衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

66 / 88
やっとここまで来た感があります。
3……もしかしたら4話かけてになるかと。


卒業ー① 十代VS.亮

終わった……今年度最後の試験が一昨日終わった。

さらに昨日、イベントの参加者が決定した。シンクロからは明日香が。エクシーズは藤原。ペンデュラムは俺が出ることになった。やはり【WE】は強かった。結果を海馬さんとペガサス会長に報告すると、海馬さんからの返答は『了解した。後はペガサスに指示を仰げ』とだけ。そしてペガサス会長からは『了解しまシタ。これから送るリストと、既存のカードの中からデッキを作成し、そのデッキでイベントに出てくだサーイ』という内容のメールと、明日香用、藤原用、俺用のリストが送られてきた。

 

「…………これ、【EM】も作れないんじゃ……」

 

リストをプリントして確認すると、【オッドアイズ】と【時読み】と【星読み】、数枚の【EM】があるが、ペンデュラムは【カレイドスコーピオン】と【ヒックリカエル】くらいだ。いくら最初だからってこれでは何も……俺の事情を知るペガサス会長から山のような既存カードのリストを見て、嘆息しながらもデッキを作ることにした。

 

「三沢。すまないがコレを藤原、こっちを明日香に渡してくれ」

「構わないが、龍斗はどうするんだ?」

「イベントに使うデッキを作る。ちょっと手こずりそうでな」

 

三沢に藤原と明日香への届け物を頼んで、デッキ作りを始める。ペンデュラムの内容から考えると、【EM】メインになるのは確定だ。どうやってキーカードを集めるか……せめて【ドクロバット・ジョーカー】入れたかった……頭を抱えているとドアがノックされた。ドアを開けると、そこにはカイザーの姿が。

 

「カイザー?」

 

カイザーは何も言わずに寮に入っていく。一瞬疑問に思ったが、何も言わずにドアを閉める。カイザーは部屋を軽く見回して、部屋の中央で反転し俺と向き合った。

 

「卒業試験で、俺は卒業模範デュエルの卒業生代表に選ばれた」

「?おめでとう」

 

なんだ急に?自慢か?いや、カイザーはそんな男ではない……筈だ。

 

「そこで、俺は龍斗、お前にリベンジする。俺は俺の持てる全力で。全てをお前にぶつける。お前も、お前の持てる全力でデュエルしてくれ」

 

それだけ言ってカイザーは部屋を出て行った。

…………あの野郎……

 

「最後の最後に面倒なことしてきやがったーーー!!」

 

ただでさえデッキ作りに頭を抱えているというのに、ここでカイザー相手のデッキ作りだと!?…………叫んでも仕方ない。まずはカイザー相手のデッキを構築済みのデッキから選定。無いなら急ピッチで作る。

 

「渡してきたぞ。それと龍斗、カイザーとの卒業模範デュエルの相手に選ばれたっていうのはーーー」

「これは……【ドラグニティ】?違う。【緑一色】……これは条件違うじゃねぇか!」

「…………本当みたいだな」

 

いつの間にか三沢が帰ってきていたらしいが、デッキ探しに集中してて気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

卒業模範デュエルに使うデッキも決定し、デュエルフィールドに行くと、どうやらカイザーたっての希望で十代と俺との2戦を行うらしく、俺は2戦目らしい。ならばと観客席に行くと明日香、ももえ、枕田、藤原、ゆま、三沢、万丈目、丸藤、吹雪先輩がポツンと座っていた。校長のいる席周辺と明日香達周辺以外は埋まっているというのに。謎だ。

 

「龍斗?貴方、模範デュエルは?」

「カイザーが十代ともデュエルしたいらしくてな。十代、俺の順ですることになってるらしい」

 

明日香が俺に気づき質問してきたので事情を説明する。状況を理解したのか、ゆまが俺の腕を取って隣に座らせたので、とりあえずそこに陣取る。俺達は中央2列を使っていて、一番前には最後列から見て右から万丈目、三沢、丸藤、明日香が座り、2列目は右隣にゆま、左隣に藤原に挟まれて俺が座り、吹雪先輩が藤原の左隣に座っている。

