人生二回目でヒーロー目指します   作:74

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5.恵まれているという事

 

朝、起きてジャージに着替える。

 

 

顔を洗って鏡に映る自分を見る。

 

ゆっくり深呼吸をして自分を落ち着かせる。

 

 

漫画で出久くんが、人に恵まれたと言っていたが私こそ恵まれていると思う。

 

ヒーローへの夢を全力で応援してくれて愛してくれる両親に恵まれた。

 

相澤さん達の様な道場の厳しくも優しく鍛えてくれる先生に恵まれた。

 

私を理解してくれて同じ夢を追いかけている親友に恵まれた。

 

私は本当に恵まれて、いや恵まれすぎている。

 

こんなに私を応援してくれる人達がいて私はとても幸せだ。

 

それなのに一人で勝手に悩んで泣いてうざいにも程がある。

 

自分の昨日の醜態に頭を抱えて悶えそうになるがグッと堪える。

 

昨日みたいに勝手に悩むのをやめよう。

 

昨日は自分が出久くん達の事を紙面上のキャラとしか見ていなかった事に気づいて自己嫌悪したけどそれも終わり。

 

ポジティブに考えて、敵襲撃事件の前に気づけて良かったと考えよう。

 

もしそのタイミングで気づいたら今回の様に相澤さんにフォローして貰う事なんてなかっただろうし、もっとうだうだして塞ぎ込んでいたと思うし、私は早々に気づけてかなりラッキーだった。そう考えることにした。

 

「よし!うだうだしない!」

 

顔を両手でぱんっと叩いて気合いを入れてニッと笑う。

 

 

いつもの日課でランニングをしながら糸でゴミを拾い困っている人がいないかを確認する。

 

「おはよ、弦。相変わらず早いね。」

 

「おはよ。人使こそいつもより早いじゃん。」

 

いつもより早くやって来た親友に本当に恵まれてるなぁと思い自然と口元が緩んだ。

 

親友、心操人使はそんな私を横目で見るとすぐに前を向きぶっきらぼうに言う。

 

「どっかの馬鹿が昨日みたいな面白い顔してないか見に来ただけだよ。」

 

「うわ、ひっどい奴。」

 

昨日の帰りも少し遅くなった私の事を待っていて一目で落ち込んでるのを見破られた。

この親友は普段はキツいが私が落ち込んでいたりするとすぐに気づいて不器用に言葉をかけてくれる。

 

私の周りは本当に恵まれていると改めて思った。

 

人使と日課のゴミ拾いランニングをしていると散歩をしている人達ともすれ違う。

 

「「おはようございます!」」

 

「おはよう!今日もがんばってるね!」

 

「「ありがとうございます!」」

 

笑顔で応援してくれている町の人に思わず呟く。

 

「恵まれてるなぁ・・・。」

 

「そうだね。」

 

珍しく素直な人使に驚きつつ朝の道を走った。

 

 

雄英に登校し先に相澤さんに昨日の事で謝罪をした。

 

「おまえに迷惑かけられるのなんて今更なんだからいちいち謝るな。」と言われた。

 

相澤さんの相変わらずのイケメンぶりにときめいた。

 

クラスに行くとあいさつされて驚いた。

ふむひとまずぼっちフラグは回収せずに済みそうでホッとした。

 

午前は話し方以外ごく普通なプレゼント・マイクの英語などの必修科目の授業を受けた。

 

昼になり、なけなしの勇気を振り絞り朝あいさつしてくれた梅雨ちゃんと芦戸ちゃんを誘って一緒にランチラッシュのご飯を食べた。ランチラッシュの料理はマジで美味しかった。

無事脱ぼっちができて良かった。

 

 

そしてやってきました、午後の授業!

 

 ヒーロー基礎学!!

 

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

生オールマイトは濃かった!そして濃かった!画風も違った!出久くんの時とは違う意味で鳥肌たった。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う科目だ。

 

 早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

戦闘訓練!わくわくして腕に自然と力が入る。

 

「そしてそいつに伴って・・・こちら!!!」

 

クラスの壁が動き出てくる。この設備に一体幾らがかかってるんだろうか・・・考えるのをやめよう。

 

オールマイトの言葉にみんな立ち上がり戦闘服に着替えに行く。

私も自分の戦闘服を持ち梅雨ちゃん達と着替える。

 

 

「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!

 

 

 自覚するのだ!!!今日から自分は・・・・・・・・・ヒーローなんだと!!!

