G・E・C 2  時不知   作:GREATWHITE

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「いやぁ。グレムん。久しぶりだネ」

 

 

「あっはっはっは!止してくださいよ『グレムん』は!…しかしそれにしてもいつ来てもこの場所から眺める景色は壮観ですなぁ…張(チャン)さん?」

 

「グレムん」と呼ばれた豪奢な装飾を細部に誂えたオリーブグリーンの軍服を羽織り、さながら「成金趣味のトノサマガエル」のようなシルエットの中年男性が「この場所」―香港フェンリル支部の中心に建設されたこの建物、そしてその最上階に設置されているこの部屋にて眼下に広がった煌びやかな街並みを見下ろし、満足そうに頷く。彼にとってさぞかしこの眼下に広がる街の光一つ一つが宝石―つまりビジネスチャンス=カネの匂いに感じて仕方ないのだろう。その為ならば―

 

「…」

 

銃弾はおろか、砲弾すら弾くであろうこの部屋に施された堅牢な強化ガラス―そこにやや不摂生な生活を長年続けたせいか血色の悪い黄土色の肌をした自分の表情を映し、彼の背後に居る、彼の事を「グレムん」と呼んだ相手に精いっぱいの愛想を振りまくために自分の表情をしばし確認したのち、くるりと満面の笑みを浮かべつつ男は振り返る。

 

男の名はグレゴリー・ド・グレムスロワ。

 

フェンリル欧州支部にて彼の親の代から続く重化学企業の代表取締役を務める傍ら、レア、そしてラケル・クラウディウス姉妹が推し進める「極致化計画」に多額の援助、出資を行い、近日正式に発足される前述の計画の実行組織である「フェンリル極致化技術開発局」の実質上最高責任者の肩書―「フェンリル本部特別顧問」に任命されることが決定している男だ。

要するにかなりの大物であり、その肩書にある意味相応しい大抵の人間に対して見下したような、傲慢な態度をとる男である。が、自分と同等、もしくは自分のビジネスにおいて重要な役目を担う相手、彼基準の「良きビジネスパートナーになりうる相手」に対しては比較的愛想よく、気遣いも出来る要領の良さを持ち合わせている男だ。

 

つまりそんな彼が今にこやかに相対している相手―「張(チャン)さん」と親し気に呼んだこの相手が地位の高い、重要なポストについている人間である、ということを示すことに他ならない。

 

 

「エエ。かつては『百万ドルの夜景』と呼ばれたこの光景も今では『それでも安い』と自負してマスよ。ま。前時代の通貨の『ドル』など今の時代じゃ何の意味も持ちませんがネ?だかラ差し詰め『10億fcの夜景』といったところでショウか?ただ…fc(フェンリル・クレジット)では些か語呂が悪いですナぁ…」

 

 

語尾に独特の訛り、癖のある英語を話す40代ほどの陽気そうな声が響く。

 

 

「あっはっはっは!なら今度私の知人のイベンターを紹介いたしますよ?彼ならばこの香港支部の夜景に相応しい魅力的なキャッチフレーズを提供してくれること間違いなしです。そのキャッチフレーズに惹かれ、また世界中の支部からやんごとなき方々がこの支部をひっきりなしに訪れ、さらにこの香港支部は発展する…まったく羨ましい限りですなぁ…」

 

「その時」は…是非とも私にもそのおこぼれにあやからせてくださいね?と、言いたげに顔の周りのたるんだ肉によって圧縮されたグレムの細い目がきらりと光を帯びる。

 

「フフフ…有難い申出ですケド…紹介料は負けてくださいネ?最近はウチの支部も財政状況が日に日にひっ迫していましテ…将来が心配で折角のおいしい食事も喉を通らない日々が続いているンですヨ…」

 

 

「これまたご謙遜を!今や世界でも有数の人口キャパを誇るこのフェンリル香港支部を統べる支部長であらせられる貴方―

 

 

