わせられ、且つ誰もが知るデュエリスト。彼を相手に龍斗ボーイがどんなデュエルを見せてくれるのか、非常に楽しみデース!」

 

ペガサス会長の言い方が、『暇なやつ探した』と言ってるように聞こえる。しかし城之内……さんは特に気にする様子もなく、こちらに歩み寄った。

 

「城之内克也だ。よろしくな!」

「……宮田龍斗です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

差し出された右手に、こちらも右手を差し出して握手する。

城之内さんは握手のあと、その右手の親指を後ろに向けた。

 

「そこから見てたけどさ。スゲーなシンクロにエクシーズって!俺の【真紅眼】とかもあんな力を手に入れられるとなると、デュエリストとして楽しみだぜ!」

 

貴方の【真紅眼】は融合とエクシーズで強化されますよ。なんて言ったらどんな反応するだろうか?仕事中だから言わないけど。

 

「ペンデュラムを忘れないでくださいよ」

「忘れてねーよ。あの2人が選んだお前の実力、見せてもらうぜ!」

 

そう言うと、城之内さんは俺から距離をおいて、バトルシティで使用されたデザインのデュエルディスクを構える。

こちらも数瞬おくれてデュエルディスクを展開。

 

「それでは、デュエル開始デース!」

「「デュエル!」」

 

宮田龍斗

LP4000

 

VS

 

城之内克也

LP4000

 

…………じゃ、若干事故った。な、なるべく表情に出さないようにしよう。

 

「俺の先攻!モンスターをセット、永続魔法【補給部隊】を発動!このカードは1ターンに1度、俺のフィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、カードを1枚ドローします!そして、スケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】をペンデュラムゾーンにセット!」

 

俺の右後ろに【オッドアイズ】が柱とともに現れる。

 

「ペンデュラム召喚は現在のデュエルディスクでは使用できない。実演が終了次第、ペンデュラム召喚に対応した新型デュエルディスクと、現在使用されているデュエルディスクを交換する」

「明日以降、全国のカードショップでも交換できマース!So.今日デュエルディスクがなくても安心してくだサーイ!」

 

海馬さんとペガサス会長の計らいに『おお』という声と拍手が起こる。

 

「カードを1枚セットして、エンドフェイズに【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果!このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加えます!攻撃力1200の【時読みの魔術師】を手札に!ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

【補給部隊】

伏せ1枚

手札2枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

 

「フィールドで破壊されたペンデュラムモンスターは、墓地ではなく融合デッキ、『マスタールール』におけるエクストラデッキに表側で加えられます」

「ペンデュラム召喚では、手札以外にもエクストラデッキに表側で加えられているモンスターも召喚できるから、必要なカードをサーチして、ペンデュラム召喚するモンスターを溜めているのね」

 

明日香と藤原が解説している。2人でやるなんてズルいぞ。

しかし客席だけでなく、城之内さんからも声がきた。

 

「ペンデュラム召喚はどうした?」

「手札のカードではペンデュラム召喚ができなかったんですよ。手札が整うまでは耐えるだけです」

 

瞬間、客席から心配の声が聞こえる。心配するなら【ドクロバット・ジョーカー】をくれ。もしくは【慧眼】。欲を言ったら【魔術師】使わせてくれ。

 

「待っててやろうか?」

「お気遣いなく。むしろガンガン攻撃してきてください。【補給部隊】でデッキ圧縮できるんで」

 

俺の頼みに近い言葉に城之内さんは『そうか』と目を閉じて、すぐにこちらに鋭い視線を向けた。

 

「なら本気でいくぜ!俺のターン、ドロー!【鉄の騎士 ギア・フリード】を召喚!」

 

【鉄の騎士 ギア・フリード】

攻撃表示

ATK1800/DEF1600

 

攻撃力1800のアタッカーか。

 

「バトルだ!【ギア・フリード】で守備モンスターを攻撃!鋼鉄の手刀!」

 

