万丈目が七星門の鍵を盗み、『明日香をかけたデュエル』を俺に挑んできた。勘違いを拗らせた万丈目にキレて【影霊衣】で万丈目を倒したら、七星門の鍵が光りだした。
七星門の鍵が何かに引っ張られるように同じ方向に浮き上がる。
そして鍵に引っ張られて森の中に行く万丈目。
「万丈目!」
「『さん』だー!」
予想外の事態にも万丈目はいつものセリフを十代に返す。
しかし帰ってくることができそうもなかったので、俺達も万丈目を追う。
全速力で万丈目を追うが、万丈目と俺達の距離が縮まらない。それどころか徐々に万丈目が遠ざかっていく。
万丈目は上半身の力だけで抵抗し、下半身は前進を続けている。体が妙なバランスに耐えられなくなったのか、万丈目は体勢を崩して顔から地面に倒れた。
しかしそれでも鍵が止まることはなく、万丈目の顔を引きずる。
やがてブチッという音とともに鍵に付けられていた紐が切れた。
鍵を追うと、万丈目が復活した。(顔は泥だらけの傷だらけだが)
鍵は森の中から立ち籠める砂煙の中に入っていく。砂煙が晴れていくと、鍵が斜めに立てられている柱に溶けていくのが見えた。柱は森の中にぽっかりと空いたクレーターを囲むように立っていた。
「もしかして……」
「七星門が……」
七星門の鍵が7本の柱に1つずつ溶けていく様子を見て、最悪のパターンを想定してしまった吹雪先輩と明日香が呟く。
「開くのかー!?」
そして妙に高い声で元凶の万丈目が叫ぶ。その万丈目に呆れともとれる視線を向ける俺と吹雪先輩以外のメンバー。吹雪先輩は『やっちまった』と手で顔を隠して表現。俺は呆れどころか軽蔑の視線を向ける。
そして鮫島校長とクロノスがやってきて事情を聞かれる。
それに対し全員が、
「「「サンダーの所為で!」」」
と名指しで全責任を万丈目に負わせる。実際万丈目の所為だしな。
しかし万丈目は『俺の愛の所為で七星門が』とかぬかしたので、その顔面に膝蹴りをお見舞いしてやった。
「お、お兄ちゃん……容赦ないね……」
「許されるならもう数発ぶち込むさ」
それくらいに腹が立っている。俺は悪くない。学生陣が苦笑していると、クレーターの中心から黒い機械が現れた。機械から露出した装置の中から3枚のカードが現れる。
「あれが……」
「【三幻魔】のカード……」
十代に答えるように呟く。
回収すべく十代と俺が前に出ると、機械的なノイズを伴った声が聞こえた。
「そのカードを貴様らにやるわけにはいかんな」
一瞬立ち止まり、声の主を探す。するとプロペラの回転音を撒き散らして大型の黒い飛行機がやってきた。後部ハッチが開き、何かを落とす。向こうが来るまでに回収できればと思っていたが、それは危険だと判断して落ちてくる何かを見る。パラシュートが開きゆっくりと降下した何かは、【三幻魔】のカードのそばで大きな音とともに着地。脚と思われるパーツを展開し、人1人が入りそうな大きさのカプセルを取り付けた多脚型ロボットに変形した。
「なんだ……あのロボットは……?」
鮫島校長がそう呟くと、ロボットから先程と同じ声がした。『この声が誰の声か忘れたか?』と鮫島校長に問いかけると、鮫島校長が『影丸理事長』と呼んだ。
「時は満ちた。今ここに、【三幻魔】復活の儀式を行う」
十代と、膝蹴りのダメージから復活した万丈目がどういうことかと問い質す。さらに万丈目が何故七星門が開いたのかも。
影丸の話によると、最初からそういう仕掛けがされていたらしい。カードを封印したのも、七星門の鍵を鮫島校長に託したのも影丸本人らしい。
仕掛けというのは、七星門の鍵をかけてセブンスターズと俺達を戦わせることで俺達の闘志を集めることと、ミステリー物の自白を聞いているようにスラスラと話してくれた。
【三幻魔】を手に入れる目的は永遠の命と世界の覇権を欲してのこと。しかし【三幻魔】を蘇らせるにはデュエリストの闘志に満ちた空間が必要で、そのためのデュエルアカデミアらしい。
