ゆまの謎行動矯正のための特訓開始して数日。
三沢が1日帰ってこない日があり、その翌日ようやくどこかから帰ってきた三沢がタバスコをガブ飲みするという珍行動を見せたり、それがセブンスターズとのデュエルで負けたのが原因らしく、十代が敵討ちしたりあったらしい。その数日後十代が海の8割を牛耳る貿易商のおっさんと潜水艦内でデュエルしたきり帰ってこない。
たぶん今ごろ海の藻屑となりかけて【N】や【ネオス】と会ってるのだろう。
何か違う気もするが気のせいだと思うことにして特訓を続ける。
「はい残念。そこは【エアーマン】で【ブレイズマン】サーチから召喚して【融合】サーチ。1枚残して手札全部セットから【バブルマン】特殊召喚からのプトレノヴァインフィニティ」
「あうあうあう〜〜〜………」
4日ほどかけて漸く第2段階。俺の【HERO】デッキで1ターンでどこまで動けるか考え、俺の考えと一致させる意味不難易度(何故か枕田考案)なもの。ちなみに今の手札はこんな感じだ。
【ヒーローアライブ】
【マスク・チェンジ】
【マスク・チェンジ】
【マスク・チェンジ】
【死者蘇生】
【E・HERO バブルマン】
【マスク・チェンジ】のスリーカード……というか積み込んでないのにこの引きはいったい……
「ほら、あと2回だから頑張れ」
一応目処として5回一致したら実践と決めてある。現在3回一致している。
「ドロー!」
【融合】
【融合】
【融合】
【マスク・チェンジ】
【マスク・チェンジ】
【マスク・チェンジ】
………………え?
「「…………」」
ゆまも予想外らしく互いを見る構図になる。【融合】3枚に【マスク・チェンジ】3枚……?いや、これは……
「…………ターン、エンド……」
「……うん。いいと思うぞ」
諦めモード突入しても仕方なかった。
念のためデッキトップを確認すると【死者蘇生】だった。この状況だと死刑宣告にしか思えなかった。
「……次、やるぞ」
「う、うん……」
念入りにシャッフルしてドロー。
【融合】
【死者蘇生】
【Eーエマージェンシーコール】
【増援】
【E・HERO ブレイズマン】
【マスク・チェンジ】
よし、ちゃんと動ける。というか選択肢が多すぎる。とりあえず【エマージェンシーコール】と【増援】で【エアーマン】と【オーシャン】サーチ。
【エアーマン】召喚から【シャドー・ミスト】サーチして……【融合】で【シャドー・ミスト】と【オーシャン】で【アブソルートZERO】。
【フォレストマン】サーチして……【マスク・チェンジ】で【エアーマン】を【カミカゼ】に。【死者蘇生】で【エアーマン】蘇生して【プリズマー】サーチ。……こんな感じか?
「……えっと……【エマージェンシーコール】で【エアーマン】を手札に加えて召喚。効果でデッキから【オーシャン】を手札に加える」
微妙に一致してないがまぁ修正できる誤差だからいいか。
この後ゆまはサーチ先に多少の違いはあったものの最終的にはイメージと同じ状況になった。
「よし。特訓は終わりにして、あとは実践だ」
「うん!頑張るよ!」
実践は数名の協力者とデュエルする。
「ということで浜口、相手頼んだ」
「何が『ということ』なのか聞くべきなのでしょうか?」
「あらかじめ言っておいただろう」
数日の間に頼んでおいた浜口に最初の相手を頼む。
枕田にも頼んであるが、最初に見つかったのが浜口だった。
「「デュエル!」」
浜口ももえ
LP4000
VS
宮田ゆま
LP4000
「私の先攻、ドロー!」
浜口が先攻……今までの特訓はゆまが先攻であることを想定していたから若干不安ではある。
「フィールド魔法【ナチュルの森】を発動!」
浜口とゆまの周囲が日が射す森に変化する。
「【ナチュル・クリフ】を召喚!」
【ナチュル・クリフ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
現れたのは赤い苔や青い木を生やした…………ぬりかべ?
