名前だけしか出てこないカードもありますが、ご了承ください。
「校長が?」
キサラとのデュエルに敗北し、いつあのようにデッキがランダムで決定されるかわからないということで【影霊衣】や【シャドール】を常に持ち歩こうと思い調整をしていると、枕田と浜口が窓から俺を呼んできた。なんでも校長が呼んでいるらしい。
「わかった。すぐ行く」
メインデッキはまだほとんど調整する必要が無かったが、エクストラの調整が終わってないので不安はある。それでも戦えないことはないので、念のためデッキを持って校長室へ行くことにしよう。枕田と浜口は『今度は何があるのか興味ある』と言ってついて来るらしい。
校長室に入るとそこには十代に丸藤、万丈目そして大徳寺先生がいた。
「宮田龍斗……!何故貴様がここに……?」
「何故って、呼ばれたからだ」
軽い応酬を挨拶代わりにして校長と向きあう。
「それで校長、何の用です?」
「まさか、またセブンスターズ……」
万丈目の発言に十代は表情を固くし、丸藤はやや心配そうに十代を見る。
枕田と浜口は『何の話?』とひそひそと話している。
「それとは別次元の問題なのにゃー」
大徳寺先生がファラオを撫でながらのんびりした声で話す。
「突然、この学園の買収話が持ち上がってね。この学園の運命が買収相手とウチの代表とのデュエル決まることになったんだ」
買収……というかデュエルか……。
校長はオーナー、つまりは海馬さんのことを『変わった方』と言ってこの買収話でのワンシーンを話してくれた。
買収相手はデュエルに条件を持ちかけたらしい。その条件に海馬さんは『よかろう。未来のロードは己が手で切り開くもの。デュエルアカデミアには貴様に負けるデュエリストなど1人もおらん。貴様がデュエルに勝ったら、学園などくれてやるわ!』と啖呵を切ったらしい。
あの人らしいが、そのデュエルの条件はちゃんと聞いてたんだよな……?
「なら、そのデュエル俺にやらせてくれ!」
「それはできない」
十代がデュエル相手に立候補するが校長は即答でそれを却下。
買収相手はデュエルの相手を既に指名してきているらしい。十代と丸藤、枕田と浜口は状況を察して俺と万丈目を見る。
つまり指名されたのは俺と万丈目ということらしい。
そんな話の最中に電話がなる。校長が大徳寺先生に繋げるように指示すると、壁のディスプレイには……えっと……たしか……
「まさか、買収相手って万丈目グループ!?」
あ、そうか万丈目の兄貴達だ。
あの兄弟は政界、財界、カードゲーム界に君臨し、世界に万丈目帝国を作り上げるという野望を諦めていないらしい。しかし、カードゲーム界担当であった末っ子の万丈目がレッド生の十代に倒されたことで、妥協プランを用意することにしたらしい。
そのプランはデュエルアカデミアを買収し、カードゲーム界へ進出するための足がかりにするというものらしい。
そして万丈目は一番上の兄貴と、俺は二番目を相手するらしい。
「別にデュエルするのは良い。万丈目が相手するというのもどうでもいい。だが何故俺がアンタらの相手をしなくちゃならない?」
「それは貴様が俺達兄弟に恥をかかせたからだ!」
恥?たしかあの兄弟と会ったのは、ノース校との交流試合での1回きり。
何か言ったか?
…………ああ、妄言とか人形遊びとかか?