張 劉朱(チャン・リューズ)支部長が何をおっしゃいますやら!!」

 

 

両手を組んだまま「この場所」―フェンリル香港支部最上階に充てられた豪奢な支部長室の席に鎮座していた男―張 劉朱はグレムの言葉にどこか眠たげで重そうな瞼をゆっくりと上げる。

 

口元を常に笑っているように口角を上げ、どこか眠たそうな瞼が印象的な中年男性。身なりも高級感はあるものの、純白のシャツに少し凝った東洋的な文様の走る薄茶色のチョッキベストのみとそこまで華美ではない。脂っ気のないやや色素の薄目な肌、白髪の混じった黒髪を清潔感のみ重視してオールバックにしている。身長も160前後程度の小男で、やせ型。一見「冴えないくたびれた中年男性」にも見えなくもない。彼の目の前に居る細部にゴテゴテと宝石やら金で装飾の施された軍服を羽織り、ごつごつとあたかも木の根っこののような太く短い指に通常のフェンリル市民一人の一生の所得fcをひとつで賄えるほどの宝石が乗った指輪をしている謂わば「とことん成金趣味」なグレムと比べればあまりに対照的。

 

グレムが「太ったトノサマガエル」なら、さながら彼は「手は生えているが何故か足の生えていない貧相なオタマジャクシ」と言ったところだろうか。

 

こんな小男がまさかこの世界でも有数の規模、そして人口キャパを誇るフェンリルの大支部の一つ―この香港支部を一手に預かる人間だとはだれも思うまい。しかし事実、この小男は現在この香港支部の支部長であり、世界中からグレムのような資産家、実業家が彼と提携、協力、または利用しようと訪れる。今のグレムの様に卑屈な程下手に出て。

 

 

「いや~~先日そちらのエンターテインメント部門の責任者の下に伺った所、最近あのバーチャルアイドル―確か『シプレ』…でしたかな?世界中の支部で物凄い人気だとか!?」

 

「オヤ。流石グレムん。目の付け所が素晴らしいネ~♪」

 

「いやぁ…実は今度是非ともあのバーチャルアイドルの『シプレ』と当方がこれから世界各支部へ売り出そうとしている現実の歌姫―あの『葦原 ユノ』との夢のコラボコンサートをここ香港で開催したいと思っておりましてな」

 

「オオ。あのネモス・ディアナの歌姫―葦原 ユノ嬢を貸していただけるのですカ?それは願っても無い事デすね」

 

「…ええ~~是非とも。現実と虚構の融合…さぞかし素晴らしいコンサートになるでしょうなぁ…」

 

「グレムんは相変わらず商売がお上手ですネ。そのコンサートが成功した暁には…差し詰めアナタの推す一大プロジェクト―例の『極致化計画』の目玉である『神機兵』のキャンペーンガールとして『シプレ』ヲ貸してほしい、と…言ったところですかナ?」

 

「いやぁ~~っ参った参った!流石ですなぁそこまで見抜かれているとは!…神機兵有人型のプロトタイプは完成と同時に一般搭乗者も募集する手筈となっておりまして…。で、搭乗する人員の年齢や適性、性別を考慮すると『シプレ』は非常にキャンペーンガールとして魅力的、優れた広告媒体になる、と私は考えているんですよ~。そこで…是非とも張支部長にお力添えをしていただけないかと考えておりまして」

 

「ははは!~まったくズルいね!こういう時だけ『張支部長』と呼ぶなんテ!」

 

「ふふふ。張さんが『グレムん』と私を呼び続けることに対して私なりの些細な返礼、と、言ったところですかな?これぐらいはしても罰は当たらないかと」

 

「ハッハッハッハ!」

 

「あっはっはっは!」

 

 

グレムは終始にこやかにその男とそんな風な会話をつづけていた。

 

 

 

グレムはこの目の前にいる資産も、地位も、コネも、影響力もすべてにおいて自分のビジネスパートナーとして最適かつ最高のこの男のことが―

 

