「それでお兄ちゃん、使うデッキは決まったの?」
「ああ……さっき三沢に協力してもらって決めた」
「あんな方法で決めてよかったのか?」
馬鹿野郎。そんなこと言ったらゆまが絡んでくるだろ。
交流試合当日、港で相手であるノース校代表が来るのを待っている中ゆまに使うデッキについて聞かれた。
「あんな方法?どんな方法で決めたの?」
「適当にデッキケースをシャッフルして龍斗が中身を見ることなくケースを選ぶだけだ」
「お兄ちゃん……」
なんかゆまに可哀想な奴を見る目で見られた。仕方ないだろ、結局決まらなかったんだ。だったらルーレット風に決めるしかない。しかし俺の考えなどわかるはずもなく、ゆま以外の面々にも同じような目で見られた。
なんとなく居心地が悪くなるがそれもすぐにおさまった。ノース校代表とその応援団が潜水艦でやってきたからだ。
ノース校の校長(市ノ瀬という名前らしい)と鮫島校長が挨拶をしていると十代が割り込んできた。早く対戦相手に会いたいらしい。
「で誰なんだ?俺の相手は?」
「俺だ」
「っ!誰だ?」
「俺だ」
声のした方を見ると見覚えある人物がいた。
「万丈目?万丈目だ!」
そう、万丈目だ。以前のオベリスク・ブルーの制服ではなく、真っ黒の服を着ている。そうか……ここでサンダーになるのか。
十代が万丈目の登場に驚愕したのは一瞬で、直後に『対戦相手は誰だ』?と聞いて万丈目が『目の前にいる』と返す。そして十代が『誰だ?』と一種のコントのようなやりとりをした後、万丈目が対戦相手だと理解していた。応援団の一部と思われる生徒が『サンダーさんを呼び捨てとは生意気』だのなんだの言っていたが万丈目が静止させる。そろそろもう1人の顔くらい拝ませてほしいな。
「で、もう1人は誰だ?」
「宮田龍斗…………!そうか、貴様も代表か……」
万丈目は俺を見て恨むような目をしたがすぐに笑みを見せていた。よほど自信があるらしい。
「ああ、それでもう1人いるそちらの代表は誰だ?」
「私よボウヤ」
潜水艦の中から姿を見せたのは、妙に艶っぽい声に薄紫の髪をツインテールにし、黒い女子制服を着た女子生徒だった。
「彼女は藤原雪乃。万丈目サンダーと互角の実力を持つデュエリストです」
市ノ瀬校長が鮫島校長に女子生徒を紹介している。とりあえず相手が誰なのかわかったので校舎に向かおうとすると、モーター音を響かせて2機のヘリが飛んできた。機首の底には『万』の文字を丸で囲ったマークがついている。
ヘリから現れた2人の男がこちらに向かって、
「久しぶりだな、準!」
と言った。ジュン……?誰だ?
「長作兄さん!正司兄さん!」
万丈目が男2人に反応した。そうか、万丈目の下の名前って『ジュン』だったか。漢字がわからんが。そして『兄さん』……どうやら兄弟らしい。
「何しに来たんだ?」
「もちろん、お前の勝利を祝福しにだ!」
万丈目の兄2人がヘリを降りるとどこからかクレーンがやってきて2人をカメラで写す。周囲を見るとカメラやマイクを持った人物が数名いた。
校長2人もなんのことだかわからないという反応で、俺達を囲っている連中の1人が言うには今年の交流試合を全国で中継するらしい。……今回は【リチュア(エクストラ抜き)】の方が良さそうだ……せっかくの【超重武者】がお蔵入りになってしまった……内心がっかりしていると携帯が振動した。
見てみると『海馬瀬人』の文字が……!慌てて電話に出る。
「はいっ!」
[中継の話の報告はどうした?]
いきなり怒られた。
「いえ、その……俺もたった今聞いたんですが……」
[そうか。ならいい。今年の交流試合に貴様は出るんだろうな?]