「…………なんか気にしてたのか?」
「学園を乗っ取るついでに貴様を倒す!無様に這いつくばらせてやるから覚悟しておけ!」
鬼気迫るというような表情で俺を指差す次男。名前は……覚えてない。
しかし、十代と丸藤は万丈目の兄貴2人はデュエルの素人。勝てるわけがないと指摘すると、ハンデとして、相手は以前金にものを言わせて手に入れたカードでデッキを組む。こちらは攻撃力500未満のモンスターでデッキを組めと言う。当然海馬さんは了承済み。
勝負は3日後、最初に長男と万丈目が勝負し、次に俺の番となる。更に俺達のうちどちらかが負ければその時点でデュエルアカデミアは買収されるこのになっている。
「話が終わったなら、帰らせてもらう」
「ちょ、ちょっと待てよ万丈目!」
「俺も失礼します。デッキの作成をしなければならないので」
万丈目が十代とやりとりしている間に校長室を出る。
すると枕田と浜口が追いかけてきた。
「ちょっと龍斗!待ちなさいよ!」
「先ほどチラッと出てきたセブンなんとかってなんですの!?」
「それについては明日香に聞け。あいつが話すかどうかは別として、あいつも知っているからな」
急いで来たのにその話か。
それより攻撃力500未満のモンスターで構築したデッキか……あ、エクストラはどうなんだ?聞いとけば良かったな。まぁいいや。とりあえずメインのみで攻撃力500未満のモンスターで戦うか。【ゴーストリック】……なんで初っ端からロック系……てかアウトだ。聖こ……いや、無理だ。
部屋に戻りアタッシュケースを開ける。しかし攻撃力500未満のカードを見つけても同じカテゴリーのカードが攻撃力500を超えていたりと割と無茶なハンデだ。
「…………あ」
ふと見つけた1枚のカード。たしかコレって……入っていそうなケースを開けては閉めを繰り返すこと十数回。
ようやくお目当てのカードを見つけることができた。
…………これなら、勝てる……と思いたい。とりあえずデッキを作ってみるか。完成したら三沢に相手してもらって終わったら調整しよう。
翌日は三沢に調整を付き合ってもらいつつ、ゆまに『お兄ちゃん、今度の勝負は大丈夫なの!?』と何故か緊張した面持ちで迫られたり、ほとんど話したことのない生徒や先輩に『大丈夫なのか?』と心配されたりしたが、実際のところほぼいつもと変わらない1日だった。
☆
翌日、つまり決戦当日。
デュエルフィールドには生徒教員全員(茂木だっけか?あの【はにわ】使う奴以外……のはず)が音一つ立てずに見守るなか、デュエルアカデミアをかけたデュエル…………の一戦目が終わった。
なんと万丈目は攻撃力0のモンスターだけで、金にものを言わせて手に入れたパラレルレアだらけのデッキに勝利したのだ。しかしバーンダメージではなく、【カオス・ネクロマンサー】を使っての勝利だ。
あのカードは何故か枯れ井戸に3枚も捨てられていたらしい。【魔導雑貨商人】がうまく働いてくれればワンショットkillだってできるのに……解せぬ。
ともかく、次は俺の出番だ。
「さて、万丈目も言っていたことだし。俺も言って置こうか。なんの偶然か、俺のこのデッキも、攻撃力0のモンスターしかいない。もっと言うと、レベル4以下のモンスターが3枚しかない」
「なんだと!?」
なんか周囲から勝つ気がどうのとか聞こえる。三沢、なんか言っといてくれ。
「別に舐めてるわけじゃない。偶然関連カード探して、攻撃力500以上を抜いたらそうなっただけだ」
2種類ほど攻撃力500以上があったが、それ以外全て入ったのが奇跡だと思う。万丈目の兄貴(次男(名前を思い出せない))は気に入らないとでも言いたげな表情でデュエルディスクを構えた。俺も一歩遅れてデュエルディスクを構える。
「「デュエル!」」
万丈目正司
LP4000
VS
宮田龍斗
LP4000
「先攻はくれてやる。アンタの兄貴は負けたからな。負け先ってやつだ」
「舐めた真似を……!私のターン、ドロー!魔法カード【融合】発動!」
…………積み込みを疑いたくなる引きだな。別にいいけど。
「手札の【ロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者ー】と【神龍 ラグナロク】を融合!現れろ!【竜魔人 キングドラグーン】!」
【竜魔人 キングドラグーン】
攻撃表示
ATK2400/DEF1100
フィールドに人の上半身を持つ竜が現れる。さっきも思ったけど、パラレルレアって目がチカチカしてくる。これがホログラだったらどうなるんだ?