【ギア・フリード】の上段斬りで、俺のセットモンスター【EM ヒックリカエル】が破壊された。

 

「破壊された【EM ヒックリカエル】はペンデュラムモンスター。墓地に行かず、エクストラデッキに加えます!そして【補給部隊】の効果で1枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP4000

モンスター

【鉄の騎士 ギア・フリード】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!……【EM ウィップ・バイパー】を召喚!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

攻撃表示

ATK1700/DEF900

 

現れたのは尻尾の一部が手で握れるようになった、シルクハットを被った紫の蛇。

 

「【ウィップ・バイパー】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスター1体の攻撃力と守備力をターン終了時まで入れ替える!コンフュージョン・ベノム!」

 

【ウィップ・バイパー】が【ギア・フリード】に噛みつこうとしたが、相手が鉄の塊と判断したのか、頭に紫色の毒を吐いて戻ってきた。

 

【鉄の騎士 ギア・フリード】

ATK1800/DEF1600→ATK1600/DEF1800

 

「【ギア・フリード】の攻撃力と守備力を入れ替えた!?」

「バトル!【ウィップ・バイパー】で【ギア・フリード】を攻撃!」

「罠発動【悪魔のサイコロ】!このカードはダイスを振って、出た目の数だけ相手モンスターの攻撃力を下げる効果だ!……少し前は、出た目の数だけ相手モンスターの攻撃力を割る効果だったんだけどな。ペガサスの野郎、なんでこんな効果にしやがったんだ……」

 

効果説明すると、城之内さんは突然愚痴りだした。

 

「割っていく効果だと、割り切れない攻撃力のときの計算が面倒だからじゃないですか?」

「そーなのか?」

 

俺の見解を述べると、城之内さんは先程より少し高い声でペガサス会長に聞きだした。するとペガサス会長は『その通りデース』とにこやかに答えた。

『ふーん』と城之内さんは理解してるのか、してないのかわからないような対応の後、『とりあえず』と言って効果処理を始めた。

 

「ダイスロール!」

 

【悪魔のサイコロ】から黒い二頭身の悪魔が赤いサイコロとともに現れ、サイコロを振った。大きさのわりに少し高いコロコロという音とともに転がり、『2』の目が出た。

 

「出た目は『2』!攻撃力が200ポイントダウンする!」

 

【EM ウィップ・バイパー】

ATK1700→ATK1500

 

【ウィップ・バイパー】が【ギア・フリード】の全身を締めつけるが、頭部に拳骨をくらい、涙を流してどこかに行った。

 

宮田龍斗

LP4000→3900

 

「……【補給部隊】の効果で1枚ドローします」

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3900

モンスター

魔・罠

【補給部隊】

伏せ2枚

手札3枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

【EM ヒックリカエル】

 

「【補給部隊】の効果で手札を増やして、ペンデュラム召喚のチャンスを待っている状況ですね」

「でもフィールドはガラ空き。状況はかなり不利よ。龍斗はどうするつもりかしら?」

 

藤原、解説というより実況っぽい気がするのは俺だけか?

城之内さんは気にすることなくカードを引く。

 

「俺のターン!魔法カード【融合】を発動!手札の【ワイバーンの戦士】と【ベビードラゴン】を融合!【ドラゴンに乗るワイバーン】を召喚!」

 

【ドラゴンに乗るワイバーン】

攻撃表示

ATK1700/DEF1500

 

現れたのは黄土色の体の龍に乗った、曲刀を持つ緑色のトカゲ。『ワイバーン』と名前にあるが、あれはトカゲだ。

 

「罠発動【強制脱出装置】!【ドラゴンに乗るワイバーン】を手札に戻してもらいます」

「なんだと!?」

 

巨大な機械の【ドラゴンに乗るワイバーン】が吸い込まれ、天井部分から空高く吹き飛ばされた。

 

「くっそー……そんなカードで防いでくるかー……ならバトルだ!【ギア・フリード】でダイレクトアタックだ!」

 

【ギア・フリード】が俺を袈裟斬りに切り裂く。

 

