女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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Q あのもう2020年終わるんですけど
A 反省の言葉もございません……。

というわけで年単位でグダグダ続けてきたChapter6もようやく終わります。2020なのに2020年に終わらないとかホントだめですね私。
あと本当に申し訳ないんですけど、今回の帝竜戦に関しては完全に端折っています。先に理由を言いますと

・帝竜が動かないから描写に困る
・でも動いたらもっと困る
・そもそも3戦あるのでソードマスターヤマトみたいになる

これが原因なのでこの話が全く手つかずという失態です。すいません。

他に誰かななどら2020の小説書いて……と思いながら他の方がやってのけた上に私より早く完結してるので『セブンスドラゴン2020』のストーリーを見たいという人はそちらを見たほうが早いです。
そして見たら原作もやりましょう! 面白いですよ!

というわけで67Szどう……

という前に一つ。48と49に関しては思いっきり話の内容を変えました。自分でも『ナニコレ?』て思うほど全然だめだったので……。

改めまして67Sz、どうぞ


67Sz 希望の先導、言葉の過去

「そらッ! 喰らいやがれ! これが開発班の心意気だあッ!」

 

 帝竜が作戦ポイントに入る。至る所から高出力の光が帝竜を照らす。

 

『よし、今だ13班! そのまま蹴散らせ!』

「「「了解!!」」」

 

 帝竜の目の前に堂々と飛び込む。完全に弱まっている今、このチャンスを逃すすべはない。

 

「ロナ、ジョウト。短期決戦で一気に仕留める。相手は弱まっているが、暴れてきてしまえばこちらが大幅に不利になる。いいな?」

「分かってます!」

「言うなよオッサン! オレはどっかのアホ娘と違うからな!」

「よっし。ジョウトはこの作戦が終わったらぶっ飛ばしてやるから覚悟しとけよ」

 

 いつもと同じ。だが緊張感はその数倍。

 それでも仲間がいる。怖いものはなかった。

 10班の人やフウヤは4班の人達を避難させるために別行動していた。

 

 けれど大丈夫。俺もヒカイさんもジョウトも強いし、問題はない。

 

=====

 

 作戦は成功した。というか、明確な弱点を突いていたので、俺たちの出番は美味しい所を持っていく、という感じだった。

 

「……」

 

 動かなくなった帝竜を何気なく見る。こいつももうじき消滅して影も形もなくなるだろう。

 後一匹。そうすればきっと……。

 

「このまま帰れんだな……」

 

 いや待て帰れない。そう俺は言い聞かせる。

 7匹狩ったところで最後の問題がある。ナツメだ。あいつを倒さない限りこの日本には平和は来ない。それを成すのが俺たちなんだから。

 

「やはりその資格……まさに竜を狩る者ね」

「え、アイテルさん?」

 

 俺たちの近くにやってきたのはアイテルさんだ。護衛もつけず、ただ一人で。危ないってのに何でここまで?

 

「気づいてない? 竜に大きな損傷を与えているのは貴方たちだって」

「はぁ? オレ達だけの力じゃねーだろ。今回は作戦が上手く進んだのも他の奴らの手を借りたからなぁ?」

 

 いや待て何で俺に聞くんだジョウト。けど確かに言うとおりだ。俺は無言でうなずく。ヒカイさんも、俺の位置からは見えてないけど頷いただろう。けどアイテルさんは首を横に振った。

 

「いいえ。確実にダメージを与えていたのは貴方たちよ。そうでもなければ今頃この国は全滅していたでしょうね」

「違いますって絶対! ていうか流石に規模が大きすぎます! その、最初の時や渋谷の時は俺たちがメイン張ったわけじゃ……」

 

 あ。と思った時には遅かった。渋谷という言葉を出した時にアイテルさんの表情が少しだけ曇った。相変わらず口下手だよな俺……。俺は一回首を横に振り、一度息をついてから再び話す。

 

「とにかく俺たちだけでは出来なかったことは事実です。……それでも、俺たちが竜を狩る者と思うならそれでいいと思います。俺は……」

 

 そこまで紡いでから、本当にこれで合ってるかと思って顔をしかめる。

 ……大丈夫。合ってるだろう。すぐに言葉が出る。

 

「俺は無理しない範囲で、やれることをやるだけですから」

 

 当たり前の言葉。でもその当たり前が、今の俺に必要なんだから。

 

「そう。やれることを……」

 

 アイテルさんは少しだけ目を伏せてから、ヒカイさんとジョウトを見つめる。二人の意見も聞きたいらしい。まず先に出たのはジョウトだ。

 

