衝動のままに決闘する   作:アルス@大罪

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特に書くことがない……本編へどうぞ


墓守 VS.墓守の大神官

大徳寺先生による爆発の授業……正確には錬金術の授業。現在98%ほどの確率で爆発するので俺は内心そう呼んでいる。因みに残る2%は最初の授業だ。話がズレてきてるか?とにかくその爆発の授業でいつも通り爆発を起こして授業を終えた。昼飯にしようとしたところでプリントを配られた。今度の日曜に課外授業で島にある古代遺跡でピクニックを計画しているらしい。参加は自由とのこと。

 

「お兄ちゃん、ピクニックだって」

「そうだな。ただ参加自由ってことは代休は無いんだよなぁ……」

 

自由な時間を失うことになる。のんびりデッキを組む時間を失うのは困る。ダークシンクロモンスターのデッキが思うように組めないから少しでも時間が欲しいんだが……

 

「お兄ちゃん、行こうよピクニック!」

 

予想通りの言葉に拒否したくなるんだが、多分拒否したらしたで面倒なことになるんだろう。ゆまが勝手にどっか行って大徳寺先生他数名に迷惑をかけたり……仕方がないか……はぁ……

 

「仕方ない、行ってやる」

「……っ!ありがとうお兄ちゃん!」

 

感謝の言葉とともに抱きつかれた。一瞬殺気のようなものを感じたのは気のせいじゃないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、皆さん今日は集まってくれてどうもありがとにゃー」

「皆って言っても6人だけじゃないッスか」

 

日曜、校舎前の一角で集合した。参加したのは前田、丸藤、十代、明日香、ゆま、そして俺の6人。前田曰く、これから行く古代遺跡は火山の近くにあって、普段は立ち入り禁止らしい。

 

「にしても、俺達はオシリス・レッドの義理があるけど、龍斗達まで来るとはな」

「あの遺跡は曰く付きなのよ。闇のデュエルと関係があるって言われてるの」

 

闇のデュエル……

 

「お前の兄さんの失踪と何か関係があるのか?」

「それは、わからないけどね」

 

俺の質問に苦笑気味に答える明日香。

 

「で、龍斗はどうして参加したの?」

「ゆまが勝手に何処か行かないようにだ」

「思い出作りじゃないの!?」

 

意味がわからん。俺はお前が初めて外に出た仔犬のように駆け回って迷子になるなんてことが起きないように来ただけだ。大徳寺先生の咳払いによって全員が注目する。PDAに内蔵されている地図を見ながら解説するようだ。

 

「この古代遺跡は、『古代人のお墓』と言われているのにゃ」

 

こんな島に墓……?来るのに苦労しそうだな。それに万が一火山が噴火したら溶岩の熱で溶けそうだ。いや、でも写真を見る限り溶けたりしてない。つまりあの火山はそこまで派手に活動してない?

 

「さぁ、出発するのにゃー!」

 

大徳寺先生の掛け声に十代とゆまが『おーっ!』と元気よく答えた。

校舎の反対側に遺跡があり、校舎の裏は山が邪魔しているので少し遠回りして行くルートだ。

岩を積み上げたような道はゆまを引っ張り上げながら進み、川の上にとりあえず置いただけの丸太は前田がビビって思わぬ時間をくい、へばった前田を俺と十代が肩を貸してと異常に体力を消費したがなんとか遺跡の入口と思われる場所に到着。この先には古代のデュエルフィールドの遺跡やら墓の遺跡があると大徳寺先生は言っていた。

…………なんで大徳寺先生はそんなに元気なんだ?生徒はクタクタなのに。

 

「先生、探検の前に飯にしようぜ!」

「しょうがないにゃー。じゃ、ここでお昼にするのにゃ」

 

体力使って腹ぺこなのかほぼ全員が賛成した反対……というか返事がないのは俺だけだ。ゆまを引っ張り上げたり前田に肩貸したりと返事する気力もない。前田のやつ、重すぎだろ。

黙々とシートを広げる。

 

「はい、お兄ちゃんのお弁当」

「ん。ありがとう」

 