 

「お兄ちゃん、十代さんは勝てるかな?」

「さぁな。カイザーにもエクシーズは渡したし、かなりデッキは強化されてる。十代が昨日来なかったことを考えると、今手元にあるカードだけでカイザーに挑もうとしてる。どちらが【インフィニティ】を使いこなしているかが鍵かな」

 

あのカード返してもらってないしな。別にいいけど。量産品だし。

そう思っていると、カイザーと十代がデュエルフィールドに並んで出てきた。それと同時に上がる歓声。

歓声に一切反応せず、カイザーと十代は別れてデュエルフィールドに向かう。

 

「アニキの表情、なんかいつもと違うッス……」

 

丸藤の言う通り、十代の表情が真剣というより険しい。三沢は『昂ぶっている』と思っているらしい。吹雪先輩は『それが吉と出るか凶と出るか』と小さく呟いていた。

カイザーと十代はデュエルフィールドの両端から中央に行く。歓声が止むと、十代とカイザーが握手を交わし両端に戻りデュエルディスクを展開。クロノスの進行により卒業模範デュエルが始まった。

 

「「デュエル!」」

 

丸藤亮

LP4000

 

VS

 

遊城十代

LP4000

 

「先攻後攻は?」

「どちらでも」

「なら俺は、後攻を取らせてもらう!」

 

十代の問いにカイザーが答えると、十代は何故か後攻を選択。カイザーは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの表情に戻り了承した。よって先攻はカイザーとなったわけだが…………

 

「わからんな」

「どうしたの龍斗?」

「何故十代は後攻を取ったんだ?エクシーズメインにしろ融合メインにしろ、十代は先攻で動くのが普段のスタイルだ」

 

藤原の問いに素直に答える。若干質問に質問で返したような気がしないでもないが、実際そう思ったわけだから訂正もしないが。

 

「亮の使う【サイバー・ドラゴン】は相手のフィールドにのみモンスターがいるとき、生贄無しで召喚できる。十代君はそれを研究して後攻を選んだんだろう」

 

俺の疑問に答えたのは吹雪先輩だった。わからなくはないが、どこか釈然としないものがあった。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】3体を融合!」

 

いきなりカイザーが動いた。カイザーの初手【融合】に周囲が驚くが、俺は初手にあの手札が揃うことに驚いていた。

 

「現れろ!【サイバー・エンド】!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

攻撃表示

ATK4000/DEF2800

 

「いきなり【サイバー・エンド】……」

「流石はカイザー……」

 

明日香と三沢の声がする。だが俺は何の反応もすることなく、デュエルを見続けた。

 

「魔法カード【封印の黄金櫃】発動!デッキから魔法カード【異次元からの宝札】を除外!」

 

【黄金櫃】……【タイムカプセル】から変化したな。

 

「【異次元からの宝札】……ゲームから除外されたあのカードは、次のカイザーのターンに手札に戻り、互いに2枚ドローする」

「【融合】を使うデッキは、必然的に消費する手札が多くなる。それをあのカードで補うのか」

「流石はカイザー。といったところかしら」

 

三沢のカード説明、吹雪先輩の解説、藤原の感想と続く。隣ではゆまが『ふえ〜』と声をもらしていた。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻

ATK4000

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

カイザーは1ターン目で手札を全て消費した。

そして十代のターンになったわけだが、何故か十代は動かない。

 

「どうした十代。お前のターンだ」

 

いやに慎重な十代に丸藤は『らしくない』と言う。

 

「俺のターン、ドロー!【ブリキンギョ】を召喚!」

 

【ブリキンギョ】

守備表示

ATK800/DEF2000

 

出てきたのはどこかの銀行で貰えたような見た目のモンスター。エクシーズメインか……だが、なおさら何故後攻を?