「ぐ……っ!」

 

宮田龍斗

LP3900→2100

 

「ぃよっしゃぁ!俺はこれで、ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP4000

モンスター

【鉄の騎士 ギア・フリード】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

ガッツポーズをとる城之内さん。こちらとしてはせめて【オッドアイズ】を引きたいところだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………本当に【オッドアイズ】引いたよ。

とりあえず、【EM】使ってるからエンタメしないとな。一度目を閉じて深呼吸。ゆっくりと目を開け、両腕を上げた。

 

「Ladies & gentlemen !皆様、大変お待たせしました!これより、ペンデュラム召喚をご覧に入れます!」

 

『ようやくか』というような声が聞こえた気もするが、それよりも大きく『おお』と期待の篭った声が会場中から聞こえた。

 

「このカードは、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できます!スケール8の【時読みの魔術師】とスケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に【時読み】と【オッドアイズ】が現れる。城之内さんはショーか何かを見ているように、目を輝かせて【時読み】と【オッドアイズ】が宙に浮いていく様子を見ている。

 

「これでレベル5から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!

ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!雄々しくも美しく輝く二色の眼!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「2体のペンデュラムモンスターを、永続魔法として左右のペンデュラムゾーンにセットすることで、ペンデュラム召喚の準備が完了します」

「ペンデュラムゾーンにセットされたペンデュラムモンスターに記されたスケール間のレベルを持つモンスターを最大5体特殊召喚する。これがペンデュラム召喚よ」

「いきなりレベル7のモンスターを召喚……これがペンデュラム召喚か……!」

「このターンはこれだけですが、手札やエクストラデッキの状況によっては5体同時召喚だってできますよ」

 

明日香と藤原が解説している間、城之内さんはペンデュラム召喚された【オッドアイズ】を面白そうに見ていた。

 

「では行きます。バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【ギア・フリード】を攻撃!【時読みの魔術師】のペンデュラム効果で、俺のペンデュラムモンスターがバトルする場合、相手プレイヤーはダメージステップ終了時まで罠を発動できません!」

「罠が使えないだって!?」

「螺旋のストライクバースト!」

 

【オッドアイズ】のブレスが【ギア・フリード】を吹き飛ばす。

 

「【オッドアイズ】がバトルするとき発生する相手へのダメージは倍になります!リアクション・フォース!」

「倍だと!?ぐぁっ!」

 

【オッドアイズ】のブレスが地面を滑り、城之内さんに直撃した。

 

城之内克也

LP4000→2600

 

「エンドフェイズ、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の効果発動!このカードを破壊し、デッキから【星読みの魔術師】を手札に加えます!これと同時に【時読み】の効果!もう片方のペンデュラムゾーンに【魔術師】か【オッドアイズ】が存在しないなら、このカードのスケールは4になります!」

 

【オッドアイズ】が破壊されると同時に、【時読み】のいる柱に浮かぶ『8』の数字が『4』に変化した。

 

「ターンエンドです!」

 

宮田龍斗

LP2100

モンスター

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

【補給部隊】

伏せ1枚

ペンデュラム

【時読みの魔術師】:スケール4

手札3枚

EX

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

【EM ヒックリカエル】

 

「今手札に加えた【星読みの魔術師】はスケール1のペンデュラムモンスター」

「おそらく龍斗は次のターンで【星読み】と【時読み】でペンデュラム召喚の準備をするつもりね」

 

おい明日香、何情報アド渡してるんだよ。

そう突っ込む間もなく城之内さんがターンを進めた。

 

「俺のターン!魔法カード【運命の宝札】!」

 

運命の……宝札?嫌な予感がする名前だな……

 

「このカードは、サイコロを1度振って、その目の数だけドローするカードだ!」

 

最大6枚のドローって何その恐ろしいカード。最低でも1枚圧縮……【成金ゴブリン】みたいなライフ回復はないのだろうか?

