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「龍斗、起きろ!お前にお客さんだ」
「ん〜……あと……5時間31分……」
「やけに半端だな……それに長い……あ、いや、そうじゃなくて客が来てると言ったんだ!起きろ!」
昨夜…………いや、最早今日未明と言うべきか。
静かに足音一つ立てずに部屋に戻り、少し寝ようと思ったら、今日日曜日じゃん。と思い出し爆睡。
9時間くらい寝ようとぐっすり眠っていたら。同室の三沢に叩き起こされた。
「ん〜なんだよ寝かせろよぉ……」
「お前にお客さんだ。女性は待たせるものじゃないぞ」
女性……?んな知り合いなんてここの生徒くらいしか……いるじゃん知り合い。
「寝てるって言っといてくれ。おやすみ」
「言ったら『起こせ』と言われたんだ」
…………枕田か?アイツの強気な性格ならあり得そうだが……まぁいいや。とりあえず行こう。
「お、おいそのまま行くのか!?」
三沢を無視してパジャマ(何故か多くの男子生徒の寝間着はジャージだが俺はパジャマだ。ジャージだと寝れないから)のまま玄関に行くと、
「…………やっと来たと思ったら寝癖ついてるし、着替えてもないのね……あと、なんで
そんなもの?…………あ、本当だ。枕持ってきてた。まぁいいや。別に困らないし。で、待っていたのは枕田ではなく天上院だった。
「何の用だ。さっさと用件を言え。俺は眠いんだ」
「……パジャマとか枕とかに色々言いたいけど、今度にするわ。十代と翔君が退学をかけてタッグデュエルするらしいの」
「……退学?」
なんでそんなことに?
天上院によると、夜中に廃寮に入ったことがバレたかららしい。で、十代と丸藤がタッグを組んで勝利すると無罪放免。負ければ即退学ということらしい。…………いやいやいや。ツッコミどころがあるだろ。
「…………校長室に行くぞ」
「え?あ、ちょ、その格好で!?」
着替える→校長室→着替える→寝るよりも校長室→寝るのほうが効率良いからな。
道中いろんな生徒に2度見とかされたが校長室へ到着。
「失礼します」
「だから待ちなさい!あ、失礼します!」
「…………なんて格好なのかね君は?」
「服装云々に関してのツッコミは一切聞きません。十代達の件で幾つか聞きたいこと、言いたいことがあります」
校長室に入ると前田と見慣れない深いグリーンの服を着た女性がいたがそれも流して本題に。
「まず、情報はどこからのものですか?」
「……私は『そういうことがあった』としか聞いていないんだ」
ふむ……情報は明かさないと。
「……まぁいいでしょう。次に、その情報について調べはついているんですか?」
「彼女達査問委員会が調査済みだ」
校長はグリーンの服の女性を見て言う。あの服は査問委員会のものか……にしても調査済み、ねぇ……
「随分ずさんな調査ですね。ここにいる前田、天上院、そして俺もその廃寮にいたというのに十代と丸藤だけが退学ですか……本当は調査してないんでしょう?」
「なっ!?我々の調査を否定するのか!」
「だってそうでしょう。十代と丸藤だけじゃなく、俺達もいたのに俺達を呼び出すなんてことはなかった。つまり俺達がいたという事実を知らなかったんだ。調査してないなんて言われても文句は言えないでしょう?」
査問委員会の女性は黙って反論してこない。まぁ仮に知っていて呼び出さないとなるとそれを問題にすればいいだけだしな。
「それに情報が早すぎる。寮に行ったのは昨日深夜から今朝にかけての時間だ。調査云々以前に査問委員会に情報が行く時間が短すぎる。誰かが十代達を陥れようとした可能性を考えなかったんですか?考えてその程度の調査で十代達を退学?査問委員会もたかが知れてますね。小学生以下だ」
「〜〜〜ッ!」
女性は顔を真っ赤にして唸るだけ……反論の『は』の字も無しかよ。
と思いきや、
「し、しかしタッグデュエルは既に決定し、双方納得している!」
「そうか。なら俺にもやらせろ。それで今回は退いてやる」
…………ついタメ口になったけどいいや。
「それをしてこちらにメリットなどーーー」
「メリットを求めるのが査問委員会という組織なのか。なら聞こう。曖昧な情報で生徒を退学させることでそちらが得られるメリットとやらを」
「そ、それは……」
「無いんだろう?明確な情報なら『風紀の乱れを正す』とかいった大義名分があるが、曖昧なものだ。そして今までデカい顔で色々な生徒を退学にしてきたが故に、今更退学させる生徒の人数を増やすことで生まれる疑惑の目かなんかを抑えたいとか考えてるのか?