「【竜魔人 キングドラグーン】の効果発動!手札から【トライホーン・ドラゴン】を特殊召喚!」
【トライホーン・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2850/DEF2350
「ターンエンド!」
万丈目正司
LP4000
モンスター
【竜魔人 キングドラグーン】:攻
ATK2400
【トライホーン・ドラゴン】:攻
ATK2850
魔・罠
無
手札2枚
「…………俺のターンだな。ドロー!」
今頃明日香あたりがどんなデッキなのか考えているだろう。
「【時械巫女】を特殊召喚!」
【時械巫女】
攻撃表示
ATK0/DEF0
現れたのは機械族な見た目のモンスター。しかしコイツは天使族だ。
「このモンスターは通常召喚できないが、俺のフィールドにモンスターがいなければ、手札から特殊召喚できる」
「だが攻撃力0の雑魚モンスター!それを攻撃表示で召喚するとは!」
いや、コイツの仕事はこれからだし。
「【時械巫女】の効果発動!このモンスターをリリースすることで、デッキから【時械神】モンスターを手札に加える」
「【時械神】……?」
「ああ。この【時械神】達が、お前を倒すモンスターだ。【時械神ミチオン】を手札に加える」
宮田龍斗
手札5枚→6枚
とりあえずコレでいいよな?万丈目の兄貴(次男)はカードを見るとニヤリと笑みを浮かべた。
「私を倒す?攻撃力0で?そのモンスターは最上級モンスターというやつだろう!低レベルモンスター3枚のうち1枚を失った貴様のデッキで、私を倒せるとでも?」
「……所詮素人か。DMにおいて重要なのは攻撃力じゃない。効果だ。【時械神ミチオン】を召喚!」
【時械神ミチオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
俺のフィールドに赤を基調としたボディで、鏡面に人の顔を映したモンスターが現れる。召喚されたモンスターに万丈目の兄貴(次男)は顔を歪ませた。
「バカな!高レベルモンスターの召喚には、生贄が必要なハズ!」
「【時械神ミチオン】は俺のフィールドにモンスターがいない場合、リリース……生贄無しで召喚できる。バトル!【時械神ミチオン】で【竜魔人 キングドラグーン】を攻撃!」
「攻撃力0のモンスターで攻撃だと!?」
【ミチオン】の全身から炎が溢れ、【キングドラグーン】に浴びせられる。しかし【キングドラグーン】に反応は無い。
「攻撃表示の【ミチオン】が戦闘するとき発生する互いへのダメージは0になる」
「だが、貴様のモンスターは破壊される!」
「残念だが、【ミチオン】は戦闘でも効果でも破壊されない」
「なっ、なんだと!?」
【キングドラグーン】が攻撃をしようとするが、【ミチオン】を見たまま動かない。
「メインフェイズ2に移行するんだが、その前に【ミチオン】の効果発動!戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、相手のライフを半分にする」
「私のライフを半分に!?うおぉぉぉ!?」
天から降り注ぐ光がライフを削るエフェクトなんだな。
万丈目正司
LP4000→2000
「では改めてメイン2。カードを1枚セットしてターンエンド!」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神ミチオン】:攻
ATK0
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「くっ……!私が持っていないカードを……」
「アンタが使っているのは発売済みのカード。未発売のカードを使っている相手に、素人が勝つ確率は限りなくゼロに近いだろう」
「未発売のカードだと!?」
