衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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モンハンXやってたら執筆速度がががが……


頭 VS.ゆま

「だからなんで先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】で【バブルマン】を攻撃表示で召喚すんだよ」

「ふぁうあうあう〜〜〜」

 

ある日の実技の授業。ここ最近生徒が授業に全然来ないなかゆまが何度も先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】→【バブルマン】攻撃表示→2ドローをしたあとフルボッコにあってる。異常なまでの引き率で。

何度言っても直らないので頬を軽く引っ張っているんだが……頬が柔らかくて楽しくなってきた。

 

「先攻で【ヒーローアライブ】握ったら【シャドー・ミスト】。今度やったら【バブルマン】抜く」

ほれあけは(それだけは)ほれあけははんゔぇん(それだけはかんべん)を〜〜!」

「なら行ってこい」

「はい〜!」

 

引っ張られていた頬を押さえて駆けていくゆま。

 

「私のターン、ドロー!……【エアーマン】を召喚!」

 

珍しく今回は引かなかったみたいだ。

しかしゆまのことだ、終わったあとに忘れてまたやらかす。そんなヴィジョンが見える。

 

「アンタ、何呑気に見物してるのよ?」

「枕田……」

 

ゆまのデュエルを少し離れて見守っていると枕田に呆れ顔で話しかけられた。

 

「授業中なのに見物なんてしてて良いと思ってるの?」

「枕田、今は何の授業だ?」

「?デュエル実技だけど……」

「デュエルは何人でするものだ?」

「2人」

 

タッグデュエルを想定しろこの野郎。せめて2人以上って言え。

 

「今、俺とお前以外で半径1メートル以内に誰かいるか?」

「…………」

 

枕田はあたりを軽く見回して言った。

 

「……ごめん」

「いや、いい。ゆまがやらかさないか見ておく必要があるしな」

 

俺の周囲に人はいない。やってくるのは枕田達テスター仲間や十代達。あと藤原とゆまくらいだ。何故か最近非テスターの生徒の大半に避けられてる。たまに先生が指名したことで俺の相手をすることになった生徒は世界が終わったような顔をしている。

 

「勝ったよお兄ちゃん!」

 

早くもケリがついたのかゆまが駆け寄ってくる。……気のせいか犬の耳としっぽが見える。

 

「そうか。よかったな」

「うん!お兄ちゃんはデュエルしないの?」

「相手がいないからな」

 

なんか妙に避けられてるし……

 

「じゃあ、私が相手になる!」

「連戦だがいいのか、休まなくて?」

「大丈夫!お兄ちゃんが相手だもん!」

 

理屈がわからん。だがまぁ、相手してくれるなら相手してもらおうか。

互いに距離を取ってデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

宮田ゆま

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

「私の先攻、ドロー!【ヒーローアライブ】発動!ライフを半分にして、【バブルマン】を特殊召喚!」

 

宮田ゆま

LP4000→2000

 

【E・HERO バブルマン】

攻撃表示

ATK800/DEF1200

 

…………おい。

 

「【バブルマン】の効果でカードを2枚ドロー!」

 

宮田ゆま

手札5枚→7枚

 

「【Eーエマージェンシーコール】を発動してデッキから【エアーマン】を手札に加えて召喚!」

 

【E・HERO エアーマン】

攻撃表示

ATK1800/DEF300

 

「【エアーマン】の効果でデッキから【ブレイズマン】を手札に!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

宮田ゆま

LP2000

モンスター

【E・HERO バブルマン】:攻

ATK800

【E・HERO エアーマン】:攻

ATK1800

魔・罠

伏せ1枚

手札6枚

 

「…………ゆま、さっき俺が言ったこと覚えてるか?」

「え?さっき……………………ぁ」

 

『ぁ』じゃねぇよ。なんで1回デュエルしただけで忘れるんだよ。

 

「…………俺のターン、ドロー!【サイクロン】発動」

 

ゆまのリバースカード……【ヒーロー・シグナル】を破壊した。

 

「スケール2の【イグナイト・マスケット】とスケール7の【イグナイト・ドラグノフ】でペンデュラムスケールをセッティング」

「ぺ、ペンデュラム……3から6……ぅぅ……お、お兄ちゃん、手加減してくれると……」

「言ったこと忘れる子にはお仕置きだ。【イグナイト・マスケット】のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンに【イグナイト】カードがある場合、俺のペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、デッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を手札に加える。【イグナイト・マスケット】を手札に」

 

俺の背後に並ぶ【マスケット】と【ドラグノフ】の2体が炎に包まれて、1枚のカードとして俺の手札に加わった。

 

宮田龍斗

手札3枚→4枚

 