なら言っておくが無駄だぞ。俺の要求を呑まなければこのことをPDAのネットに尾ひれつけてばら撒くからな」
「そ、そんなこと!」
「そして要求を呑めば、今回は退いてやると言っているんだ。どちらがそちらにメリットがあるか…………小学生以下の調査しかできないアンタらでもわかるよな?」
「くっ……!」
おやおや。このくらい海馬さんなら『好きにしろ』の一言で流すんだけどな。
「対戦相手はそちらに任せる。では校長先生、失礼します。あとそこのパジャマ姿の学生に言いくるめられた人も」
「なっ!き、貴様!」
そそくさと退散。
早く部屋に戻って寝よう。
眠くて眠くて……
「待ちなさい龍斗!」
「なに?眠いんだけど」
校長室を出て寮に戻ろうとするも天上院によって阻止された。
この野郎、俺の眠りを妨げる気か!?
「タッグデュエルの相手は決まってるの!?決まってないのなら寝てる暇なんてないでしょ!パートナーとの相性もあるのだからーーー」
「1人でやるんじゃないの?」
「…………え?」
今だ!
全力でダッシューーー
「だから待ちなさいって!」
ーーーできなかった。
肩を握り潰さんばかりの強さで掴まれてる……い、痛い!
「ちょ、ギブ!ギブ!」
「逃げない?」
「に、逃げる!今のお前凄い怖いから逃げるに決まってーーー嘘です!逃げません!逃げませんから!」
逃げる宣言したら更に威力が上がった。こいつ女の握力じゃねぇだろ……なんとか解放されるもまだ若干痛い。
「で、『1人でやる』ってどういうこと?」
「どういうも何も『俺にもやらせろ』って言ったんだ。良くて1VS1、もしくはそれ以上の状態になるだろ十代達の相手と2VS1とか」
タッグはないだろうな。眠くてイライラしてたから八つ当たりのように言いくるめた感あるし。その仕返しがくる可能性はある。…………ライフ100でスタートとかあるかもしれん……一応【緑一色】の準備をしておこう。
「なら私もやるわ。タッグデュエルで私をパートナーにしなさい!」
「いや、俺に言っても意味ないだろ!言うなら俺じゃなく校長なり査問委員会の連中に言え!」
「……そうね。言ってくるわ。そこで待ってなさい!動いたら承知しないわよ!」
言った途端走り去った天上院。
…………俺にパジャマのまま校舎にいろと?
☆
「すぅ…………すぅ…………」
「起きて、龍斗……起きなさい!」
「んにゃう!?」
急に起こされて変な声出してしまった……恥ずかしっ!
「……天上院?」
「こんなところで寝るなんて……」
「眠かったんだ。それにお前動いたら承知しないって言ったし、動いたら何されるかわかったもんじゃないし」
「な、何もしないわよ!小一時間頭を撫で回すくらいよ」
「ざけんなゴラァ!」
ただでさえ屈辱的だというのにそんな状態を小一時間だあ?女とはいえ蹴り飛ばすぞ。
「じ、冗談よ…………1%は」
「99%本気じゃねぇか!」
最近なんか天上院達へのツッコミ役が多い気がする。いや、間違いないだろう。特に俺の頭関連で。
「まぁその話は置いておきましょう」
「俺にとっては結構重要だかんな?そこんとこ理解しとけ?」
「貴方のタッグパートナーは私になったわ」
「あっそ。で?何かするわけ?」
デッキ貸せとかだったら1人でやる。理由は貸したデッキとタッグを組めるデッキを用意してないし、用意するのも面倒だからだ。
「どんなデッキでいくのか教えなさい」
「いや、教えたところでお前のデッキに変化は無いだろ?ただ混沌としたフィールドで戦うだけだ」
天上院自身のデッキと相性の良いデッキなんて俺は持ってないと思う。俺のデッキはテスターとして戦う事前提だからどうしてもフィールドを埋めがちだから俺のカード達の中に天上院のカードが少し隙間を埋める。そんなフィールドになると予想できる。
「場合によってはデッキを調整しないといけないじゃない」
「『調整』と言っても大して変わらないだろ。お前の使うのは確固としたカテゴリーではなく、通称でしかないんだから」
【サイバーガール】だったか?あの特に発展することなく終わったカード達。【E・HERO】はアニメ終わって少ししたら【属性HERO】出てきたし、【ロイド】……あ、【ヴァルバロイド】いたな。あと主要キャラは……こんなもんか。
「そこは腕の見せどころよ」
「……まぁいいや。三沢には悪いが少し外でも散歩してもらおう。部屋に来い。寮長の樺山先生には話をつけておく。デッキとカードプールを持ってこい」
PDAで三沢に連絡し、急いで樺山先生に話をつけ、必要になりそうな摩訶不思議ケースを取り出していると、ドアをノックする音が聞こえた。
「まだパジャマなの?」
「念のためケースを出してたんだよ。一学生であるお前のカードプールじゃ必要なカードがある可能性は低いからな」
テスター関係無しに俺はカードに困らないけどな。
「それはあなたがテスターだからーーー」
「俺のカードは元から俺のだ。テスターである前からな」
「どういうこと?」
「俺がテスターになる前からシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムは俺の手にあったってことだ」
そういう願いだったからな。
あの交渉が無ければテスター関係無しにいろいろできたんだが……過ぎたこと考えても仕方がないか。
「な、何よそれ!詳しく教えなさい!」
「なんでお前に俺の全てを教えなきゃならない?お前と俺の関係はテスター候補とスカウト、またはただの友人、同級生というだけだ。その程度の関係で根ほり葉ほり聞かれなきゃいけないのか?」
「ぐ……そ、それは……」
「わかったらさっさとデッキを出せ。調整するんだろ?」
「ち、調整くらい1人でできるわよ!」
「…………そうか。なら好きにしろ。おやすみ」
「え?あ、ちょっと!」
天上院を無視してベッドにダイブ。三沢に連絡して別に帰ってきてもいいと伝え就寝。
☆
「龍斗……龍斗!起きろ!」
「ん……んぅ……」
三沢が揺すり起こしにきた。なんだ?昼食か夕食か?