「カードを3枚伏せ、ターンエンドです」
浜口ももえ
LP4000
モンスター
【ナチュル・クリフ】:攻
ATK1500
魔・罠
伏せ3枚
フィールド
【ナチュルの森】
手札1枚
かなり面倒な場だなぁ……おそらくセットしたカードに【賄賂】か【エクストリオの牙】があるんだろう。ゆまはこれをどう突破するか……
「私のターン、ドロー!【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加えます!」
「カウンター罠【魔宮の賄賂】!魔法・罠の発動と効果を無効にして破壊します!その後相手はカードを1枚ドローします」
ゆまが引いたカードを確認すると目を輝かせた。
「お兄ちゃん!欲しかったモンスター引けたよ!」
よかったな。その鬼引きを俺にくれと切に思う。さっきの【融合】3枚【マスク・チェンジ】3枚の引きは勘弁だが。
「【ナチュルの森】の効果発動!相手のコントロールするカードの発動を無効にした場合、デッキからレベル3以下の【ナチュル】モンスターを手札に加えることができます!【ナチュル・マロン】を手札に!」
浜口ももえ
手札1枚→2枚
「手札が増えちゃった……でも、お兄ちゃん相手じゃないから……あ、でもでもももえさんもテスターなんだっけ!」
「ええ。シンクロ召喚専門のテスターですわ」
テスター云々の前にゆまよ、どんな相手でも手札増えたら面倒だから。【インフェルニティ】は別として。
「むむむ〜……なら、【E・HERO エアーマン】を召喚します!」
【E・HERO エアーマン】
攻撃表示
ATK1800/DEF300
「【エアーマン】の効果発動!デッキから【E・HERO ブレイズマン】を手札に加えます!更に【融合】を発動!」
「カウンター罠【エクストリオの牙】!【ナチュル】モンスターがいるとき、相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊します!」
「はぅっ!?」
両方セットしてたよこの浜口。
効果を発揮できず、色を失って消滅する【融合】。
「その後、手札1枚を墓地に送ります。私は手札の【ナチュル・レディバグ】を墓地に送りますね」
浜口ももえ
手札2枚→1枚
ちゃっかりパンプ要員落としやがった。
「更に【ナチュルの森】の効果で【ナチュル・チェリー】を手札に加えます」
浜口ももえ
手札1枚→2枚
情報アドはいいが、【ナチュル・ビースト】召喚する気満々だな。
「な、ならバトル!【エアーマン】で【ナチュル・クリフ】を攻撃!ファン・ブレード!」
【エアーマン】が投げたファンによって真っ二つに切断される【ナチュル・クリフ】。
浜口ももえ
LP4000→3700
「【ナチュル・クリフ】の効果発動!このモンスターがフィールドから墓地へ送られたとき、デッキからレベル4以下の【ナチュル】モンスターを攻撃表示で特殊召喚できます!【ナチュル・コスモスビート】を特殊召喚!」
【ナチュル・コスモスビート】
攻撃表示
ATK1000/DEF700
「速攻魔法【マスク・チェンジ】発動!【エアーマン】を墓地に送って属性が同じ【M・HERO】を特殊召喚します!風操るヒーロー。新たな力と仮面を身につけて、フィールドを駆け抜けて!変身!【M・HERO カミカゼ】!」
【M・HERO カミカゼ】
攻撃表示
ATK2700/DEF1900
「これはバトルフェイズ中の召喚なので攻撃できます!【カミカゼ】で【ナチュル・コスモスビート】を攻撃!神風一閃!」
【カミカゼ】が【コスモスビート】に特攻する……しかし突如現れた機械が行く手を阻む。何故か【カミカゼ】は迷うことなく突っ込んでいった。これは……
「罠カード【強制脱出装置】。【カミカゼ】を手札に戻しますわ」
ガチカード……パーミッションすぎて泣けてくる。そして次のターンには【マロン】召喚から【ナチュル・ビースト】をシンクロ召喚か。…………詰んだな。流石に相手が悪すぎた。
「む〜……カードを2枚伏せてターンエンドです!」
宮田ゆま
LP4000
モンスター
無
魔・罠
伏せ2枚
手札2枚
「私のターン、ドロー!【ナチュル・マロン】を召喚!」
【ナチュル・マロン】
攻撃表示
ATK1200/DEF700
「【ナチュル・マロン】の効果でデッキから【ナチュル・レディバグ】を墓地に送りますね」
ゆま……?まだ諦めてない?……リバースカード……気がつけば仕事しているような気がする【ミラフォ】か?