ゆまがリュックから出した弁当を受け取る。俺が家事全般できないのを知ってるからか、ゆまが弁当を用意してくれたのだ。移動する際は俺がそのリュックを持つわけだが、見た目が悪い弁当を作るくらいなら荷物持ちくらいはするさ。

 

「…………今龍斗君に殺意が沸いたッス」

「たしかに、ちょっと羨ましいんだなあ」

 

丸藤と前田の発言は聞かなかったことにしつつ弁当を開ける。

 

「先生はトメさんが作ってくれたお弁当にゃー」

 

大徳寺先生の発言に丸藤達の意識がシフトした。『分けろ』と喚くも大徳寺先生はこれを拒否。いそいそとリュックから取り出したのは……猫のファラオだった。どうやら大徳寺先生の弁当を食べてしまったようだ。その証拠に口の周りに米がついてる。

 

「せ、先生にも弁当分けてほしいのにゃー」

「嫌なのにゃ!先生に分ける弁当はないのにゃ!」

 

泣きながら十代達に弁当を分けてもらおうとするが、十代が先生の口癖をマネながら要望を拒否。更には全員で似たような顔をしている。

 

「ぅぅ……み、宮田君……」

「俺達くらいの年頃は良く食べるのをご存知でしょう?米一粒足りとも分けません」

 

十代達のように先生のマネなどせずシンプルに一蹴。ゆまの作った弁当に舌鼓をうっていると俺達の周りに幾つかの光が地面から細い柱のように出てきた。…………急いで弁当を回収すると光の柱が広がって周囲を包んだ。

光が収まり、周囲の様子を確認していると、前田があるものに気付いた。

太陽が3つに増え、空はオーロラのように7色で模様を変えている。

 

「こんな自然現象、見たこと無いんだなあ」

 

自然現象?んなバカなことがあるか。ほぼ間違いなくさっきの光が原因だろう。すぐに空が雷のような音とともに光った。

 

「皆、遺跡の中へ逃げるのにゃー!」

 

全員で遺跡の中へ。と思ったら十代だけが外に残っていた。

 

「十代!?」

「俺は大丈夫だ。皆はそこにいてくれ!」

 

十代はそれだけ言って来た道を戻った。あのバカ……!

 

「ゆま、ここにいろ。すぐに戻る」

「お、お兄ちゃん!?」

「先生、ゆまを頼みます」

 

ゆまを先生に任せて十代を追う。

しかし、十代に追いつく前に俺は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……気を失っていたらしい。目を開け周囲を見ると森の中だった。

…………森?遺跡の中にいたはずだ。だが森は森でもすぐ近くに建物がある位置らしい。駆け寄ってみると建物はピラミッドのようだ。

…………さっきの光が原因?それとも夢?とりあえず前者と想定して動くか。

ピラミッドってたしかエジプト王家の墓だったか?だとすると近付くのは危険か?ならどうする?ここで先生達が来るのを待つか?いや、来る保証がない。ならば行動だ。森の木々に姿を隠しながら移動しようとすると、見慣れた赤服を着たクラゲ頭が。しかも奴はピラミッドに数歩という超至近距離にいやがった。そしてクラゲ頭こと十代は羽の生えた毛玉……恐らく【ハネクリボー】とじゃれあっていた。

 

「何してるんだアイツ……?」

 

入口と思われるアーチの方向から十代に近付く黒づくめの女。十代は女と少し喋ると女が何かに気付いて十代の腕を引っ張り、階段の影に身を潜めた。するとアーチから槍を持った黒づくめが数名の男がピラミッド内部に入っていった。十代は女に何かを訴えると女とともにピラミッド内部へ。……ここは合流するか。

 

「十代」

「っ!龍斗!無事だったのか!」

 

十代に駆け寄って合流。十代の話では前田達が捕まっているらしい。ピラミッド内部の一角で女は俺達にここで待つように言ってきた。十代は早く前田を助けたいと言って抗議するが、女は墓の中は広く、闇雲に動けば衛兵に捕まると言って納得させた。