自分達が利用されていたことに憤慨した明日香達がデュエルの相手を名乗り出た。
三沢も名乗り出ようとしたが、カイザーに阻まれ、最終的には影丸に名乗ることさえ止められた。
「私の相手は遊城十代。お前だ」
影丸は十代を相手に指名。精霊の力を最も強く持つ十代でなければ意味が無いらしい。
「つまり、十代にデュエルを拒否させて、このロボットを解体すれば万事解決、と……」
「お兄ちゃん!?」
「ちょっと待ってろ。今ドライバーとか半田ごてとかの工具類と、面倒になったときのドリル持ってくるから」
ゆまを無視して踵を返したとき、柱と柱の間に電流が流れた。
「ここから逃がすと思っているのか?私とのデュエルに決着が着くまでここから出ることは出来んぞ」
「……チッ」
「不機嫌な龍斗って、デュエリストというより、リアリストよね……」
小さく舌打ちすると、藤原が呟いた。
「……まぁいいや。アンタを倒すまで出られないなら、倒すだけだ」
ホルダーに着けたままだった【影霊衣】を取り出し、ゆまと遊ぶ用に持ってきたデッキを取り出してデュエルディスクを見せつける。
「私の相手は遊城十代だ。貴様のような小僧に用は無い」
「へぇ。【三幻魔】ってのは、2対1のデュエルにすら勝てない程度のカードなのか。『世界の覇権』とか言うわりに、しょぼいんだな」
「…………良いだろう。遊城十代もろとも貴様を葬ってやる」
わかりやすい挑発に影丸は俺の参加を許可した。
ルールはこうだ。
1.影丸VS俺と十代の変則タッグマッチ。
2.ライフは影丸が8000。俺と十代が8000を共有。また、俺と十代はフィールドと墓地も共有して1人分のフィールドとする。
3.ターンは十代→影丸→俺→影丸→十代の順で行われ、最初の影丸のターンから攻撃可能。
4.互いのプレイヤーの手札またはデッキに効果が及ぶ場合、俺と十代は最後にターンが回ったプレイヤーのみに適用する。
以上が今回のルールだ。
万丈目も参加しようとしたが、『足手まといだ』と一蹴。
十代は前田からリュックを受け取りデュエルディスクを取り出すと、リュックから何か本が落ちた。本にカードが挟まっていたらしく、それを見るとデッキに入れ、俺とともにデュエルディスクを構える。影丸が入っているカプセルを拘束しているパーツが開き、アームが左右に現れた。左腕にあたるアームにはデュエルディスクが取り付けられていて、右腕のアームが【三幻魔】のカードを回収し、デュエルディスクのデッキに加えた。
「お兄ちゃん!負けないでー!」
「漢を見せなさい、龍斗!」
ゆまと藤原が声援を送ってくれる。丸藤と前田も十代に声援を送り、十代は『任せろ』と返す。俺は何も言わず、左手を上げるだけだ。
「さぁ始めるぞ。闇のデュエルを……!」
「「「デュエル!」」」
遊城十代・宮田龍斗
LP8000
VS
影丸
LP8000
「俺のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を守備表示で召喚!」
【E・HERO バブルマン】
守備表示
ATK800/DEF1200
「【バブルマン】の効果発動!俺のフィールドに他のカードがないなら、カードを2枚ドローできる!」
遊城十代
手札5枚→7枚
いきなり【強欲なバブルマン】か……事故か?
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
遊城十代・宮田龍斗
LP8000
モンスター
【E・HERO バブルマン】:守
DEF1200
魔・罠
伏せ1枚
手札6枚(遊城)
手札5枚(宮田)
「私のターン、ドロー!私は、罠カードを3枚伏せる」
「あ?」
『罠カードを伏せる』……?舐めてるのか?
