衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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2週間ぶりの投稿は……すごいことになったデッキです。
構築が無茶苦茶です。
でも祭だから良いんです。


師弟 VS.【ブラック・マジシャン・ガール】

「俺がいこう」

 

食堂から出た俺の姿に騒めく観客席。

 

[おおっと!次のデュエルモンスターは勇者です!勇者がいます!]

 

丸藤はそういうが、そんなにハードル高いか?……まぁ、使ってた人のことを考えるとそうなのかもな。

 

[宮田龍斗め……この俺より目立つ格好を……!]

 

いや、万丈目のコスプレより目立つことはないと思うぞ。お前のコスプレ、中に電子回路積むくらい金かけてるじゃないか。俺のは用意されていた物だし。それに【青眼】程代表的じゃないにしても、お前の【XYZードラゴン・キャノン】も海馬さんが使ってたモンスターだからな?そこも踏まえた上で言ってるのか?

 

[次なるデュエルモンスターは、宮田龍斗選手が扮する【ブラック・マジシャン】だー!]

『『『うおぉぉぉおお!!』』』

 

ゆまに渡されたこの【ブラック・マジシャン】の衣装での登場。とりあえず掴みは良しとしよう。別にエンタメするわけじゃないけど。

 

[では、この【ブラック・マジシャン】に挑戦するデュエルモンスターは誰だ!]

 

万丈目のこのセリフの直後、大声を出していた観客席を含め、あたりが静まり返った。ほんの数秒さえ長く感じてしまいそうな静寂を破ったのは女子の声だった。

 

「あの、私もデュエルしたいです!」

 

声のした方を向くと、『おぉっ』という声が客席から聞こえた。

そこには【ブラック・マジシャン・ガール】にそっく…………そういえば、そんな話あったな。何も考えずにいたから忘れてた。とにかく、俺の相手には【ブラック・マジシャン・ガール】が立候補した。

観客からは絶賛の一言に尽きる言葉が出てきて、丸藤は『トメさんじゃない』と変な感動をしていた。

 

「いいですか?」

「当たり前だ!この、コスプレデュエル実行委員長、万丈目準が許可する!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が笑顔でそう聞くと、万丈目も口角を上げて答えた。万丈目ってそんなポジションだったのか。

そんなことを思いつつ対戦カードが決定。デュエルフィールドに移動する。

 

[それでは第二試合!【ブラック・マジシャン】VS【ブラック・マジシャン・ガール】!]

 

【ブラック・マジシャン・ガール】は笑顔で客席に手を振る。それだけで男子の一部が、

 

『あの子は俺に手を振ったんだ!』

『いいや、俺だ!』

 

などと低レベルな争いを繰り広げていた。

 

[師弟対決っぽくなりましたねー!【XYZードラゴン・キャノン】さん!]

[だが、【ブラック・マジシャン】の中は宮田龍斗。【ブラック・マジシャン・ガール】の正体が誰かは知らんが、命知らずがいたものだ]

 

別に命取ったりしねぇよ。それに今回のデッキは割とネタで作ったデッキだから、勝つチャンスくらいなら全然あるぞ。

 

「よろしくお願いします!お師匠様!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が俺に向かって言ってきた。そういう設定か?

 

「……いつでも来い」

 

別に俺がそれにのる必要はないが、無視すると敵を作るので、最低限の返事でやりすごす。直後、丸藤からデュエル開始の宣言がなされた。

 

[デュエル開始ィィィ!]

「「デュエル!」」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

 

VS

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000

 

[先攻はボクの独断で【ブラマジガール】!]

 

おい、それでいいのか実況。

 

「私の先攻、ドロー!モンスターを裏守備表示で召喚!」

 

その場で駆け足するように足踏みしながらモンスターをセット。ただそれだけだというのに観客は『良いぞ』だの『カッコいい』だのとべた褒めだ。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ2枚

手札3枚

 

丸藤は【ブラック・マジシャン・ガール】のプレイングを絶賛。ただ3枚セットしただけなのにこの扱い……まぁ、祭だからいいか。

 

「俺のターン、ドロー!スケール3の【竜魔王ベクターP(ペンデュラム)】とスケール8の【竜穴の魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

[【ブラック・マジシャン】こと宮田龍斗選手、空気を読まずにペンデュラム召喚だぁ!]

