十代をペンデュラム融合ならぬペンデュラムエクシーズで倒し、十代の試験が終わった。
「遊城十代、試験終了だ。後はデッキの構築を見て採点し、後日合格発表をする。今日はもう自由にしていいぞ」
「じゃあ、この後の明日香のテスト見てもいいか!?」
お疲れ様と言おうとすると十代に見学していいか聞かれた……どうする?
別に見学してもいいとは思うが、デュエルの展開に騒いで天上院の試験を邪魔する恐れがある。
「…………いや、天上院だけ状況が違うというのはダメだな。遠慮してくれ」
「ちぇ〜……んじゃあ、今日は帰るとするか」
「ん。お疲れ様」
十代からデッキを受け取って天上院を待つ。
「入るわよ」
「待たせたな」
「こんなに待たせるなんて思わなかったわ」
もう夕方だもんな……俺も疲れてきた。
「さて、試験内容だが……これからお前にはそこにあるカードでデッキを作ってもらう」
「デッキを作る?『実技試験』って言うくらいだからデュエルするのだとばかり思っていたのだけれど……」
「もちろんデュエルする。作ったデッキでな」
「なるほど、どれだけ各召喚について理解しているかを把握するためね」
まぁそこは全員問題無いんだが、それを実践できなければ意味がない。故の実技試験だ。
「そして聞くことがある。お前はこの試験で合格したらどんなテスターになりたい?俺のように全召喚を扱うのか、どれか1つ専門のテスターか」
たしか天上院はシンクロのデッキをよく使ってたからおそらく……
「そうね……なら、シンクロ召喚専門にしようかしら」
やっぱりな。
「予想はしていたが、一応聞こう。何故だ?お前なら全召喚のテスターだってできると思うんだが」
「シンクロとエクシーズはある程度使えるとは思ってるけど、ペンデュラムは何か引っかかるのよ。何かまだありそうな……」
ふむ……ペンデュラム融合やペンデュラムエクシーズに自力で到達しつつあるのか……?十代とのデュエルを見せても良かったかもな。
「なるほど。ペンデュラムに引っかかりがあるから専門にしたと」
「そうなるわね」
「了解した。じゃあ、デッキを構築してくれ、制限時間は無い。始め!」
最後の試験開始。天上院がデッキを構築している間に十代のデッキでも見るか。……【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】が1枚!?いや、そもそもスケール8以上が無いって……どういう戦い方をするつもりなんだ……【ペンデュラム・マジシャン】等の攻撃力上昇でゴリ押しっぽいな……【ウィップ・バイパー】で低守備力モンスターのステータスを逆転させてより大ダメージを与えると……いや、でも【パートナーガ】が1枚しか無い……んん?【シルバー・クロウ】と【ペンデュラム・マジシャン】は3枚入っててなんで【パートナーガ】は1枚?上級だからか?いや、ペンデュラムにそんなの関係無いし……これダメじゃないか?よくこれで勝てると思ったな……
「できたわ」
十代のデッキ内容に驚愕していたら天上院のデッキができたようだ。
「……了解。では始めよう」
「その前に、賭けをしない?」
…………ここで賭け?
「アンティルールは校則で禁止されてるぞ」
「別にカードを賭けるわけじゃないわよ。私が勝ったら、十代と同じように名前で呼んでもらう」
…………意味がわからん。
「……俺が勝ったら?」
「そうね。今度お昼を奢るってどう?」
「…………恐ろしいほどに俺にメリットが無いが、いいだろう。その賭けに乗ってやる」
「そうこなくっちゃ」
「「デュエル!」」
天上院明日香
LP4000
VS
宮田龍斗
LP4000
「先攻は受験者からだ」
「そう。なら、私のターン、ドロー!【氷結界の軍師】を召喚!」
【氷結界の軍師】
攻撃表示
ATK1600/DEF1600
【氷結界】か……かなり厳しい……いや、まだなんとかなる……と、思いたい。
「【氷結界の軍師】の効果発動!1ターンに1度、手札の【氷結界】モンスターを捨てて、カードを1枚ドローする!……よし、魔法カード【浮上】を発動!墓地にいるレベル3以下の魚族・海竜族・水族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する!来なさい!【氷結界の守護陣】!」
【氷結界の守護陣】
守備表示
ATK200/DEF1600
「【氷結界の守護陣】の効果で、このカード以外の【氷結界】モンスターがいる限り、このモンスターの守備力以上の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃できない!」
天上院のフィールドに氷の壁が作られた。
早くも終わった感が……
「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」
天上院明日香
LP4000
モンスター
【氷結界の軍師】:攻
ATK1600
【氷結界の守護陣】:守
DEF1600
魔・罠
伏せ2枚
手札2枚
「俺のターン、ドロー!」
…………行けるか?
