女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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Q あのこれオリジナルじゃ
A サブイベントを題材にしているので手詰まりにはなりません!

ということで何度も戦い続けるのもありといえばありなんですけど、彼らも人間(一人ルシェですが)なので休暇必要でしょうということで閑話としてサブイベントの話をいくらかしたいと思います。

何でこんな話を、と思われるのですが、ななどらはメインだけでなくサブイベ(ゲーム中ではクエスト)も魅力の一つです。あとサブイベを入れないと一人ハブられてしまう上にどうやって登場させようか悩んでしまうので………。

2021年になっちゃいましたが、出来る限りペースを早めて書いていくので改めましてよろしくお願いします。


SubChapter 『人』の集う『拠点』にて
閑話 13班の休暇ー①


「キリノ。これ」

 

 都庁から帰ってきた俺たち13班はキリノに『ザ・スカヴァー』の検体を渡す。

 

「うん。確かに受け取ったよ。それにしても……」

 

 キリノは俺たちを見ると、とても不思議そうな表情を浮かべていた。

 

「君たちがここまで成長するなんてね……。正直なところ驚きだよ」

「そう驚くもんなのかよ」

「そうだよジョウト。確かに君たちはS級だし、他の人もS級の才能を持っている。でもいきなり実力をつけるなんてことは早々無いんだ。ゲームの主人公たちのパーティーのように少しずつ経験を積んでいくというのが当たり前。その点で言えば君たちはある意味特別なんだよ」

 

 ……そういうものなのかな。俺は口にはせずにそんな風に思っていた。

 別に俺たちは普段通りやっている……はずだ。普段通り、竜を狩って救助者を助けて奥へ進んで。それだけのはずなのに俺たちはそこまで成長が早いのだろうか。

 キリノが続ける。

 

「けどそんな君たちだって休暇が必要だ。勿論僕たちには時間がないのは分かってる。でも無理が祟るのも良くない。……ですからこれは命令です。13班、貴方たちには3日ほどの休暇を言い渡します」

 

 長いようで短いような。でも確かに嬉しいことだけど……。

 

「勿論非常時には出動してもらうから気は抜かないように。ただそれ以外での都庁からの外出は禁止。チェロンから何か言われてもちゃんと『休暇だから』と断るように。いいね?」

「………キリノ。後半は自分でも無理なんじゃないかなって思ってない?」

「………正直なところそう思うよ」

 

 思うんかい!

 ……あぁえっと。確かチェロン(呼び捨てでいいって言われたので呼び捨て)は都庁の人の悩みを集めて掲載して、そんでもって俺たち13班……たまに10班の人にも依頼しているみたい。に依頼を通してる仲介役……ゲームで言うならクエストの受付係って人。で、合ってるよな。

 

「でも今から3日間は断るように! もしだめなら10班の人に声をかけてください! 以上」

 

 うわぁ後半ヤケクソだ。俺は乾いた笑いしか出なかった。勿論「多分そう言われたところでどうせチェロン来るだろうな」という意味でだ。

 

 さて一度俺たちは会議室を出る。そこで俺たちは、何故か息をあわせたつもりはないのに疲れたように一斉にため息が出た。

 

「……珍しいなオッサンまでため息なんてよ」

「流石にあと1体となると不思議とな」

「そういやそうか。あと1体。で、オレらが直接ぶっ飛ばしたのが……」

「ストップジョウト。その話は割と困る」

 

 主に渋谷。

 

「もしかしてお前自分の過去振り返るのがイヤなタイプか? ふーん?」

「るっせーぞジョウト。逆に聞くけどお前は自分の過去見られて嬉しいタイプか?」

「全く二人とも。君たちはほとんど変わってないな。今のはジョウトが茶々入れたのが悪いだろう?」

「へいへいすいませんでしたー」

 

 本当に反省してるのかよ。呆れたかのように俺はジョウトを見る。知らん顔してジョウトはどっか行ってしまった。お前そそくさと逃げやがったな……。

 

「………とにかく3日は休暇か。……ヒカイさんはどうするんです?」

 

 そういえばヒカイさんの休暇の過ごし方って結構興味ある。なんかこう、大人の人の休日の過ごし方ってなかなか聞けないじゃん? ヒカイさんは、意外と困った表情をしてた。

 

「そういわれると、私も少し困るな。あまり休暇の過ごし方というのがなかなかね」

「……そうなんですか」

 