女と別れ俺達は待機するが、十代は5分ともたずに限界がきていた。

十代が喚いているとどこかから大徳寺先生のものと思われる声が聞こえた。

十代が窓のような場所に飛びつき外を見ると大徳寺先生達がいたらしい。

 

「っ!?十代!」

 

十代の声に紛れて聞こえなかったのか急に槍を持った男達と髭面の男が現れた。男達は俺達を槍で牽制しながら囲んだ。

 

「俺遊城十代!仲間を返してくれ!」

 

引きつった笑顔で要求する十代。しかし誰も十代に返答しない。十代が言葉が通じないと思っていると。

 

「お前達の言葉はわかる。今までにも、お前達の世界からやってきた者がいた」

 

髭面の男が返答した。『お前達の世界』……ここは異世界ということか?それなら景色の急な変化も理解できるが……十代はならばと自分達を元の世界に返してくれと更に要求する。

 

「それはできない。お前達は『墓荒らし』として処刑される」

 

しかし男は十代の要求を全面的に拒否。それどころか俺達を処刑すると言いだした。十代は槍を僅かに逸らして『墓荒らしじゃない』と否定するも問答無用と無言で再び槍を向けられる。

 

「今までにも処刑を逃れたる者が今までも1人いた。それには儂と試練の儀式を行い、勝たねばならない」

 

試練の儀式?すると男は懐から見慣れた物を出してこちらに見せた。

 

「それは、DM!?」

 

十代は男が出した物がDMのカードだとわかると試練の儀式を受けることを告げる。先程別れた女から受け取ったリュックからデュエルディスクを取り出す。

 

「勇気ある若者だな。負ければミイラにされるというのに」

 

まさかの負ければミイラ発言。いや、負けたときの代償くらいはあると思ってたけど、まさかミイラとは……

 

「十代、俺もやる」

 

俺もデュエルディスクを取り出して構えると、

 

「ならばその少年は私が相手しよう」

 

声とともに男達の背後から、黒い犬のような面をした男が現れた。

 

「っ!貴様……ここは神聖な場!貴様のような余所者が来ていい場所ではない!」

「余所者?同じ【墓守】の一族ではないか」

「貴様らのようなものを【墓守】の一族と認めた覚えはない!」

 

面の男は嘲笑うように髭面の男の言葉を一蹴。どうやら一族間でもいざこざがあるようだ。

 

「誰が相手でもいい。早く試練の儀式とやらをやらせろ」

 

早くケリをつけてゆまを助けないと。男達によって儀式場に連れて行かれる。下には包帯でぐるぐる巻きにされ、棺桶に入れられたゆま達がいた。

 

「待ってろ。すぐに助ける」

 

小さく呟いて面の男と対峙する。

 

「デュエル!」

「儀式開始」

 

墓守の大神官

LP4000

 

VS

 

宮田龍斗

LP4000

 

デュエルが始まったと思ったら、奴は部下と思われる連中によって用意された玉座に腰掛けた。

 

「デュエルディスクを使うのに座るのか」

「これが私のやり方だ。私は裁く側、貴様は裁かれる側。立場の違いがよくわかるだろう?」

 

薄く笑みを浮かべて奴はこちらを見た。

『試練の儀式』というよりただの『裁判』という方が正しいようにも思える。勝てば全員生還。負ければ俺はミイラ、ゆま達は生き埋め……

 

「先攻は私がもらう。ドロー。手札の【墓守の司令官】を捨て効果発動。デッキから【王家の眠る谷ーネクロバレー】を手札に加え、発動。」

 

フィールドが夕焼けに染まる谷へ姿を変える。

 

「モンスターを裏守備表示で召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

裏守備1枚

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札3枚

 

【ネクロバレー】……たしか墓地に影響する効果が使えなくなる効果があったな。先に処理したいところだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

しかし手札に除去できるカードが無い。なら攻めていく!