 

 

 

 

 

 

心底大嫌いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後―

 

 

「お疲れさまでした。グレム局長…」

 

紅い髪をした美しい、そしてケチの付け所の無い見事なプロポーションの体を持つ女性が支部長室を出た直後のグレムに頭を下げる。彼女には解っていた。「一仕事」を終えた直後の今のグレムがとんでもなく不機嫌であることが。

 

「あぁっ!ん~~んぁあああああ!!!」

 

グレムはそんな絶世の美女―レア・クラウディウスの出迎えに反応せず、未だ体に纏わりつくような不快感に上半身を捩ったり、手で払うような動作をしながら苛立っていた。

 

「あらあら…くすくす…」

 

厚く赤い唇に手を添え上品に笑うレアにグレムは気を悪くしたように、しかし同時に恥ずかしそうに彼女を睨み

 

「笑ってくれるな。…レア君」

 

「ふふ…失礼いたしました」

 

二人は並行して歩きだす。身長はほぼ同じ、しかしグレムより遥かにレアの方が足が長いため歩幅は彼女が合わす。彼女の隣では未だに不機嫌そうに大きな上半身を揺すり、先程まで満面の愛想笑い、そしてひたすら下手に出た結果、バリバリに凝ってしまった肩を気怠そうにグレムは回していた。

 

「…相変わらずグレム局長はお嫌いなのですね。…張支部長のことが。これまで何度もビジネスパートナーとしてお互いにWINWINの関係を築いてきた間柄なのでしょう?」

 

「ふんっ。逆を言えばそれさえ無ければ一ミリたりとも近づきたくない男であるがな」

 

未だに鼻息荒く、そしてその鼻息に合わせるようにどすどすと不機嫌な歩調のグレムを相変わらず鼻でくすくすと笑ったのち、レアは振り返る。背後の支部長室のドア―そしてその扉の向こうに居るであろう男を見据えて。

 

―まぁ…お気持ちは解らなくもありませんわ…グレム局長。

 

 

 

彼女は数年前―欧州支部で開かれた各支部のフェンリルの有識者会議に出席した際、初めて張と対面した。当時の時点で既に彼を激しく嫌っていたグレムに間に入ってもらった状態で。

 

当たり障りのないお互いの自己紹介を終え、粛々と散会になった後、耳打ちするようにグレムに彼女はこう言われた。

 

 

「…レア君。君のような美人はあの男にはくれぐれも一人で近づかないように。また何かで挨拶をするようなことがあった際も絶対私を呼べ、最悪でもナル君や護衛を誰かつけるように。さもないと―」

 

「…さもないと?」

 

「…レディに対して言いにくい言葉であるのだがね…」

 

「…なんでしょうか?」

 

「気を悪くしないでくれたまえ?」

 

「…?」

 

 

「…妊娠させられるぞ。これは比喩でも言葉遊びでも何でもない。あの男には本妻、愛人含めて10人は常に下らない女性、そして二十を超える子供がいる。…それで居て尚も常に『次』を求めている、という噂だ」

 

あの男は生来の性豪であるらしい。

 

 

対してグレムはこう見えて愛妻家。女性関係は見た目に反して意外なほど真面目だ。

 

…というのも意外にも彼は恐妻家である。家では妻に全く頭が上がらないのだ。同時その妻に見た目も性格も似た娘にもとことん頭が上がらない。今回の香港の訪問、滞在も娘に「シプレ」やその他香港限定のサブカルチャーのグッズなどをねだられた経緯もあってのことらしい。

 

レアに手を出したことは実は一度もない。どちらかというとレアがサービス精神を発揮して少し戯れを兼ねて彼を誘うような仕草、態度をしても案外恥ずかしそうに目を逸らしたり、咳ばらいをするなどして誤魔化す、といったウブな反応をする。男の本能として「それなり」の反応をするのだがそこで彼の場合立ち止まる。金には強いが案外女に弱い小心者なところがある。