万丈目も似たようなことを思ったらしく、『デュエルしたことがあるのか』と呟いた。丸藤と前田は理解してなかったが、三沢が解説してくれた。
お前ら、ゆまでさえわかってたんだぞ。もう少ししっかりしてくれ。
「フフフ……だがこれこそが、【幻魔】を召喚するための条件なのだよ」
「召喚の条件……?」
十代が聞き返す。俺も聞き返すことはしないものの、疑問に思う。罠カードと宣言することが条件?【幻魔】で罠カードとなると【ウリア】だ。しかし召喚条件は『表側表示の罠カードを3枚墓地に送る』だったはず…………まさか、アニメ効果か?となると……ダメだ。【名推理】や【モンスターゲート】で永続罠落とす光景しか思い出せない。
「見せてやろう。【幻魔】の力を。罠は3枚の罠カードを生贄に」
3枚のカードが表になって、光の粒子になり消滅する。【融合失敗】、【罰ゲーム!】、【黄金の邪神像】…………?適当に入れた感じだな。
「出でよ第一の【幻魔】。【神炎皇ウリア】!」
【神炎皇ウリア】
攻撃表示
ATK0/DEF0
森の奥から火柱が上がり、その中から【ウリア】が姿を現わす。
【ウリア】が咆哮すると、【ウリア】を中心に風が吹き荒れた。
「これが、【三幻魔】が1体【神炎皇ウリア】。【ウリア】の効果発動!トラップディストラクション!」
【ウリア】が先程の咆哮とは違い、特殊な音波で十代のリバースカード【ミラーフォース】を破壊した。
「【三幻魔】に罠は通用しない。通用するのは発動ターンの魔法のみ。そして、【ウリア】の攻撃力は墓地の罠カードに枚数によって決定する。私の墓地の罠カードは3枚。よって【ウリア】の攻撃力は……」
【神炎皇ウリア】
ATK0/DEF0→ATK3000/DEF3000
「攻撃力3000のモンスターをいきなり!?」
ゆまが【ウリア】の攻撃力に驚いているが、【ウリア】特化のデッキだと簡単に5桁いくぞ。
「バトル!【神炎皇ウリア】で攻撃!ハイパーブレイズ!」
【ウリア】が炎を吐き、【バブルマン】を蒸発させた。
「私はこれでターンエンド!」
影丸
LP8000
モンスター
【神炎皇ウリア】:攻
ATK3000
魔・罠
無
手札2枚
「最初から攻撃力3000……2人がかりとはいえ、厳しいか……」
カイザーが好き勝手言ってくれるが、冗談じゃない。この手札なら、まだやれるさ。
「次は俺が相手だ。ドロー!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このモンスターは特殊召喚できる!【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」
【サイバー・ドラゴン】
守備表示
ATK2100/DEF1600
「【サイバー・ドラゴン】……しかしそれでは……」
鮫島校長が一瞬前のめりになったが、攻撃力の差に一歩下がってしまう。
「手札の【ゾンビキャリア】を捨て、チューナーモンスター【クイック・シンクロン】を特殊召喚!」
【クイック・シンクロン】
攻撃表示
ATK700/DEF1400
「チューナー……合計レベルは10だけど、【クイック・シンクロン】で召喚できるシンクロモンスターにレベル10なんて……」
明日香が言うように、【クイック・シンクロン】で召喚できるレベル10のシンクロモンスターはない。だが、こいつなら召喚できる。
「このモンスターは、俺のフィールドに存在するレベル5以上のチューナーと、同じレベルのチューナー以外のモンスターを墓地に送ることで特殊召喚できる!」
【クイック・シンクロン】と【サイバー・ドラゴン】が飛び立つと同時に、俺の視界の色が反転する。
「なに!?急に目が……!」
どうやら俺だけではなく、他の人の色も反転したらしい。
そして俺の視界では、【クイック・シンクロン】と【サイバー・ドラゴン】でシンクロ召喚の演出が行われていた。
「混沌の次元より沸き出でし力の根源!原点にして全ての頂点!この現世で、無限の渇望を暫し潤すがいい!」
いつもの白から反転した黒い柱が立つと、その柱以外の色が元に戻る。
「総てを従えろ!【アルティマヤ・ツィオルキン】!!」
【アルティマヤ・ツィオルキン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
黒い柱から全身が真紅に染まった竜が、高い鳴き声とともに現れた。
「攻撃力0?フンッ、頂点だと総てだとの言ったわりに随分な攻撃力だな」
「アンタも所詮は攻撃力でしか判断しない老いぼれか。
俺はカードを1枚セットする。この瞬間、【アルティマヤ・ツィオルキン】の効果発動!俺のフィールドに魔法・罠がセットされたとき、【パワー・ツール】シンクロモンスターか、レベル7・8のドラゴン族シンクロモンスター1体を、エクストラデッキから特殊召喚できる!」
「シンクロモンスターを特殊召喚!?」
ももえが何故か驚いている。お前シンクロ召喚のテスターなんだから、このカードは把握しておいてくれ。
「魔神束ねし蝿の王よ!虫酸の走る世界に陰りを!貴様はもう逃げられない!レベル8!【魔王龍ベエルゼ】!」
【魔王龍ベエルゼ】
攻撃表示
ATK3000/DEF3000
メタリック・レッドの体を持ち、2つの龍頭と胴体に蝿の頭を持ち、胴体の上に黒い人の上半身がある龍が現れた。
「ほう、【ウリア】同じ攻撃力のモンスターを召喚したか」
「バトル!【ベエルゼ】で【ウリア】を攻撃!