 

「このカードは自分フィールドにモンスターがいない場合、手札から特殊召喚できる!【SR(スピードロイド)ベイゴマックス】を特殊召喚!」

 

【SRベイゴマックス】

攻撃表示

ATK1200/DEF600

 

俺の場にベーゴマが連なったモンスターが現れる。

 

「【SRベイゴマックス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから【ベイゴマックス】以外の【スピードロイド】を手札に加える!【SR三つ目のダイス】を手札に加え、召喚!」

 

【SR三つ目のダイス】

攻撃表示

ATK300/DEF1500

 

「レベル3の【ベイゴマックス】にレベル3の【三つ目のダイス】をチューニング!

十文字の姿持つ魔剣。全ての敵を切り裂く力を俺に!シンクロ召喚!現れろ!レベル6!【H(ハイ)SR魔剣ダーマ】!」

 

【HSR魔剣ダーマ】

攻撃表示

ATK2200/DEF1600

 

「ほう……面白いモンスターを使うな。だが無駄だ。罠発動【奈落の落とし穴】。相手が攻撃力1500以上のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚したとき、そのモンスターを破壊し、除外する」

 

本体より大きな剣が特徴のモンスターが現れるも、真下に現れた穴に落ちていった。

 

「くっ……カードを1枚セット。ターンエンド」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札4枚

 

「私のターン。反転召喚【墓守の偵察者】」

 

【墓守の偵察者】

攻撃表示

ATK1200/DEF2000

 

出てきたのは黒のターバンに先程の槍を持った男達と同じような黒い上着を着た男。

 

「【墓守の偵察者】のリバース効果発動。デッキから攻撃力1500以下の【墓守】と名のつくモンスターを特殊召喚する。【墓守の祈祷師】を特殊召喚」

 

【墓守の祈祷師】

攻撃表示

ATK1500/DEF1500

 

青い玉をつけた杖を持った、白装束の女が姿を現した。

 

「このカードの守備力は墓地の【墓守】と名のつくモンスター1体につき200ポイントアップする。更にこのモンスターがいる限り、【墓守】と名のつくモンスター以外の墓地で発動するモンスター効果は無効となり、【ネクロバレー】が発動している限り貴様はフィールド魔法を発動できず、フィールド魔法は貴様のカードの効果では破壊されない」

 

【墓守の祈祷師】

DEF1500→DEF1700

 

これで、墓地が使えなくなったってことか……

 

「更に私達【墓守】の一族はここ【ネクロバレー】でさらなる力を得る。【ネクロバレー】の効果、フィールドにいる【墓守】と名のつくモンスターは攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

【墓守の偵察者】

ATK1200/DEF2000→ATK1700/DEF2500

 

【墓守の祈祷師】

ATK1500/DEF1700→ATK2000/DEF2200

 

「更に【墓守の末裔】を召喚」

 

【墓守の末裔】

攻撃表示

ATK1500/DEF1200→ATK2000/DEF1700

 

現れたのは黒づくめで金髪の若い男。

総攻撃力が俺のライフを超えた……墓地の【三つ目のダイス】も使えない……突如下からゆまの悲鳴が聞こえた。見てみると、僅かだが、棺桶の蓋が閉まっている。

 

「ほう、長が攻撃したのか」

 

奴の言葉に十代のデュエルの様子をみる。

 

墓守の長

LP4000

モンスター

【墓守の番兵】:攻

ATK1000

【墓守の長槍兵】:攻

ATK1500

魔・罠

手札5枚

 

VS

 

遊城十代

LP1500

モンスター

魔・罠

伏せ1枚

手札7枚

 

「貴様達のライフが減るたびに、あそこにいる者達の棺は閉じていく」

 

っ!ダメージを受ければゆま達が……

 

「【墓守の末裔】の効果発動。フィールドにいる自身以外の【墓守】と名のつくモンスターを生贄に貴様のフィールドのカード1枚を破壊する。【墓守の偵察者】を生贄に」

 

【墓守の末裔】が呪文を唱えると【墓守の偵察者】が胸を押さえ苦しみだした。【墓守の偵察者】から青白い何かが飛び出し、【ミラーフォース】が破壊された。

 

【墓守の祈祷師】

DEF2200→DEF2400

 