「ん、ん〜〜!……はぁっ」
体を目一杯伸ばして起床。
「…………なんだ三沢……飯か?」
「昼食の時間はもう過ぎてる。夕食はまだ先だ。また天上院君が来ているぞ」
「ん……」
なんだ。出て行ったのか……まぁアイツのカードだけで調整するなら俺の部屋にいる意味は無いから当然か。
やはりパジャマのまま寮の玄関まで行く。
「十代がこれから翔君とデュエルするらしいの。着替えてレッド寮に来なさい」
「…………果てしなく面倒なんだが」
「いいから着替えて来る!」
「……ぅーぃ」
なんで俺がそんなことを……面倒だなぁ……部屋に戻って着替えて部屋を出ようとすると三沢にデッキはいいのかと聞かれた。いらないとは思うけど適当に持っていく。
「やっと来たわね」
「眠い、腹減った、帰っていいか?」
「眠いのは知らない。帰らせない。ご飯はしっかり食べなさい」
人間の三大欲求を我慢しろと?
睡眠欲、食欲、帰宅欲を知らんのか?
眠い目を擦りつつ、腹をギュルギュル鳴らしながら、ちょこちょこ寮の方向をチラ見しつつレッド寮に。
レッド寮の少し奥に前田がいて、その足元は断崖絶壁。その崖の下には十代と丸藤がデュエルをしていた。
遊城十代
LP2800
モンスター
【E・HERO スパークマン】:攻
ATK1600
魔・罠
伏せ1枚
手札3枚
VS
丸藤翔
LP3600
モンスター
【スチームジャイロイド】:攻
ATK2200
魔・罠
無
手札4枚
ふむ。どっちのターンかわからないけど、殴ったり殴られたりといった状況か?
「俺のターン、ドロー!」
どうやら俺達が来たのは丸藤のエンドフェイズだったらしい。
「【融合】を発動!手札の【クレイマン】と場の【スパークマン】で融合!現れろ!【E・HERO サンダー・ジャイアント】!」
【E・HERO サンダー・ジャイアント】
攻撃表示
ATK2400/DEF1500
「決まったわね」
「どうして?まだ翔は頑張ってるんだなあ」
「【サンダー・ジャイアント】は自分より元々の攻撃力が低いモンスターを破壊する効果があるのよ。【サンダー・ジャイアント】の攻撃力は2400。【スチームジャイロイド】の攻撃力は2200。効果で破壊されてしまうわ」
「そ、そんなあ!」
俺の【HERO】だったら【ガイア】で殴るけどな。他に【HERO】が手札にあればそっち素材にして【スパークマン】維持して打点を少しでも確保するけど。
「ヴェイパー・スパーク!」
【サンダー・ジャイアント】の指先から放たれた雷が光の雨となり【スチームジャイロイド】を破壊する。あの雨1粒にどれほどの威力が…………
「さらに【E・HERO バーストレディ】を召喚!」
【E・HERO バーストレディ】
攻撃表示
ATK1200/DEF800
「バトルだ!【サンダー・ジャイアント】で翔にダイレクトアタック!ボルティック・サンダー!」
「うわぁぁ!!」
丸藤翔
LP3600→1200
「【バーストレディ】、バーストファイア!」
丸藤翔
LP1200→0
おお、ジャストキル。
確かジャストキルするとDpが少し多く貰えるんだよな。いいなぁ。少しリッチなご飯……
食べ物のことを考えてたらまた盛大に腹が鳴った。
ん?食べ物のことを考えてる間に丸藤がどっか行った。丸藤だけじゃない。前田も天上院もいない。どこにいった?と思ったら天上院は十代のところにいた。前田と丸藤はいない…………帰れる。そっと立ち去ろうとすると、ゾクッと寒気が。振り返って見ると何もない。気のせいなはずない。まさかと思って崖の下を見ると、天上院がこちらを見ていた。『帰るな』と目で訴えてる。帰ったら多分酷い目にあうだろう。……はぁ……
十代曰く、前のターンで丸藤は【強欲な壺】を発動。2枚ドローしたときに表情が変わり、デュエル後に手札を見ると【パワー・ボンド】を持っていたらしい。何故使わなかったのか聞くと『お兄さんに封印されている』とか言ったらしい。そして天上院は『翔には実の兄がいて、その人物このアカデミアの3年トップ。カイザーと呼ばれている』と伝えると、何故か十代はカイザーとデュエルすることを決意。どうしてそうなった?
次回は……現実での禁止カードを使います。