 

「【ブリキンギョ】の効果発動!召喚に成功したとき、手札のレベル4のモンスター1体を特殊召喚できる!【E・HERO シャドー・ミスト】を特殊召喚!」

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

攻撃表示

ATK1000/DEF1500

 

「【シャドー・ミスト】の効果発動!特殊召喚に成功した場合、デッキから【チェンジ】速攻魔法、【マスク・チェンジ】を手札に加える!」

 

遊城十代

手札4枚→5枚

 

「俺はレベル4の【ブリキンギョ】と【シャドー・ミスト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」

 

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!ORUを2つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分、【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!」

「速攻魔法【融合解除】!【サイバー・エンド】の融合を解除し、3体の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】×3

守備表示

ATK2100/DEF1600

 

「対象がフィールドから離れたことで、【ダーク・リベリオン】の効果は不発となる」

 

やけに冷静な十代。恐らく、十代はカイザーのリバースカードが【融合解除】だと読んで【ダーク・リベリオン】を召喚したんだろう。三沢も同じ意見らしかった。丸藤は、やはり『らしくない』と呟いていた。

 

「バトル!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で【サイバー・ドラゴン】を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

【ダーク・リベリオン】の顎が【サイバー・ドラゴン】の1体を貫き、【サイバー・ドラゴン】が爆発した。

 

「今日の俺は、前とは違う!龍斗から貰ったエクシーズの力で、アンタ同様、パーフェクトを狙うぜ!」

 

…………確かに、十代らしくないかもな。テスターの仕事も悪影響してるのか?少しばかり勝ちにこだわりすぎているような気がする。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

伏せ2枚

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、ゲームから除外された【異次元からの宝札】が、その効果で手札に戻り、互いに2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札1枚→4枚

 

遊城十代

手札2枚→4枚

 

「そして、レベル5の【サイバー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

カイザーがエクシーズ召喚を扱えることを知らない多くの生徒が騒めく。フィールドを挟んだ向こう側に座る校長が最前列に猛スピードで移動したが、十代の行動ですぐに元の位置に戻った。

 

「罠発動【強制脱出装置】!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を手札に戻す!」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】はエクシーズモンスター。よって手札ではなくエクストラ……融合デッキに戻る」

「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】は、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を召喚するための素材にできる。簡単には召喚させないぜ!」

 

【サイバー・エンド】を退け、【インフィニティ】の召喚を一時的とはいえ止めた十代。

 

「凄い……カイザーのエースモンスター達を退けたわ」

「でもまだ手札は4枚あるわ。十代のボウヤは防ぎきれるかしら」

 

十代のプレイングに素直な感想を述べる明日香。藤原はカイザーの手札の枚数を気にしていたが、一瞬足りとも見逃すまいと前のめりに見ていた。

 

「…………手札から魔法カード【サイバー・リペア・プラント】を発動!俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】がいるときのみ発動可能。俺は2つある効果から1つを選択してその効果を発動する。1つは、デッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える効果。もう1つは、墓地の機械族・光属性モンスター1体をデッキに戻す効果だ」

「亮の操る【サイバー・ドラゴン】は機械族で光属性。事実上【サイバー・ドラゴン】をサーチするカードというわけか」

「でも亮の墓地には【サイバー・ドラゴン】は3枚。デッキに戻すしかないわね」

 

天上院兄妹がカイザーの一手を考察しているが、カイザーは明日香の予測を超える一言で周囲を再び騒つかせた。

 

「だが、俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】が3体以上いる場合、その両方を発動できる!」

「なに!?」

「り、両方!?」

 

十代とゆまも周囲同様騒ついた。

 

「つまり亮は、【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻し、同じカードをサーチするということか」

「吹雪先輩、【サイバー・リペア・プラント】の2つの効果を発動する場合、テキストの上から順に、サーチから先に処理しないといけないんですよ」

 

吹雪先輩の推測を否定しておく。そんなことしたら実質【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚するカードになるぞ。

 

「デッキから、【サイバー・ドラゴン・コア】を手札に加え、墓地の【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻す」

「新しい【サイバー・ドラゴン】か」

「俺が以前渡したカードの1枚ですよ。【リペア・プラント】もね」

 

