翌日昼、昼食にパンを食べながらカイザーとのデュエルに使うデッキの調整をしている。
「エクストラはこれでいいはず……あとはメインか?いや、しかしコンセプトを考えるとこの構成の方が……」
微妙にデッキの回りが悪く、カイザー相手に勝てるか微妙な状態だ。3年のトップ……【サイバー】……
「……このカード……うん。ならこのカードを抜いて、代わりにこうすれば……微妙か?いや、でもこれなら……よし、これでいこう」
これならカイザーにも勝てるはず……
「三沢、最後の調整に付き合ってくれ」
「またか……わかった」
何を呆れている三沢。『何度でも付き合う』と言ったのはお前だぞ。
「「デュエル!」」
数分後
「ダイレクトアタック!」
「……負けたよ。見事だ」
ふむ。これならいけるか。偶然な気もするが……
☆
夜
「待たせたな」
「いや、俺も数分前に来たばかりだ」
カイザーが来た。
待ちかねた。たった1日がこんなに長く感じたことはない。
周りには天上院や十代達テスター候補連中と丸藤、前田、俺がカイザーとデュエルすることを知ってついてきた三沢。
「いくぞ、カイザー!」
「来い」
ギャラリーなんていてもいなくても変わらない。ただカイザーを倒したい。それだけだ!
「「デュエル!」」
宮田龍斗
LP4000
VS
丸藤亮
LP4000
おそらくカイザーは【サイバー・ドラゴン】を1枚は握っているはず、だからこそ、先攻をもらう!
「俺の先攻、ドロー!モンスターをセット!カードを2枚伏せ、ターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
裏守備1枚
魔・罠
伏せ2枚
手札3枚
「俺のターン、ドロー。【サイバー・ドラゴン】を召喚」
【サイバー・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
やはり持っていたな、【サイバー・ドラゴン】!
「いくぞ、【サイバー・ドラゴン】で守備モンスターを攻撃。エヴォリューション・バースト!」
【サイバー・ドラゴン】の熱線が俺の裏守備モンスター……【プロト・サイバー・ドラゴン】を焼き払う。
「【プロト・サイバー・ドラゴン】だと!?」
カイザーが驚愕の表情を浮かべ、俺は薄く笑みを浮かべるのを自覚する。
今回用意したデッキは【サイバー】デッキ。ミラーマッチに近いことをしている。だが、俺の【サイバー】は未来の【サイバー】だ。負けるわけにはいかない!
「どうした?まだカイザーのターンだぞ?」
「……【タイムカプセル】発動。デッキからカードを1枚選択し、【タイムカプセル】に入れる。ターンエンド」
丸藤亮
LP4000
モンスター
【サイバー・ドラゴン】:攻
ATK2100
魔・罠
【タイムカプセル】
手札4枚
とりあえず第一目標は達成した。
残すは勝利のみ!