「大口を叩いた割にはあっけないな。バトル。【墓守の祈祷師】、【墓守の末裔】でダイレクトアタック」

「相手モンスターがダイレクトアタックするとき、このカードを攻撃表示で特殊召喚し、相手の表側表示モンスターを全て守備表示にする!【SRメンコート】を手札から特殊召喚!」

 

【SRメンコート】

攻撃表示

ATK100/DEF2000

 

上空から【メンコート】が落ちてきて、風圧によって奴のモンスター全てが守備表示になった。

 

【墓守の祈祷師】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF2400

 

【墓守の末裔】

攻撃表示→守備表示

ATK2000→DEF1700

 

「フッ……よく躱したな。私はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

【墓守の祈祷師】:守

DEF2400

【墓守の末裔】:守

DEF1700

魔・罠

伏せ1枚

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!……【大嵐】を発動!【ネクロバレー】は破壊できなくても、そのリバースカードを破壊はされる!」

 

現れた竜巻によって【ネクロバレーの王墓】が破壊される。

 

「チューナーモンスター【SR赤目のダイス】を召喚!」

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

周囲に6個の小さな赤い球を浮かべたサイコロが姿を見せる。

 

「【赤目のダイス】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功したとき、【赤目のダイス】以外の【スピードロイド】1体のレベルを1から6までの好きな数値に変更できる!【メンコート】のレベルを4から6に変更!」

 

【赤目のダイス】の周囲に浮かんでいる赤い球が全て【メンコート】を包む。

 

【SRメンコート】

レベル4→6

 

「レベル6となった【SRメンコート】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ!レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

ミントグリーンの翼を持つ白い龍がフィールドに現れた。

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「バトル!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】で【墓守の祈祷師】を攻撃!旋風のヘルダイブスラッシャー!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】が風を纏って【墓守の祈祷師】に突撃した。

 

「ターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP4000

モンスター

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】:攻

ATK2500

魔・罠

手札3枚

 

「私のターン。【墓守の末裔】を生贄に私自身、【墓守の大神官】を召喚する。せっかくの儀式だ、私自身が戦場に出よう」

 

【墓守の大神官】

攻撃表示

ATK2000/DEF1800

 

「私のレベルは8だが、【墓守】と名のつくモンスター1体を生贄に召喚できる。更に私の攻撃力は墓地の【墓守】と名のつくモンスター1体につき200ポイントアップする。私の墓地の【墓守】と名のつくモンスターは3体、よって600ポイントアップだ。更に【ネクロバレー】の恩恵を受ける」

 

【墓守の大神官】

ATK2000/DEF1800→ATK3100/DEF2300

 

「バトル。【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】を攻撃」

 

【墓守の大神官】が杖を軽く上げ、そのまま地面を突くと、突如【クリアウィング】が破壊された。

 

「チィッ……!」

 

宮田龍斗

LP4000→3400

 

ダメージは僅か600だが、それでもゆま達が入れられている棺桶の蓋は閉じているのだろう。こちらからはほとんど変化が無いように見えるが、それでも声が聞こえる。

 

「ターンエンド」

 

墓守の大神官

LP4000

モンスター

【墓守の大神官】:攻

ATK3100

魔・罠

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札2枚

 

「俺のターン、ドロー!【俊足なカバ バリキテリウム】を特殊召喚!」

 

俺の背後から後ろ足にだけ靴を履いた妙な格好のカバが現れた。

 

【俊足なカバ バリキテリウム】

攻撃表示

ATK1600/DEF600

 

「このカードは1ターンに1度手札から特殊召喚できる。そしてこの方法で特殊召喚に成功したとき、相手は自分か相手の墓地からレベル4モンスターを特殊召喚できる。しかし、【ネクロバレー】によってこの効果は無効になる」

「だが、そんなモンスターでは私を倒すことはできんぞ」

「まだだ!【SRシェイブー・メラン】を召喚!」

 

【SRシェイブー・メラン】

攻撃表示

ATK2000/DEF0

 

「俺はレベル4の【バリキテリウム】と【シェイブー・メラン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!

