ようやく次話が出来たので投稿です。
そして今更感ありますが、ARCーVの新OPにて『イヤッホォォォォ!』の人や、皆大好き『ハルトォォォ!』の人、さらには明日香が出てきました。明日香のデッキがどうなるのか個人的に興味があります。
長続きしないワクワクとともに本編へどうぞ。
「断る」
進級試験が控え、通常モンスターのステータスやテキストの暗記に重きを置いて勉強していると、十代と丸藤、前田がやってきた。
僅かな既視感を覚えつつも要件を聞くと、以前前田が書いた絵がカード化され、さらにデュエルアカデミアからの推薦があれば、正式にI2社のカードデザイナーとして迎え入れたいとペガサス会長から言われたらしい。しかし、前田は留年しているからという理由で推薦することはできないとクロノスが反対。明日デュエルして、その結果次第では推薦してもいいと言われたらしい。
そして、俺のデッキを借りたいとやってきたらしい。即答で断ったが。
「な、なんでだよ!?隼人の力になってやってくれよ!」
「俺も前田の力になってやりたいとは思う」
「だったら!」
「だが前田は、以前俺が組んだデッキを使ったあと暴走した前科がある」
十代にそう告げると、丸藤も前田もがっくりと肩を落とした。
「それに、前田自身の力で勝たなければ意味が無いだろう」
一言も発することなく俯いてしまう3人。前田にいたっては帰ろうと体を反転させようとしている。
「…………だが、前田が俺のカードでデッキを組むなら話は別だし、アドバイスくらいならしてやる」
「ほ、本当か!?」
前田のことなのに、自分のことのように喜ぶ十代。若干引きつつも3人を部屋に入れる。
今回はなるべく抑えつつ、勝てる。そして前田がメインでデッキを組むことになった。
☆
翌日。
前田の進路を決めるデュエルを見物するため(暴走しないかの監視も含め)デュエルフィールドに。
見物は俺の他にも十代、丸藤、三沢、万丈目、明日香、ゆまがいた。
「ゆまも来るとはな」
「お兄ちゃんのお友達は私のお友達だもん。応援しなきゃだよ」
屈託のない笑顔で言うゆま。そうか、とだけ返して前田を見る。気負いすぎているのか、表情が硬い。まぁ、自分の進路がかかったものとなれば当然か。
「「デュエル!」」
前田隼人
LP4000
VS
クロノス・デ・メディチ
LP4000
先攻は前田。俺はあのデッキを組む手伝いはしたが、正直あのデッキを回す自身は無い。
「俺のターン、ドロー!モンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド!」
前田隼人
LP4000
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「どんな罠も、私の【古代の機械】には無力ナノーネ!私のターン、ドロー!速攻魔法【磁力の召喚円 LV2】を発動!手札から、【
【古代の歯車】
攻撃表示
ATK100/DEF800
召喚された【古代の歯車】を見て、万丈目が『手加減無しか』ともらす。
「さらに、私のフィールドに【古代の歯車】がいるナーラ、手札の【古代の歯車】は、攻撃表示で特殊召喚できるノーネ!」
【古代の歯車】
攻撃表示
ATK100/DEF800
「そして、2体の【古代の歯車】を生贄に、【古代の機械巨人】を召喚するノーネ!」
【古代の機械巨人】
攻撃表示
ATK3000/DEF3000
あっという間に手札が2枚に。しかし出てきた【古代の機械巨人】の攻撃を前田がどう凌ぐか……
「罠発動!【ブレイクスルー・スキル】!相手モンスター1体の効果を、このターンの終了まで無効にするんだなあ!」
前田が【ブレイクスルー・スキル】を発動すると、突如現れた【エヴォルカイザー・ドルカ】に【古代の機械巨人】が殴られ、バチバチと音を立てて動きが鈍った。
「…………バトルナノーネ!【古代の機械巨人】で守備モンスターを攻撃!アルティメット・パウンド!」
ギギギ……と鈍い音を立てながら右腕を打ち出す【古代の機械巨人】。しかし効果が無効になっているからか、右腕のエフェクトは発生せず、守備モンスター……【デス・コアラ】を殴りつけるだけだった。
「【デス・コアラ】のリバース効果発動!相手の手札1枚につき、400ポイントのダメージを与えるんだなあ!」
「ぐっ……!?」
クロノス・デ・メディチ
LP4000→3200
「よし!隼人が先制ダメージを与えた!」
「あとは、あの【古代の機械巨人】をどう突破するかだな」
十代がガッツポーズをとり、三沢が残る課題を分析する。そしてゆまが顔をこちらに向けた。
「あのカード、お兄ちゃんの?」
「ん?ああ、【ブレイクスルー・スキル】のことか。ゆまの予想通り、あのデッキは俺のカードを入れてある」
途中変なカードがデッキに入ったが、まぁいいだろう。動けなくはないし。
ゆまはどこか安心したように前田のデュエルを見始めた。
「ターンエンドナノーネ!」
クロノス・デ・メディチ
LP3200
モンスター
【古代の機械巨人】:攻
ATK3000
魔・罠
無
手札2枚
「俺のターン、ドロー!【レスキューキャット】を召喚!」
【レスキューキャット】
攻撃表示