「デュエルの条件に『未発売のカードを使ってはならない』とは言われてないからな。I2、KCでテスターの仕事をするついでにアンタの相手をしているにすぎない」
本音を言えば抜くことになったカードも使いたいが、他の機会に使えばいいか。
万丈目の兄貴(次男(略称募集))は顔を歪ませながらターンを開始した。
「……ターン、エンド……」
エンドフェイズまでが一瞬だ。何もしてない。
万丈目正司
LP2000
モンスター
【竜魔人 キングドラグーン】:攻
ATK2400
【トライホーン・ドラゴン】:攻
ATK2850
魔・罠
無
手札3枚
「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、【ミチオン】はデッキに戻る」
【ミチオン】の全身が炎に包まれ、デッキの中に戻っていった。
「手札ではなく、デッキに戻るとは!1ターンしか保たない切り札とは笑わせてくれる!」
「誰が【ミチオン】が切り札と言ったんだか……【時械神ラツィオン】を召喚」
【時械神ラツィオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
【ミチオン】と同じく赤を基調としているが肩……と思われる部分から炎を燃やし、腕を持つモンスターが現れる。
「に、2体目の【時械神】だとぉ!?」
「俺は【時械神】が1体しかいないとは一言も言ってないぞ。この際だから言っておこう。このデッキには9種類もの【時械神】が入っている」
「きゅっ……!?」
何故攻撃力4000なんだ【サンダイオン】……お前がいれば10種揃ったのに……
「【ラツィオン】も【ミチオン】もそうだが、【時械神】は自分のフィールドにモンスターがいなければリリース無しで召喚でき、戦闘・効果で破壊されず、互いに与えられる戦闘ダメージは0になる」
素人や脳筋な連中は無敵とか言いそうだが、【次元幽閉】でなんとかなる。あと【スキルドレイン】。
「……バトル!【ラツィオン】で【キングドラグーン】を攻撃!」
【ラツィオン】が左腕から炎を【キングドラグーン】に浴びせる。だがやはり反応はない。
「バトルフェイズ終了時、【ラツィオン】の効果発動!相手の墓地のカードを全てデッキに戻す」
素人相手には無意味だが、墓地アドさえ与えない。
万丈目の兄貴(次男)は訝しげに墓地のカードをデッキに戻してシャッフルした。
「ターンエンドだ」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神ラツィオン】:攻
ATK0
魔・罠
伏せ1枚
手札4枚
「私のターン、ドロー!」
「相手がドローしたとき【ラツィオン】の効果発動!相手に500ポイントのダメージを与える!」
【ラツィオン】の右手から放られた炎が次男(これで落ち着いてみる)を包んだ。
「くぅっ!」
万丈目正司
LP2000→1500
「【キングドラグーン】の効果発動!現れろ【ダイヤモンド・ドラゴン】!」
【ダイヤモンド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2100/DEF2800
またチカチカしそうなモンスター……一掃したい。
「カードを1枚伏せターンエンド!」
万丈目正司
LP1500
モンスター
【竜魔人 キングドラグーン】:攻
ATK2400
【トライホーン・ドラゴン】:攻
ATK2850
【ダイヤモンド・ドラゴン】:攻
ATK2100
魔・罠
伏せ1枚
手札2枚
このタイミングで特殊召喚とセット……【時械神】切れを狙ってるのか。
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ、【ラツィオン】はデッキに戻る」
炎に包まれ、【ラツィオン】がデッキの中に消える。
「……永続罠【虚無械アイン】を発動。1ターンに1度、手札の【時械神】……【時械神ハイロン】を捨て1枚ドロー」