「え、あ、はい」
何故出る前提……いや、確かに出るけども。
[なら今回は俺の指定したカードをデッキに入れてデュエルしろ]
今までの苦労を否定された気分だ。
しかし上司の命令は聞かなければならない。泣く泣く了承。指定されたカードは以前組んだデッキに入っていたはずなので1から組むという悲劇は回避できそうだ。しかし急いで寮に戻って、校舎へ向かうハメになる。
「……しかしいいんですか?中継されてるんですよ?」
[構わん。夏にイベントを開催し、そこで発表することが決定している。その前振りだと思え]
夏って……ずいぶん長い前振りですね海馬さん。別にいいですけど。
「他に使うカード、逆に使わないカードは無いですか?」
[好きにしろ。以上だ]
…………切られた。はぁ……面倒だな……
「龍斗、どうかしたの?」
携帯を仕舞うと枕田に声をかけられた。
「海馬さんから指令があった。ちょっとデッキ取ってくる」
「え?デッキ持ってきてないの?」
ゆま、変なこと言うな。明日香が妙にイイ笑顔でこっちを見てるだろ。
「指令って言っただろ。『このカードを使え』って言われた。用意したデッキには入ってないから持ってこなくちゃいけないんだ」
だから明日香、その笑顔はやめるんだ。
十代達と別れて一先ず寮へ移動。デッキを探して、指定されたカードがあることを確認したところで走って校舎へ。
☆
「ではここにデュエルアカデミア本校」
「ノース校」
「「対抗デュエル大会の開催を宣言する!!」」
テレビスタッフの煽りと校長の宣言に盛り上がりを見せるデュエルフィールド。デュエルの進行はクロノスらしい。ガチガチに固まっているのがよくわかる。
「信じられないノーネ!私の姿ーガ、全国に流れているナンーテ!」
実は流れてるのは声だけなんてオチな気がするのは俺だけだろうか。
「まずは第1戦!デュエルアカデミア本校カラーハ、宮田龍斗ナノーネ!!」
「…………」
歓声が上がるが無視してただ静かに腕を組む。まさか中継されるなんてな……遊べないじゃないか。尺とかの都合上。てかこのデッキじゃなくて【EM】の方がテレビ的に良かったんじゃ……気を使いすぎか。カードのこともあるし。
因みに出場順はさっきじゃんけんで決めた。
「対するノース校カラーハ、藤原雪乃ナノーネ!」
「ふふ………さぁ、いらっしゃいボウヤ」
コイツ中継ってわかってるのか?そんな艶っぽい声出してたらそのうちクレームくるぞ。
「「デュエル!」」
宮田龍斗
LP4000
VS
藤原雪乃
LP4000
「先攻は俺だ。ドロー!……モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
伏せ2枚
手札3枚
「1ターン目は様子見かしら?なんだかつまらないわね」
「案外、そういうデッキなのかもしれないぜ?」
【ワーム】とかそういうデッキだしな。
「そう。なんにしてもこのターンで判るわね。私のターン、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」
【マンジュ・ゴッド】
攻撃表示
ATK1400/DEF1000
【マンジュ・ゴッド】……儀式デッキか。
「【マンジュ・ゴッド】の効果発動。召喚・反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加えるわ。【高等儀式術】を手札に」
ノース校の生徒は手札にキーカードを加えたことで勝利を確信したのか、無駄にテンションが高い。
「バトル。【マンジュ・ゴッド】で守備モンスターを攻撃」
【マンジュ・ゴッド】が守備モンスターに近づき、大量の腕で殴ってきた。1人集団リンチ……矛盾してるなぁ……
「守備モンスターは【ボルト・ヘッジホッグ】。守備力800だ。破壊される」
「ずいぶん可愛らしいモンスターね」
効果は意味わからんけどな。
「ターンエンドよ」
藤原雪乃
LP4000
モンスター
【マンジュ・ゴッド】:攻
ATK1400
魔・罠
無
手札6枚
リバース無し……?しかし光属性……【オネスト】が怖い……いや、今のうちに使わせれば……
「俺のターン、ドロー!【カードガンナー】を召喚!」
【カードガンナー】
攻撃表示
ATK400/DEF400
「貴女ふざけてるの?そんな玩具みたいなカードで……」
「このカードの恐ろしさを知らないとは、ノース校代表さんは不勉強だな。【カードガンナー】の効果発動!デッキの上から3枚まで墓地に送り、墓地に送ったカード1枚につき攻撃力が500ポイントアップする!3枚墓地に!」
【ネクロ・ガードナー】
【ゾンビキャリア】
【ボルト・ヘッジホッグ】
神落ち到来。
【カードガンナー】
ATK400→ATK1900
「デッキを削って攻撃力を上げる?そんなことするくらいなら、最初から高攻撃力のモンスターを召喚した方がいいわね」
「バトル!【カードガンナー】で【マンジュ・ゴッド】を攻撃!」
【カードガンナー】が両腕から弾を数発撃ち【マンジュ・ゴッド】を破壊した。
藤原雪乃
LP4000→3500
「は……ぁん!」
直後、マジで放送できないような声を藤原が上げた。
「っ!?……た、ターンエンド!」
無視だ。無視しろ!重要なのは俺があのカードを使えるかどうかだ!