「オレはとにかくぶっ飛ばしてやりてーんだよ。人様の住んでるところに勝手に上がってきたのが腹立つしな」

「お前は変わってないもんだなジョウト」

 

 思わず横から茶化すように言ってしまう。照れ隠しなのかしらないけど、ジョウトはフンと鼻息を慣らしてそっぽを向いた。何か、「お前はブレ過ぎだ」って言われてるような気がして。

 

 少ししてからヒカイさんが言う。

 

「私は与えられた仕事をこなすだけだ。それが私たちになし得られないことであればなおさらさ」

 

 これぞ大人の答えって奴なんだろう。ヒカイさんの表情はいつも通りだが、目が真剣だ。

 

「それが3人の覚悟………ということなのね」

 

 そうなるのかな。と頭で思っていたけど、身体はすぐに首を縦に振っていた。少なくても、自分自身に嘘をついたってことはない。

 アイテルさんの表情は変わらないまま、クルと背を向けると外へと歩き出す。護衛もつけずに大丈夫なんだろうか。

 そう思っていたけど、何となくその背は不思議と「大丈夫」って言っているような気がして俺はそれ以上は歩かずにいた。

 と。

 

「きゃーーーん☆ 13班様素敵ですぅ!!」

「開発班の職人魂、帝竜にも通じたみたいだな」

「ホントすげぇよ、13班も、ジジイも……うぅっ……」

 

 ……え、ちょっと待って。何で4班の人達がこっち来てんの!? 避難させたんじゃないのか!?

 

『あー……悪い13班。ミイナは帰るようにって言ってたんだけど、アオイがせっかくなので見たほうがいいって促したせいで……』

「アオイお前……」

 

 遅れてやってきたアオイにため息が出てくる。危ないってのに何てことしでかしたんだよ……。

 

「あははごめんなさい。でも今回は私たちがいましたし、それに……」

「それに?」

「13班の活躍は絶対見るべきだと思うんです! センパイ達のおかげでみんな希望へ進めるんですから!」

 

 そんな無邪気で、元気づけられるアオイの言葉。俺は呆れ半分と照れくささ半分で思わず笑ってしまった。

 そういえば俺たちの活躍を見てくれる人なんて早々いなかったんだよな。だからこうして見る機会があったって言うのも俺たちにとってはメリットだったのかもしれない。

 そんな風に俺は思いながら、ヒカイさんやジョウト、4班とアオイの雑談を少し遠目で見ていた。

 

「活躍見てくださーい、だとよ。まるでアイドルを追っかけてるファンみたいだよなぁ」

「フウヤ……」

「まぁいいじゃねーか。たまにはこんな機会ってのもよ」

「お前も意外と肯定派だったんだな」

「別に。オレは範囲外なんでどーぞご勝手にって気分だったぜ」

 

 冗談でも何でもなさそうな笑いをフウヤは浮かべる。全くお前は……。

 

「あーそうだタイマンの話」

「あ。……あれか」

「やっぱ今は保留。大怪我させて怒られんのは勘弁だわ」

 

 そういえばタイマンの話してた。……正確にはタイマンの話を吹っ掛けられていたのを気づかなかった、ていうのが正しいんだろうけど。そんな話をフウヤから切り上げてきたのがちょっと意外だったので普通に驚いた。

 まぁ保留してくれるなら有難いことだけど。出来ればずっと保留にしてくれ。

 

「あぁあとそれから」

「まだ何かあるのか?」

「……あんまし迷惑かけんなよって話だ。お前さんが前に走って行くのは勝手だが、それで迷惑かけんなってこと」

 

 ………それは反省してる。でも今更言う事なのかそれ。若干複雑そうな表情を浮かべながらそんな風に思う。

 

「まー今のお前さんなら大丈夫だろ。反省してるならそれで結構」

「うん。分かった。………ってか何で急にそんな話を?」

「あ? そりゃまぁ……」

 

 フウヤは首を軽く動かした後、俺から離れる。何だよ教えてくれないのか。

 

「そう伝えるように、って頼まれちまったからな」

「………え?」

 

 どういうことだ。っていう前にフウヤは離れて行ってしまった。

 誰に伝えるって頼まれた? いや、そんなこと出来る人はキカワさんしかいないはず………。

 でもキカワさん、わざわざフウヤに伝言たのむって人だったっけ? それ以前に―――。

 

「ダメだ、モヤモヤする……」

 

 ………フウヤお得意の冗談だろ、って俺はそう言い聞かせる。

 本人からまたこの話を聞きたいけど、多分はぐらかされる始末なのは火を見るよりも明らかだった。

 

 ……でもこれで後1体のはずだ。最後の帝竜、そしてナツメ。

 

 俺たちが希望となれば―――きっと。


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