「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる!【バイス・ドラゴン】を特殊召喚!」
【バイス・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2000/DEF2400
「ただし、この効果で特殊召喚した【バイス・ドラゴン】の攻撃力と守備力は半分になる」
【バイス・ドラゴン】
ATK2000/DEF2400→ATK1000/DEF1200
「でも、それでは私のモンスターは倒せない」
「ああ。倒すためには攻撃力1600を超えなきゃならない。しかしそうすると【守護陣】の効果で攻撃できない。なかなか面倒だ。まぁ、なんとかするさ。チューナーモンスター【ダーク・リゾネーター】を召喚!」
【ダーク・リゾネーター】
攻撃表示
ATK1300/DEF300
「いくぞ。俺はレベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル3の【ダーク・リゾネーター】をチューニング!
王者の鼓動、今ここに列をなす!天地鳴動の力を見るがいい!シンクロ召喚!レベル8!我が魂!【レッド・デーモンズ・ドラゴン】!」
【レッド・デーモンズ・ドラゴン】
攻撃表示
ATK3000/DEF2000
「攻撃力3000!?でもこのままじゃ攻撃できない……何をするつもり?」
「こうするだけだ。速攻魔法【禁じられた聖杯】!【氷結界の守護陣】の攻撃力を400ポイントアップさせて効果を無効にする!」
【氷結界の守護陣】
ATK200→ATK600
【守護陣】の前に聖杯が現れそれを飲んだ【守護陣】は酔っ払って周囲の氷が溶けた。
「これで攻撃ができる。バトルだ!」
「罠発動!永続罠【デモンズ・チェーン】!相手モンスター1体の効果を無効にして、攻撃宣言できなくする!」
……なんでそういうの伏せるかなぁ……友達失くすぞ……
「…………ターンエンド。この瞬間、【聖杯】の効果が終了して【守護陣】の攻撃力が元に戻る」
再び天上院のフィールドに氷の壁が張られる。
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【レッド・デーモンズ・ドラゴン】:攻
ATK3000
魔・罠
無
手札3枚
「私のターン、ドロー!【氷結界の軍師】の効果で手札の【氷結界】モンスターを捨てて、1枚ドロー!……フィールド魔法【ウォーター・ワールド】発動!水属性モンスターの攻撃力が500ポイントアップし、守備力が400ポイントダウンする!」
天上院と俺の足場が厚い氷となり、周囲が海のように水で埋め尽くされた。
【氷結界の軍師】
ATK1600/DEF1600→ATK2100/DEF1200
【氷結界の守護陣】
ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200
「2体のモンスターをリリースして【氷結界の虎将 ガンターラ】をアドバンス召喚!」
【氷結界の虎将 ガンターラ】
攻撃表示
ATK2700/DEF2000→ATK3200/DEF1600
現れたのは褐色の肌の禿げたおっさん。【サイバーガール】を使ってたとは思えないカードを採用したな。
しかも【ウォーター・ワールド】の効果で攻撃力が【レモン】を上回った。
「バトル!【ガンターラ】で【レッド・デーモンズ・ドラゴン】を攻撃!氷砕拳!」
【ガンターラ】が【レモン】に拳を当てると【レモン】が凍結し、粉砕された。
「くっ……【レモン】……!」
宮田龍斗
LP4000→3800
「【レモン】……?…………ああ、【
【氷結界の守護陣】
守備表示
ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200
再三張られる氷の壁。
もう氷を見たくない。
「ターンエンド」
天上院明日香
LP4000
モンスター
【氷結界の虎将 ガンターラ】:攻
ATK3200
【氷結界の守護陣】:守
DEF1200
魔・罠
伏せ1枚
フィールド
【ウォーター・ワールド】
手札1枚
「……俺のターン、ドロー!……!【死者蘇生】発動!墓地から【バイス・ドラゴン】を特殊召喚する!」
【バイス・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2000/DEF2400
「【バイス・ドラゴン】?【レッド・デーモンズ・ドラゴン】ではないの?」
「更にチューナーモンスター【フレア・リゾネーター】を召喚!」
【フレア・リゾネーター】
攻撃表示
ATK300/DEF1300
「?【レッド・デーモンズ・ドラゴン】を蘇生した方がいいような……」
「レベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル3の【フレア・リゾネーター】をチューニング!