「レベル3の【ナチュル・マロン】にレベル2の【ナチュル・コスモスビート】をチューニング!大地の咆哮、森に降りかかる災厄を振り払う!シンクロ召喚!お願いします!レベル5!【ナチュル・ビースト】!」
【ナチュル・ビースト】
攻撃表示
ATK2200/DEF1700
「【ナチュル】シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したので墓地の【ナチュル・レディバグ】2体を特殊召喚!」
【ナチュル・レディバグ】×2
攻撃表示
ATK100/DEF100
「【ナチュル・レディバグ】2体の効果発動!自身をリリースすることで【ナチュル・ビースト】の攻撃力を合計2000ポイントアップします!」
【ナチュル・ビースト】
ATK2200→ATK4200
「バトルです!【ナチュル・ビースト】でダイレクトアタック!」
「罠発動!【聖なるバリア ーミラーフォースー】!」
「あら……」
仕事するなぁ……【ミラフォ】って仕事しない印象があるんだが……
【ナチュル・ビースト】が【ミラフォ】に突撃し、爆発した。
「どうしましょうか……」
浜口がこちらを見て言うが、そんなの俺が知るか。召喚権使ったし手札は【ナチュル・チェリー】と不明のカードだろ?その不明のカードが使えるのなら使うくらいしか選択肢無いだろ。
「仕方ないですね。カードを1枚伏せ、ターンエンドです」
浜口ももえ
LP3700
モンスター
無
魔・罠
伏せ1枚
手札1枚
「私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドロー!」
宮田ゆま
手札2枚→4枚
「魔法カード【融合】!手札の【ブレイズマン】と【オーシャン】を融合!燃え盛るヒーローよ、母なる水のヒーローと力を合わせて私と共に戦ってください!融合召喚!氷のヒーロー!【E・HERO アブソルートZERO】!」
【E・HERO アブソルートZERO】
攻撃表示
ATK2500/DEF2000
「罠カード【奈落の落とし穴】でそのモンスターには退場していただきましょうか」
笑顔で言うな。
「させません!リバースカード、オープン!速攻魔法【マスク・チェンジ】で【アブソルートZERO】を変身させます!絶対零度のヒーロー。仮面と新たな武器を手に、相手を撃ち抜いて!変身!【M・HERO アシッド】!」
【M・HERO アシッド】
攻撃表示
ATK2600/DEF2100
【アシッド】か。何気に殺意あるコンボしてるが、それよりよく【奈落】躱したな。
「【アシッド】の効果発動!特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊します!アシッドレイン!」
「そ、それって【ハーピィの羽根帚】じゃ……きゃあっ!」
【アシッド】が上空に銃撃。弾はしばらく上昇したあと、光の雨となってフィールドを溶かしつくした。浜口は銃声に驚いていたが……
「バトル!【アシッド】でダイレクトアタック!アシッドバレット!」
【アシッド】が消音器を銃に取りつけて射撃。さっき驚かれたのを気にしてるのか?
「たぁっ!?」
浜口ももえ
LP3700→1100
弾は浜口の眉間を捉え、撃ち抜いた。
撃たれた浜口は額を押さえて蹲った。大丈夫か?