「【時械神】を捨てるだと!?」
「【ハイロン】は俺のライフが相手より低い場合その数値差分のダメージを与える効果があるが、この状況では無意味だ。【時械巫女】を特殊召喚」
【時械巫女】
攻撃表示
ATK0/DEF0
「【時械巫女】の効果で【時械神メタイオン】を手札に加えて召喚」
【時械神メタイオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
…………今日、炎属性天使族ばかり召喚してるな。
「バトル!【メタイオン】で【キングドラグーン】を攻撃!」
【キングドラグーン】が【メタイオン】の炎に包まれる。
「バトルフェイズ終了時、【メタイオン】の効果を発動。このカード以外のモンスター全てを手札に戻し、戻した枚数1枚につき300ポイントのダメージを与える」
「全てのモンスターを戻すだとぉ!?」
【メタイオン】が放射状に炎を放つと、次男(これで落ち着いてみる)のモンスターを吹き飛ばし、次男を炎が包んだ。
「くぅっ!」
万丈目正司
手札2枚→4枚
LP1500→600
「ターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神メタイオン】:攻
ATK0
魔・罠
【虚無械アイン】
手札4枚
「くそっ!私のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!カードを2枚ドローする!」
万丈目正司
手札4枚→6枚
「【サファイアドラゴン】を召喚!」
【サファイアドラゴン】
攻撃表示
ATK1900/DEF1600
「カードを2枚伏せターンエンド!」
万丈目正司
LP600
モンスター
【サファイアドラゴン】:攻
ATK1900
魔・罠
伏せ3枚
手札3枚
「俺のターン、ドロー!」
「罠発動【砂塵の大竜巻】!貴様の【虚無械アイン】を破壊する!」
突如竜巻が発生し、【虚無械アイン】を吹き飛ばす。
ドローしたカードは【無限械アイン・ソフ】……手札のモンスターは1枚……
「……とりあえずスタンバイフェイズに【メタイオン】はデッキに戻る」
炎が【メタイオン】を包みデッキに戻る。
「【時械神ザフィオン】を召喚!」
【時械神ザフィオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
青を基調とした【時械神】が現れる。
ようやく水属性モンスターを召喚したなぁ。エフェクトが密かに楽しみだ。
「バトル!【ザフィオン】で【サファイアドラゴン】を攻撃!」
【ザフィオン】が左腕から大量の水を出し、【サファイアドラゴン】にぶつける。
「バトルフェイズ終了時、【ザフィオン】の効果発動。相手の魔法・罠カードを全てデッキに戻す」
【ザフィオン】が今度は右腕から出した水を鞭のように操り魔法・罠ゾーンのカードを吹き飛ばした。なんでここだけエフェクト凝ってるんだ……?
「……カードを1枚セットしてターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神ザフィオン】:攻
ATK0
魔・罠
伏せ1枚
手札3枚
「私のターン、ドロー!【スピア・ドラゴン】を召喚!」
【スピア・ドラゴン】
攻撃表示
ATK1900/DEF0
【スピア・ドラゴン】のパラレルレアってあったんだな。こっちだけか?
「ターンエンド!」
万丈目正司
LP600
モンスター
【サファイアドラゴン】:攻
ATK1900
【スピア・ドラゴン】:攻
ATK1900
魔・罠
無
手札3枚
さっきから壁にもならないモンスターばかり。ケリをつけたいが、手札にモンスターがいない。なんとか引き当てたいところではある。
「俺のターン、ドロー!」
…………【虚無械アイン】……だと……!?