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【カードガンナー】:攻
ATK400
魔・罠
伏せ2枚
手札3枚
「なかなかやってくれるわね。私のターン、ドロー。来たわね、【高等儀式術】を発動!手札の儀式モンスターのレベルと同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地に送り、儀式モンスターを儀式召喚する!【甲虫装甲騎士】2体を墓地に送り、【終焉の王デミス】を儀式召喚!」
現れたのは両手で大きな斧を持ち、黒を基調とした鎧に身を包んだモンスター。
【終焉の王デミス】
攻撃表示
ATK2400/DEF2000
恐らくあれが切り札なのだろう。ノース校生徒の盛り上がりが最高潮に達している。
「【終焉の王デミス】の効果発動。ライフ2000をコストにこのカード以外のカードを全て破壊する!」
え、2000?【裁きの龍】……いや、何も言うまい。
「ぁあ……んんっ」
藤原雪乃
LP3500→1500
ライフを失うたびに喘ぐのはやめていただきたいなぁ……
【デミス】が赤黒いオーラを纏い出した。そろそろ止めないと。
「チェーン【ヴェーラー】で」
俺の発言の直後、【デミス】を包んでいた赤黒いオーラが消滅した。
そしてプレイヤーである藤原は、
「……え?」
キョトンとしていた。
「手札から【エフェクト・ヴェーラー】の効果を発動。相手のメインフェイズに手札から墓地に送ることで、相手モンスター1体の効果を無効にする」
『悔しいでしょうねぇ』とばかりにドヤ顔してやる。
しかし藤原は面白そうな表情を見せた後更に動いてきた。
「墓地の【甲虫装甲騎士】2体を除外して【デビルドーザー】を特殊召喚!」
【デビルドーザー】
攻撃表示
ATK2800/DEF2600
出てきたのは巨大で赤い百足のような虫。若干引く。
「バトル!【終焉の王デミス】で【カードガンナー】を攻撃!」
【デミス】が両手に持つ斧で【カードガンナー】を薙ぎ払う。
「…………」
宮田龍斗
LP4000→2000
「【カードガンナー】の効果発動!破壊されたときカードを1枚ドローする!」
宮田龍斗
手札2枚→3枚
「今更手札を増やしたところでこれで終わりよ。【デビルドーザー】でダイレクトアタック!」
「リバースカードくらい警戒しろよ。リバースカードオープン!【くず鉄のかかし】!相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」
迫ってくる【デビルドーザー】にスクラップでできたかかしが体当たりをかまして止めてくれた。
「あら?よく粘るわね」
「【くず鉄のかかし】は発動後再びセットされる」
「っ!?それじゃあ私の攻撃はかならず1度は止められるってこと!?」
あぶねー。危うく1killされるところだった。
無視してるのに怒ったのか藤原は乱暴にカードを伏せてターンエンドした。
「じゃあエンドフェイズに【サイクロン】でそのリバースカードを破壊」
「っ!」
再びドヤ顔。後ろから『やることが酷い』だの何だのと聞こえるが、その声は枕田と……浜口か?