「ドロー!【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!」
【サイバー・ドラゴン・コア】
攻撃表示
ATK400/DEF1500
「【コア】?なんだそのカードは?」
「え!?お兄さんの知らない【サイバー】カード!?」
知らなくて当然なんだがな。
「【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!召喚に成功したとき、デッキから【サイバー】または【サイバネティック】と名のつく魔法・罠を手札に加える。デッキから【サイバー・リペア・プラント】を手札に加え、【融合】を発動!手札の【サイバー・ドラゴン】とフィールドの【サイバー・ドラゴン・コア】で融合!」
「【サイバー・ドラゴン】とそれ以外のモンスターで融合!?あのカードを召喚するつもりか!それはサイバー流の禁じ手!」
【キメラテック・オーバー・ドラゴン】のことか?攻撃力1600出しても意味ないだろ。
「光輝く機龍よ、光纏う機龍の核よ!神秘の渦で一つになりて、更なる力と姿を見せよ!融合召喚!現れろ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】!」
【サイバー・ツイン・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2800/DEF2100
「バカな!【サイバー・ツイン・ドラゴン】は2体の【サイバー・ドラゴン】を融合させたときのみ召喚できるカード!」
「【サイバー・ドラゴン・コア】はフィールド・墓地にいるとき、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」
「そんなカードはサイバー流には……」
そもそも俺はサイバー流ではないんだがな。
「俺はI2・KCのテスター。こういうカードを持っていて不思議ではないだろ?」
まぁ本当は自称神に用意させたカードなんだけどな。
「続けよう。バトル!【サイバー・ツイン・ドラゴン】で攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」
俺の【サイバー・ツイン・ドラゴン】の熱線はカイザーの【サイバー・ドラゴン】を焼き払った。
「続けてダイレクトアタック!」
「ぐうっ!」
丸藤亮
LP4000→3300→500
「ターンエンド」
宮田龍斗
LP4000
モンスター
【サイバー・ツイン・ドラゴン】:攻
ATK2800
魔・罠
伏せ2枚
手札2枚
「俺のターン、ドロー!」
口調が強くなった。同じサイバー流のカードに負けたくないのか。
「【死者蘇生】を発動!俺の墓地にいる【サイバー・ドラゴン】を復活!」
【サイバー・ドラゴン】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
「【融合】を発動!場の【サイバー・ドラゴン】と手札の2体の【サイバー・ドラゴン】を融合!現れろ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!」
【サイバー・エンド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK4000/DEF2800
【サイバー・エンド】……!もう召喚してきたか!
「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【サイバー・ツイン・ドラゴン】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
【サイバー・エンド】の3つの熱線が一つになり、【サイバー・ツイン・ドラゴン】と俺を呑み込んだ。
「…………」
宮田龍斗
LP4000→2800
「ターンエンド」
丸藤亮
LP500
モンスター
【サイバー・エンド・ドラゴン】:攻
ATK4000
魔・罠
【タイムカプセル】
手札1枚
いいねぇ……攻撃力4000!十代のときに見せた8000には届かないものの初期ライフと同じ数値。倒しがいがある!
「俺はターン……ドロー!!墓地の【サイバー・ドラゴン・コア】の効果発動!」
「!墓地からモンスター効果……!」
「相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、墓地のこのカードを除外して、デッキから【サイバー・ドラゴン】と名のつくモンスターを特殊召喚する!現れろ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】……だと?」
「【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】の効果発動。手札の魔法カードを相手に見せることでこのカードのカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う」
俺はカイザーに手札の【サイバー・リペア・プラント】を見せる。
「カード名を【サイバー・ドラゴン】に……?」
前田はさっき同じような現象があったにも関わらず、この効果の意味を理解していないらしい。
「また【融合】か!」
「残念不正解だ!続いて【サイバー・ドラゴン・ドライ】を召喚!」
【サイバー・ドラゴン・ドライ】
攻撃表示
ATK1800/DEF800
「今度は【ドライ】……」
「【サイバー・ドラゴン・ドライ】の効果発動!召喚に成功したとき、俺のフィールドの全ての【サイバー・ドラゴン】のレベルを5にする。【サイバー・ドラゴン・ドライ】はフィールド・墓地にいるとき、カード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う。よって【ツヴァイ】と【ドライ】のレベルは4から5になる!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
レベル4→5
【サイバー・ドラゴン・ドライ】
レベル4→5
「レベルを変更……?」
「まさか!」
「【サイバー・ドラゴン】でエクシーズ召喚するのか!?」
天上院と十代は流石に気付くか。
「俺はレベル5の【サイバー・ドラゴン】として扱う【ツヴァイ】と【ドライ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
「これが噂のエクシーズ召喚か……!」