そう思っている間に白いサイコロがカードから飛び出し、『3』の目を示した。

 

「出た目は『3』だ!カードを3枚ドロー!」

 

城之内克也

手札1枚→4枚

 

「その後デッキの上から、引いた枚数と同じ枚数だけ、ゲームから除外するぜ!」

 

最大12枚のデッキ圧縮……これだけ聞くと、【強欲で貪欲な壺】みたいだな。あっちは10枚除外してから2枚ドローだけど。

 

「永続魔法【デンジャラスマシン TYPEー6】発動!」

 

城之内さんの右側に、円盤を台座で固定し、棘の装飾を施された機械が現れる。機械の右側には巨大なレバーが設置されており、円盤には6つの球体が取り付けられ、球体には『?』が表示されている。

 

「このカードは、俺のスタンバイフェイズに6つの効果の中から1つがランダムに発動するカードだ!」

 

6つの効果……またサイコロか?この人サイコロ好きだなぁ……

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

城之内克也

LP2600

モンスター

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

伏せ3枚

手札1枚

 

「モンスター無し……終わったわね」

「【時読み】は罠を、【星読み】は魔法を封じる効果がある。次のターンで2体目の【オッドアイズ】召喚されてデュエル終了ね」

 

だからそういうことは言うなよ。情報アドは大切だぞ。

 

「それでは、ペンデュラム召喚の第二幕と参りましょう!俺のターン、ドロー!俺は、セッティング済みの【時読みの魔術師】とスケール1の【星読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

【星読み】が柱とともに現れると、【時読み】がいる柱の『4』の数字が『8』に変化した。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!

もう一度揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより蘇れ!【EM ヒックリカエル】!」

 

【EM ヒックリカエル】

守備表示

ATK0/DEF800

 

「【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「そして、手札からレベル7!【オッドアイズ・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

【オッドアイズ】……【オッP】から角……で良いんだよな?……を抜いたような龍が現れ

 

「罠発動【奈落の落とし穴】!」

 

着地音すらなく穴に落ちていった。

【オッドアイズ】が2体とも……

 

「相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターを破壊してゲームから除外するぜ!」

「……ペンデュラム召喚は複数体を同時に召喚する。【奈落の落とし穴】は条件を満たしたモンスターを全て除外する……」

 

まさか【奈落】なんてガチなカードをデッキに入れているとは……ギャンブルカード満載のデッキかと思えば【奈落】……全く手が読めん……

 

「【補給部隊】の効果で1枚ドローします」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

……2枚目の【補給部隊】……

 

「バトル!」

「速攻魔法【スケープ・ゴート】!」

 

城之内さんの発動したカードから、赤、青、黄、ピンクの羊が現れた。

 

【羊トークン】×4

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【オッドアイズ】!【羊トークン】を攻撃!【星読み】と【時読み】のペンデュラム効果で、ペンデュラムモンスターが攻撃するとき、魔法・罠は発動できません!螺旋のストライクバースト!」

 

【オッドアイズ】がピンクの【羊トークン】を消し飛ばす。

 

「2枚目の【補給部隊】を発動して、ターンエンドです!」

 

宮田龍斗

LP2100

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】:攻

ATK2500

【EM ヒックリカエル】:守

DEF800

魔・罠

【補給部隊】

【補給部隊】

伏せ1枚

ペンデュラム

【星読みの魔術師】:スケール1

【時読みの魔術師】:スケール8

手札2枚

 

「【星読み】も【時読み】もペンデュラムモンスターが攻撃するときにしかその効力を発揮しない。攻撃される前に【スケープ・ゴート】を発動することで上手く躱したわね」

 

明日香が【スケープ・ゴート】の使用タイミングを評価するように解説。藤原はもう飽きたのか、口を開くことなく俺と城之内さんのデュエルを見ている。会長はニコニコと柔らかい笑みを浮かべ……海馬さんは『興味無し』と目を閉じている。アンタ自由すぎるよ。

 

「俺のターン!スタンバイフェイズに【デンジャラスマシン TYPEー6】の効果発動!」

 