ATK300/DEF100
「れ、【レスキューキャット】!?」
「龍斗、あのカードは……!」
前田が召喚した【レスキューキャット】に丸藤は驚き、十代は『大丈夫なのか』と言いたげにこちらを見る。
事情を知らないゆま、万丈目、明日香は何も言わないにしても気になるようで、黙って視線を寄越す。
「【レスキューキャット】に原因があるわけじゃないと判断しただけだ。もしまた暴走するなら、また俺が止める」
「また……?」
ゆまが聞いてきたが、『あとで話す』とこの場での言及を避ける。
「また力を貸してほしいんだなあ!【レスキューキャット】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚するんだなあ!レベル3の【デス・コアラ】とレベル3チューナーモンスター、【Xーセイバー エアベルン】を特殊召喚!」
【デス・コアラ】
攻撃表示
ATK1100/DEF1800
【Xーセイバー エアベルン】
攻撃表示
ATK1600/DEF200
「チューナーデスート!?」
「チューナーだと!?」
クロノスと万丈目が同時に声を出す。
その後クロノスは一瞬こちらを見る。万丈目は【レスキューキャット】の効果の使い道を理解したのか、ブツブツと何かを呟いていた。
「レベル3の【デス・コアラ】にレベル3の【Xーセイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!【氷結界の龍 ブリューナク】!」
【氷結界の龍 ブリューナク】
攻撃表示
ATK2300/DEF1400
「【ブリューナク】の効果発動!手札を1枚捨てて、【古代の機械巨人】を手札に戻すんだなあ!」
【ブリューナク】が翼を使って風を起こすと、【古代の機械巨人】が吹き飛ばされた。
「バトル!【ブリューナク】でダイレクトアタック!」
【ブリューナク】から吹雪のようなブレス攻撃が放たれ、一瞬クロノスが凍結した。
クロノス・デ・メディチ
LP3200→900
「カードを1枚伏せて、ターンエンドなんだなあ!」
前田隼人
LP4000
モンスター
【氷結界の龍 ブリューナク】:攻
ATK2300
魔・罠
伏せ1枚
手札2枚
「……【ブリューナク】はやりすぎじゃない?」
「…………まぁもし暴走しても、今日は【アモルファージ】持ってきてるからなんとかなるだろ。たぶん」
明日香からの一言に曖昧に答えると、ゆまが心配そうに俺を見た。
「私のターン、ドロー!【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」
クロノス・デ・メディチ
手札3枚→5枚
「カードを2枚伏せ、魔法カード【大嵐】を発動!」
これって……十代に使ったやつか。めちゃくちゃな構成だなぁ……
【大嵐】によって前田のリバースカード、【ミラフォ】が破壊された。
「この瞬間、破壊された【黄金の邪神像】2枚の効果発動!私のフィールドに【邪神トークン】を特殊召喚するノーネ!」
【邪神トークン】×2
攻撃表示
ATK1000/DEF1000
「あ、あのコンボは俺とのデュエルで使った……!」
十代が思い出したように呟く。相手の【奈落の落とし穴】等の召喚反応型罠を除去しつつ、自分の場にリリース要員を揃える……上手いけど、事故が怖い。
「そして2体の【邪神トークン】を生贄に、【古代の機械巨人】を召喚するノーネ!」
【古代の機械巨人】
攻撃表示
ATK3000/DEF3000
「…………バトルナノーネ!【古代の機械巨人】で【氷結界の龍 ブリューナク】を攻撃!アルティメット・パウンド!」
顔面を殴られ破壊される【ブリューナク】。その余波が前田を襲う。
前田隼人
LP4000→3300
「カードを伏せ、ターンエンドナノーネ!」
クロノス・デ・メディチ
LP900
モンスター
【古代の機械巨人】:攻
ATK3000
魔・罠
伏せ1枚
手札0枚
「俺のターン、ドロー!魔法カード【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」
前田隼人
手札2枚→4枚
「……!【レスキューキャット】を召喚!」
【レスキューキャット】
攻撃表示
ATK300/DEF100
「【レスキューキャット】の効果発動!【魔轟神獣ケルベラル】と【デス・コアラ】を特殊召喚!」
【魔轟神獣ケルベラル】
攻撃表示
ATK1000/DEF400
【デス・コアラ】
攻撃表示
ATK1100/DEF1800
「レベル3の【デス・コアラ】にレベル2の【魔轟神獣ケルベラル】をチューニング!シンクロ召喚!頼む!【幻層の守護者アルマデス】!」
【幻層の守護者アルマデス】
攻撃表示
ATK2300/DEF1500
「あいつ、何考えてるんだ?あんなモンスターじゃ、クロノスを倒せないぞ」
万丈目の意見も尤もだ。【古代の機械巨人】は貫通効果があるから、ダメージ軽減という意味では正しいが……
「魔法カード【死者蘇生】!蘇れ、【ブリューナク】!」
【氷結界の龍 ブリューナク】
攻撃表示
ATK2300/DEF1400
【ブリューナク】……?なら何故【アルマデス】を?