漆黒の闇を裂き天地を焼き尽くす孤高の王よ!万物を砕きその力を示せ!シンクロ召喚!溶かし尽くせ!レベル8!【えん魔竜 レッド・デーモン】!」
【えん魔竜 レッド・デーモン】
攻撃表示
ATK3000/DEF2000
現れたのは【レモン】にそっくり、だがどこか違うモンスター。
「【レッド・デーモン】!?さっきの【レッド・デーモンズ・ドラゴン】と……」
「コイツは【レモン】の派生系……いや、もう1つの姿といったところだ」
詳しいことは俺も知らん。5D'sはほぼ観てないからな……ゲームしかやってないし。
「速攻魔法【エネミー・コントローラー】発動!フィールドのモンスターの表示形式を変更する!【氷結界の守護陣】を攻撃表示に!」
【氷結界の守護陣】
守備表示→攻撃表示
DEF1200→ATK700
「そして【レッド・デーモン】の効果発動!1ターンに1度、メインフェイズ1のときのみ、このカード以外の攻撃表示のモンスター全てを破壊する!」
「っ!このために【エネミー・コントローラー】を使ったのね……!」
「
【レッド・デーモン】が体を小さく丸め力を溜める。そして力を解放すると辺りが炎で包まれ、天上院のモンスターが全滅した。
「バトル!」
「永続罠【安全地帯】!フィールドの攻撃表示モンスター1体を対象にして、対象モンスターは戦闘、カード効果で破壊されず、ダイレクトアタックができない!更にこのカードがフィールドを離れたら対象モンスターは破壊される!対象は当然【えん魔竜 レッド・デーモン】!」
【安全地帯】のカードが白いオーラを纏うと、【レッド・デーモン】も同じ色のオーラを纏った。
…………もう嫌だあのデッキ……
「……ターンエンド」
宮田龍斗
LP3800
モンスター
【えん魔竜 レッド・デーモン】:攻
ATK3000
魔・罠
無
手札1枚
「私のターン、ドロー!……【死者蘇生】発動!蘇れ【氷結界の軍師】!」
【氷結界の軍師】
攻撃表示
ATK1600/DEF1600
「チューナーモンスター【氷結界の術者】を召喚!」
【氷結界の術者】
攻撃表示
ATK1300/DEF0
チューナー……合計レベルは6……で、この状況……
「レベル4の【氷結界の軍師】にレベル2の【氷結界の術者】をチューニング!吹雪の中を駆け巡る咆哮、全てを吹き飛ばし己を鼓舞せよ!シンクロ召喚!私に力を!レベル6!【氷結界の虎王 ドゥローレン】!」
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
攻撃表示
ATK2000/DEF1400→ATK2500/DEF1000
黒地に金の模様の鎧をつけた水色の虎が現れた。
……天上院も口上……
「【ドゥローレン】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの表側表示のカードを好きな枚数手札に戻し、戻した枚数1枚につき攻撃力が500ポイントアップする!私は【ウォーター・ワールド】と【安全地帯】を手札に戻す!」
【ドゥローレン】が咆哮すると、フィールドと【安全地帯】が吹き飛び、【ドゥローレン】が青いオーラを纏った。
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400
「そして【安全地帯】がフィールドを離れたことで、【えん魔竜 レッド・デーモン】は破壊される!」
【レッド・デーモン】が纏っていたオーラが消えると、【レッド・デーモン】が突然苦しみだして消滅した。
「そしてフィールド魔法【ウォーター・ワールド】を発動!」
再びフィールドが海のように水で埋め尽くされる。
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000
「バトル!【氷結界の虎王 ドゥローレン】でダイレクトアタック!アイシクル・クロー!」
天上院の攻撃宣言を合図に鐘の音が響く。
「何!?……鐘の音……?」
「相手のダイレクトアタック宣言時、手札から【バトル・フェーダー】の効果を発動。このモンスターを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」
【バトル・フェーダー】
守備表示
ATK0/DEF0
「くっ……!カードを1枚伏せ、ターンエンド。この瞬間、【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻る」
天上院明日香
LP4000
モンスター
【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻
ATK2500
魔・罠
伏せ1枚
フィールド
【ウォーター・ワールド】
手札0枚
「俺のターン、ドロー!」
…………【バトル・フェーダー】。
「……ターンエンド……」
宮田龍斗
LP3800
【バトル・フェーダー】:守
DEF0
魔・罠
無
手札1枚
「え?もう終了?」
「……ああ」
というより戦えるカードが無いという……
「……私のターン、ドロー!【安全地帯】発動!【バトル・フェーダー】を対象にするわ!そして【ドゥローレン】の効果発動!【安全地帯】と【ウォーター・ワールド】を手札に戻して攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400