興味深そうな吹雪先輩に小さく返す。

吹雪先輩は『ほう』と反応したが、すぐに無言になった。

 

「そして、手札に加えた【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・コア】

守備表示

ATK400/DEF1500

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動。召喚に成功したとき、デッキから【サイバー】、もしくは【サイバネティック】と名のついた魔法・罠を手札に加える。【サイバー・ネットワーク】を手札に加える。魔法カード【強欲な壺】。カードを2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札3枚→5枚

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ドラゴン・コア】:守

DEF1500

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

「俺のターン、ドロー!【エマージェンシーコール】!デッキから【フェザーマン】を手札に加える!」

「はぁ!?」

 

【フェザーマン】!?ランク4エクシーズメインだろ!?なんでレベル3の通常モンスターが入ってるんだよ!?

思わず立ち上がると、ゆまと藤原に座らされた。

 

「お、お兄ちゃん落ち着いて」

「ゆまの言う通りよ。落ち着いて」

「だけど…………いや、すまん」

 

立っても何にもならないと思い、数秒目を閉じて落ち着かせる。

 

「魔法カード【融合】!手札の【フェザーマン】と【バーストレディ】を融合!来い!【E・HERO フレイムウィングマン】!」

 

【E・HERO フレイムウィングマン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1200

 

…………落ち着け……落ち着くんだ……ハイブリッドデッキになっただけだ。まともに動けるかどうかは度外視して……

 

「永続罠【サイバー・ネットワーク】発動!俺のフィールドに【サイバー・ドラゴン】がいる場合、1ターンに1度、デッキから機械族・光属性モンスター1体をゲームから除外できる。【サイバー・ドラゴン・コア】はフィールドと墓地ではカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱うため、効果の発動が可能だ。【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外」

 

カイザーがデッキから取った【サイバー・ドラゴン・ドライ】のカードが、電子回路の線を模して枝分かれしている青い線に取り込まれた。その瞬間、【サイバー・ドラゴン・コア】の背後に【ドライ】の姿が半透明の状態で現れた。

 

「この瞬間、【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!このカードがゲームから除外された場合、俺のフィールドの【サイバー・ドラゴン】1体はこのターン、戦闘・効果では破壊されない!」

「上手い。【フレイムウィングマン】は、バトルで破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果がある。それを先に防いできた」

「【フレイムウィングマン】は風属性だから、攻撃した後に手札か伏せてある【マスク・チェンジ】で【カミカゼ】に変身して、カイザーさんのライフを0に出来たんだけどね〜」

 

三沢がゆまに判断力で負けた……?三沢がゆまに少しばかり恨めしそうな顔を向けたから間違いないだろう。まぁ、ゆまも【HERO】使うから仕方ない。

 

「くっ……これじゃあ、攻撃できない……カードを1枚伏せ、ターンエンド」

「速攻魔法【サイクロン】発動!今伏せたカードを破壊させてもらう」

 

若干御機嫌斜めな態度のカイザーの容赦無いプレイングで、十代の伏せた【ドレインシールド】を破壊した。

 

遊城十代

LP4000

モンスター

【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】:攻

ATK2500

【E・HERO フレイムウィングマン】:攻

ATK2100

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「俺のターン、ドロー。【サイバー・ネットワーク】は発動後3回目のスタンバイフェイズに破壊される。その瞬間、このカードの最後の効果で、除外されている俺の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、俺のフィールドの魔法・罠を全て破壊する」

 

説明の後、【サイバー・ネットワーク】の上に青白い『1』の数字が現れた。

 

「【サイバー・ネットワーク】の効果で、デッキから【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を除外する。【サイバー・ヴァリー】を召喚」

 

【サイバー・ヴァリー】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「【サイバー・ヴァリー】には3つの効果がある。俺は第3の効果を、墓地の【強欲な壺】を選択して発動!フィールドのこのカードと、手札1枚を除外」

 

カイザーが【異次元からの宝札】を見せると、粒子となって消滅した。

これで次のカイザーのターン、カイザーと十代の手札がまた増えることがほぼ決定した。

 