 

丸藤の実況と同時に、首から下が闇をイメージさせる何かに包まれた【竜魔王ベクターP】と、短い金髪と濃紺のローブが特徴の【竜穴の魔術師】が、俺の背後から出てきた青く光る柱の中に現れる。

 

[手札に揃った途端ペンデュラム召喚か。容赦しないな]

 

容赦してるぞ。じゃなきゃこんなデッキは作らない。

 

『汚ねぇぞ!』

『女の子相手だぞ!手加減しろ!』

「これでレベル4から7のモンスターが同時に召喚可能!」

「えぇっ!?」

 

観客の罵声を無視してデュエル進行。【ブラック・マジシャン・ガール】は目を丸くして背後のモンスター達を見ていた。

 

「揺れ動く闇よ!秘術による呼びかけに応じ、かの者を此処に召喚せよ!ペンデュラム召喚!現れろ!レベル4!【終末の騎士】!」

 

【終末の騎士】

攻撃表示

ATK1400/DEF1200

 

「そしてレベル7!【ブラック・マジシャン】!」

[ぶ、【ブラック・マジシャン】!?]

[伝説のデュエリスト、武藤遊戯のエースモンスターを召喚だとぉ!?]

 

丸藤と万丈目の驚愕など知らんとばかりに【ブラック・マジシャン】があの独特のポーズで姿を現わす。

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[ななななんとぉ!【ブラック・マジシャン】が【ブラック・マジシャン】をペンデュラム召喚したー!]

「【終末の騎士】の効果発動!特殊召喚成功時、デッキから闇属性モンスターを墓地に送ることができる。デッキから【竜魔王ベクターP】を墓地に送る」

 

【終末の騎士】が剣で俺のデッキから【ベクターP】を抜き取る。…………今、どうやった?

 

[ペンデュラムモンスターを墓地へ?これにはどんな意図があるのでしょうか?【XYZードラゴン・キャノン】さん]

[あのカードである必要性か……流石の俺も、奴の考えは読めん]

[えー……解説者が仕事を放棄したところで、【ブラック・マジシャン】さん、続けてください]

「バトル!【ブラック・マジシャン】で守備モンスターを攻撃!」

「『『『黒・魔・導(ブラック・マジック)!』』』」

 

内心観客とシンクロしたことに驚きながらも【ブラック・マジシャン】は守備モンスター、【見習い魔術師】を破壊した。

 

「【見習い魔術師】の効果発動!このモンスターが戦闘で破壊された場合、デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスターをセットできる!【見習い魔術師】をセット!」

 

む、【見習い魔術師】……攻撃するべきか、否か……とりあえず、つつくか。

 

「【終末の騎士】で攻撃!」

「【見習い魔術師】の効果で【ものマネ幻想師】をセット!」

 

…………まぁ、いいか。

 

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000

モンスター

【終末の騎士】:攻

ATK1400

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「私のターン」

[「『『『ドロー!』』』」]

 

お前ら元気だな。

丸藤の声が聞こえたのは気のせいじゃないだろう。

 

「【ものマネ幻想師】を反転召喚!」

 

【ものマネ幻想師】

攻撃表示

ATK0/DEF0

 

「【ものマネ幻想師】の効果発動!召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、相手モンスター1体を選択して、元々の攻撃力と守備力をコピーする!選ぶのは当然お師匠様!」

 

【ものマネ幻想師】が顔にあたるであろう鏡に【ブラック・マジシャン】を写した。

 

【ものマネ幻想師】

ATK0/DEF0→ATK2500/DEF2100

 

「さらに!【マジシャンズ・ヴァルキリア】を召喚!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「バトル!【マジシャンズ・ヴァルキリア】で【終末の騎士】を攻撃!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】が魔力弾を【終末の騎士】に放ち、爆散させる。

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP4000→3800

 

[【ブラック・マジシャン・ガール】、【ブラック・マジシャン】に先制ダメージを与えたー!]