【デンジャラスマシン TYPEー6】のレバーが独りでに降り、球体がスロットマシンのように縦回転を始める。ゆっくりとレバーが上がっていき、上がりきったところで縦回転は徐々に減速していく。6つの球体は全て『3』を示した。

 

「ぃよっしゃぁ!出たのは『自分はカードを1枚ドローする』効果!1枚ドローだ!」

 

城之内克也

手札2枚→3枚

 

顎をしゃくれさせながらガッツポーズとり、そのままカードを引く城之内さん。しゃくれさせる意味がわからない。

 

「魔法カード【おろかな埋葬】!デッキから【真紅眼の黒竜】を墓地に送るぜ!」

 

【真紅眼】……?【正統なる血統】でも握ってるのか?

 

「伏せカードオープン!魔法カード【ハリケーン】!フィールドの魔法・罠を全て手札に戻すぜ!」

 

……おそらく今日で日の目を見ることは無いであろうカードが出てくるとは……吹き荒れる風によって互いのカードが吹き飛ばされる。面倒なことを……

 

「さらに装備魔法【早すぎた埋葬】!ライフ800ポイントを払って、墓地から【真紅眼】を復活させるぜ!」

 

城之内克也

LP2600→1800

 

【真紅眼の黒竜】

攻撃表示

ATK2400/DEF2000

 

この世界だと激レアである【真紅眼】の登場に、会場が盛り上がる。

 

「装備魔法【闇竜族の爪】!これで【真紅眼】の攻撃力を600ポイントアップさせるぜ!」

 

【真紅眼の黒竜】

ATK2400→ATK3000

 

【真紅眼】の爪が銀色に変わった。

 

「バトル!【真紅眼】で【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を攻撃!黒炎弾!」

 

【真紅眼】の炎が【オッドアイズ】を焼き尽くし、熱波が俺のライフを削る。

 

「くっ……!」

 

宮田龍斗

LP2100→1600

 

「【デンジャラスマシン TYPEー6】をもう一度発動して、ターンエンド!」

 

城之内克也

LP1800

モンスター

【真紅眼の黒竜】:攻

ATK3000

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

【闇竜族の爪】《真紅眼の黒竜》

【早すぎた埋葬】《真紅眼の黒竜》

手札0枚

 

こっちの手札が7枚に……しかもフィールドに【ヒックリカエル】がいるから【時読み】が使えない……明日香も藤原も同じことを言っていた。【ブラホ】……何故お前を使っちゃいけないんだ…………嘆いていても仕方ない。ターンを進めよう。

 

「俺のターン、ドロー!【補給部隊】を2枚発動!カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP1600

モンスター

【EM ヒックリカエル】:守

DEF800

魔・罠

【補給部隊】

【補給部隊】

伏せ1枚

手札5枚

 

「状況はかなり不利ね。おそらく、龍斗のデッキには【真紅眼】の攻撃力を超えるモンスターが入っていない」

「罠か魔法で【真紅眼】を、もしくは【早すぎた埋葬】を破壊しないといけないわね」

 

【サイクロン】と【大嵐】入れてるんだけどなぁ……引かない……。

 

「俺のターン!スタンバイフェイズに【デンジャラスマシン TYPEー6】の効果発動!」

 

再びレバーが下がり、ルーレットが始まる。そして『1』の数字が表示された。

 

「…………出たのは、『自分の手札を1枚捨てる』効果だ。俺の手札は1枚だけだから、このカードを捨てるぜ」

 

前のターンのテンションとは雲泥の差と言えそうなほど低いテンションで手札のカードを墓地に送った。

 

「バトルだ!【真紅眼】で【EM ヒックリカエル】を攻撃!黒炎弾!」

 

【真紅眼】の炎によって、『【ヒックリカエル】の丸焼き』が出来上がった。

 