「ターンエンドです!」
宮田ゆま
LP4000
モンスター
【M・HERO アシッド】:攻
ATK2600
魔・罠
無
手札1枚
いや、ゆま『ターンエンドです!』じゃなくて少しは心配してやれ。まだ浜口立ち上がれてないぞ。あ、立ち上がった。でも当たったところが赤くなってる。最近密かにソリッドヴィジョンが質量を持ってるのではないかと疑問に思っている。
「私のターン、ドロー!っつぅ……」
まだ微妙に痛むらしい。……首が。
「……【強欲な壺】発動!カードを2枚ドロー!」
浜口ももえ
手札1枚→3枚
「更に【貪欲な壺】!墓地の【ナチュル・ビースト】
【ナチュル・クリフ】
【ナチュル・コスモスビート】
【ナチュル・マロン】
【ナチュル・レディバグ】をデッキに戻して2枚ドロー!」
浜口ももえ
手札2枚→4枚
あっという間に手札が4枚に……どんな引きしてんだよ……
「…………モンスターを伏せて、カードを2枚伏せてターンエンドです」
浜口ももえ
LP1100
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
伏せ2枚
手札1枚
「私のターン、ドロー!…………あれ?」
なんか既視感。たしかこれは……
「事故ったのか?」
「え、えへへ……【バブルマン】が2枚……」
だから言うなよ。浜口も優しい目でゆまを見るな。
「と、とりあえずこのままバトル!アシッドバレット!」
撃ち抜かれたモンスターは【ナチュル・チェリー】だった。
「【ナチュル・チェリー】の効果発動!デッキから【ナチュル・チェリー】2体を裏側守備表示で特殊召喚できます!2体特殊召喚です!」
【ナチュル・チェリー】
裏側守備表示
ATK200/DEF200
「ターンエンドです!」
「ではエンドフェイズ前に永続罠【ナチュルの神星樹】を発動!フィールドの【ナチュル・チェリー】をリリースしてデッキから【ナチュル・レディバグ】を特殊召喚!」
浜口の背後に巨木が現れる。
【ナチュル・レディバグ】
守備表示
ATK100/DEF100
宮田ゆま
LP4000
モンスター
【M・HERO アシッド】:攻
ATK2600
魔・罠
無
手札2枚
【神星樹】か…………【チェリー】がこんな形で活躍するとは思わなかった。
「私のターン、ドロー!【神星樹】の効果で【レディバグ】をリリースして【ナチュル・マロン】を特殊召喚!」
【ナチュル・マロン】
攻撃表示
ATK1200/DEF700
「【ナチュル・マロン】の効果発動!墓地の【ナチュル・チェリー】2枚をデッキに戻して1枚ドローします!」
浜口ももえ
手札2枚→3枚
「【ナチュル・チェリー】を反転召喚です!」
【ナチュル・チェリー】
攻撃表示
ATK200/DEF200
「【ナチュル・モスキート】を召喚!」
【ナチュル・モスキート】
攻撃表示
ATK200/DEF300
出てきたのはカラフルで巨大な蚊。羽音がうるさい。
「レベ……と…………の【ナチュル】……………にれ……1…………ちぇ……を………んぐ!」
なんだって?羽音が邪魔で聞こえない。羽音で口上すら聞こえなかったが、【モスキート】と【マロン】、【チェリー】の3体を素材に出てきたのは【ナチュル・ビースト】だった。
【ナチュル・ビースト】
攻撃表示
ATK2200/DEF1700
「【ナチュル・レディバグ】を自身の効果で2体特殊召喚します!」
【ナチュル・レディバグ】×2
攻撃表示
ATK100/DEF100
「【ナチュル・レディバグ】の効果発動!自身をリリースして【ナチュル・ビースト】の攻撃力を1000ポイントアップします!」
【ナチュル・ビースト】
ATK2200→ATK4200
「バトル!【ナチュル・ビースト】で【アシッド】を攻撃!アース・ファング!」
【ナチュル・ビースト】の足踏みによって地面から突き出た岩に【アシッド】が貫かれる。すぐに消えたからよかったが、そのままだったら結構アレな映像だったな。
「【アシッド】さんが……」
宮田ゆま
LP4000→2400
「ターンエンドです!」
浜口ももえ
LP1100