人の知識を得て、更なる力で雲を裂け!エクシーズ召喚!撃ち抜け!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

【鳥銃士カステル】

攻撃表示

ATK2000/DEF1500

 

「【鳥銃士カステル】の効果発動!1ターンに1度、2つの効果の中から、どちらか1つを使うことができる!俺は2つ目の効果でORUを2つ使い、このカード以外の表側表示のカード1枚をデッキに戻す!【墓守の大神官】をデッキに戻す!」

「なんだと!?」

 

【カステル】は手に持っていた長銃を何故か上に放った。銃口が【墓守の大神官】に向いた途端に独りでに銃が発砲。そして【カステル】の手元に戻った。

 

「バトル!【カステル】でダイレクトアタック!」

 

今度はしっかりと持って発砲。

 

「ぐっ……!」

 

墓守の大神官

LP4000→2000

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

宮田龍斗

LP3400

モンスター

【鳥銃士カステル】:攻

ATK2000

魔・罠

伏せ1枚

手札1枚

 

「やってくれるな……私のターン。……フッ。【墓守の召喚師】を召喚」

 

【墓守の召喚師】

攻撃表示

ATK1200/DEF1500→ATK1700/DEF2000

 

現れたのは頭部に独特のペイントをした男。

 

「更に速攻魔法【ディメンション・マジック】発動。私のフィールドに魔法使い族モンスターがいる場合、私のフィールドのモンスターを生贄に捧げ、手札の魔法使い族モンスターを特殊召喚する。私は再度私自身を召喚する」

 

【墓守の大神官】

攻撃表示

ATK2000/DEF1800→ATK3300/DEF2300

 

「【ディメンション・マジック】のさらなる効果で【鳥銃士カステル】を破壊」

 

足下から現れた棺に【カステル】が取り込まれ、そのまま消滅した。

 

「更に【墓守の召喚師】の効果発動。このカードが私のフィールドから墓地に送られたとき、デッキから守備力1500以下の【墓守】と名のつくモンスターを手札に加える。【墓守の末裔】を手札に」

 

墓守の大神官

手札0枚→1枚

 

「バトル。私でダイレクトアタック」

 

墓守の大神官が杖で地面を突くと、足下に魔方陣が現れ、俺を衝撃が襲った。

 

「ぐっ!?……ああぁぁぁ!!」

 

宮田龍斗

LP3400→100

 

こ、この衝撃は……?ソリッドヴィジョンじゃない……?十代はこれをいきなり喰らってたのか……。いや、俺のことよりゆま達は……ぼやける視界の中、薄っすらと棺が見えた。しかし、ほぼ完全に閉じている。頭を振ってなんとか視界を回復させる。

 

「ふふ……ターンエンドだ」

 

墓守の大神官

LP2000

モンスター

【墓守の大神官】:攻

ATK3300

魔・罠

フィールド

【王家の眠る谷ーネクロバレー】

手札1枚

 

「俺の……ターン……ドロー!……!【サイクロン】を発動!このフィールドを破壊する!」

 

風が吹き荒れ、ガラスが割れた様な音とともにフィールドが破壊された。

 

【墓守の大神官】

ATK3300/DEF2300→ATK2800/DEF1800

 

「【貪欲な壺】を発動!墓地の

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

【鳥銃士カステル】

【SRシェイブー・メラン】

【SRメンコート】

【俊足なカバ バリキテリウム】をデッキに戻し2枚ドロー!」

 

宮田龍斗

手札0枚→2枚

 

「【SRダブルヨーヨー】を召喚!」

 

数枚の刃をつけた2つのタイヤ(名前からしてヨーヨー)を持つ機械が現れる。

 

【SRダブルヨーヨー】

攻撃表示

ATK1400/DEF1400

 

「【ダブルヨーヨー】は召喚に成功したとき、墓地のレベル3の【スピードロイドを特殊召喚する!【SRベイゴマックス】を特殊召喚!」

 

【ダブルヨーヨー】が片方のヨーヨーを俺のデュエルディスクの墓地の部分に突っ込み、【ベイゴマックス】を引っ張りだした。

 

【SRベイゴマックス】

攻撃表示

ATK1200/DEF600

 