「……攻めてきますね。次のターン、ペンデュラム召喚がやってくるというのに」

「攻めていかないと勝てないからな。それに、俺の【真紅眼】を倒せるモンスターはそうはいねぇよ」

「なら、その自信を砕くまでです。【補給部隊】2枚の効果でカードを2枚ドローします!」

 

宮田龍斗

手札5枚→7枚

 

「やってみろよ!ターンエンドだ!」

 

城之内克也

LP1800

モンスター

【真紅眼の黒竜】:攻

ATK3000

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

【羊トークン】:守

DEF0

魔・罠

【デンジャラスマシン TYPEー6】

【闇竜族の爪】《真紅眼の黒竜》

【早すぎた埋葬】《真紅眼の黒竜》

手札0枚

 

自信満々にエンド宣言する城之内さん。こちらの手札は、今引いたカードで十分に勝利を手に入れられる。

 

「それではペンデュラム召喚の実演、最終章と参りましょう!俺のターン!俺はスケール1の【星読みの魔術師】とスケール8の【時読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺の背後に再び【星読み】と【時読み】が揃った。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!

揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!手札からレベル7!【メタファイズ・アームド・ドラゴン】!」

 

【メタファイズ・アームド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF1000

 

銀色の装甲を纏った【アームド・ドラゴン LV7】が現れる。素の攻撃力ではこのモンスターが、このデッキの最高火力だ。

 

「同じくレベル7!【オッドアイズ・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「レベル6!【EM カレイドスコーピオン】!」

 

【EM カレイドスコーピオン】

守備表示

ATK100/DEF2300

 

鋏の代わりに盾を持ち、尾が万華鏡になったサソリ。万が一、特殊召喚されたモンスターが大量に出たときの保険だ。必要なくなったけど。

 

「そしてエクストラデッキからレベル2!【EM ヒックリカエル】!」

 

【EM ヒックリカエル】

守備表示

ATK0/DEF800

 

「レベル7!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

とりあえず出せるだけ出してみる。【メタファイズ・アームド・ドラゴン】を中心に、2体の【オッドアイズ】が左右を固め、端を【EM】で埋めただけなんだが……端と中心部の迫力の差が激しい。

 

「5体同時召喚……でもそれじゃあ」

「装備魔法【団結の力】を【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】に装備!俺のフィールドのモンスター1体につき、攻撃力と守備力が800ポイントアップ!」

 

城之内さんのセリフに被せたようだが、気のせいだろう。

というか、【オッP】の方を中心にするべきだったか?

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

ATK2500/DEF2000→ATK6500/DEF6000

 

「こ、攻撃力6500だぁ!?」

「ペンデュラム召喚は大量展開できますから、【団結の力】使った脳筋フィニッシュになるのが主流になるんじゃないですかね?しばらくは」

 

攻撃宣言→【サイクロン】で返り討ちだけどな。【聖槍】も可。

会場は攻撃力6500がそんなに珍しいのか、【真紅眼】が召喚されたときより盛り上がっている。

 

「とりあえず、情報提示を兼ねて【カレイドスコーピオン】の効果を【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を対象に発動!これで【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】は、特殊召喚されたモンスター全てに1度ずつ攻撃できます!」

 

『まぁ、1度しか攻撃しませんが』と苦笑しながら言う。そろそろトドメといこうか。

 

「バトル!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【真紅眼】を攻撃!螺旋のストライクバースト!【オッドアイズ】は相手モンスターとバトルするとき、相手プレイヤーに与えるダメージを倍にする!リアクション・フォース!」

 

【オッP】のブレスが【真紅眼】、その後ろにいる城之内さんを飲み込んだ。

 

「ィワァァァァァクッ!」

 

城之内克也

LP1800→-5200




ペンデュラム無しでは戦えないデッキ……下級が【ヒックリカエル】、【ウィップ・バイパー】、【時読み】しかなく、あとは上級、最上級で構成された重量感あるデッキでした。ペンデュラムの印象を観客に残すために、下級を抑えたら抑えすぎた感じですハイ。
次回は打ち上げ前の一悶着です。これもイベントの一環です。

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