[擦り傷とはいえ、なかなかやるな]

『『『いいぞー!【ブラック・マジシャン・ガール】ー!』』』

「速攻魔法【ディメンション・マジック】!【マジシャンズ・ヴァルキリア】を生贄に、手札の【ブラック・マジシャン・ガール】を特殊召喚!」

 

っ!?ワンショット狙い!?

 

「永続罠【永遠の魂】!このカードがある限り、俺のフィールドの【ブラック・マジシャン】は相手の効果を受けない!」

「えぇーっ!?」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】が棺の中に消えると、【ブラック・マジシャン・ガール】が姿を見せた。

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

守備表示

ATK2000/DEF1700

 

[ここで我らが【ブラマジガール】の登場だー!]

『『『うおぉぉぉ!!』』』

[……【ディメンション・マジック】にはさらなる効果がある。それを【ブラック・マジシャン】は【永遠の魂】とかいう罠で、フィールドの【ブラック・マジシャン】を守ったわけだ……]

 

…………マジでビビった。これに【サイクロン】でもされたら終わってた。

 

「あちゃー、通らなかったかぁ……ターンエンドです」

「エンド前に【永遠の魂】のさらなる効果でデッキから【黒・魔・導】か【千本ナイフ】のどちらかを手札に加える。【黒・魔・導】を手札に」

「そ、そんな効果が!?」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札1枚→2枚

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

【ものマネ幻想師】:攻

ATK2500

【ブラック・マジシャン・ガール】:守

DEF1700

魔・罠

伏せ2枚

手札1枚

 

[【ブラマジガール】ピンチ!]

[次のターン、【黒・魔・導】で魔法・罠が一掃されるからな。あとは【ものマネ幻想師】をどう処理するかだが]

『き、汚ねぇ……女の子相手に容赦なさすぎる』

 

…………そんなに酷いか?遊びだからと無理やりな枠とか結構あるんだが……

 

「……まぁいいや。俺のターン、ドロー!【永遠の魂】の効果で、デッキから【千本ナイフ】を手札に加える」

「そっちまで!?」

[酷い!容赦なし!鬼畜!外道!]

[フィールド一掃だな]

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札3枚→4枚

 

いろいろ罵声が飛んでくる。……仕方ないからこのカードはとっておくか。

 

「魔法カード【黒・魔・導】!俺のフィールドに【ブラック・マジシャン】がいるとき発動できる。相手の魔法・罠を全て破壊する!」

 

【ブラック・マジシャン】が魔力弾を拡散させ、【ブラック・マジシャン・ガール】のリバースカード、【マジシャンズ・サークル】と【リビングデッドの呼び声】を破壊した。

 

「さらに【千本ナイフ】発動!【ブラック・マジシャン】がいるとき、相手モンスター1体を破壊する!【ものマネ幻想師】を破壊!」

 

【ブラック・マジシャン】の周囲にナイフがいくつも出現、そして【ブラック・マジシャン】の手にはナイフが6本、指の間に挟まれている。6本のナイフを同時に投げると、周囲のナイフも【ものマネ幻想師】に向かって飛んでいった。

 

「バトル!【ブラック・マジシャン】で【ブラック・マジシャン・ガール】を攻撃!」

「『『『黒・魔・導!』』』」

 

ここだけシンクロしてくるお前ら……まぁいいや。祭だからとりあえず許すとしよう。

【ブラック・マジシャン】の攻撃が【ブラック・マジシャン・ガール】を飲み込んだ。

 

「ターンエンド!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP3800

モンスター

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

【永遠の魂】

手札2枚

 

[【ブラマジガール】のフィールドにカードは無く、手札は1枚のみ!]