「【強欲な壺】をデッキの一番上に置く。さらに魔法カード【死者蘇生】を発動!【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「魔法カード【融合】!フィールドの【サイバー・ドラゴン】と【サイバー・ドラゴン・コア】を融合!【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合召喚!」

 

【サイバー・ツイン・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2800/DEF2100

 

「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【フレイムウィングマン】を墓地に送り、同じ属性の【M・HERO】を特殊召喚する!現れろ!【M・HERO カミカゼ】!」

 

【M・HERO カミカゼ】

守備表示

ATK2700/DEF1900

 

エクシーズと【M・HERO】、または【E・HERO】と【M・HERO】ならまだわかる。だがここまでごちゃ混ぜなデッキは……

 

「【カミカゼ】は戦闘では破壊されないし、相手はバトルフェイズ中1体のモンスターでしか攻撃できないから、十代さんはダメージを最小限にしたんだね」

「だが守備力は1900。【サイバー・エンド】が来るまでに状況を立て直せるか……」

 

ゆまにそう返す。おそらく十代のデッキは昔のようなほぼハイランダーのデッキ。エクストラも現行ルールでは枚数制限が無いことを考えて持っているカード全てを入れたのだろう。形成逆転のカードを引ける確率がかなり低い。

 

「……バトル。【サイバー・ツイン・ドラゴン】で【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】を攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」

 

【サイバー・ツイン】の光線で【ダーク・リベリオン】が破壊され、爆風が十代を襲う。

 

「くっ……!」

 

遊城十代

LP4000→3700

 

「ターンエンド」

 

丸藤亮

LP4000

モンスター

【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻

ATK2800

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

手札0枚

 

「厳しいわね。十代のボウヤの手札は1枚。ドローしても2枚。フィールドには【カミカゼ】1体だけで伏せカードも無い。何度もあの子とデュエルしたけれど、状況を打開するカードはほぼ無いわ」

 

藤原が現状を見てそう言う。あいつ偶に意味不明なカード突っ込むからな……【強制脱出装置】をしっかり積んであるかどうか……

 

「俺のターン、ドロー!【カミカゼ】を攻撃表示に変更して、魔法カード【ヒートハート】を発動!【カミカゼ】の攻撃力を500ポイントアップさせる!」

 

【カミカゼ】が全身に炎を模したオーラを纏った。

 

【M・HERO カミカゼ】

ATK2700→ATK3200

 

「バトル!【カミカゼ】で【サイバー・ツイン・ドラゴン】を攻撃!神風一閃!」

 

【カミカゼ】が超高速で突撃し、【サイバー・ツイン・ドラゴン】の胴部に風穴を開けた。

 

丸藤亮

LP4000→3600

 

「【カミカゼ】は相手モンスターをバトルで破壊した場合、1枚ドローできる!」

 

遊城十代

手札1枚→2枚

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

遊城十代

LP3700

モンスター

【M・HERO カミカゼ】:攻

ATK2700

魔・罠

伏せ2枚

手札0枚

 

「盛り返したな」

「…………」

 

そう言っただけなのに、藤原に横腹をつつかれた。

 

「……十代。俺は今、お前を対戦相手に指名したことを後悔している」

 

カイザーがそう言うと、十代が突っかかってきた。まぁ、俺でもあんなこと言われたらカチンと来るけど。

 

「エクシーズを使うにしろ、融合を使うにしろ、お前とデュエルできることを楽しみにしていた。だが、そんなデュエルをされるなら、龍斗だけを指名するべきだったと、心の底から思っている」

 

……勝ちにこだわりすぎているとは思う。だが、そこまで言う必要を感じない。俺ならオーバーキルで叩き伏せるだけで済ませるし。十代はそれに怒り、『今日の俺は戦術、戦略共にパーフェクト』と言い張る。たしかに毎ターン最善と思われる一手をしてるつもりなんだろうけど、俺ならそもそもそんなデッキを組まない。あらゆる状況に対応しようとして、やりたい事ができなくなるのは本末顛倒もいいとこだ。カイザーは、十代に対して『これだけ言ってもまだわからないか』と諦めにも似たことを言ってカードを引いた。