「お前ら聞こえてるぞー!」
後ろを振り返って言うと一気に静まり返った。
藤原雪乃
LP1500
モンスター
【終焉の王デミス】:攻
ATK2400
【デビルドーザー】:攻
ATK2800
魔・罠
無
手札3枚
「ったく……後でトラウマでも植えつけてやろうか……」
何がいい?【デストーイ・シザー・ウルフ】で連続ダイレクトアタック?いや、前やったな。じゃあロックデッキでトドメさせるのにターンエンドしたり?いやこれはただの舐めプか。あ、とりあえずアイツらのモンスターを【アンデットワールド】でアンデット族にして……やることがガキっぽいか?魔法・罠を封じつつモンスターの召喚を禁止する……手間かかりそうだし事故りそうだしでダメだな。んー…………
「ボウヤのターンよ。早くなさい」
「ん?ああ、そっか。デュエル中だったな。俺のターン、ドロー」
考えてたら怒られてしまった。トラウマ云々は後でいいや。
「モンスターをセットしてターンエンド」
宮田龍斗
LP2000
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
伏せ1枚
手札3枚
「防戦一方ね。さっさと終わらせましょう、観てる人もつまらないだろうし。私のターン、ドロー。【マンジュ・ゴッド】を召喚」
【マンジュ・ゴッド】
攻撃表示
ATK1400/DEF1000
「【マンジュ・ゴッド】の効果でデッキから【終焉の王デミス】を手札に加えるわね」
2枚目……だが手札に加えても現状腐るような……
「【魔法石の採掘】。手札を2枚捨てて墓地の【高等儀式術】を手札に加えて発動!デッキから【ネオバグ】2体を墓地に送り【終焉の王デミス】を儀式召喚!」
【終焉の王デミス】
攻撃表示
ATK2400/DEF2600
あっさり出てきたー……だが手札0か。
「今度こそ終わりね。バトル!1体目の【デミス】で守備モンスターを攻撃!」
【デミス】が斧を振り上げた瞬間、裏守備モンスター……【ライトロード・ハンター ライコウ】が斧を避けた。
「な、何!?まさか戦闘では破壊されないモンスター!?」
「いや、ただのリバース効果モンスターだ。【ライトロード・ハンター ライコウ】のリバース効果で【デビルドーザー】を破壊」
【ライコウ】が【デビルドーザー】に噛みつくと【デビルドーザー】が爆散。【ライコウ】は自分から墓地に行った。
「その後デッキトップ3枚を墓地に」
【ジェット・シンクロン】
【クイック・シンクロン】
【ジャンク・シンクロン】
…………どういう落ち方だよ。なんだよ【シンクロン】3落ちって。
「粘るのはいいけれど、あまりしつこいと嫌われるわよ?」
まぁいいや【ジェット】落ちたし、ただ残りの2枚が痛いなぁ。【ダンディライオン】くらい落ちてくれても良かったと思うんだが……その辺どうだ?
「貴方聞いてるの?」
「ん?なんだ?」
デッキに心の中で語りかけてみたら怒られた。なんなんだいったい……
「……2体目の【デミス】で攻撃よ。さっきの罠は使うの?使わないの?」
「喰らったら終わりだから当然使うさ。【くず鉄のかかし】!」
本日2度目のかかしの体当たり。あ、ヘルメットが吹き飛んだ。
かかしだったスクラップの塊はカードに戻り再セットされたが、フィールドにヘルメットだけが残っている……
「……【マンジュ・ゴッド】でダイレクトアタック」
ヘルメットをチラチラと見ながらダイレクトアタック宣言。【マンジュ・ゴッド】も一瞬ヘルメットを見て攻撃してきた。
宮田龍斗
LP2000→600
「ターンエンド。次のターンで決めてあげるわ」
藤原雪乃
LP1500
モンスター
【マンジュ・ゴッド】:攻
ATK1400
【終焉の王デミス】:攻
ATK2400
【終焉の王デミス】:攻
ATK2400
魔・罠
無
手札0枚
流石にピンチか。手札にはもう【ライコウ】はいないし。墓地の【ネクロ・ガードナー】だけでは防御しきれそうもない。このドローにかけるか。
「俺のターン、ドロー!」
……【ジャンク・シンクロン】……なんだよコレ。俺は主人公じゃないぞ。だが来てくれたのなら攻めるだけだ。
「チューナーモンスター【ジャンク・シンクロン】を召喚!」
【ジャンク・シンクロン】
攻撃表示
ATK1300/DEF500
「チューナー……モンスター……?」
「なんだ、万丈目から聞いてないのか。ならよく見ておけ」
大きく息を吸って叫ぶ。