[【ブラック・マジシャン】は戦闘でしか破壊できない。壁モンスターを召喚してもジリ貧だな]

 

万丈目は若干諦めのようなものを漂わせるが、丸藤と観客は【ブラック・マジシャン・ガール】を応援している。

【ブラック・マジシャン・ガール】はまだ諦めてないみたいだけどな。

 

「私のターン、ドロー!【サイクロン】発動!【永遠の魂】を破壊!」

 

【永遠の魂】が破壊されるとほぼ同時に、【ブラック・マジシャン】が消滅した。

 

「あれっ?」

「表側表示の【永遠の魂】がフィールドを離れると、俺のフィールドの全てのモンスターを破壊する」

[あ、流石にデメリットはあるんだ]

[思わぬ活躍だな]

 

偶然にも関わらず、観客と丸藤は【ブラック・マジシャン・ガール】をべた褒め。

 

「よーし、なら魔法カード【死者蘇生】!お師匠様の墓地からお師匠様を特殊召喚!」

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

「バトルです!お師匠様にダイレクトアタック!せーのっ!」

[「『『『黒・魔・導!』』』」]

「ぐぅ……っ!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP3800→1300

 

[【ブラマジガール】強い!相手モンスターを利用して圧倒しています!]

[【ブラック・マジシャン】の切り札を奪いつつの攻撃、見事な一手だ]

 

『このまま押し切れ』といった声援に手を振って応える【ブラック・マジシャン・ガール】。こちらの手札は2枚。うち1枚がさっきまでいつでも使える状態だったが、今は腐っている。この引きで勝敗が決まるかもしれない。

 

「ターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000

モンスター

【ブラック・マジシャン】:攻

ATK2500

魔・罠

手札0枚

 

[【ブラック・マジシャン】。これがラストターンとなるか!]

「俺のターン、ドロー!……【E・HERO プリズマー】を召喚!」

[『『『【E・HERO】!?』』』]

 

【E・HERO プリズマー】

攻撃表示

ATK1700/DEF1100

 

「【プリズマー】の効果発動!エクストラデッキの【超魔導剣士ーブラック・パラディン】を見せ、デッキの【ブラック・マジシャン】を墓地に送り、このモンスターのカード名を【ブラック・マジシャン】として扱う!」

[【XYZードラゴン・キャノン】さん!これはどういうことでしょう!?]

[カード名を【ブラック・マジシャン】とすることで、【黒・魔・導】や【千本ナイフ】といったサポートカードを使えるようになった。また【超魔導剣士ーブラック・パラディン】などの融合素材にもできるのだろう]

[なるほど!つまり【ブラック・マジシャン】はここでさらに動くと?]

[おそらくな]

「魔法カード【龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)】を発動!」

[【龍の鏡】!?]

 

俺が発動したカードが意外だったのか、丸藤も万丈目も、観客も、対戦相手の【ブラック・マジシャン・ガール】も驚いていた。

 

「墓地の【ブラック・マジシャン】と【竜魔王ベクターP】を除外して融合!黒き魔術師よ、秘法操りし王よ!神秘の渦で一つとなりて、根源たる竜の姿とならん!融合召喚!始まりの竜!レベル9!【始祖竜ワイアーム】!」

 

【始祖竜ワイアーム】

攻撃表示

ATK2700/DEF2000

 

[な、なんと【ブラック・マジシャン】、いきなり強力モンスターを召喚したー!]

[【終末の騎士】で【竜魔王ベクターP】を墓地に送ったのはこのためか……]

 

通常モンスターで、スケール3だったから入れてみただけなんだよな。遊び枠に【竜穴の魔術師】入れてそこから【ベクターP】が出てきて、【ワイアーム】と【龍の鏡】がやってきた。

 

「バトル!【始祖竜ワイアーム】で【ブラック・マジシャン】を攻撃!」

 

【ワイアーム】が【ブラック・マジシャン】を……頭から飲み込んだ。

 

「お、お師匠様ぁー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP4000→3800

 

「【ブラック・マジシャン】こと【プリズマー】でダイレクトアタック!」

 

【プリズマー】が体の前で右腕を曲げ、腕時計を見るような形になる。そして腕を右に左に少し回す……何をしてるんだ?

 

「ま、眩しっ!チカチカと眩しい!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP3800→2100

 

どうやら太陽光の反射で目を攻撃したらしい。…………地味すぎる。

しかし、なんとか状況を立て直したか。

 

「…………ターンエンド」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP1300

モンスター

【E・HERO プリズマー】:攻

ATK1700

【始祖竜ワイアーム】:攻

ATK2700

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

手札1枚

 

[【ブラマジガール】のフィールドにカードは無く、手札も0!]