「【安全地帯】がフィールドを離れたことで【バトル・フェーダー】を破壊!そして【ウォーター・ワールド】を発動!」
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000
「バトル!【ドゥローレン】でダイレクト……また!?」
若干フライング気味に鳴る鐘。
【バトル・フェーダー】
守備表示
ATK0/DEF0
「【バトル・フェーダー】の効果でバトルフェイズ終了だ」
「…………カードを2枚伏せ、ターンエンド。【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻る」
天上院明日香
LP4000
モンスター
【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻
ATK2500
魔・罠
伏せ2枚
フィールド
【ウォーター・ワールド】
手札0枚
「俺のターン、ドロー!【バトル・フェーダー】をリリースしてモンスターをセット。ターンエンド」
宮田龍斗
LP3800
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
無
手札0枚
「あっさり終わるわね」
「手札が無いからな」
あと俺の行動を邪魔されるし……
「そうね……私のターン、ドロー!【氷結界の術者】を召喚!」
【氷結界の術者】
攻撃表示
ATK1300/DEF0→ATK1800/DEF0
「そして【ドゥローレン】の効果で【術者】と【ウォーター・ワールド】を手札に戻して攻撃力アップ!【ウォーター・ワールド】発動!」
【氷結界の虎王 ドゥローレン】
ATK2500/DEF1000→ATK2000/DEF1400→ATK3000/DEF1400→ATK3500/DEF1000
攻撃力の変動が激しいし、フィールドの変化も忙しい。なんだよフィールド魔法の過労死って……
「更に永続罠【リビングデッドの呼び声】発動!蘇れ【氷結界の虎将 ガンターラ】!」
【氷結界の虎将 ガンターラ】
攻撃表示
ATK2700/DEF2000→ATK3200/DEF1600
「バトル!【ガンターラ】で守備モンスターを攻撃!氷砕拳!」
【ガンターラ】が裏守備モンスターに拳を当てると【バイス・ドラゴン】を破壊した。
「【ドゥローレン】でダイレクトアタック!アイシクル・クロー!」
「ぐぅ……!」
【ドゥローレン】の爪が俺を襲う。
宮田龍斗
LP3800→300
「ターンエンド。このエンドフェイズに【ドゥローレン】の攻撃力が元に戻り、【ガンターラ】の効果で墓地から【氷結界の守護陣】を特殊召喚!」
【氷結界の守護陣】
守備表示
ATK200/DEF1600→ATK700/DEF1200
再四張られた氷の壁。
天上院明日香
LP4000
【氷結界の虎王 ドゥローレン】:攻
ATK2500
【氷結界の虎将 ガンターラ】:攻
ATK3200
【氷結界の守護陣】:守
DEF1200
魔・罠
【リビングデッドの呼び声】《氷結界の虎将 ガンターラ》
伏せ1枚
手札1枚
次のターンを生き残るには……【バトル・フェーダー】くらいか?
「俺のターン、ドロー!」
…………はぁ…………
「カードを1枚伏せターンエンド」
宮田龍斗
LP300
モンスター
無
魔・罠
伏せ1枚
手札0枚
「私のターン、ドロー!……【氷結界の紋章】発動!デッキから【氷結界の軍師】を手札に加えて召喚!」
【氷結界の軍師】
攻撃表示
ATK1600/DEF1600→ATK2100/DEF1200
「レベル4の【氷結界の軍師】にレベル3の【氷結界の守護陣】をチューニング!
神の槍、龍の姿となりて全てを貫け!シンクロ召喚!出でよ!レベル7!【氷結界の龍 グングニール】!」
【氷結界の龍 グングニール】
攻撃表示
ATK2500/DEF1700→ATK3000/DEF1300
「【グングニール】の効果発動!1ターンに1度、手札を2枚まで捨て、捨てた枚数まで相手フィールドのカードを破壊する!手札を1枚捨て、その伏せカードを破壊!」
【グングニール】が羽ばたくとリバースカード……【プライドの咆哮】が破壊された。
「……バトル。【ガンターラ】でダイレクトアタック……」
プレイヤーには優しいのか拳ではなくデコピンされた。それでも攻撃力3200だが……
宮田龍斗
LP300→-2900
☆
3日後、ある教室。
「じゃ、合格発表するぞー」
「その前にシャキッとしなさい」
うるさい。
十代達作のデッキを回してみたりして評価して3日かかったーーー試験終了してから軽く思い返すと、【安全地帯】の効果でダイレクトアタックできないのって……発動した側から見た相手にだったなと思い出し、そのプレミが原因でパーフェクトくらってたので2日くらい落ち込んでたのが主な原因だがーーーのでちょっと遅れたが合格発表だ。若干まだ引きずってるのでダラダラしてるが……
「えー……まずは……はぁ……浜口ももえ」
「はい」
「合格だ。テスター昇格(?)おめでとう」
「途中疑問挟みましたよね!?」
昇格って言葉を使っていいのか疑問だからな。
「これからは同じテスターとしてよろしくたのむ」
「……若干素直に喜べない気もしますが……よろしくお願いします」
「ん。……次は……枕田ジュンコ」
「…………」
緊張してるのか?実技で負けたから合格できるか不安ってところかな?