 

「このスタンバイフェイズ、ゲームから除外された【異次元からの宝札】が手札に戻り、互いに2枚ドローする」

 

丸藤亮

手札1枚→4枚

 

遊城十代

手札0枚→2枚

 

「さらに【サイバー・ネットワーク】のカウントが進む」

 

【サイバー・ネットワーク】の上の『1』が『2』に変化。次のターン、【サイバー・ネットワーク】が破壊され、【サイバー】モンスターが大量発生する。

 

「墓地の【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!相手のフィールドにのみモンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外することで、デッキから【サイバー・ドラゴン】と名のつくモンスターを特殊召喚する!」

「【サイバー・ドラゴン】を!?」

「カイザーはこの状況さえも見越して、【サイバー・ドラゴン・コア】を融合素材に使ったのか……!」

 

十代が驚くなか、三沢がカイザーのプレイングに驚嘆する。

 

「それが、亮がカイザーと呼ばれる所以だよ。明日香、今からでも遅くないぞ」

「何が!」

 

三沢にカイザーや十代の出す空気など知らんとばかりのテンションで言う吹雪先輩。後半に関しては明日香が若干怒っていた。

 

「現れろ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

攻撃表示

ATK1500/DEF1000

 

【ツヴァイ】か……【サイバー・ドラゴン】を直接召喚しないのは、手札に来てるからか?どんな引きしてるんだ……

 

「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動!手札の魔法カードを見せることで、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】はこのターン、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」

 

そう言ってカイザーは手札の【異次元からの宝札】を見せる。

これで【サイバー・ネットワーク】の効果が使えるようになったわけだ。

 

「【サイバー・ネットワーク】の効果でデッキから【サイバー・ドラゴン】を除外する」

「【サイバー・ドラゴン】を!?」

 

十代がカイザーの一手に驚愕しているが、次のターンの布石だろう。【サイバー・ネットワーク】が自壊してモンスターが出てくるからな。

 

「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」

 

丸藤亮

手札3枚→5枚

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

攻撃表示

ATK1800/DEF800

 

「【サイバー・ドラゴン・ドライ】は、フィールド・墓地にいるなら、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。さらに【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!召喚に成功したとき、フィールドの【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする!」

 

【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】

レベル4→5

 

【サイバー・ドラゴン・ドライ】

レベル4→5

 

「そして、レベル5となった【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

新たな力と翼を手に、再びこの地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「まだだ!俺と【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の限界は!俺は【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】でオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!

誇りを捨て、あらゆる力を取り込み、拒絶し、更なる高みへ登れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!これが、サイバー流の進化の果て!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

攻撃表示

ATK2100/DEF1600

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃力は、ORUの数だけ、200ポイントアップする。現在のORUは3つ。よって攻撃力が600ポイントアップ!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2100→ATK2700

 

「さらに、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの攻撃表示モンスター1体を、自身のORUにする!」

「っ!【カミカゼ】!」

 

【カミカゼ】が【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】から飛び出た青白いロープのような線に捕らえられ、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】に吸収され、ORUに変換された。

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK2700→ATK2900

 

「バトル!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でプレイヤーにダイレクトアタック!インフィニティ・ノヴァ!」

「罠発動【炸裂装甲】!相手モンスターの攻撃宣言時、そのモンスターを破壊する!」

「無駄だ!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】はORUを使うことで、相手のカードの発動を無効にできる!」

「ならこれでどうだ!罠発動【聖なるバリアーミラーフォースー】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】が効果を発動しようと目を光らせるが、その瞬間に【ミラフォ】のカードから虹色の光が飛び出し【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】を貫いた。

 

「まだ足掻くか。俺はこれでターンエンド」

 

丸藤亮

LP3600

モンスター

魔・罠

【サイバー・ネットワーク】

手札4枚




次回はこの続きなんですが、今回の半分程で終わります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。