「新たな力と翼を手に、今この地に舞い降りろ!エクシーズ召喚!放て!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】
攻撃表示
ATK2100/DEF1600
「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】……!」
「これが、【サイバー】モンスターの進化した姿だ」
「進化……」
「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の効果発動!ORUを一つ使い、墓地の【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚する!蘇れ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】!このカードは墓地にいるときカード名を【サイバー・ドラゴン】として扱う!」
【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】
攻撃表示
ATK1500/DEF1000
「墓地で【サイバー・ドラゴン】として扱うのはこの効果のため……!」
「【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の更なる効果!1ターンに1度、自分の手札・フィールドの【サイバー・ドラゴン】を除外して攻撃力2100ポイントアップ!【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を除外!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】
ATK2100→ATK4200
「攻撃力が【サイバー・エンド・ドラゴン】を超えた!龍斗凄えよ!」
「バトル!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】で【サイバー・エンド・ドラゴン】を攻撃!エヴォリューション・ノヴァ!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】から青白い電気が【サイバー・エンド・ドラゴン】に向かって一直線に放たれ胴体部中央に直撃。【サイバー・エンド・ドラゴン】を爆散させた。
「くうっ!」
丸藤亮
LP500→300
「ターンエンド。このエンドフェイズ、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の攻撃力は元に戻る」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】
ATK4200→ATK2100
宮田龍斗
LP2800
モンスター
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】:攻
ATK2100
魔・罠
伏せ2枚
手札2枚
「俺のターン、ドロー!」
【タイムカプセル】が地面から出てきた。もう2回目のターンか。
「【タイムカプセル】の効果で棺に入れたカードを手札に加える。そして手札から魔法カード【パワー・ボンド】を発動!このカードは機械族モンスターで融合召喚する!」
「だがお前の墓地に【サイバー・ドラゴン】は3体いる!【プロト・サイバー・ドラゴン】もフィールドにはいない!」
【サイバー・ツイン・ドラゴン】すら呼べない状況だ。何するかは予測できるけどな。
「手札から速攻魔法【サイバネティック・フュージョン・サポート】発動!ライフ半分をコストに手札・フィールド・墓地のモンスターを除外して、融合召喚を可能にする!」
丸藤亮
LP300→150
やっぱりな。
【サイバー】で且つ融合素材がないならコレがくる。
「墓地【サイバー・ドラゴン】3体を融合!更なる力を得て蘇れ!【サイバー・エンド】!!【パワー・ボンド】の効果で攻撃力は倍になる!」
【サイバー・エンド・ドラゴン】
攻撃表示
ATK4000/DEF2800→ATK8000
「バトル!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】を攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
【サイバー・エンド】の熱線が【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】に襲いかかる。
「手札の【オネスト】の効果を発動!」
「手札からモンスター効果!?」
「自分の光属性モンスターがバトルするとき、ダメージステップ時に手札からこのカードを捨て、相手モンスターの攻撃力分そのモンスターの攻撃力をアップさせる!」
【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】
攻撃表示
ATK2100→10100
「攻撃力……」
「10100……!?」
「これが君の全力か……!」
丸藤、前田、カイザーがそれぞれ反応を見せる。
「迎撃しろ、【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!エヴォリューション・ノヴァ!!」
【サイバー・エンド・ドラゴン】の熱線を【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の電撃が掻き消し、そのまま【サイバー・エンド・ドラゴン】を爆散させた。
「ぐうぅぅぅ!!」
丸藤亮
LP150→-1950
「「「カイザーが……」」」
「お兄さんが……」
「亮が……負けた……!?」
十代達は目を見開いているが、俺は未来のカード達を使ってるんだ。負けるわけにはいかない。
「……俺の勝ちだ。カイザー」
「……見事だ。完敗だよ」
……この人なら【ノヴァ】達を渡してもいいか。きっと使いこなしてくれる。
「……カイザー、このカードを使ってくれ」
そう言ってさっき使ったデッキから【ノヴァ】を中心に、この時代にないはずの【サイバー】カードを渡す。
「いいのか?」
「ああ、アンタなら使いこなせると思ったからな」
「……ありがたく受け取っておこう」
そう言ってカイザーは俺からカードを受け取る。
「ん。じゃあ俺は行くよ。またいつか」
俺とカイザーは学年が違うからなかなか会えないからな。
「……今度は勝たせてもらうぞ」
去ろうとしたらこのセリフがやってきた。
「……返り討ちにしてやる」
フッと互いに薄く笑みを浮かべる。
そして俺とカイザーは自分の寮へと帰っていく。
次回デュエルはほぼしません。