【ベエルゼ】が2つの龍頭で【ウリア】を一方的に食べ尽くした。
「何故だ!?何故【ウリア】だけが破壊された!?」
「【ベエルゼ】はバトルでも効果でも破壊されない」
僅かに目を大きくした影丸に淡々と答える。
「アンタの縋った【幻魔】なんてその程度なんだよ。そして【幻魔】に頼りきったそのデッキでは、【ベエルゼ】も、【アルティマヤ・ツィオルキン】も倒せない。何故なら、【アルティマヤ・ツィオルキン】は、俺のフィールドに他のシンクロモンスターがいる限り、攻撃対象にも効果対象にもならないからだ」
「…………!」
「俺はこれでターンエンド」
遊城十代
LP8000
モンスター
【アルティマヤ・ツィオルキン】:攻
ATK0
【魔王龍ベエルゼ】:攻
ATK3000
魔・罠
伏せ1枚
手札6枚(遊城)
手札2枚(宮田)
「私のターン、ドロー!【神炎皇ウリア】の効果発動!」
【ウリア】の効果?アニメ効果ってまだあったのか。再び火柱が上がり、【ウリア】が姿を現わす。
「手札の罠カードを墓地に送り、墓地の【ウリア】を蘇生させる」
【神炎皇ウリア】
攻撃表示
ATK4000/DEF4000
面倒な。これじゃあ【ベエルゼ】はただのサンドバッグだ。
「【神炎皇ウリア】の効果発動!トラップディストラクション!」
再びの音波で【くず鉄のかかし】が破壊された。
「バトル!【神炎皇ウリア】で【魔王龍ベエルゼ】を攻撃!ハイパーブレイズ!」
真紅の炎が【ベエルゼ】を襲い、余波が俺にやってくる。
「ぐっ……!」
遊城十代・宮田龍斗
LP8000→7000
「だが、【ベエルゼ】のさらなる効果!戦闘または相手のカードの効果でダメージを受けたとき、その数値分攻撃力がアップする!」
俺の体から出てきた血の色の光が、【ベエルゼ】の体に吸い込まれる。
【魔王龍ベエルゼ】
ATK3000→ATK4000
「ターンエンドだ」
影丸
LP8000
モンスター
【神炎皇ウリア】:攻
ATK4000
魔・罠
無
手札2枚
「俺のターン、ドロー!」
十代はドローしたカードを確認した後、【アルティマヤ・ツィオルキン】を見たあと、俺を見る。モンスターを召喚するべきか考えているのだろう。
「…………俺は【E・HERO エアーマン】を召喚!」
【E・HERO エアーマン】
攻撃表示
ATK1800/DEF300
召喚して攻撃する方を選んだか。それでいい。ライフが0にならなければ、【ベエルゼ】が奴を倒す。
「【エアーマン】の効果発動!召喚・特殊召喚したとき、デッキから【HERO】を手札に加えることができる!【E・HERO バブルマン】を手札に加える!」
遊城十代
手札6枚→7枚
「バトル!【ベエルゼ】で【ウリア】を攻撃!」
再び食べられる【ウリア】。だがさっきとは状況が違うぞ。
「【エアーマン】でダイレクトアタック!」
【エアーマン】がファンを投げつけ、ロボットを攻撃する。
「おぉ……!」
影丸
LP8000→6200
「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【エアーマン】を墓地に送り、同じ属性の【M・HERO】を特殊召喚する!現れろ!【M・HERO カミカゼ】!」
【M・HERO カミカゼ】
攻撃表示
ATK2700/DEF1900
「この召喚はバトルフェイズ中のものだから、【カミカゼ】は攻撃することができる!ダイレクトアタック!」
【カミカゼ】が影丸に特攻しようと前に踏み込んだ瞬間、【カミカゼ】が消えた。と思うと既に影丸の背後に【カミカゼ】が。
「ぐぅ……!?」
影丸
LP6200→3500
急に影丸が入っているロボットが揺れると影丸のライフが減った。どうやら高速移動による衝撃で攻撃したらしい。
「ターンエンド!」
遊城十代・宮田龍斗
LP7000
モンスター
【アルティマヤ・ツィオルキン】:攻
ATK0
【魔王龍ベエルゼ】:攻
ATK4000
【M・HERO カミカゼ】:攻
ATK2700
魔・罠
無