「……スタンバイフェイズ、【ザフィオン】をデッキに戻す」
全身を水が包み、デッキに猛烈な勢いで戻す【ザフィオン】。ちょっと衝撃がキツい。
「……カードを1枚セットしてターンエンド」
……このターンの短さ。そして泥試合臭。
宮田龍斗
LP4000
モンスター
無
魔・罠
伏せ2枚
手札3枚
「とうとうモンスターが尽きたか!私のターン!ドロー!【サファイアドラゴン】を生贄に、現れろ【エメラルド・ドラゴン】!」
【エメラルド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2400/DEF1400
あれ?…………ピンチ?……あ。このカード忘れてた
「バトルだ!行けぇ!【エメラルド・ドラゴン】!エメラルド・フレイム!」
「罠発動【女教皇の錫杖】相手モンスターの攻撃を無効にし、500ポイントのダメージを与える。このカードは自分のフィールドにモンスターがいない場合、手札から発動できる」
「て、手札から罠だとぉ!?」
手札から【女教皇の錫杖】をデュエルディスクに差し込むと、【エメラルド・ドラゴン】の攻撃が矢の形になり次男の肩に突き刺さる。
「ぐぅぅっ!」
万丈目正司
LP600→100
さて、ここで止まってくれるとありがたいんだが……
「まだだ!【スピア・ドラゴン】でダイレクトアタック!ドラゴン・スクリュー!」
【スピア・ドラゴン】がブレス攻撃をしてくる。
「…………っ!」
宮田龍斗
LP4000→2100
「さっきまでの威勢はどうした!【時械神】とやらがいなければその程度か!」
相手の残りライフは100。アニメ的な展開だと俺は負けるんだよなぁ……たぶん。
「ふん!だんまりか!私はこれでターンエンド!」
万丈目正司
LP100
モンスター
【エメラルド・ドラゴン】:攻
ATK2400
【スピア・ドラゴン】:攻
ATK1900
魔・罠
無
手札3枚
「……俺のターン、ドロー!」
……【ガブリオン】……これじゃあ勝てない……
「罠発動【虚無械アイン】。効果で【時械神ガブリオン】を捨てて1枚ドロー」
…………微妙…………だが無いよりはマシか。
「【時械神サディオン】を召喚!」
【時械神サディオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
召喚されたのは緑を基調とした【時械神】。
「バトル!【サディオン】で【エメラルド・ドラゴン】を攻撃!」
【サディオン】が【エメラルド・ドラゴン】に突風をぶつけるが、【エメラルド・ドラゴン】は微動だにしない。
「バトルフェイズ終了時に【サディオン】の効果発動!俺のライフが4000より低い場合、俺のライフを4000にする」
【サディオン】から緑色の粒子が降り注ぐ。
宮田龍斗
LP2100→4000
「ターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神サディオン】:攻
ATK0
魔・罠
【虚無械アイン】
伏せ1枚
手札2枚
「私のターン、ドロー!……【天よりの宝札】互いの手札が6枚になるようにドローする!」
ここで【天よりの宝札】……なかなか引きがいいな。……【ミチオン】……【無限光アイン・ソフ・オウル】……【女教皇の錫杖】……
宮田龍斗
手札2枚→6枚
万丈目正司
手札3枚→6枚
「……チッ!カードを2枚伏せ、ターンエンド!」
「ならエンド前に【虚無械アイン】を墓地に送り永続罠【無限械アイン・ソフ】を発動!相手ターンに1度手札の【時械神】……【時械神ミチオン】を捨てて2枚ドロー!」
宮田龍斗
手札5枚→7枚
万丈目正司
LP100
モンスター
【エメラルド・ドラゴン】:攻
ATK2400
【スピア・ドラゴン】:攻
ATK1900
魔・罠
伏せ2枚
手札4枚
手札6枚あってモンスターを召喚せずに2枚セットしただけ……事故ってるのか……?
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【サディオン】はデッキに戻る」
【サディオン】を突風が包み、思わず顔を腕で覆うと一瞬で姿を消した。
「【時械神カミオン】を召喚!」
【時械神カミオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
前のターンまで召喚された【時械神】とは異なり、重厚感のある茶色や黒のボディの【時械神】が現れる。
「バトル!【カミオン】で【スピア・ドラゴン】を攻撃!」
【カミオン】が【スピア・ドラゴン】に幾つもの岩を落とすが、ブレス攻撃に全て弾かれる。
「バトルフェイズ終了時、【カミオン】の効果発動!相手モンスターをデッキに戻し、500ポイントのダメージを与える。【スピア・ドラゴン】を戻してもらおうか」
「まだだ!まだ私は負けていない!速攻魔法【神秘の中華鍋】!」
……何故そのカードを持っている……それノーマルじゃないか。お前のデッキはパラレルレアデッキだろ?