 

いつもの傲慢極まりない態度の反面、時に物事に対して深慮し、疑い、慎重に行動を起こす小心な面―経営者として必須の才覚を持つ。一見趣味の悪い程豪奢に飾られたあの出で立ちはそれを彼なりに覆い隠す手段なのかもしれない。

 

「んああ~~レア君!!塩!塩を持ってきてくれ!!体を清めたい!!それか酒だ!!」

 

「…お酒とお煙草をお控えになさるようにお医者様に止められているのでしょう?ご自愛なさってください。奥様に叱られるのは私なのですから」

 

そういう点で言えばレアはビジネスに関してこのグレムという男を信用している。神機兵開発の資財、資材、人材おおよそ必須の「材」を確保できる財力、コネクション、政治力も持ち合わせた男だ。

 

 

 

 

しかし、あの張という男は違う。ハッキリ言って彼は―

 

 

 

芯の底から、腸の腐ったゲスだ。

 

 

 

 

 

 

 

グレム、そして付き人のレア・クラウディウスが去ったのちの香港支部支部長室にて―

 

「ん~~」

 

張は唸っていた。

 

「どうかなさいましたか」

 

彼の秘書兼護衛を務める紅いフェンリルの制服を羽織った狐目の軍人が彼にそう尋ねる。

 

「彼は相変わらず僕のことが嫌いみたいだネ。残念だな?僕は結構彼の事好きなんだけどナ。お金に関して信頼できる人は身近に居て損はナイし」

 

グレムと対面していた時の人当たりのいい口調とは異なり、母国語に戻った口調はやや低い。残念そうな口調は崩さないが彼の重い瞼の下の瞳は冷ややかな色を帯びていた。本心ではさして気にしていない証拠である。

 

「…張様の『御事情』をお知りになったうえで仲良くして頂ける方は少ないかと」

 

「アんララ~~きっついネぇ。ライは。で、話変わるンだケド」

 

「は」

 

「外で彼を待っていたあの赤い髪の美人…ど~~~っかで見たこと有るんだよネ」

 

「あの方はレア・クラウディウス嬢。かの有名な神機兵開発プロジェクト初代責任者のジェフサ・クラウディウス様の第一ご息女です。彼女が今は亡き御父上の現在の神機兵開発主任研究員、同時、開発総責任者を引き継いだお方でもあります」

 

「あ~そうそう。思い出したヨ。ありがと。あれってさ~~彼の愛人なのかナ?すんごい美人だよね~」

 

「詳しくは存じませんがそれは無いでしょう。あのお方の性格からして彼女に手を出す度胸はないかと。あくまで双方大事なビジネスパートナーとしての立場をお崩しにはならないかと思われます。彼女自身もあれで学級の徒で思いの外そういう噂は聞きませんね。だからこそグレム局長は彼女をお選びになったんでしょう」

 

 

「へぇ勿体ないなぁ。なら今度是非とも…彼女に僕の子供を産んでほしいな」

 

 

「…」

 

 

「また」始まったと護衛の男は沈黙する。張の扉の先を見る目がまるで女性の体の線を品定めするような気色が混ざる。

 

 

「…ああいう見た目に反して真面目なタイプはベッドでは案外男慣れしてなくてスレてなかったりするんだよね。だからとってもい~い声で鳴くんだよ。まるで生娘みたいな声出してさ。……ま、その反動というのか真面目過ぎるつまんない子供が生まれちゃうんだよナ~。母親に似て」

 

「…」

 

「僕好みじゃない子供をまた一々『間引く』のも面倒だから一回抱いて終わりにした方がいいかな。でも…

 

散々犯して壊す分には相当面白そうなタイプだと思わない?彼女」

 

 

 

この男が淡々と発した「間引く」という言葉―この言葉は如実にこの男を顕す言葉として相応しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この男の指示の下、現在香港支部内地下水脈に巣食った不可視の固有種アラガミ―インビジブルは放置されていた。