 

 

 さあ!!始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

 

被服控除で要望通りの戦闘服に気分が高まる。

 

私の戦闘服は、かかし先生が着てる口布付きの紺色の服のノースリーブタイプに腕には同色で指先まであるアームカバー、その上にクリーム色のインディアン風のポンチョを被っていて、七分丈のズボンに黒いメンズのグラディエーターサンダルを履いている。

 

忍者をイメージした戦闘服を要望したが詳細まで絵を描いたのが正解だった様だ。

ただノースリーブの背中部分ががっつり布がなくて素肌が見えている事だけが気になる。

 

雄英のサポート会社はどうしてもエロい部分を作りたい様だ。

趣味だろうか?

 

 

みんなの戦闘服も素敵だなぁと見ていると飯田くんの質問からオールマイトの話が始まった。

 

「屋内での対人戦闘訓練さ!!!

 

 敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。」

 

「監禁、軟禁、裏商売・・・このヒーロー飽和社会、真に賢しい敵は屋内にひそむ!!

 

 君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

 

「!!?」

 

知っていた事でも少し緊張する。

深呼吸を軽くして力を抜いておく。

 

そういえばA組は私を入れて21人だけどどう分かれるんだろう?

 

「先生!クラスは全員で21人で1人余ってしまいますがどうされるのでしょうか!?」

 

あ、飯田くんが聞いてくれた。さすがだね☆飯田くん!

 

「1人はどこかの組に入って3人でやってもらう!!」

 

「多数の場合の訓練という事でしょうか?」

 

「そうさ!石少女の言った通りだぜ!!!」

 

思わず確認してしまったが普通に返してくれた。流石オールマイト、優しい。

 

その後みんなも一斉に質問しオールマイトが聖徳太子と言ってるのと核兵器というアメリカンな設定やオールマイトのカンペに少し笑ってしまった。というか青山くん、そこは質問しようぜ・・・。

 

 

くじを引くと私だけ何も書いてなくて組に加わるのは私になった。マジか。

 

オールマイトがくじを回収してもう一回引いて出たのはD。

飯田くん・かっちゃんコンビだ。マジか。

あいさつする間もなく対戦相手の発表に移る、マジで早い。

 

 

「続いて最初の対戦相手は、こいつらだ!!!

 

 

 Aチームが「ヒーロー」、Dチームが「敵」だ!!」

 

 

いろいろ不安だがオールマイトの言葉を聞いてから建物の中へ入って行く。

 

「改めて石弦です。個性は粘着糸。手から粘着性のあるガムみたいな糸が出せる。よろしく。」

 

ひとまず自己紹介してコミュニケーションを図る。

 

「二回目だが飯田天哉だ。個性はエンジン。6速まで速度を上げられる。よろしく頼む!」

 

飯田くんはきっちり返してくれたが問題は今出久くんにご執心なかっちゃんこと爆豪くんだ。

 

「おい、デクは“個性”が・・・あるんだな・・・?」

 

まさかの完全☆スルーでした。さすがかっちゃん唯我独尊!

 

「爆豪くん!今は君の自己紹介の番だぞ!」

 

おう飯田くん今は注意やめたげてよぉ!

 

「んなことどうでもいい!!デクに“個性”があるかどうかを聞いてんだよ!!」

 

「どうでもいいだと!きm「飯田くんいいから落ち着いて!」せ、石くん。」

 

このままだと火に油ならぬ爆豪に油で爆発しそうなので割り込ませてもらった。

 

「緑谷くんの“個性”なら体力テストで使ってたしパワー系じゃないかな?

 今は制御しきれてないみたいだけどね。」

 

「クソナードが・・・!!」

 

めっちゃ怖いです。はい。マジで人を殺せそうな顔してましたよ、やだー。

 

「爆豪くんは難しそうだしこっちで軽く打ち合わせしとこうか。」

 

「だが・・・しかし!」

 

「ここで無理に話しても今の爆豪くんは聞いてくれないと思うよ。

 だから爆豪くんが独断専行することを視野に入れて私たちでフォローしていく方がいいと思うんだ。」

 

「!!確かに石くんの言うとおりだ!俺はどうやら視野が狭かったようだ。さすが石くんだ。」

 

「そんなことないんだけど・・・まぁ、ありがとう。

 

 で、ちょっと考えたのが・・・・・・。」

 

 

  ー屋内対人戦闘訓練 開始ー

 

 




親友はお気づきの方もいたかと思いますが心操くんです!
漫画を読んでいて好きなキャラだったのでどうにか主人公と関わらせようと思い親友ポジションにしました。

相澤さんも心操くんもぶっきらぼうに優しそうだと思いますキリッ

戦闘訓練も気合い入れてがんばります!


感想、質問などお待ちしております。

今話も読んでいただきありがとうございました!

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