手札6枚(遊城)
手札2枚(宮田)
「小癪な……!私のターン、ドロー!【神炎皇ウリア】の効果発動!手札の罠カードを墓地に送り、蘇れ【ウリア】よ!」
【神炎皇ウリア】
攻撃表示
ATK5000/DEF5000
再三現れる【ウリア】。だが【ベエルゼ】がいる限り、俺達の有利は変わらない。
「魔法カード【強欲な壺】!カードを2枚ドロー!」
影丸
手札1枚→3枚
「フィールド魔法【失楽園】!」
周囲の森が消え、雑草すら生えない広野になる。
「【失楽園】の効果。【三幻魔】が1体でも私のフィールドにいれば、カードを2枚ドローできる」
影丸
手札2枚→4枚
「バトル!【ウリア】で【カミカゼ】を攻撃!ハイパーブレイズ!」
【カミカゼ】に炎が向かうが、右拳を前に突き出すと炎が止まった。
「【カミカゼ】はバトルじゃ破壊されないぜ!」
「だがダメージは受けてもらう!」
遊城十代・宮田龍斗
LP7000→4700
「そして、俺達がダメージを受けたとき、【ベエルゼ】の攻撃力がアップする!」
今度は十代から出た光が【ベエルゼ】に吸い込まれる。
【魔王龍ベエルゼ】
ATK4000→6300
「ならば魔法カード【ライトニング・ボルテックス】!これで貴様らのモンスターを破壊する!」
稲妻が降り落ち、【ベエルゼ】以外を薙ぎはらう。
「【ベエルゼ】は効果でも破壊されない」
「カードを1枚伏せターンエンド」
影丸
LP3500
モンスター
【神炎皇ウリア】:攻
ATK5000
魔・罠
伏せ1枚
フィールド
【失楽園】
手札1枚
「俺のターン、ドロー!」
「罠発動【強制脱出装置】!その目障りなモンスターには退場してもらおう」
【ベエルゼ】が遥か彼方、空まで飛ばされて……星になった。
これで俺の場のカードは全滅したわけだ。
「……俺は魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地の【アルティマヤ・ツィオルキン】
【M・HERO カミカゼ】
【E・HERO バブルマン】
【クイック・シンクロン】
【サイバー・ドラゴン】をデッキに戻して2枚ドロー!」
宮田龍斗
手札2枚→4枚
…………そういえば、影丸は『【三幻魔】に通用するのは発動ターンの魔法のみ』とは言っていたが、モンスター効果も通用しないのか?しかし『罠は通用しない』とは言っていたが、モンスター効果に関しては説明されてないんだよな。
「……試してみるか。相手フィールドにのみモンスターがいるとき、このモンスターは特殊召喚できる。現れろ【バイス・ドラゴン】!」
【バイス・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2000/DEF2400
「この効果で特殊召喚した【バイス・ドラゴン】の攻撃力と守備力は半分となる」
【バイス・ドラゴン】
ATK2000/DEF2400→ATK1000/DEF1200
「魔法カード【死者蘇生】発動!墓地の【ゾンビキャリア】を特殊召喚!」
【ゾンビキャリア】
攻撃表示
ATK400/DEF200
「合計レベルは7です。龍斗さんのデッキはドラゴン族シンクロモンスターてんこ盛りデッキみたいですから……」
「レベル7のドラゴン族……」
「今アタシ、いやなカードを思い出したわ……」
ももえ、明日香、枕田の順。実際、召喚したいモンスターは、いやなカードだしな。
「レベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル2の【ゾンビキャリア】をチューニング!清廉なる花園に芽吹く孤高の薔薇よ、蒼き月の雫を得てここに花開け!シンクロ召喚!咲き誇れ!レベル7!【月華竜ブラック・ローズ】!」
【月華竜ブラック・ローズ】
守備表示
ATK2400/DEF1800
発動しても効果が通用するかわからないから、今回は守備表示だ。後ろではももえ達が『外道』とか言ってくるが、これが重要なデュエルだってわかってるか?