モンスター
【ナチュル・ビースト】:攻
ATK2200
魔・罠
【ナチュルの神星樹】
伏せ1枚
手札2枚
さて、ゆまの手札は【バブルマン】2枚らしい。どこまで状況を戻せるか……
「私のターン、ドロー!【E・HERO バブルマン】を召喚!」
【E・HERO バブルマン】
守備表示
ATK800/DEF1200
「【バブルマン】の効果発動!私のフィールドに他のカードが無いので2枚ドローします!」
宮田ゆま
手札2枚→4枚
「【融合回収】発動!墓地の【融合】と【ブレイズマン】を手札に」
「【ナチュル・ビースト】の効果発動。デッキの上から2枚を墓地に送って魔法を無効にします」
「うぅ〜……どうしても通してくれませんか?」
「ごめんなさい。私もデュエリスト。勝ちたいのです」
ゆまは涙目で浜口に問いかけるが、微かに苦笑いしてそう答えた。そりゃあ勝ちたいよな。俺だって勝ちたい。【影霊衣】使ってでも勝ちたいと思うくらいには。
ゆまの願いむなしく無効になる【融合回収】。
「うぅ……ターン、エンドです……」
宮田ゆま
LP2400
モンスター
【E・HERO バブルマン】:守
DEF1200
魔・罠
無
手札3枚
「私のターン、ドロー!【ナチュル・コスモスビート】を召喚!」
【ナチュル・コスモスビート】
攻撃表示
ATK1000/DEF700
「【神星樹】の効果で【コスモスビート】をリリースして【ナチュル・ドラゴンフライ】を特殊召喚します!」
【ナチュル・ドラゴンフライ】
攻撃表示
ATK1200/DEF400
召喚された【コスモスビート】の花から出てきたのは、赤と緑の胴体に先端がピンクの羽根の蜻蛉。
「【ナチュル・ドラゴンフライ】は、墓地の【ナチュル】モンスター1体につき、攻撃力が200ポイントアップします」
「あ……ぴ、ピンチ!」
いや、終わったよピンチのレベルじゃねぇよ。
「現在墓地には【ナチュル・コスモスビート】
【ナチュル・レディバグ】2体
【ナチュル・モスキート】
【ナチュル・マロン】
【ナチュル・チェリー】がいます。攻撃力1200ポイントアップです」
【ナチュル・ドラゴンフライ】
ATK1200→ATK2400
「あうあうあう…………」
「バトル!【ナチュル・ビースト】で【バブルマン】を攻撃!アース・ファング!」
岩に飛ばされる【バブルマン】。
ゆまはまた『あうあう』言って立ち尽くしてる。
「【ナチュル・ドラゴンフライ】でダイレクトアタックです!」
【ナチュル・ドラゴンフライ】が全身を縦にし、羽根でゆまの頬を叩く。
「ぶぶぶぶぶぶ!」
宮田ゆま
LP2400→0
ジャストキル。
「勝ちました!」
「負けましたぁ……」
知ってるから。なんでわざわざ報告しに来るんだよ。そして浜口、そのワキワキ動く両手はなんだ。
「勝ったご褒美に撫でさせてください」
「んな約束してねぇよ」
そんなことになるなら頼まない。
やるならゆまにやれ。
「いいじゃないですか!明日香さまは何度も撫でてるのに!」
「それを許容したシーンがあるのか?」
「初めて撫でたときです」
なんでそんなこと覚えてんだよ……てか許容してない。抵抗しなかっただけだ。
「それ以降は?」
「たしかに全て拒否してます。ですが!だからこそ!こういうときくらいいいじゃないですか!撫でさせてくださいまし〜〜〜!」
遂には駄々っ子のように暴れだした。
「やめろ浜口。制服が汚れる。あと下手すればスカートの中が見えるぞ」
目を閉じて忠告する。
「撫でさせてくれるまでやめません〜!」
はぁ……付き合ってられない。
「……帰るぞ、ゆま」
「えっ?ももえさんはいいの?」
「付き合ってられない」
帰るべく踵を返した瞬間。
「今です!」
後ろから腕をホールドされ、頭を撫で回された。
「ちょっ、おま、離せ!頭を撫でるな!」
「本当にサラサラの髪で羨ましいです〜。ナデナデ〜サラサラ〜」
「無視するな!」
このあと2時間近く撫でられ続けた。
なんだこの執念……?
次回は生涯無敗と言われたデュエルの神(笑)が登場です。ついでにあのカードも出ます。ただあっちが出てこなかったり……