「合格だ」
「え?あ、ご、合格……」
一瞬意味が理解できないようなリアクションをしたがなんとか理解したらしい。
「まぁ実技ではこちらが勝ったけど、こちらもラストターンのドローが別のカードならまた違った結果になっただろうし、合格ラインギリギリってところだ」
「そ、そう……」
枕田はホッとしたような態度をしていた。俺としては浜口が合格してくれたからほぼ仕事は終わった感があるんだけどな。
「じゃあ次は……」
「俺だ!」
…………いや、十代は最後にしようかと思ってたんだが……まぁ順番は関係ないけど。
仕方ないので十代の番にしよう。
「えーっと……遊城十代……不合格だ」
「え!?な、なんで!?確かに実技は負けたけど!」
「まず、筆記が10点しか取れてない。あと1問間違えてたら実技試験以前に不合格だった。次に本来なら実技の敗北はあまり関係ないんだ。最大でも5点程度減点になるくらいで、筆記でそれなりに点数を取っていたら実技で挽回できたんだが……赤点ギリギリで敗北だと減点しようもないから考慮してない」
「うぐ……」
筆記試験がギリギリという事実に十代は軽くたじろいでいた。まぁ一応予想はしてたけど、それでもアレは……
「まぁあとはデッキの構築もっとどうにかしろ。何がしたいのか理解できん。以上だ。最後に天上院明日香だが」
「ええ」
「合格だ。筆記、実技ともにトップの成績。文句は無い」
元々自信があったのか、当然と言わんばかりの態度。ちょっとムカつくな……
「ただ……」
「?ただ?」
「もうちょい相手の行動を許してやれ。ちょっとデュエルしてて泣きたくなった」
途中でやってた相手モンスター破壊して攻撃力上げるってメリットしかないじゃないか。
「あ、明日香さん……」
「いったいどんなデッキを……?」
「相手モンスターのダイレクトアタック止めて次ターンに破壊して自分のモンスターの攻撃力上げて、更には永続罠使い回すのはちょっとやりすぎだ」
「「「うわぁ……」」」
十代、枕田、浜口が口を揃えて引いてた。
「まぁともかく。これからはテスター仲間としてよろしくたのむよ、
「「!!」」
「ええ。よろしく」
明日香に握手を求められて俺も応える。なんか後ろにいる2名の視線が痛いが無視しよう。これで合格発表は終わりだな。
「海馬社長とペガサス会長に連絡して、向こうの都合のいいときに紹介するから予定は空けといてくれ」
「わかったわ」
「私もいいですけど……」
「ええ……」
明日香は快諾。浜口と枕田は何か言い淀んでいる。
「どうした?」
「えっと……いつのまに……」
「明日香さんを名前で?」
やっぱり突っ込んでくるよな……俺としては言いたくない……なんかムカつくし……
「実技試験のときに龍斗と賭けをしたのよ」
「「賭け?」」
明日香のやつバラす気満々……まぁいいや。どーにでもなれ。
「デュエルで私が勝ったら名前で呼ぶ、負けたらお昼を奢るって。私が勝ったから実行中なのよ」
「そういうわけだ。わかったら帰るぞ。あと、合格したやつは実技で作ったデッキを返す。そのデッキを使ってテスターデビューしてもらう」
机にデッキケース3つを置く。一応タグをつけてわかりやすくしてあるけど、間違えてないよな?
「調整は自由だが、デッキテーマは変えるな。これで今日は解散だ。何かあったら連絡する」
「ちょっと待ちなさい!」
「私も明日香さまのように名前で!」
後ろから何か言われてるがとりあえず無視しよう。
テスター決定です。
次回は冬休みの話で、前回の予告通りTFキャラ参戦です。