「【ブラック・ローズ】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、または相手フィールドにレベル5以上のモンスターが特殊召喚されたとき、相手の特殊召喚されたモンスター1体を手札に戻す!」
「無駄だ。【三幻魔】にそんな効果はーーー」
『通用しない』と言おうとしたのだろうか。影丸の発言を嘲笑うように【ブラック・ローズ】は棘のついた蔦を伸ばして【ウリア】を縛り、持ち上げては地面に叩きつけ、持ち上げては地面に叩きつけを繰り返し、最終的には【ウリア】が逃げるようにフィールドから姿を消した。
「…………え?」
影丸のセリフ。余程予想外だったらしい。
「通用したな。攻撃表示で召喚すれば良かった。ターンエンド」
遊城十代・宮田龍斗
LP4700
モンスター
【月華竜ブラック・ローズ】:守
DEF1800
魔・罠
無
手札6枚(遊城)
手札2枚(宮田)
「わ、私のターン、ドロー!…………ターンエンド」
影丸
LP3500
モンスター
無
魔・罠
無
フィールド
【失楽園】
手札3枚
あいつドローして終わりやがった。
このターンで決着か。
「俺のターン、ドロー!【E・HERO シャドー・ミスト】を召喚!」
【E・HERO シャドー・ミスト】
攻撃表示
ATK1000/DEF1500
「速攻魔法【マスク・チェンジ】!【シャドー・ミスト】を墓地に送り、【M・HERO ダーク・ロウ】を特殊召喚!」
【M・HERO ダーク・ロウ】
攻撃表示
ATK2400/DEF1800
流石十代容赦無い。
しかし大徳寺先生からもらったであろうカード、まったく使わなかったな。……まぁいいや。勝てばいい。
「【ブラック・ローズ】を攻撃表示に変更してバトル!2体でダイレクトアタック!」
「バカな……!この私が、【三幻魔】が敗れるなど……!」
「アンタに、そのカード達を操れる力が無かっただけのことだ」
影丸の呟きにそう返すと、影丸は一瞬目を見開き、何かを言おうとしたが、その前に【ブラック・ローズ】と【ダーク・ロウ】が影丸に攻撃し、影丸の断末魔が響いた。
影丸
LP3500→-1300
ソリッドヴィジョンの衝撃なのか、はたまた元からボロかったのか、原因は不明だがデュエルに決着が着くと影丸が漬けられていたカプセルが壊れ、中の液とともに影丸が吐き出された。
影丸は骨と皮だけと言っていいほどの細身で、自身の力で立つこともままならない。俺達のような若い連中を見ていて、もう一度青春を謳歌したかったというのが本当の動機らしい。
十代が影丸をあーだこーだと励ますと、何をトチ狂ったのか自力で立ち上がった。俺と十代とのデュエルを通じて生気を取り戻したのかもとか言っていた。何かおかしい気もするが、本人がそれでいいならそれでいいだろう。
その後、影丸は十代と抱擁を交わし、十代によって腰を砕かれた。恐るべし十代の決闘筋肉……。
影丸は鮫島校長が手配したヘリに緊急搬送されることになり、十代と丸藤は大きく手を振って見送った。
鮫島校長が影丸から回収した【三幻魔】を黒い機械に再度封印すると、周囲の柱が地響きとともに地面の中に戻っていった。
「今度こそこれで、【三幻魔】の脅威は去ったんだな」
「ええ」
カイザーに頷く明日香。【三幻魔】とか言ってたが、召喚されたのは【ウリア】だけだ。
「あとは、来週に控えた進級試験だけナノーネ」
「進級試験!?」
クロノスの一言に一番反応したのは十代だった。どうやら完全に忘れていたらしい。俺も通常モンスターのステータスとか確認しておかないとな。
ハモン「あれ?出番は?」
ラビエル「解せぬ」
影丸氏は【ハモン】を引いたんですが、手札が……【ラビエル】?知らない子ですね。
次回はカップ麺の話です。