「破壊したのと同じのを手札に……?」

「次だ。スケール2の【イグナイト・マスケット】2体でペンデュラムスケールをセッティング」

「今度は同じカードを……何を考えてるの……」

 

ゆまと枕田の疑問は聞き流してどんどんエクストラを溜めよう。

 

「【イグナイト・マスケット】の効果でペンデュラムゾーンのカードを全て破壊してデッキから【イグナイト・キャリバー】を手札に加える」

 

宮田龍斗

手札2枚→3枚

 

「スケール2の【イグナイト・キャリバー】とスケール7の【イグナイト・ライオット】でペンデュラムスケールをセッティング。これでレベル3から6のモンスターが同時に召喚可能。

陽炎のように揺れ動く力、かの者に業火の鉄鎚を!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現れろ!レベル4!【イグナイト・ドラグノフ】!」

 

【イグナイト・ドラグノフ】

攻撃表示

ATK1700/DEF1300

 

「同じくレベル4!3体の【イグナイト・マスケット】!」

 

【イグナイト・マスケット】×3

攻撃表示

ATK1400/DEF1900

 

「レベル4が4体ってことは、エクシーズ狙い!?」

「ペンデュラム召喚にこんな使い方が……」

 

ゆま、枕田の順で狙いに気づいたらしい。てか枕田、いくらお前がエクシーズ専門のテスターだとしても、これくらいは勉強しとけ。

 

「レベル4の【イグナイト・ドラグノフ】と3体の【イグナイト・マスケット】でオーバーレイ!」

「「4体でエクシーズ!?」」

「4体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

刮目せよ!白き鎧を纏う王者の姿を!エクシーズ召喚!粉砕せよ!ランク4!【No.86 H-C ロンゴミアント】!」

 

【No.86 H-C ロンゴミアント】

攻撃表示

ATK1500/DEF1500

 

「4体使って攻撃力1500……?」

 

ゆまがキョトンとしている。枕田も似たような表情だ。

 

「【ロンゴミアント】はORUの数だけ効果を得る」

「こ、効果を得る!?そ、それってたくさんあればあるだけ強くなるの!?」

「そういうことだ。1つ以上のとき、戦闘で破壊されなくなる。

2つ以上なら攻撃力と守備力が1500アップする」

 

【No.86 H-C ロンゴミアント】

ATK1500/DEF1500→ATK3000/DEF3000

 

「あ……あうあう……」

 

結果を想像したからか、ゆまがあうあう言いだした。

 

「3つ以上ならこのカードは自身以外の効果を受けない」

「せ、戦闘でも効果でも破壊できないってこと!?」

「あうあうあう……」

 

枕田はこいつの面倒さに驚愕しているが、ゆまはまだあうあうしてる。

 

「4つ以上なら、相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない」

「しょ、召喚まで封じられた……」

「あうあうあうあうあう〜〜」

 

もうゆまの使える言語が『あう』しかない。

 

「バトル。【ロンゴミアント】で【バブルマン】を攻撃!」

 

【バブルマン】を【ロンゴミアント】の大きな槍が……吹き飛ばした。槍で刺すモーションだったが、槍が大きすぎて刺さらずに飛んでいった。ゆまを巻き込んで。

 

「あうーーー!!」

 

宮田ゆま

LP2000→-200

 

後攻1kill成立。

…………一層の事【バブルマン】じゃなくて【ヒーローアライブ】抜くか?そうすれば、こんなことにはならなかったわけで。ん〜……ちょっと相談してみるか。

 

「ゆま」

「あう〜〜……」

 

目回してる…………枕田に頼んで邪魔にならないスペースに運んでもらって介抱することに。

 

「あんなモンスターいるのね……」

「だがお前が使う【RR】には入らないぞ。素材が戦士族って指定されてるからな」

 

【DNA改造手術】で呼べなくはないだろうけど、そのために入れる枠はない。お前はただランクアップをしてればいい。その鉄の意志と鋼の強さが【RR】だ。

そう言って【ロンゴミアント】を断念させているとゆまが起きた。

 

「起きたか」

「うん……」

「んじゃあ早速だが選べ。【ヒーローアライブ】抜くか【バブルマン】を抜くか」

「選択肢増えたけど嫌だよ!お願いだからこのデッキでやらせてよぉ!」

 

なんでこんなに執着するんだ?今ゆまが使ってるデッキは、冬休みにゆまのデュエルアカデミア編入試験に向けて組み直したデッキだ。【ヒーローアライブ】はいつの間にかゆまが入れてたが、特に困らないどころかなかなか優秀だと思ったのでスルーしてた……しかしライフ払ってそのあとフルボッコにあう確率が高めだと一考せざるを得ない。