「【スピア・ドラゴン】を生贄に、その攻撃力1900を私のライフに加える!」
【スピア・ドラゴン】が特大の中華鍋に放られ調理され、光の粒となって次男のライフに変わった。
万丈目正司
LP100→2000
直後、【カミオン】が土砂を落とす。
「ぐっ!デッキに戻ってなくてもダメージか……!」
万丈目正司
LP2000→1500
「カードを1枚セットしてターンエンド!」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【時械神カミオン】:攻
ATK0
魔・罠
【無限械アイン・ソフ】
伏せ1枚
手札6枚
「私のターン……ドロー!【天使の施し】!カードを3枚ドローして2枚捨てる!……【融合】を発動!手札の【サファイアドラゴン】、【ダイヤモンドドラゴン】、【神龍 ラグナロク】、【トライホーン・ドラゴン】、そしてフィールドの【エメラルド・ドラゴン】を融合!現れろ!【
【F・G・D】
攻撃表示
ATK5000/DEF5000
め、目がチカチカする……!デカいし光ってるしで処理とは別の意味で面倒くせぇ……
「更にリバースカードオープン!【リビングデッドの呼び声】!蘇れ【トライホーン・ドラゴン】!」
【トライホーン・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2850/DEF2350
……何故このタイミング?まぁいいか。
「ターンエンド!」
「エンド前に【無限械アイン・ソフ】を墓地に送り【無限光アイン・ソフ・オウル】を発動!相手ターンに1度、手札の【時械神】……【時械神ラツィオン】を捨てて2枚ドロー!」
宮田龍斗
手札5枚→7枚
万丈目正司
LP1500
モンスター
【F・G・D】:攻
ATK5000
【トライホーン・ドラゴン】:攻
ATK2850
魔・罠
【リビングデッドの呼び声】《トライホーン・ドラゴン》
手札0枚
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに【カミオン】はデッキに戻るんだが、【無限光アイン・ソフ・オウル】の効果で【時械神】はデッキに戻らない」
「な、なんだと!?戦闘でも効果でも破壊されないモンスターがフィールドに留まり続けというのか!?」
なんか絶望してるけど、【次元幽閉】も【スキルドレイン】も入れてないお前が悪い。
「メインフェイズ、【無限光アイン・ソフ・オウル】の効果発動!さっきコストで墓地に送った【無限械アイン・ソフ】も同じ効果があってな。自分のターンに1度、手札の【時械神】を特殊召喚できる。現れろ【時械神ラフィオン】!」
【時械神ラフィオン】
攻撃表示
ATK0/DEF0
「じ、【時械神】が……2体……!」
「バトル!【ラフィオン】で【F・G・D】を攻撃!」
【ラフィオン】が【F・G・D】に竜巻をぶつけるが、【F・G・D】は微動だにしない。
「【ラフィオン】の効果発動!相手モンスターと戦闘したダメージステップ終了時にそのモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
「こ、攻撃力分だと!?」
【ラフィオン】が次男の足下から竜巻を起こして吹き飛ばす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
万丈目正司
LP1500→-3500
☆
一時間後、万丈目兄弟は大人しく帰っていった。
帰るまで長男の方が万丈目に何か言っていたらしいが興味ないので聞いてない。
「ゆま、そろそろ帰れ」
「も、もう一回!今度こそ勝つんだから!」
デュエルのあと、ゆまは俺の【時械神】に挑んできてる。しかし、今回は【サンダイオン】に加え【究極時械神セフィロン】も投入したデッキだ。ゆまのプレイングの甘さもあって割と瞬殺できる。
「だからなんで先攻1ターン目に【ヒーローアライブ】で【バブルマン】を攻撃表示で召喚するんだよ。【シャドー・ミスト】から【マスク・チェンジ】で【ダーク・ロウ】の方がいいだろ」
「あ、そっか!」
「…………」
頭痛くなってきた……
はい、万丈目正司さんとのデュエルでしたー。
次回はゆまの弱点(?)が明らかになるような気がしなくもないです。