「魔法カード【融合】!【ブリューナク】と【アルマデス】を融合するんだなあ!」
「ナンデスート!?」
「シンクロモンスター同士で融合!?」
クロノスと明日香の声が聞こえる。
…………ぁー、そういえばこんな感じの条件だったな。
「融合召喚!出てこい!【旧神ノーデン】!」
【旧神ノーデン】
攻撃表示
ATK2000/DEF2200
まさか【ノーデン】の正規融合を見れるとは……いや、でも【ブリューナク】の効果……
「お兄ちゃん、あのモンスターは?」
「【旧神ノーデン】。融合素材はシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターとシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターという意味不素材のモンスターだ」
正直【ノーデン】=【
「ふぇ〜……そんなモンスターがいるんだね〜……」
「レベル4だから【簡易融合】で召喚した方が楽だけどな」
「【旧神ノーデン】の効果発動!このモンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!【レスキューキャット】を特殊召喚!」
【レスキューキャット】
攻撃表示
ATK300/DEF100
「そして、レベル4の【旧神ノーデン】と【レスキューキャット】でオーバーレイ!」
クロノスが何か小さく呟いたが、聞きとることができなかった。
「エクシーズ召喚!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!」
【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2500/DEF2000
【ホープ一族】を使わないのは前田なりの慈悲だろうか……?
「【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の効果発動!ORUを2つ使って、相手モンスターの攻撃力を半分にして、その攻撃力を加えるんだなあ!」
【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の翼の前でORUが2つとも弾けると、翼が拡がり紫電が走る。
【古代の機械巨人】
ATK3000→ATK1500
【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】
ATK2500→ATK4000
「さらに魔法カード【エアーズロック・サンライズ】!」
前田がカードを発動すると、前田の背後から巨大な岩山と太陽が現れた。
「墓地から獣族モンスターを特殊召喚するんだなあ!出てこい!【ビッグ・コアラ】!」
岩山の頂上に影が現れる。目を凝らして見てみると、【ビッグ・コアラ】が根元から取った木を一心不乱に葉を食べていた。……マイペースすぎる。
【ビッグ・コアラ】
攻撃表示
ATK2700/DEF2000
「隼人君、【ビッグ・コアラ】なんていつの間に墓地に……」
「おそらく、【ブリューナク】の効果で手札から捨てたカードが【ビッグ・コアラ】なんだろう」
丸藤の疑問に三沢が答える。墓地に落とせるタイミングがそこしか無かったしな。
「【エアーズロック・サンライズ】の効果はまだあるんだなあ!相手フィールドのモンスターの攻撃力を、俺の墓地にいる獣族・鳥獣族・植物族モンスター1体につき200ポイント下げる!」
【古代の機械巨人】
ATK1500→ATK100
前田の墓地には【デス・コアラ】3枚、【レスキューキャット】2枚、【エアベルン】、【ケルベラル】の計7枚。攻撃力3000が見る影もない。
「バトル!【ビッグ・コアラ】で【古代の機械巨人】を攻撃!ユーカリ・ボム!」
前田が攻撃宣言したが、【ビッグ・コアラ】はしばらく葉を食べ続け、完食したところでその木を投げ飛ばす。投げられた木は轟音とともに【古代の機械巨人】を貫き爆発。爆風に巻き込まれる寸前のクロノスはどこか満足気だった。
「…………」
クロノス・デ・メディチ
LP900→-1700
「シニョール前田。実技試験は貴方の勝ちナノーネ。シンクロ召喚から融合召喚、そしてエクシーズ召喚とは恐れ入ったノーネ」
「あ、ありがとうございますっ!」
「デュエルアカデミア本校実技担当最高責任者として、自信を持ってシニョール前田をI2社に推薦するノーネ!」
翌日。
前田はI2社の専用機でI2社に飛んだ。
餞別として、今回組んだデッキは崩さずに前田に持って行かせた。あのデッキが、あいつの励みになることを祈る。
はい、皆さんも【ノーデン】は正規召喚しましょう。(既に【ノーデン】は牢獄にいますが)
次回は【サイバー】VS【M・HERO】による【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】対決です。
前後編になるかと。