 確かに今まで忙しかったせいで、逆にどうやって休もうかってことがどうするかよく分からないんだろう。俺もそうだ。どうやって休息しようか。……まぁここで悩んでいても仕方ないか。

 俺は「じゃあ俺はその辺歩いてます」と言って、どこに行くわけではなくただエレベーターに乗る。さてどうしようか。少しボタンを見つめた後に、手をかける。屋上だ。

 

「……ふぅ」

 

 本当に色々あったな。俺がこの世界に転生して、この世界の東京が、日本が、世界がドラゴンに侵略されて。勿論失った人もいて……でも、何処かできちんと護れてる人もいる、はず。

 あんまり実感はわかなかったけど、俺って、いや俺たちってそんなに強いのだろうか。キリノやアイテルさんの言葉を思い返してみてふと思った。まるで転生したからーって特権みたいな話で。

 

「なんて、創作話じゃねーんだし」

 

 だったらもうドラゴンとかいともたやすく一人でやってるよ今頃。と自分に悪態ついて、チーンという音がエレベーターに響く。もう屋上についたのかな。と。

 

「オー! ここにいたんだヒーロー!!」

「げ」

 

 ………見事なまでのフラグだ。褐色肌で、こんな状況の中でも元気いっぱいのチェロンが、入ってきた。

 

「すいません今休暇なので無理です。そういうのはアオイやナガレさんに………」

「ノンノンノン! 今回はロナ向けのクエスト! リッスントゥーミー?」

「………聞くだけなら」

 

 陽気な気迫に押されて断れなかった。ごめんキリノ、いきなり違反をかましそうだ。

 チェロンは満足そうにうなずく。同時に扉が閉まる。エレベーターが上へ向かう。チェロンがボタンを押した。階は………。

 

「最近のみんなのテンションはダウン&コールド気味よ。そこで思いついたのがみんながハッピーになる企画! そのためロナにも是非とも………」

「………まさかギターやれってこと?」

 

 音楽で人を楽しませる、か。うん、それなら悪くない。都庁から出ずに済むし、ギターぐらいならキリノやヒカイさんから怒られないだろう。エレベーターのドアが開く。場所は……

 

「…………今からやれってこと?」

 

 居住フロアの上の方。確かに人の気配はするけど、何となく空気が重い。あぁやっぱりそういうことか。

 

「OK分かった。でも準備あるし少し待っててくれないか?」

「さっすがヒーロー! 話が分かるぅ! じゃあこれメモ!」

 

 そうしてメモを受け取り、一旦エレベーターに乗ってメモを確認する。メモにはこう書かれていた。

 

・今日のメニュー

 カレー 肉はマモノから取れる最高級の物を使用する

 

 そしてマモノの情報や場所の情報が書かれていて―――

 

「待てぇぇぇいい!! チェロンさっき言ったよな俺休暇中って! なのに何で外に向かえって遠まわしに言ってんだよ!!」

「え?」

「ダメなの? って顔すんな! 外に出たらキリノとヒカイさんに説教されるんだよ! てかこれぐらいなら本当にアオイとかに頼めよ! というかこれのどこが俺向けなんだよ!!」

 

 ツッコみたいところがあったので俺は慌ててエレベーターから降りながらチェロンに迫る。

 

「そりゃロナにとってもお腹が満腹で超ハッピーになるヨ! ここには腕利きのシェフたちもいっぱいいるし、ロナってば本当に美味しそうに食べるからきっとユー向けヨ!」

「そういう問題じゃねぇんだよなぁ!!」

 

 ……ツッコむのにも疲れてきた。俺は思いっきりため息を吐き出してもう一度メモをよく見る。

 うん。どう見ても献立だ。野菜に関しては配給品等でやりくりするらしい。そしてふと思ったことを口にしてみる。

 

「なぁこれ俺向けって言ったけどさ」

「うん?」

「これ俺一人で食うんじゃないよな。だとしたらここに来ないし、何よりそのほうが皆喜ぶし」

「オー! よく見てる! そうヨ! だからロナに一つ頼みたい! OK?」

「…………俺としては賛成だけど、でも今回は本当にキリノに理由をいわないとだめだな。これぐらいなら確かに俺一人でも大丈夫そうだけど、それで他に迷惑かけるのはよくないし」

 

 流石に何度もやらかせば反省して見直すよ俺。

 チェロンは納得してくれたのか、ウィンクしながらサムズアップすると「じゃあキリノ説得しにいこー!」ということで一緒に向かうことになった。




チェロンの話し方がすっごく難しい……。

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