[このドローに全てがかかっている。逆転のデスティニードローとなるか、それとも……]

「私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

手札0枚→2枚

 

今引き【強欲な壺】……さて、良いカードは引けたか?

 

「んー……モンスターを裏守備表示で召喚して、カードを1枚伏せてターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

手札0枚

 

[あぁ……逆転の一手とならなかったかぁ……]

[手札2枚であの【ワイアーム】とかいうモンスターを突破できるモンスターはそうそう出せんからな]

 

……【バルバロス】に【スキドレ】で……いや、何も言うまい。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

…………【竜穴の魔術師】か……どうする……手札のカードを使えば【ドラゴサック】が召喚できる。しかし【幻想の黒魔導師】という選択肢も……

 

「俺はセッティング済みのスケールで、ペンデュラム召喚!現れろ!レベル7、【竜穴の魔術師】!」

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

[【ブラック・マジシャン】、ペンデュラム召喚で召喚したのは攻撃力たった900の最上級モンスター!]

[だが守備表示。そして守備力2700……優勢だが、守りを固めてバックアップをといったところか]

「さらに魔法カード【黙する死者】!墓地の通常モンスター、【ブラック・マジシャン】を守備表示で特殊召喚する!」

 

【ブラック・マジシャン】

守備表示

ATK2500/DEF2100

 

「俺はレベル7の【竜穴の魔術師】と【ブラック・マジシャン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

幻さえも現実に干渉させ、新たな幻を見せよ!エクシーズ召喚!出撃せよ!ランク7!【幻獣機ドラゴサック】!」

 

【幻獣機ドラゴサック】

攻撃表示

ATK2600/DEF2200

 

[あ、あのモンスターは!]

[知っているのか?]

[前に龍斗君がボクとのデュエルで使ったモンスターッス!たしか……トークンを2体召喚する効果と、【幻獣機】モンスターを生贄にして、フィールドのカードを破壊する効果を持ってるッス!]

 

丸藤、よく覚えてたな。【幻想の黒魔道師】だと攻撃反応型の罠で全滅するからな。今回はコイツだ。

 

「【ドラゴサック】の効果発動!ORUを1つ使い、【幻獣機トークン】を2体特殊召喚する!」

 

【幻獣機トークン】×2

守備表示

ATK0/DEF0

 

「【ドラゴサック】のさらなる効果発動!【幻獣機トークン】をリリースし、フィールドのカードを破壊する!そのリバースカードを破壊!」

 

【ドラゴサック】が【幻獣機トークン】を射出して破壊したのは、【魔法の筒】だった……危ないところだった……

 

「このターン、【ドラゴサック】は攻撃できない。バトル!【ワイアーム】で守備モンスターを攻撃!」

 

【ワイアーム】が守備モンスター……【見習い魔術師】を飲み込んだ。

 

「【見習い魔術師】の効果で、【執念深き老魔術師】をセットします!」

「【プリズマー】、続け!【執念深き老魔術師】を攻撃!」

 

【プリズマー】が【執念深き老魔術師】を殴り倒す。……老人虐待とか思わない。

 

「【執念深き老魔術師】のリバース効果発動!相手フィールドのモンスターを破壊します!【ワイアーム】を……」

「先に言っておくと、【ワイアーム】は相手モンスターの効果を受けない」

「……選ぶのはやめておいて、【幻獣機ドラゴサック】を……」

「また、【ドラゴサック】は俺のフィールドに【トークン】がいる限り、戦闘及びカード効果では破壊されない」

「……【プリズマー】を破壊します……」

 

【老魔術師】がブツブツと呪文を唱え、破壊される【プリズマー】。

 

[相手モンスターの効果を受けない。効果で破壊されないモンスターを並べて……]

『エグいな』

『ああ』

『ちょっと追い詰められたからって容赦ねぇよ……』

[さらに【ブラック・マジシャン・ガール】は既に【強欲な壺】を使ってしまった。手札を増強することは極めて難しい]