 

このアラガミが「既にこの支部内に潜伏している」と判明した二年ほど前、彼は秘密裏に選抜したGEを数度地下水脈に派遣→しかし悉く返り討ちというサイクルを何度か繰り返したのち、彼は討伐を一旦諦め、このアラガミの存在を完全に支部外秘として隠ぺいした。そして討伐ではなくそのアラガミの生態、習性を極秘に、丹念に、そして徹底的に調査することを優先する。

 

このアラガミの特異さはアラガミ固有種だけの特殊能力の「電磁パルス」だけでなく、基本「専守防衛」という特殊な習性が上げられる。こちらから攻撃しない限り大規模な破壊活動は行わない。定期的に住処から出て一定量の「食物」を摂取したのちに再び香港の地下水脈に籠り、消息を絶つ。まさしく神出鬼没だ。

 

元々「アラガミ固有種」自体に自分の情報や特性を敵に知られることを非常に嫌う習性がある。その習性の結果得た最たる能力の一つが電磁パルスによるジャマー効果だ。そこにさらに不可視、透明という独自の能力を持つこのインビジブルというアラガミは自分の痕跡を残すことを尚更嫌う習性を身に着けたのであろう。他のアラガミの様に目の前にある物を見境なく喰らったり、追跡者のGE相手に大立ち回りをしたりしない。隠密に、静かに。弁えた生態サイクル、行動パターンを持つ。

 

「自制ができる」こと。これはかなり高度、狡猾な知性を持っているという裏付けでもある。

 

この香港支部の支部長である張がこのアラガミ討伐の手を止め、完全に情報収集のみに絞ったことと同じ様に彼も人間の居住地に巣食う以上、彼もまた人間という隣人を静かに知ろうとしたのだ。

そして隣人の「反応」に合わせ、自らの行動指針を選定し、習性を微調整出来る器用さをこのアラガミは持っている。

 

その最たるものが以下の習性だろう。

 

自分を殺傷出来る可能性を持つこの支部内の「同族」、つまり己と同じオラクル細胞の塊―神機の気配がGEの駐屯している香港支部の中心に集中している事を察知しているのか、「内部居住区には決して現れない」という習性だ。

 

主に外部居住区に定期的に出没し、「食物」を一定量摂取したのちに姿を眩ます。

 

 

 

この特異な生態に張は目をつけた。

 

外部居住区に「蔓延る」彼にとって定期的に「間引き」をしなければならないもの―それは他でもない居住者、住民だ。それすなわち固有種アラガミーインビジブルの「食物」でもある。

 

香港支部が世界中から難民、そして他支部からあぶれたフェンリル市民を過剰ともいえるほど受け入れている背景はコレである。富める者は内部居住区にて面白おかしい混沌の支部を堪能し、fcを落とし経済を回す。貧しい者はやっとの思いで安住の地を手に入れたと思った矢先、この地で知らぬ間に一人、また一人と消されていく。まるで通り魔にでもあったかのように定期的に人がこの支部では消え、行方不明になる。

 

残されるのは...他支部より香港支部に送られる大量の義援金、支援、援助物資。それを消費するはずの難民、住民は秘密裏に消され、それらの処遇は完全にこの香港支部支部長ー張 劉朱の手にゆだねられる。

 

これが難民、フェンリル住民にとって最後の行き先、「最後の砦」と言われている香港支部の裏の顔だ。

 

 

「ねぇライ?」

 

「は」

 

「ボクの子供って今何人居たっケ?」

 

「27人ですが」

 

「あれ~?もう少し居なかっタ?」

 

「お忘れですか?先日7人『間引き』されたではありませんか。『数字の6はどうも不吉だからついでにこのヤンって子供も切っといて。耳の形がどうも気に食わないンダヨ』とか言って」

 

「そだっけ?『断捨離』は性交と一緒で大事で快感な行為だケド、あまりに慣れてくると棄てたものを忘れちゃうのがネックだよネ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


















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