 

「しかしなぁ……せっかく使える【M・HERO】を使わないのは……」

「そ、それは……」

「そもそもなんで迷いなく【バブルマン】にたどり着くのかがわからん」

 

たしかに手札増やせるのは良いけど、【ダーク・ロウ】に繋げた方が楽だろう。

 

「なんか、体が勝手にそうするというか、なんというか……」

「十代かお前は……」

「私10代だよ!」

「は?お前何言って……ああそういうことか。違う違う。俺が言ったのは遊城十代のこと。年齢のことじゃない」

 

たしかに両方とも読み方が『ジュウダイ』だけど、まさかそんな反応するとは……

 

「…………なら、体より頭を優先させるようにするしかないかな……もしくは体が勝手に【シャドー・ミスト】を選ぶようにするとか」

「そんなことできるの!?」

「といってもやることは大したことはしない。ただデュエルし続けるだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【ヒーローアライブ】発動!ライフ半分を払ってデッキから【バブルマン】を攻撃表示で……」

「だから【シャドー・ミスト】出せよ。【バブルマン】出すにしても守備表示だ」

「あう〜」

 

特訓の内容は『大したことはしない』と言った通りただデュエルするだけだ。といっても間違えた選択肢を選ぶと頬を引っ張り最初からやり直すだけだが……枕田達テスターや十代、藤原の協力もあってかれこれ20戦。ソリッドヴィジョンを使うまでもないのでテーブルデュエルだが充分だろう。

また、あくまで【ヒーローアライブ】からフルボッコされるのを防ぐための特訓なのでデッキトップは【ヒーローアライブ】で確定させている。

 

「ゆま、何度やったらわかるんだよ」

「じゃ、じゃあ十代さんがお手本見せてくださいよ!」

 

十代が笑うとゆまが怒ってデッキを差し出す。十代は笑顔でデッキを受け取りシャッフル。手札5枚を引いて、

 

「俺のターン、ドロー!【ヒーローアライブ】発動!来い!【バブルマン】!」

 

ゆまと同じことをしていた。

 

「予想どおりだこの野郎」

「いだっ!」

 

すぐさま用意していた裏拳をお見舞い。だいたいゆまと十代の頭が同じレベルだということが明らかになった。

 

「あはは!十代さんぶたれたー!」

「いてて……ひでぇよ龍斗」

「酷いのはお前らの頭だ」

 

2人揃って同じことするとは……【HERO】使いはみんなこうなのか?

 

「なんで十代もゆまも【強欲なバブルマン】を使いたがる……」

「お兄ちゃん!【バブルマン】は【HERO】だよ!強欲じゃないよ!」

「効果がほぼ【強欲な壺】だから【強欲なバブルマン】なんだよ!」

「ふひゃあ〜ぅ〜!」

 

頭痛くなってくる謎の【先攻アライブバブルマン】問題にゆまのツッコミにイラッとして頬を引っ張ったり、ゆまの唇をくちばしのようにしたりを繰り返した俺は悪くない。

 

「いいかゆま。たしかに手札のアドバンテージは重要だが、【バブルマン】の効果は通常召喚にも特殊召喚にも対応しているぶっ飛んだ効果だ。それに対して【シャドー・ミスト】は特殊召喚にしか対応していない。ここだけ見るとたしかに【バブルマン】の方が優秀に思えるが、【シャドー・ミスト】から持ってくる【マスク・チェンジ】で【ダーク・ロウ】を召喚すれば、カード効果によるデッキ圧縮に制限をかけられるし、墓地を使用することが多いシンクロ召喚の下準備を防げる。場持ちも良いし【バブルマン】を召喚するよりメリットがある」

「え、えっと……?」

 

どこからかはわからないが、この従妹は理解できなかったらしい。

 

「じゃあ、具体的にカードを出して考えてみろ。状況はさっきと同じだ」

「う、うん!」

 

俺が指示してカードを使わせる。

【ヒーローアライブ】……【シャドー・ミスト】……【マスク・チェンジ】と進め、残りは手札によって変更していく。

 

「いきなり【マスク・チェンジ】は使わないの?」

「【シャドー・ミスト】の2つの効果は1ターンにどちらかしか使えないから、先攻ならセットして待つんだ。そして、相手がドローしたら発動するんだ。【ダーク・ロウ】を召喚し、【シャドー・ミスト】でデッキから【HERO】を持ってくる」

「ほぇ〜……」

 

感心しているのはいいけど、なんでゆまはこれができないんだ……?

この調子ではまだまだゆまの特訓は続きそうだ。はぁ…………




次回は特訓の様子を少し見せる感じです。
では、一狩り(という名のキノコ採取)行ってきます。

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