 

散々な言われようだが突っ込むこともなくターンを終了した。

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

LP1300

モンスター

【始祖竜ワイアーム】:攻

ATK2700

【幻獣機ドラゴサック】:攻

ATK2600

【幻獣機トークン】:守

DEF0

ペンデュラム

【竜魔王ベクターP】:スケール3

【竜穴の魔術師】:スケール8

魔・罠

手札0枚

 

「私のターン、ドロー!おぉっ!凄いの引きましたよー!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】が笑顔を見せて、カードを掲げる。

観客は何を引いたのかと期待している。

 

「魔法カード【命削りの宝札】!手札が5枚になるようにドロー!このカードの発動後5ターン目のエンドフェイズに、私は手札を全て捨てます!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

手札0枚→5枚

 

なんだそのインチキカード。

 

「【マジシャンズ・ヴァルキリア】を召喚!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】

攻撃表示

ATK1600/DEF1800

 

「バトル!【マジシャンズ・ヴァルキリア】で【幻獣機トークン】を攻撃!」

 

【マジシャンズ・ヴァルキリア】の足下に白い魔法陣が展開される。しばらく目を閉じ、目を開けた瞬間、【幻獣機トークン】の下が照らされ、光の槍が複数現れ、【幻獣機トークン】を突き刺さした。

…………【ブラック・マジシャン】の攻撃より強そうな気がするのは何故だ?

 

「これで【トークン】は全滅!ここでいきます!魔法カード【ライトニング・ボルテックス】!手札1枚を捨て、相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊します!」

 

空から稲妻が走り、俺のフィールドに降り落ちる。【ドラゴサック】には直撃し、【ワイアーム】は体をくねらせてしばらく回避。数回の落雷を回避したものの、抵抗むなしく破壊されてしまった。

 

「私はこれでターンエンドです!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100

モンスター

【マジシャンズ・ヴァルキリア】:攻

ATK1600

魔・罠

手札2枚

 

[【ブラック・マジシャン】、追い詰められた!]

[ペンデュラムスケールはセッティングされているが、手札0ではペンデュラム召喚できない。しかも【ブラック・マジシャン・ガール】のフィールドには【ブラック・マジシャン】のライフを0にできる攻撃力を持ったモンスターもいる。このドローで決着がつく]

「俺のターン、ドロー!」

 

…………まだチャンスはあるか。

 

「魔法カード【貪欲な壺】!墓地の【プリズマー】

【竜穴の魔術師】

【終末の騎士】

【ドラゴサック】

【ワイアーム】をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

【ブラック・マジシャン】(宮田龍斗)

手札0枚→2枚

 

[【ブラック・マジシャン】も負けじとここでドローカード!]

「この勝負、もらった!俺はセッティング済みのスケールで三度ペンデュラム召喚!現れろ!【竜穴の魔術師】!」

 

【竜穴の魔術師】

守備表示

ATK900/DEF2700

 

[【ブラック・マジシャン】、勝利宣言したものの、ペンデュラム召喚したモンスターは1体!しかも守備表示!]

[残る手札が鍵ということか]

「魔法カード【死者蘇生】!蘇れ!【ブラック・マジシャン】!」

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[【ブラック・マジシャン】復活!]

[だが、【ブラック・マジシャン・ガール】のライフは削りきれない!さっきの【ドラゴサック】で【マジシャンズ・ヴァルキリア】を破壊しても、攻撃できない]

「俺はレベル7の【ブラック・マジシャン】と【竜穴の魔術師】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

幻を操りし者よ、留まることを知らぬ研鑽の果てに得た、新たな秘術をここに見せろ!エクシーズ召喚!惑わせ!ランク7!【幻想の黒魔導師】!」

 

【幻想の黒魔導師】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

【ブラック・マジシャン】に似た衣装から長い金髪を出した魔導師が空中に現れる……お前、浮くのか。

 

「…………どちら様?」

 

小さく呟く【ブラック・マジシャン・ガール】。あれ?お前精霊なんだろ?