「【ベイゴマックス】の効果でデッキから【SRタケトンボーグ】を手札に加える!」

 

宮田龍斗

手札1枚→2枚

 

「【SRタケトンボーグ】は、俺のフィールドに風属性モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!」

 

次に召喚したのは腕と脚が妙に薄いロボット。

 

【SRタケトンボーグ】

攻撃表示

ATK600/DEF1200

 

「【タケトンボーグ】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【スピードロイド】チューナーを特殊召喚する!【SR赤目のダイス】を特殊召喚!」

 

【タケトンボーグ】が竹とんぼの姿に変形し空高く飛んでいくと、空から【赤目のダイス】が落ちてきた。

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【赤目のダイス】の効果で【ダブルヨーヨー】のレベルを2にする!」

 

【赤目のダイス】の周りの赤い球2つが【ダブルヨーヨー】を包む。

 

【SRダブルヨーヨー】

レベル4→2

 

「レベル2となった【ダブルヨーヨー】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

来たれ!全てを無に帰す霞鳥!シンクロ召喚!飛べ!レベル3!【霞鳥クラウソラス】!」

 

緑と紫、2色の羽を持つ鳥が現れる。

 

【霞鳥クラウソラス】

守備表示

ATK0/DEF2300

 

「レベル3。攻撃力0……手間をかけた割に貧弱なモンスター……」

 

墓守の大神官は何か考えてるが無視して続ける。このターンで決める!

 

「【クラウソラス】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスターの攻撃力を0にし、効果を無効にする!フェザー・イリュージョン!」

 

【クラウソラス】が羽を散らしながら墓守の大神官の周囲を飛んだ。

 

「えぇい!鬱陶しい!」

 

【墓守の大神官】

ATK2800→ATK0

 

「リバースカード【リビングデッドの呼び声】!墓地から【赤目のダイス】を特殊召喚!」

 

【SR赤目のダイス】

攻撃表示

ATK100/DEF100

 

「【赤目のダイス】の効果で【ベイゴマックス】のレベルを6にする!」

 

【SRベイゴマックス】

レベル3→6

 

「これは……まさか……!」

「レベル6となった【ベイゴマックス】にレベル1の【赤目のダイス】をチューニング!

その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ!レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「バトル!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】で【墓守の大神官】を攻撃!旋風の……ヘルダイブスラッシャー!!」

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】が墓守の大神官に風を纏って突進した。

 

「ぐおぉぉぉぉおおぉ!!」

 

墓守の大神官

LP2000→-500

 

墓守の大神官と長によってゆま達を解放してもらった直後、ゆまが泣きながら抱きついてきたので慰めることに。

 

「ぅぅ……ぐすっ……怖かったよぉ……」

「はいはいはいはい」

 

子供をあやすようにぽんぽんと背中を叩き、頭を撫でる。

 

「龍斗、こっちだ!」

 

話が終わったのか俺とゆまを先導してくれる十代。……首からペンダントのような何かをぶら下げているのは無視しよう。

アーチをくぐると俺達はこちらに来る前のものと同じ光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと元いた遺跡だった。ゆまは俺を抱き枕にして幸せそうに寝ている。

 

「むにゃ……お兄ちゃん……」

「おっ、起きたのか龍斗!」

「しーっ!静かにしろ」

 

通常のボリュームで話しかけてくる十代に口の前で指を立てて静かにさせる。とりあえずいろいろ状況を確認したい。

あの出来事は夢だったのか?いやしかしあの衝撃もそうだが、こんなところで眠ろうとした記憶がない。それに、

 

「ん?どうかしたのか?」

 

俺の声を無視してやはり通常のボリュームで話す十代の首から妙なデザインのペンダント……のような何かがぶら下がっている。あんなのはここに来る前にはなかったはず。それにあの場所から戻る前に十代はたしかにあのペンダントモドキをぶら下げていた。つまり現実だった。

…………今度から大徳寺先生の課外授業にゆまを参加させるのはなんとしてもやめさせよう。




次回はようやくセブンスターズ編です。ここまで長かった……

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