「デュエルアカデミアノース校の生徒諸君!そして今中継を見ているデュエリスト諸君!これから諸君らにとって未知の力を見せよう!良く見ておくがいい!」
本校の連中はたまに見るから注目させなくても良い。【ジャンクロン】や【カーガン】見せてるからなんとなく察してると思うし。
藤原は少し不機嫌そうにこちらを睨みつけている。『この布陣を突破するつもり?』とでも言いたげだ。一撃で仕留めるつもりだが。
「【ジャンク・シンクロン】の効果発動!召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!蘇れ!【ライトロード・ハンター ライコウ】!」
【ライトロード・ハンター ライコウ】
守備表示
ATK200/DEF100
「そんなことしてなにを……」
「墓地の【ボルト・ヘッジホッグ】は自分フィールドにチューナーがいるとき、特殊召喚できる!来い!2体の【ボルト・ヘッジホッグ】!」
【ボルト・ヘッジホッグ】×2
守備表示
ATK800/DEF800
「2体!?1体目は最初に破壊したモンスターだけど、2体目なんていつ……」
「6枚、俺のデッキから墓地に送られたカードの枚数だ。これで十分だろ?」
「……自分からデッキを削っていたのはこのため……」
「理解できたようだな」
「でも所詮攻撃力800や1300のモンスター。私の【マンジュ・ゴッド】すら倒せないわ」
俺にはまだ手札があるというのに自信満々に言うが藤原よ、それは所謂フラグだ。
「墓地の【ジェット・シンクロン】の効果を発動!手札1枚を墓地に送り、このカードを墓地から特殊召喚する!」
【ジェット・シンクロン】
攻撃表示
ATK500/DEF0
「そんな低級モンスター達でどうするのかしら?」
「言っただろ?『お前達にとって未知の力を見せよう』って。レベル2の【ライトロード・ハンター ライコウ】にレベル3の【ジャンク・シンクロン】をチューニング!」
本校ではたまに見かける光景だがノース校では当然初の光景だ。ノース校サイドからどよめきが起きる。おそらく中継を観ている人達も同様だろう。
「なに!?なんなの!?」
「集いし星が新たな力を呼び起こす!光差す道となれ!シンクロ召喚!いでよ!レベル5!【ジャンク・ウォリアー】!」
【ジャンク・ウォリアー】
攻撃表示
ATK2300/DEF1300
出てきたのは紫の装甲と大きな右腕が特徴の人型モンスター。コイツが海馬さんに指定されたカード。恐らくこのカードをシンクロモンスターの代表的カードにしようと思っているのだろう。
「シンクロ……召喚……?なんなの?さっき言ったチューナーといいシンクロ召喚といい」
「今はまだ秘密だ。【ジャンク・ウォリアー】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、自分フィールドにいるレベル2以下のモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力をアップさせる!パワー・オブ・フェローズ!」
2体の【ボルト・ヘッジホッグ】と【ジェット・シンクロン】の力が【ジャンク・ウォリアー】に集中する。
【ジャンク・ウォリアー】
ATK2300→ATK4400
「攻撃力4400!?」
「まだだ!レベル2の【ボルト・ヘッジホッグ】2体にレベル1の【ジェット・シンクロン】をチューニング!
集いし衝動が新たな風となり吹き荒れる!光差す道となれ!シンクロ召喚!道を開け!レベル5!【ジェット・ウォリアー】!」
【ジェット・ウォリアー】
攻撃表示
ATK2100/DEF1200
「またシンクロ召喚!?1ターンに何度でもできるというの!?」
「【ジェット・ウォリアー】の効果発動!シンクロ召喚に成功したとき、相手フィールドのカード1枚を手札に戻す!ジェット・インパクト!」
【ジェット・ウォリアー】が高速でフィールドを駆け抜けると【デミス】の1体が吹き飛ばされた。
「私の【デミス】をこうもあっさり……」
「バトル!【ジャンク・ウォリアー】で【終焉の王デミス】を攻撃!スクラップ・フィスト!」
【ジャンク・ウォリアー】の右腕が巨大なオーラを纏い【デミス】を殴り貫通。そのまま藤原に突っ込んだ。
「ああぁぁぁぁああ!」
藤原雪乃
LP1500→-500
まずは1勝。さて、枕田達にどうやってトラウマを植えつけようか……
雪乃ことゆきのん登場です。
次回は交流試合2戦目……かな?