精霊界って混乱してるんじゃ……俺のせいらしいけど。……まぁいいや。

 

「【幻想の黒魔導師】の効果発動!ORUを1つ使い、手札・デッキから魔法使い族通常モンスターを特殊召喚する!」

「魔法使い族通常モンスターってことは……」

「現れろ!【ブラック・マジシャン】!」

 

【幻想の黒魔導師】が杖を横に向けると、薄紫色の線で八芒星を円で囲った魔法陣が出現。そこから【ブラック・マジシャン】が現れた。

 

【ブラック・マジシャン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2100

 

[【ブラック・マジシャン】もう何度目かわかりませんが、【ブラック・マジシャン】を召喚!]

[手札0からここまで展開するとは……]

「バトル!【ブラック・マジシャン】で【マジシャンズ・ヴァルキリア】を攻撃!この瞬間、【幻想の黒魔導師】の効果発動!魔法使い族通常モンスターが攻撃するとき、相手フィールドのカードを選択して除外できる!」

「じょ、除外!?」

 

【幻想の黒魔導師】と【ブラック・マジシャン】が杖を【マジシャンズ・ヴァルキリア】に向けると、紫と緑が混ざった魔力弾が【マジシャンズ・ヴァルキリア】に向けて発射され、【マジシャンズ・ヴァルキリア】が包まれると急激に収縮し消滅した。

 

「フィールドのモンスターの数が変化したことで巻き戻りが発生。攻撃対象を選び直す。【ブラック・マジシャン】でダイレクトアタック!黒・魔・導!」

 

紫の魔力弾が【ブラック・マジシャン・ガール】を飲み込む。

 

「きゃああああああ!!」

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

LP2100→-400

 

衝撃に座り込む【ブラック・マジシャン・ガール】。しかし彼女は『楽しかった』と笑顔で言っていた。

そんな彼女を観客達は褒めていたんだが、言っていることがバラバラで最後のあたりに『よくやった』と言っていたことぐらいしかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。全生徒、教師が集まってキャンプファイア。枕田とももえが明日香に捕まり連行、【ハーピィ・レディ三姉妹】として帰ってきた。最初は嫌々だったクセに、帰ってきたらノリノリになってた。多分ヤケになったのだろう。『写真を撮るなら順番に』とか枕田が言ってたのに、明日香は『聞いてない』みたいなリアクションだったし。

 

「楽しんでる?【ブラック・マジシャン】さん?」

「この格好じゃなければ、かなり楽しんでると思う」

 

ものすごいニヤニヤしながらやってきた藤原を半眼で睨む。コスプレデュエルを終えて着替えようとしたら、ゆまと藤原に捕まり着替える時間を奪われ、【ブラック・マジシャン】の格好のまま参加させられるハメになった。おかげで写真を撮られることがしょっちゅうだ。10人から先は数えてない。

 

「ゆまは?」

「あそこで撮影会してるわ」

 

藤原が指差した先には、照れているのかほんのり頬を赤らめながらピースサインで写真を撮っている【マジシャンズ・ヴァルキリア】の格好をしたゆまがいた。……楽しそうだからいいか。

 

「兄さん!待ちなさーい!」

 

また吹雪先輩が写真を撮ったのか、【真紅眼の黒竜】のコスプレをして、カメラを持った吹雪先輩を追いかける明日香の姿があった。【真紅眼】なんだろうけど、吹雪先輩の格好は【ロード・オブ・ザ・レッド】に見える。あのカード、まだ発売してなかったはずなんだが……

そんな場面もあったキャンプファイアも終わり、ゆまと寮に帰る途中。

 

「そういえば、十代とのデュエルのとき、お前ご褒美がどうのと言ってたな」

「えっ!?えっと、そのぉ……」

 

下手くそな口笛を吹いて誤魔化そうとするゆま。別に咎めようってわけじゃないんだけどな。

 

「何してもらおうとしてたんだ?」

「…………えっと……な、なんでもない!」

 

それだけ言って逃げるように走っていった。




本当は【ティマイオス】と【呪符竜】使おうかなと思ってたんですが、ちょっとした葛藤の末止めました。
次回は光雄君……は出ないで先に進みます。

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